1.不正咬合
☆①八重歯の正式名称は、上顎犬歯低位唇側転位である。
②受け口の正式名称は、反対咬合、または、下顎前突である。
③出っ歯の正式名称は、上顎前突である。
④乱杭歯の正式名称は、叢生である。
⑤乱杭歯の正式名称は、叢生である。
2.不正咬合による障害
⇒不正咬合による障害を大別すると、生理的障害(機能的障害)と心理的障害に分けられる。
☆Ⅰ生理的障害(機能的障害)
①咀嚼機能の低下
②う蝕の発生原因
③歯周疾患の誘因
④発音障害
⑤骨の発育障害
Ⅱ心理的障害(QOLに対する障害)
3.正常咬合
①歯の大きさと形態の調和
②正常な咬頭嵌合と隣接歯との接触関係
③顎骨正常な形態と発育
④健康な歯周組織
⑤顎関節の正常な形態と機能
⑥筋の正常な発達と機能
☆オーバージェット、オーバーバイト
①オーバージェットとは、上下顎中切歯それぞれの切縁間の水平的な距離で、
水平的な被蓋を距離で表す。
オーバージェットの正常値は、2~3mmである。
②オーバーバイトとは、上下顎中切歯それぞれの切縁間の垂直的な距離で、
垂直的な被蓋を距離で表す。
オーバーバイトの正常値は、2~3mmである。
☆正常咬合の種類
①仮想正常咬合:歯が最大に機能するために理想と考えられる正常咬合
②典型正常咬合:人種または民族内で共通した特徴をもつ正常咬合
③個性正常咬合:矯正治療の目標とされている正常咬合
④機能正常咬合:解剖学的に正常ではなくとも、咀嚼などの機能に異常のない正常咬合
⑤暦齢正常咬合:乳歯列から永久歯列の完成に至るまでの年齢で正常と考えられる咬合
4.咬合異常
☆ 1)歯が正しい位置から外れていることを転位という。
①近心転位:歯列弓内で歯が近心に位置を変えている状態
②遠心転位:歯列弓内で歯が遠心に位置を変えている状態
③唇側転位:前歯が正常な位置より唇側に位置を変えている状態
④頬側転位:臼歯が正常な位置より頬側に位置を変えている状態
⑤舌側転位:歯が正常な位置より舌側に位置を変えている状態
2)捻転とは歯が長軸を中心に回転している状態
3)移転=交換とは歯の位置が入れ替わっている状態
4)傾斜とは歯の長軸が異常に傾斜した状態
5)高位とは歯の切縁や咬頭頂が咬合線を越えている状態
6)低位とは歯の切縁や咬頭頂が咬合線に達している状態
5.歯列弓の形態の異常
☆ ①狭窄歯列弓:臼歯の舌側転位や歯槽骨の狭窄により歯列弓の臼歯間幅径が小さいもの
②V字型歯列弓:犬歯間幅径の狭窄に加え、中切歯の唇側傾斜によりV字をした歯列弓(上顎のみ)
③鞍状歯列弓:下顎のみにみられる第二小臼歯の萌出順序が最後であった場合に
歯列弓から舌側にはみ出してくびれた歯列弓となる
④空隙歯列弓:歯と歯の間に空隙がある歯列弓
6.上下の歯列弓の対向関係の異常
☆ Ⅰ近遠心関係の異常
1)上顎歯列弓の近遠心的位置が正常な場合
・・・下顎近心咬合と下顎遠心咬合がある
2)下顎歯列弓の近遠心的位置が正常な場合
・・・上顎近心咬合と上顎遠心咬合がある
Ⅱ水平関係の異常
1)交叉咬合
・・・片側性交叉咬合と両側性交叉咬合がある
Ⅲ垂直関係の異常
・・・開咬(舌癖がおこる)と過蓋咬合がある
7.アングルの不正咬合の分類
☆アングルの不正咬合の分類とは・・・
上顎大臼歯の近心頬側咬頭の三角隆線が下顎第一大臼歯の頬面溝に接している状態を標準とし、
3つのクラスに分類したもの。
1)アングルⅠ級
上下歯列弓の近遠心関係が標準であるもの。
⇒叢生、開咬、上下顎前突、などの異常を呈することが多い
2)アングルⅡ級
下顎歯列弓が上顎歯列弓に対して標準より遠心で咬合するもの。
①アングルⅡ級1類とは下顎遠心咬合で上顎の前歯が前突しているもの。通常は口呼吸を伴う。
②アングルⅡ級2類とは下顎遠心咬合で上顎の前歯が後退しているもの。正常な鼻呼吸を営むもの
反対咬合ではない。
3)アングルⅢ級とは下顎歯列弓が上顎歯列弓に対して標準より近心で咬合するもの。
8.症例分析に用いられる口腔模型、写真
1)矯正用口腔模型。現在では平行模型が一般的に広くもちいられる。
2)口腔内写真
3)顔面規格写真
4)頭部エックス線規格写真(レントゲンセファログラム)
エックス線による診査
1)デンタルエックス線写真
2)パノラマエックス線写真
9.歯が移動するメカニズムと固定源
・力の作用方向に応じて圧迫側と牽引側が生じる
⇒圧迫側の歯槽窩には破骨細胞牽引側では造骨細胞がそれぞれ出現する。
・移動レートが最も高くなる力を最適矯正力という
・矯正力の反作用力に対向する抵抗源を必要とする。これを固定源という。
固定源は求められる場所によって次のように分類される
1)顎内固定:固定源が移動させたい歯と同じ顎内に存在する場合。
⇒大臼歯が主な固定源
2)顎間固定:固定源が移動させたい歯の対顎に存在する場合。
3)顎外固定:固定源を口腔外に求めた場合。
10.プライヤー
☆①ヤングのプライヤー:0.7mm以上の矯正用線の屈曲に適している
②アングルのプライヤー:0.6mm以下の細い矯正用線の屈曲に適している
③三叉プライヤー:手指での屈曲が困難な部分に用いられる
(アデレーのプライヤー)
11.線屈曲の一般的原則
☆ 線屈曲は、手指によって行うことが基本である
①矯正用線をプライヤーで把持しながら拇指で屈曲する
②プライヤーを必要以上に強く握らないこと
矯正用線が滑らない程度の最小限の握りの強さを体得し、圧痕を残さないようにする
③プライヤーで矯正用線を把持する角度に注意する
④鋭角に鋭く屈曲したい場合は、プライヤーに近い矯正用線の部分を押し曲げ、
反対に鈍角に緩やかに屈曲したい場合は、プライヤーから離れたところを押し曲げる
⑤屈曲の過程ですでに屈曲した部分を変形させないようにする
⑥屈曲途中に不適合が生じた場合、不適合が生じた直前に屈曲した部分を修正する
12.自在ロウ付け
☆ 1)自在ロウ付け法
ロウ付けしたいものを左右の手指で固定し、火炎上でロウ付けする方法である
欠点:ロウ付け位置が不正確になりやすい
利点:短時間でロウ付けされるため、過熱を防止でき、矯正用線が焼なまされない
2)埋没法
被ロウ付け物を仮着固定して埋没する方法である
欠点:ロウ付け時に埋没材全体の加熱を行わなければならないため、加熱に時間がかかり、
矯正用線の酸化や焼きなましが起こりやすい
埋没操作が煩雑で時間がかかる
利点:正確な位置でロウ付けが行える
13.自在ロウ付けの一般的原則
☆ ①ロウ付けする部分の油脂分などをきれいにする
②ロウ付け面どうしをしっかり接触させる
③フラックスを用いる。クロムの酸化膜を取り除く目的でフラックスには、
主成分のホウ砂のほかにフッ化物が添加されているものを用いる
④加熱は還元炎で行い、酸化を防止する
⑤短時間でロウ付けを行う。
再結晶(焼きなまし)による軟化を防止
融点が700℃前後の線ロウ(銀ロウ)が用いられる
⑥太い矯正用線に細い矯正用線をロウ付けする場合は、太い金属線から加熱する