ここは、大阪府の万博記念公園に隣接する場所にある快傑まふっと軍基地。
『バトルロイヤルR』において、他勢力が放つ数々の強敵達と戦う者が集まる場所。
その歴戦の勇者達の中でも一目置かれる人物がいる。
軍で一番の実力を持つ彼には基地司令・快傑まふっとより『エース』の称号が与えられ、兵舎の中で最も豪華な部屋に住んでいた。
しかし彼は今、その恵まれた生活を捨て、ここから旅立とうとしていた・・・。
『バトルロイヤルR』において、他勢力が放つ数々の強敵達と戦う者が集まる場所。
その歴戦の勇者達の中でも一目置かれる人物がいる。
軍で一番の実力を持つ彼には基地司令・快傑まふっとより『エース』の称号が与えられ、兵舎の中で最も豪華な部屋に住んでいた。
しかし彼は今、その恵まれた生活を捨て、ここから旅立とうとしていた・・・。
「・・・よし、こんなところだな」
自室の片付けを終えた彼は、一人そうつぶやいた。
彼の名は快傑ズバット。いや、今はズバットスーツを着ていないので私立探偵・早川健と呼ぶべきだろうが、ここではいつも皆から敬意を込めて「ズバットさん」などと呼ばれている。
荷物をまとめ、親友・飛鳥五郎の形見である白いギターを担いで部屋を出ようとした時、誰かがドアをノックした。
早川がドアを開けると、そこにいたのは第四回WBRで共に戦ったちゅるやさんだった。
彼の名は快傑ズバット。いや、今はズバットスーツを着ていないので私立探偵・早川健と呼ぶべきだろうが、ここではいつも皆から敬意を込めて「ズバットさん」などと呼ばれている。
荷物をまとめ、親友・飛鳥五郎の形見である白いギターを担いで部屋を出ようとした時、誰かがドアをノックした。
早川がドアを開けると、そこにいたのは第四回WBRで共に戦ったちゅるやさんだった。
「なんだ、ちゅるやさんか。一体、何の用かな?」
「さっき、司令から発表があったにょろ。ズバットくんがここを出て行くって・・・」
「・・・やれやれ。あの司令、余計なことを言いやがって」
「さっき、司令から発表があったにょろ。ズバットくんがここを出て行くって・・・」
「・・・やれやれ。あの司令、余計なことを言いやがって」
早川は担いでいたギターを床に降ろしておどけた態度を取ったが、ちゅるやさんは今にも泣き出しそうな表情だった。
「どうしてにょろ!?やっぱり、WBRでの成績を気にして・・・」
「そいつはちょっと違うな、ちゅるやさん」
「えっ?」
「確かに、それも理由の一つと言っていい。だが、他にも理由はあるんだ」
「そ、それは一体・・・?」
「元々、俺はさすらいの私立探偵。こんな風に一カ所にとどまっていられるような性分じゃなかった。だけどよ、司令に誘われてここに来たらあまりにも居心地が良くて、気が付いたら二年以上も経っていた。おまけにWBRで優勝して、周りから軍の『エース』だともてはやされてよ・・・正直言って、自分でも少しいい気になってた所があったんだ」
「ズバットくん・・・」
「だから、このままじゃいけないと思ってよ。何だか・・・ちょっと、風に吹かれてみたくなったのさ」
「そいつはちょっと違うな、ちゅるやさん」
「えっ?」
「確かに、それも理由の一つと言っていい。だが、他にも理由はあるんだ」
「そ、それは一体・・・?」
「元々、俺はさすらいの私立探偵。こんな風に一カ所にとどまっていられるような性分じゃなかった。だけどよ、司令に誘われてここに来たらあまりにも居心地が良くて、気が付いたら二年以上も経っていた。おまけにWBRで優勝して、周りから軍の『エース』だともてはやされてよ・・・正直言って、自分でも少しいい気になってた所があったんだ」
「ズバットくん・・・」
「だから、このままじゃいけないと思ってよ。何だか・・・ちょっと、風に吹かれてみたくなったのさ」
普通なら周囲の時間を止めてしまうほどにキザな台詞。
だが、不思議と彼が言えば、まるでそれが至言のように聞こえてくる・・・少なくとも、ちゅるやさんにはそう思えた。
だが、不思議と彼が言えば、まるでそれが至言のように聞こえてくる・・・少なくとも、ちゅるやさんにはそう思えた。
「やっぱり、今さら私なんかが止めようとしても無駄だったみたいっさ・・・」
「すまないな、急な話で。皆には迷惑かけるかもしれないが」
「仕方ないにょろ。それより、これを受け取って欲しいっさ」
「すまないな、急な話で。皆には迷惑かけるかもしれないが」
「仕方ないにょろ。それより、これを受け取って欲しいっさ」
そう言ってちゅるやさんは一週間分のスモークチーズを差し出した。
「いいのかい、こんなに・・・お前さんの大好物だろ?」
「ぜひとも受け取って欲しいっさ!」
「・・・じゃあ、ありがたく頂いていくとするよ」
「ぜひとも受け取って欲しいっさ!」
「・・・じゃあ、ありがたく頂いていくとするよ」
早川はスモークチーズを受け取ると、再びギターを担いだ。
「じゃあな、ちゅるやさん。皆によろしく言っといてくれ」
そのまま部屋から出て行こうとする早川の背後から悲痛な声が掛かる。
「ズバットくん!また、いつかここに戻って来てくれるっかな!?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
しばしの沈黙が流れた後、早川はそのまま部屋のドアを閉じて出て行った・・・。
「にょろーん」
早川が兵舎を出ると、そこには見覚えのある人影があった。
ナチスのサイボーグ兵士、シュトロハイムである。
第三回WBR直前に開催されたWBR出場ファイター決定戦において、彼が撃った1分間に600発の徹甲弾を全てズバットのムチで弾き返したのが勝因となったのは記憶に新しい。
その彼が今、去り行く自分を見送りに来るとは、早川にも予想外だった。
ナチスのサイボーグ兵士、シュトロハイムである。
第三回WBR直前に開催されたWBR出場ファイター決定戦において、彼が撃った1分間に600発の徹甲弾を全てズバットのムチで弾き返したのが勝因となったのは記憶に新しい。
その彼が今、去り行く自分を見送りに来るとは、早川にも予想外だった。
「お前さんがわざわざ見送りに来るなんて、どういう風の吹き回しなんだ?」
「フッ・・・人種は違えど、お前のような優れた人間には敬意を表する。それだけだ」
「そうかい。また縁があれば、その時は手合わせ願うぜ・・・あばよ!」
「フッ・・・人種は違えど、お前のような優れた人間には敬意を表する。それだけだ」
「そうかい。また縁があれば、その時は手合わせ願うぜ・・・あばよ!」
そう言いつつ背を向けて遠ざかって行く早川に向かって、静かに敬礼するシュトロハイム。
その顔の機械部分が夕日を受けて、まるで涙を流したかのようにキラリと光った・・・。
その顔の機械部分が夕日を受けて、まるで涙を流したかのようにキラリと光った・・・。
夕日に向かって歩を進める早川。
その前から近付いて来る学ラン姿の人影が一つ。
それは『スタープラチナ』を操るスタンド使い、空条承太郎だった。
いつもより目深に帽子をかぶり、その表情をうかがうことはできない。
これまでの間、同じ陣営に属していながら一度も対戦することの無かった二人。
その二人がすれ違おうとした瞬間、お互いの足が止まった。
端から見れば、今にも激しいバトルが始まりそうな予感を感じただろう。
二人の間を、一陣の風が駆け抜ける・・・。
その前から近付いて来る学ラン姿の人影が一つ。
それは『スタープラチナ』を操るスタンド使い、空条承太郎だった。
いつもより目深に帽子をかぶり、その表情をうかがうことはできない。
これまでの間、同じ陣営に属していながら一度も対戦することの無かった二人。
その二人がすれ違おうとした瞬間、お互いの足が止まった。
端から見れば、今にも激しいバトルが始まりそうな予感を感じただろう。
二人の間を、一陣の風が駆け抜ける・・・。
「・・・行くのか?」
「ああ。風が俺を呼んでいる・・・」
「ああ。風が俺を呼んでいる・・・」
承太郎をその場に残し、再び歩き出す早川。
少し経って承太郎が振り返ると、すでに早川の姿は無く、沈み行く夕日がそこにあるのみだった・・・。
少し経って承太郎が振り返ると、すでに早川の姿は無く、沈み行く夕日がそこにあるのみだった・・・。
・・・こうして、快傑ズバットは皆の前から去って行った。
果たして、彼が再び戻ってくるのは、いつの日か?
果たして、彼が再び戻ってくるのは、いつの日か?
それからというもの、快傑まふっと軍基地では誰がリクエストしたわけでもなく、毎日夕暮れ近くになると必ず流れる曲があった。
その曲の名は・・・『男はひとり道を行く』。
その曲の名は・・・『男はひとり道を行く』。
男はひとり道を行く 男はひとり行くものさ
燃える願いに命を賭けた 山の彼方に何がある
愛か誠か苦しみか 戦いの道 火の地獄
何があるのか知らないが 男はひとりで行くものさ
燃える願いに命を賭けた 山の彼方に何がある
愛か誠か苦しみか 戦いの道 火の地獄
何があるのか知らないが 男はひとりで行くものさ
男はひとり道を行く 男はひとり行くものさ
堅い誓いに命を賭けた 波の彼方に何がある
風か嵐か高潮か 戦いの渦 火の地獄
何があるのか知らないが 男はひとりで行くものさ
堅い誓いに命を賭けた 波の彼方に何がある
風か嵐か高潮か 戦いの渦 火の地獄
何があるのか知らないが 男はひとりで行くものさ
完
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