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    <title>project-Yolnifev</title>
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    <description>
      *project-Yolnifev

**&amp;font(red){What&#039;s New}


//- うげえええ  -- マスター  (2009-01-05 09:28:55)
//- 七節読了。おおう。闘う闘う！  -- 菊  (2009-01-05 17:42:06)
//- 27日に試験終了予定。そこから1週間でどうにかしますよ？  -- hasewo  (2009-01-23 06:02:18)
//- 把握。ワシは2月6日なのでそれまでウニョルゲです。  -- マスター  (2009-01-25 18:50:06)
//- 近況報告：２月１８まで絶賛テストの嵐  -- シュウ  (2009-02-05 17:38:17)
//- 遅くなりましたが終わりました。納得のいくまでやってごめん。  -- hasewo  (2009-02-06 20:32:37)
//- お疲れ様＾＾　引き継ぎの質問云々は明日の定例会ででも聞きます＾＾  -- 菊  (2009-02-06 20:42:09)
//- 第９節、早いけど投稿しといたヨ！　全力で伏線拾ったのと、世界観をかなり補完しといたので、ヨロシク！（戦闘はなし  -- 菊  (2009-02-12 01:19:46)
//- 乙です。次回のシュウ先生の作品にご期待ください。  -- マスター  (2009-02-12 04:20:08)
//- 来週の金曜以降の更新となります。  -- マ  (2009-02-19 23:57:32)
- 了解了解。  -- hasewo  (2009-03-09 02:00:28)
- 自身の勝手な都合によりかなり遅れました。申し訳ないです・・・orz --シュウ  -- 名無しさん  (2009-03-10 00:12:58)
- ちょっとﾏｽﾀは一日で仕上げるのが無理なので、事後承諾っぽいですが次はhasewoです、ｻｰｾﾝ  -- ﾏｽﾀ  (2009-03-10 00:38:26)
- やっぱほのぼのモノはいいですね。外伝としても描いていきたくなるほどいい五人組です。  -- 菊  (2009-03-11 13:20:01)
- っというわけで、hasewoではなく、ﾏｽﾀの番に結局なりました。どうやらnice boatだったようで。  -- ﾏｽﾀ  (2009-03-17 13:23:27)
- ｻｰｾﾝ、超ギリギリ更新でｻｰｾﾝ  -- ﾏｽﾀ  (2009-03-24 23:59:33)
- しばらく本家の方で製本作業があるので休止みたいな感じですぅ  -- 名無しさん  (2009-04-12 02:04:05)
- よるにたん、はっじまるよー  -- ﾏｽﾀ  (2009-05-20 23:28:06)
- 次回より熱闘編？  -- hasewo  (2009-05-21 00:36:51)
- hasewo早く続き書いてくれｗｗｗｗ  -- 菊  (2009-08-07 21:24:50)
- ｼｮﾎﾞｰﾝ  -- kiku  (2009-10-05 18:31:27)
#comment(title_name=name：)


新しいページを作るときは@wikiモードでおｋです。

日記の書き方。
左メニューから開発記録→ブログ画面の中から管理画面を選択（見つからないときはCtrl+Fで検索汁）
ＩＤとパスを入力。これも←メニューに書いてあるね。歪みねぇな。
その後、左のメニュー一覧から新しく記事を書くでおｋ。


twitter やらないか？

１：twitterに登録する。→ http://twitter.com/ 
２：なんか発言しろとか言われるので、とりあえずお腹すいたとでも書く 
３：フォローしろとか言われるが、周りにやってる友達もいない 
４：とりあえず拙者、http://twitter.com/claestranquillo　にアクセスしてフォローするボタンを押す 
５：後は発言の横の返信するボタンでその個人に返信できる（発言フォームの＠～は個人宛というあれ） 
これで君もtwitter 
＠～の発言をのぞいて発言すると、全体公開の発言になる。 
twitというアプリ（win専用）を使うと、わざわざブラウザを開かなくてもいいので楽。見易いし。→http://cheebow.info/chemt/archives/2007/04/twitterwindowst.html　の下の方にある。 
パスとユーザー名だけいれればおｋ。 
後は発言フォームで発言したり、個人宛のつっこみを入れれば、設定した時間の頻度のたびに更新される。発言したのに更新されない！と驚かない。 
.*tw*が気になる人は設定で消せる。


**小説進行設定

順番…菊、シュウ、マスター、hasewo

ノルマ（〆切）…7日目に提出。
ブログにコメント書いていってね！
難しい展開があったらちょっとした設定を書いていってね！
新キャラ作ったら容姿と性格の大雑把な設定は決めていってね！
字数…５つ以下の場面転換であれば、上限はなし。下限は5000。
場面転換区切り文字
「　-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------」

一順目…clear
二順目…clear
三順目…clear
四順目…clear
五順目…clear
六順目…clear
七順目…clear
八順目…clear
九順目…clear
十順目…clear
十一順目…clear
十二順目…?
　
　
　
　　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　    </description>
    <dc:date>2009-10-05T18:31:27+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/30.html">
    <title>登場人物設定集</title>
    <link>http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/30.html</link>
    <description>
      ***登場人物簡易一覧
勢力分類項
*天文部
皆識 真那（みなしき　まな）…天文部部員三年。女。主人公。
斯波 雅（しば　みやび）…天文部部員三年。男。金髪。
天草 紗希（あまくさ さき)…天文部部員一年。女。マシンガントーク
九品 賢規（くしな けんき）…天文部部員二年。男。通称くしけん。
小日向　雪江（こひなた　ゆきえ）…天文部三年。女子。病弱。
*第一勢力
源 那由他（みなもと なゆた）…完璧主義者。女。
アンナ・コヨ・イザーク…冥栄高等学校一年生。女子。ドイツ人。
金　李圭（きん　りけい）…冥栄高等学校一年生。男子。中国人。
*第二勢力
ヴェルフェゴール・オーガ・『アバター』。…幽遠の怪老の姿を借りた禍つ神。
サン・スロスト・ヴェーダ…双子の女の姉。…チカラの源を保有する人間を殺す。
ピアス・クリット・ヴェーダ…双子の女の妹。…チカラの源を保有する人間を殺す。
*第三勢力
……ヴェル爺がほのめかす第三勢力。禍つ神や『力』に魅入られた人間に対抗する勢力ではあるらしい。
*謎
幼馴染…知的さん。真那に似てる。類は友を呼ぶ。 ただ学校には行ってない。専門職に就職。 
ヨルニフィーヴ…謎。
黒い影…Ｂ級。

***登場人物詳細設定

**皆識 真那の設定…

&amp;bold(){容姿}

眼鏡…なし
黒髪…ロング
髪になんかつける…保留
髪型…ストレート
顔つき…面長、頬ライン細め
目…薄幸、たれ目
眉毛…中眉毛
隠れ巨乳
本を片手に持つ
インドア派
制服
身長…160cm前後
生徒会長
スレンダー
泣きほくろ

&amp;bold(){性格}

Ａ型
良い子
几帳面
周りの意見にあわせるタイプ
自分よりも他人を優先するタイプ
人徳はありそう
物事の分別はある
他人の幸せは自分の幸せ
自分の主張をあんまりしない
感情的で動くよりも理性で先に考える

&amp;bold(){その他}

天文部
今年で１８歳の高校三年生
伝説の宝刀「頭突き」




**斯波 雅の設定…

&amp;bold(){容姿}

髪型・・・校則ハナから無視のド金髪を、ワックスで傘状にレイアーにしたもの。（参考、ＭＨＰ２Ｇ、髪型「レイアレイヤー」）
装飾品・・・派手目のシルバアクセ好き。耳と眉に円形の銀環（ピアス）を通している。ブレスレッド、指輪、ウォレットチェーンも装着。
眼鏡。・・・性格上、トキドキ知的に見せたいらしく、眼は悪くないくせに、丸眼鏡を鼻に突っかけている時がある。無論、度は入っていない。
顔つき・・・中性的。鼻筋以外に全体的に大した起伏がないため（ほお、デコ、あご等）、主だった性別的な特徴がないが、
その配置は、眉目秀麗と評すべきもの。薄い眉と白磁のような白肌は、昔の芸者を思わせる。ＦＦの主人公っぽい感じ。三白眼。
体つき・・・小柄。１６０㎝くらいで、マナと並ぶと大差がない。顔と同じく、性別的特徴に乏しい。華奢。
服装・・・そもそも制服だが、彼の場合は特筆。よたった大きめのブレザーをいつも肩に羽織っている。
その下には、生地の伸びたＶネックッセーターをだらしなく着こなしている。
一般人が見れば、だらしない格好だが、彼を崇拝する一部の人間からすれば、艶美とも捉えられる。煙草もまたしかり。
素行、性格・・・気分屋というより、自分から天真爛漫を装っている。真面目を気取るときもあれば、テキトー主義な時もある。
女性には無垢にあどけなく、男性には素っ気なく、不良に接する。その様、千変万化。
人間観察のとりこかと思えば、時に全てを放り出すような頽廃的な一面も見せる。
そうした部分から、運動神経もよく、勉強もよくできる。ソツのない男。
ある意味、この世の全てを利害関係から成っているように、とらえている節もあれば、
そもそも、彼が天文部に居る理由はよく分かっていない。腹の底が全く見えない。

どうやら天文部の一員に特別な想いがあるようだが…？

基本明るい性格なので、天草沙希とともに、真那の雑務の邪魔をすることもしばしば。


アニメキャラでいい例えがないか、探してたんだが、最近いい例えを見つけた。
性格的にもそうだし、容姿的にいって、彼はちっちゃくなった『ハウル』だ。




**天草 紗希の設定…
いつも明るいポジティブ思考
妄想癖あり、真那のことを先輩とよび慕う
お喋り好き（ただし口が軽いわけでわない）でマシンガントークになることが多い。
真那のことが関わるとよく暴走する
初めて会う人にも物怖じしない
「わんこ」

つーか、この子、いつのまにかロリっぽい容姿になってるけどそれでいいのだろうかね…。誰かイラストに起こせｗ

**九品 賢規の設定…
&amp;bold(){容姿}

通称くしけん。
眼鏡…曲線フレーム眼鏡。青ぶち。
髪型…短髪。モンハンのココットカットな感じ。
顔つき…標準的な男性な感じ。少し筋肉質。
目…小さい。垂れ目でも釣り目でもない。
眉毛…中眉毛
身長…175cm前後
猫背。
基本的にはインドアでもアウトドアでも両方いけるくち。
制服はちゃんと着ている。細いよりは筋肉質（そこまででもない）感じ。
運動も勉強もそれなりにできる。文学系が得意で、理数系が弱い。
自分が興味あるものについては積極的。それ以外でも場の雰囲気で積極的になったりする。
ただ他人からはそんな風に見られておらず、「またくしけんが頑張っちゃってるよ」とか言われる。
でも本人はあまりそんなことは気にしない性質なので、結局は周りも巻き込まれて「もっとやれ」といわれる。


**小日向　雪江（こひなた　ゆきえ）の設定…


生まれつき病弱の少女。
第五回での登場が名前と軽い設定のため、以後の登場時の容姿風体は、各筆者に任せるが、一応菊の妄想を下記。

丸い小顔によく似合うボブカット。髪色は、染髪なしで普通に栗色の毛色をしている。加えて、病弱らしく、顔全体のパーツに見られる色素が薄い。
そのため、グレーの瞳は彼女の見た目の薄弱さにより拍車をかけている。困った眉に、こぢんまりとした丸鼻と口が可憐な印象を与える。
ふくよか、という程ではないが、グラマラスぼでぃな真那や、発育途上の沙希に比べると、
全体的に丸みを帯びた女性的な体型をしている。
パッと見、薄倖そうだが、その実精力的で鉄面皮な真那に比べると、雪江の場合は見た目も実際もホントにひ弱。
誰かの介添えなしではすぐにぶっ倒れそうな勢いがある。
イメージはアイマスの雪歩を大分貧弱にした感じだろうか・・・。


天文部、最後の一人にして、実は三年生。真那や雅との親交も厚い。
時期によって体調が急変することがあるので、活動にはあまり参加できていない。
が、活動を一番楽しみにしているのは彼女であったりする。
鉄面皮な真那と掴みどころもない雅をいつも心配している。


**源 那由他の設定…
表向き：明るく、優しい頼れる人（ハルヒでいう朝倉の表の顔）

本来はクールだが熱血漢、影でとても努力するタイプ
才能よりも努力、な人間。それでいままで成功していたものの、真那の圧倒的な才能に負け、嫉妬する
周囲とはどこか違った空気を醸し出す。
周囲からは真那とはいいライバル同士とみられている。
真那に対して可愛さ余って憎さ百倍的な執着の仕方を見せる。
インドアな感じ見えて実はかなりのアウトドア派

『ツンデレ・オブ・ザ・ツンデレ（？』


髪型・・・黒の肩までかかるセミロングでストレートな髪
目・・・・コンタクトをつけている、その時によってメガネにチェンジ可、釣り目ぎみ
顔つき・・幼さが残っているが大人びた雰囲気がそれを打ち消している。
体格・・・真那より少し低い１５５センチくらい、胸は結構大人し目

能力…
言うならば「日常的なものを非日常にする能力」
だからテレキネシスもどきが使える。出来事の規模に対して、那由他の精神が持っていかれる。
例えば物体を浮かしたりする、人々が見慣れているが原理がわからないような、手品っぽいようなものにはそう能力的にパワーを使わない。
ただ、世界が爆破するとか、そういう規模が大きいのは那由他が壊れる。アヘッ☆になるから無理。
那由他自身、まだあんまりうまく使いこなせない。


**アンナ・コヨ・イザークの設定…

&amp;bold(){容姿}

鮮やかな赤毛。紺碧のまなこ。二つに分けた三つ編み。丸メガネにそばかす。
アイマスの秋月律子（りっさん）を外国人風にした感じ。童話、赤毛のアンをそのままにしたような解釈でも可。
美人という感じではないが、どこか愛嬌のある顔。自然と愛着がわいてきそう。
身長は１５０センチ程度。高１にしては低いというほどではないが、高いわけでもない。

&amp;bold(){性格、素性}

神戸生まれのドイツ人。怪しげな関西弁を話すことから、幼少のころに移住してきたとも考えられる。
お喋りで、かつ自分のことしか話さないタイプである。いわゆるジコチュー（自己中心的）な性格ともいえる。
だが明朗なので、それなりに友達はいるようだ。
那由多に芽生えた『力』の存在を知っていて、突然、金と共に協力をあおぎにくる。

未だその能力は不明。

**金　李圭（きん　りけい）の設定…


&amp;bold(){容姿}

アンナとともに現われた中国人。通称キム。
乱髪で、どこかだらしなさがある印象だが、よく見ると気品めいたものが見受けられる不思議な少年。
端正な顔立ちはいかにも大陸産といった感じで、細目で釣り目がち。
一年生とは思えない高身長を持つ。およそ１８０センチ程度。
アニメに例えるとしたら、カウボーイ・ビバップのスパイクを、顔だけ中華っぽくした感じ。
&amp;bold(){
性格、素性}

普段は寡黙。最近傾向の強い留学生らしく、真面目で向学心に溢れているかなりの秀才。
いつ頃日本に来たのかは不明だが、相当流暢な日本語を話すらしい。
普段はクールだが、実は激情家であるとのうわさもある。


能力

『オネガイ』・・・キム君の能力。テレパシーの一種（？）周囲の人間たち（集団、個人は設定可）の心、意識になんらかの命令を刷り込む
　　　　　　　主な使い方としてはよくある人払いの結界みたいな感じ。周囲に人が来なくなる（その場所へ行こうと思わなくなる）
　　　　　　　強制力はそこまで強くなく、「かけられた」とバレて抵抗された場合、簡単に破られる。
　　　　　　　

『サイコ・ダイヴ』・・・オネガイに次ぐキムの第二の能力。テレパシーの一種として、人の意識、記憶の中層ほどまでを断片的に探れる。結果的に数々の情報を　　　　　　　　　　　　　引き出せるが、そこまで精度が高いわけではない。そして何度も使うとかなり疲労する。





**サン＆ピアスの設定…

双子の女なので、容姿が似ている。
姉のサンのほうが藍黒色の髪（姉のようが深いよ）。ボブショート？あのショートでこう、ふわっとした丸い感じ。
妹のピアスのほうが青黒色の髪。ショート。こっちは完全にストレートショート。
姉のほうが能力者。なんの能力かはまだ決まってない。が、能力者が能力を使うとそれをおおまかに感知できる。
携帯をいじくって、その場所を特定する程度の能力。
無表情、っというか落ち着いている。でも男勝りの言葉遣いをする。基本的にどんなことにも動じない。
163cmくらいがいい。切れ目。体つきは普通に細い感じ。
妹のピアス。能力者じゃないです。その代わり昔から運動が得意なので軍人まがいのことができる。
ナイフが得意。ただナイフには黒いリボンが付いている。ウェディングケーキに入刀するナイフがイメージ。（リボンもついてるタイプの）
姉と同じ身長で切れ目。鍛えているので身体は筋肉質。無駄のない筋肉な感じ。
姉を尊敬し、姉の言葉を優先する。もう姉萌え。姉百合といっても過言ではない。
姉が好きすぎる人。




**ヴェルフェゴール・オーガ・『アバター』の設定…

オーガーは古今東西における『鬼』の意。『アバター』は、サン・スクリット語で『神の化身』。
その名の通り。現世に降臨した禍つ神の一人。
かなり高位の神であるらしく、サンやピアスら『力』の暴悪に魅入られた人々を率いている。
明確な意思を持ち、その高度な知性からは、やはり他の神よりは抜きんでた存在であることを思わせる。
その目的は『よりしろ』の専横と『力』の独占とみられるが、まだ不透明な部分が多い。

容姿は７０近い老人だが、その精気みなぎる佇まいはそれを感じさせない。
顔は深いしわが刻まれた、峻厳な顔立ち。髪は真っ白で大分後退している。
身長１８５㎝程度。腰は全く曲がっておらず、体は引き締まった鋼のよう。体だけ見れば老人とはまったく思わせない。
ビンテージな風合いの全身柄のスーツを着用。革のローファーを履く。タイは閉めず、くたびれたシャツだけ。


一見おとぼけた老人のようにも見える、が、その実は悪意と暴力に満ちたまさしく『鬼』の性質をもった神。
高度の知能を備えているゆえに、時に高邁な講釈を行い、サンやピアスを困らせる。
策謀家としての顔も持ち合わせ、愉快犯的な嗜好も併せ持つ。



イメージとしては、『鉄拳』シリーズの三島平八。それを細長く、引き絞った体つきにした感じ。



**ヨルニフィーヴの設定…

とりあえず化け物。人なのか人外なのかは未定。
マナと絡める。

**黒い影、というか、怪物の設定…

なんら設定はないけど言うなれば硬い殻を持ったプレデターみたいな感じ。
…もしかして、ヨルニフィーヴ？（違うと思う…    </description>
    <dc:date>2009-05-21T01:36:03+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/2.html">
    <title>メニュー</title>
    <link>http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/2.html</link>
    <description>
      **メニュー
-[[トップページ]]
-[[プラグイン紹介&gt;プラグイン]]

----
**ページ一覧
-[[ヨルニフィーヴ設定集]]
-[[登場人物設定集]]
-[[開発記録&gt;http://yolnifev.blog77.fc2.com/]]
//-[[チラシの裏案]]

ID:yolnifev
pass:zukyun
#region(open,本章)
-[[第一節]]
-[[第二節]]
-[[第三節]]
-[[第四節]]
-[[第五節]]
-[[第六節]]
-[[第七節]]
-[[第八節]]
-[[第九節]]
-[[第十節]]
-[[第十一節]]
-[[第十二節]]
-第十三節
#endregion
#region(close,原画)
-[[原画1]]
-[[原画1修正ほくろ]]
-[[原画2]]
-[[原画2修正ほくろ]]
-[[原画3]]
-[[立ち絵１]]
-[[立ち絵２]]
-[[落書き]]
#endregion

//**過去ページ
//-[[長い案はこちら]]
//-[[一言コーナー]]

----
#recent(20)    </description>
    <dc:date>2009-05-21T00:39:59+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/24.html">
    <title>ヨルニフィーヴ設定集</title>
    <link>http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/24.html</link>
    <description>
      **小説世界設定…

（小説部分から読み取れる設定。違った部分があったら修正頼ム）

真那のいる世界―世界設定

季節…秋。海風が寒い。
真那のいる町…海と山に挟まれた町。漁業が盛んだった。（熱海）
真那の父…サラリーマン。販売店の支店長。
真那の家族…基本的に仕事の都合上、真那と生活時間帯が合わず、すれ違いが多いっぽい。
真那の通う高校…進学校である私立高校「冥栄高等学校」。海岸線から麓に向ってなだらかに伸びる丘の中腹より少し上。長い坂がある。
横倒しのH型をしている。
真那の家からは踏み切りを超えなければならない。

**伏線早見…

天体観測…観測は終了？彗星って一日だけだっけ。

源那由他の行方…外人に取り込まれたツンデレ系テレキネシス少女。

担任がくれた本…預言書。ヨルニフィーヴのことが書いてある。
//「唯一なるものが消え逝く狭間、弐時が重なる場にて涅槃受け入れざるば、森羅万象の法則より外るる」とどっかに書いてある。
//唯一なるものが消え逝く狭間＝太陽が消える時間。つまり夕方あたり。おおまがとき。
//弐時が重なる場にて＝日が当たる場所（つまり太陽の見える場所）と、日が当たらない場所（影部分）が重なっている場所
//涅槃受け入れざるば＝悟りっぽいことをして死ぬ。
//森羅万象の法則より外るる＝生物としての法則から外れる。能力者になる。
//つまり那由他は、夕方に線路前の直射日光と影の場所に立って刺激が欲しいという悟りを啓いて死んだので能力者になった感じ。
//これも預言書には書いてある。
//そんな感じで書いた伏線。もちろん独断と偏見の解釈なので、改変は大いにおｋ。

マナが見た夢…Ｂ級映画の夢。ヨルニフィーヴっぽいのが出てくる。天体観測後に見た。

能力者を狙う暗殺者…百合百合。ホテルを転々として能力者を狙う。バッググラウンドに何かがあるとか？


































//----　
//&amp;bold(){その他}/

//とりあえずうｐ。とりあえず感がたっぷりだけど、ニュアンスだけ伝われば幸い。
//つか泣きほくろがスキャンされていない件。　

//ちょっと解説
//一枚目
//とりあえず設定通りに書く。
//書いてて思ったのが地獄しょうゲフンゲフン。
//下校中。高校生が持ってそうななんかあの透明のプラスチックのカバンみたいなの
//
//二枚目
//アップ。一枚目より前髪を普通にする。当初からだが、何かを考えているような表情しかないので笑ってもらった。
//でも幸薄そう。ボツ画だったけど上げる。
//
//三枚目
//旧マナちゃん仕様。上記二枚と変わって制服を夏仕様にする。黒歴史とは比べないで。

　　

　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　    </description>
    <dc:date>2009-05-20T23:31:52+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/39.html">
    <title>第十一節</title>
    <link>http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/39.html</link>
    <description>
      真那は料理を目の当たりにしていた。
店員が次から次へと運んでくる料理の皿は、既に机が交換されるまでに至っていた。
肉、魚、野菜と街で見かけるすべての食材があるのではないかというほどの料理が机の上に並べられる。
「まだ来るのか」
誰かが言った呟きが埋もれるようにデザートも並べられていく。
ようやく並べられたところで、天文部の面子は自分の注文をキャンセルしていた。
店員もそれを予期していたかのように、一言頷くだけで了承する。
一応、真那が頼んだものなので皆それぞれに分けてもらっていいかと聞いていた。
真那はそろっていいよとうなづき返すだけだった。
「センパイ…ランチセット頼んだのは今朝の仕返しですかぁ…」
沙希がうなだれる。男性陣もなんとも複雑な表情で料理の山を見ていた。
「ち、ちなみにこれ…いくらだったっけ？」
賢規がさりげなく真那に近寄る。
「そんなに高くなかったわよ。千円くらいだったかな。」
真那はそんな料理を目の前にしても、いつもと変わらない表情だった。
「とりあえず食いましょうか…どこまで食えるか、わかんないスけど。」
雅がそう口にすると、面々がそれぞれでいただきますと言い、料理の消化に取り掛かった。
歩きまわったせいでそれなりのお腹の空いた天文部は、まずメインと思われる料理から取り掛かる。
「あ、センパイこれおいしいですよぉ～。」
沙希が色とりどりのスパゲッティを真那の皿に盛る。
「あら、本当ね。」
真那は一口食べると、意外そうな顔をして、スパゲッティを皿に移す。
「これいける。」
さりげなく自分の皿に移していた賢規がそれを食べて驚く。
「沙希、その左の皿とってくれ。」
雅が肉料理を受け取ると、それをきれいにナイフで切り取る。
「あ、これうめえ。」
雅がそう言うと、雪江以外がその肉を回して食べる。
それぞれ感想を口にしながら確実に料理を減らしていく。
「わ、わたしはちょっと…」
囁くように雪江が止まる。
箸を手にしたはいいが、量に圧倒されている雪江。
もともとあまり食べる方ではない彼女は、見ているだけで十分だった。
そんな様子を見てか、雅がデザートの皿をとる。
「ン、これなら食べれるだろ？」
一口ケーキが乗った皿が雪江の前に置かれる。
六つのケーキが色とりどりに置かれたそれを前に、雪江はちいさい声でありがとうと言う。
「セ、センパ～イ！なんか平然と肉とか齧りつかないでくださいよぉ！」
「だっておいしいもの。値段の割には…ってやつね。」
てきぱきと空の皿を増やしていく真那。その様子を店の奥で、店員は真那のことしかみていなかった。
そしてその目には、もっと…というなにかある種、情熱に燃える魂の眼差しが見てとれる。
「オィ、あの女も…まさか…」
「ああ、多分そうだろう…」
店員が嬉しそうな表情を浮かべる。店員の切れた視線が真那ただ一人を見つめる。
「原石…だな。」
店員がそっと厨房に消える。
また一人、戦友が増えた。
「意外と野菜もうまいなぁ…ドレッシングがいいのかな。」
賢規がサラダを食べ始めると、皆もそろって続く。
雪江も興味を惹かれてか、野菜を食べる。
「あら、本当。病院食の野菜とはやっぱり違うわ。」
「やっぱり、病院食って、あんまりおいしくないの？」
「なんか質素っていうか、そんな感じしますよねぇ～。」
「ううん…栄養バランスとか考えているし、贅沢は言えないわよ。」
「世の中にはもっとマズイ料理あるから病院食なんて美味いほうッスよ。」
「斯波さん、そんなやばい料理食ったことあるんですか？」
「あるぜ。料理っていうか、実験。」
その後店の中にはしばらく陶器とステンレスの鍔迫り合いの音が鳴り響いた。
しかしその音も時間と共に減っていく。徐々に少なくなっていく音に比べ、変わらないテンポの音があった。
席の中央に座る、天文部の部長。細い身体の、その女。
やがて料理を咀嚼する音は、ひとつだけになった。
「真那ちゃん…よくそんなに食べれるね。」
雪江以下天文部はフリードリンクを飲みながら真那の様子を見ていた。
真那だけが箸を進めていた。
「朝ごはん、食べてなかったからかな。」
真那は平然と食べる。
「皆識さん、そんなに食べるほうでしたっけ。」
賢規がメロンソーダを手に戻ってくる。
「うーん、そうでもないと思うんだけど。」
「いや、確実に食べるほうッスよ。今日から考えを改めます。」
「やめてよ。食いしん坊キャラなんて、合わないわ。」
真那五、六割ほどの料理を平らげると、ようやく一服を入れる。
「流石に多いわ…」
全員がそりゃそうだと内心で思う。
間延びした静謐を、気まぐれな鈴の音が店内に告白する。
「いらっしゃいませ。」
店の奥で真那の様子を見ていた店員がすぐに反応する。
出入り口に立っていた客にひそやかに近づく。
「三名様でよろしいでしょうか？」
店員が空いている席に客を誘導した。
真那達の席からは少し離れた、窓側の席。
真那がなんとなしに見るが、店のレイアウト上席の間をインテリアやデザインで区切られている為、顔はよく見えなかった。
店内のジャズ音楽にメニューの注文の声が重なる。
「沙希、ちょっとごめん。」
真那は自分のフリードリンク用のカップを持って、席を離れる。
厨房につながる通路の横に置いてあるドリンクコーナーに鉄観音茶を取りに行く。
その横を店員がすり抜けていく。
厨房へ戻っていく店員の様子はなんだがうきうきしているように見えた。
真那が席に戻ると、なんだか見たことのある料理が運ばれていた。自分の机にも置いてある前菜のようにも見える。
しばらく時間をおいて、次々と料理が運ばれていく。同時に、別の店員が机を運んでいた。
「この様子だと、今入ってきたお客さんやっぱりあれッスよね…」
「やっぱり雅クンもそう思っちゃう？すごいよねぇ～どんな巨漢なのやら。」
そうして店員が運んでいる途中に再び入口が開く鈴の音が鳴る。
店員が料理を置くと、素早く反応する。
「いらっしゃいませ。二名様でよろしいでしょうか？」
こちらへ、と言われ、今度は店内の反対側に案内される。
「料理減らないですねぇ～…センパイ、まだ食べれます？」
「今はちょっと休憩中。時間をかければ食べれると思うよ。」
「まぁ、特に用事もないッスから、ゆっくり食いましょうや。」
ランチセットの食事はまだまだ続く。
と、そこで店員が歓喜の声を上げる。
「お客様、今日という日はとても良い日です！」
真那達が何事かと店員を見る。
店員は興奮したように厨房に飛んでいく。
しばらく間が空いたのち、厨房の中でも歓声が上がる。
そして、真那達の疑問をよそに、店員が大きな皿を持ってくる。
なんだか見たことのある料理。自分の机にも置いてある前菜。
そう、今日三度目のランチセットが頼まれたのだ。
今や店内は騒然としていた。店員が総動員で料理を運んでいる。
厨房からは先ほどまで聞こえていなかった油を上げる音やコックの怒声が店内にも聞こえていた。
真那達が入る前からいた客が、涼しい顔でコーヒーを飲んでいた客が、怯えた客が、そそくさと勘定をすませて店から出ていく。
ただ、天文部が入る前から店内でランチセットを頼んだ客だけが、お茶を飲みながらニヤリと笑う。
「きょ、今日は、なんだかとっても新鮮です…」
雪江も怯えたように紅茶をすする。
真那も少し驚いた顔をしていたが、再び料理を食べる。
「なんだか食べている間に冷めちゃったわね…温めなおしてもらえるのかしら。」
「あ、センパイ、それならドリンクコーナーの隣に電子レンジがありましたよ。最初なんだろうと思ったけど、多分そういうことに使うんだと思いまっす。」
「あら、そうなの。」
「あ、じゃあ僕が温めてきます。ちょうどドリンクも持ってこようと思ってたんで。」
「そう？じゃあお願いね。」
賢規が皿を持って、ドリンクコーナーに消えていく。
「それにしても、どんな人でしょうね？センパイ、見えました？」
「ううん、この席からじゃ、ちょっと見えないわね。」
「そんなことよりさっさと食っちまいませんか？雪江がメイン食べずに意外とデザートを食べましたけど、まだ肉とかが…」
「だって…病院がそういうの食べれないし…」
「ゆっきーセンパイ、太るよぉ～？だって病院ってあんまり動かないっしょ？」
「うん…そうなんだけど…あ、でも一応運動はしてるよ。」
「へぇ～以外ッスね。なにしてんの？」
「…腹筋。」
「…腹筋？」
真那が怪訝そうな顔で雪江を見る。
若干、興味あり気な顔で沙希が注視していた。
「ベットから起き上がるときに…ちょっと。」
「それ運動じゃないわよ。」
真那がばっさりと切り捨てる。

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老人は静けさの響きを楽しんでいた。昼と静寂が再開を果たすたびに、この身体や人間の心に何か深い染みを広げる。
もう何時座っているだろう。眠ることのできない不自由な身体には一向に慣れなかった。
蒸留酒をグラスに注ぐ。緩慢はその動作は、とめどない思考をしていた老人にふと違う視点を与える。
世界を覆っているグラスを神としたら、その保護からあふれ出た液体こそが、我々か。
むしろ世界を注いだその時から、表面に張り付くその水滴こそが。
老人は脳を駆け巡る様々な自分から、最適な答えを探る。時無くして、それが無駄な行為だと悟った。
喉の奥で声なき音で笑う。
似ている…と。
世界は神というグラスの保護下にある。ではあふれ出た液体は誰に守られる？
ヨルニフィーヴ。そう、それこそがグラスに変わる新たなモノ。
密やかにヴェルフェゴールが動く。
街を見下ろせるその場所から、老人はただ無表情に目を向けた。
その目は街も空も見ていなかった。その先、未来を見通すような鋭い眼光が別の何かをとらえていた。
昼時のその空には太陽が上がっている。
ガラスを貫通した日光が、室内に縞状の文様を形作る。
そして机の上に置かれていたコピー用紙が照らされる。
ヴェルフェゴールがそちらを見た。
「書物が失われたのは本当に口惜しい…。」
何かのコピーが映し出されているその用紙を老人は手に取る。
白い紙の中央には写真が大きく映し出されていた。
写真には何やら文字が書かれているものをとらえており、ぼんやりと文字が読める。
「この断片、果たして予言となりうるか。」
様々な予測や、可能性を老人の衰えることのない脳が探る。
やがて、ヴェルフェゴールの眼が開かれる。
老人は予感していた。
このコピーに書かれている内容は、おそらく現実に起こりうることだ。
そしてそれを疑わない老人の意思が、室内の空気を圧縮していく。
まだだ、まだその時ではない。
しかし時は近い。ヨルニフィーヴがもっとも力を増す時期はそう長くはない。
彗星、そしてヨルニフィーヴの力を取り込んだ者たち。
だがまだピースは足りない。「よりしろ」となる源。姿形もわからぬそのモノ。
しかし、とヴェルフェゴールは再び手元の用紙を見る。
その文章の断片には、人と書かれていることが明白に示されている。
ヴェルフェゴールは「よりしろ」とは人であることを確信していた。
だからこそ、サンとピアスにその力を存分に生かし、計り知れないその人物を探してきた。
始めこそむやみやたらに探していたものだが…ようやく手に入った二枚目のこの断片。
ヴェルフェゴールが二枚目のコピー用紙を見る。
その紙にも同じように何かの文章のコピーが写真で写っていた。
此処。この土地を探り当てた。様々な引用や、暗喩が駆使され、今だわからない部分も多い。
しかしこの場所、この縛られた土地。まさにヨルニフィーヴがやってくる土地。結びつく場所。
ヴェルフェゴールは、今や静かにその時を待っていた。
唐突に無機質な音が鳴る。ヴェルフェゴールは手を伸ばし、その音の原因を止めて耳に当てる。
「おお、どうした。…そうか、わかった。」
ヴェルフェゴールがしばらく受け答えをしたのち、電話を切る。
老人は無表情になる。再び脳内へとその集中を固める。
そして、唐突に老人は笑う。その乾いた笑いを聞く者は誰もいない。
「後、ひとつか。」
ヴェルフェゴールはその時を待つ。
世界が、神が、慌てふためく様子を浮かべ、老人は一人、その時を待つ。



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    <dc:date>2009-03-24T23:58:58+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/38.html">
    <title>第十節</title>
    <link>http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/38.html</link>
    <description>
      朝

いつもと確かに変わらない朝の中での目覚め、しかし真那にとってはあまり気持ちのいい目覚めではなかった。
・・・またあの夢だった。
悪夢というのは見ていて気持ちのいいものではない。
たとえ目が覚めて忘れてしまったとしてもその恐怖、悪寒などの負の感情は消え去ることはなく、目覚めの気分を悪いものへと変える。
そしてそれは確かに１日の生活に少なからず影響を与えていく。二度寝する者、一日鬱になる者、生活リズムが狂い睡眠時間が極端に変化する者などさまざまだ。
中には悪夢をものともせずリセットして一日を始めることができるものもいるが真那はそこまで器用ではない。
昨夜から心の整理がつかないのが悪夢の原因だろうがそれにさらにあいまって気分を悪くしていた。
・・・二度寝してやろうか・・・
心の中でそうつぶやく。今は自分を温めてくれる布団がとても恋しかった。
時計は見ていない。目も開けていない。
ただこの最悪な気分で何かしてもいい結果になるとは到底思えない。
本当にこのまま二度寝してグダグダとした一日をすごそうか・・・半ば本気でそう思っていた。

真那は鬱になるタイプだった。

だがそれで自分の状態がいいものになるとも思えず、だからといってなにかしようとも思えず。どうしようかといったところになっていた。
・・・よし、今日は二度寝しよう。
眠気に負け、また夢の世界へと旅立っていく・・・。
・・・今度はまともな夢がいいな・・・
そんなことを思いながらだんだんと意識が落ちて行き・・・
「センパーイ！起きてますかぁー？朝ですよー！！」
一気に現実世界へと引きずり出された。
「起きてないんですかー？センパーイ？」
チャイムとドアを叩く音、そして何よりその声でもう寝れる気がしない。
どうやら惰眠を貪っている時間をくれるつもりはないらしい。
仕方ない・・・と真那は起きあがり軽く髪を整えると玄関へと向かう。
「はいはい。起きてますよ、起きました。ちょっとまってね」
そう言いながら未だに眠気が強いのか少し寝ぼけ眼でドアを開ける。
「おはようございますセンパイ！・・・うわ、すごい眠そう。やっぱりまずかったですか？」
一番最初に沙希の顔が見えその後ろにはいつもの部活メンバーが揃っていた。
みんないつもとは雰囲気が大分違う。
それもそのはず彼らはいつも着ている制服とは違い、各々の個性に特徴付けられた私服を着ていた。
「いや、別に大丈夫よ。今来てくれなかったら一日中惰眠を貪っていたでしょうしね」
眠そうに眼をこすりながらそう答える。
それを見た沙希が自分を押しとどめるように自分の体を抱きしめ、唸るようにつぶやく。
「ヤバイ・・・ヤバイです・・・マジでヤバイ・・・。理性が吹っ飛ぶ・・・っ！！」
その様子にただならぬ気配を感じ真那は自分の部屋の中へ逃げるべくドアを閉めようよし・・・沙希がその前にドアを掴み全開まで引き開ける。
その眼が、その獣のような眼が真那に今までの沙希との付き合いの中で最大級の警鈴を鳴らさせる。あれは捕食者の眼だと・・・。
奥へ逃げようとする真那だがもう遅い。沙希は飛び込みの予備動作を終了している。
「センパイ、もういいですよね、もうゴ」
真那に飛びかかろうとする野獣もとい沙希、その一瞬前に雅が沙希をはがい絞めにした。
「はいそこまで。実は昨日の夜に沙希からメールがあって今日どっか遊びにいかないかってことになったんスよ～。んで全員空いてたから行こうかってことになったんスけど肝心の部長がメール返ってこないもんだからそれじゃあ今日突撃してしまえ・・・というわけになったんス」
沙希をはがい締めにしながらもまだ余裕のある声で喋るあたりさすが男の腕力といったところか。
ひとまず危機が去った真那は安堵する。
まあいまだに捕えられた野獣はもがいているのだが。
「ありがとね雅君、助かったわ。」
心の底から感謝し、その後もう一度みんなを見て気づいた。あまり見かけることのないメンバーが一人加わっていた。
「あらあら、真那ちゃんも沙希ちゃんも相変わらずなのね。沙希ちゃんも朝からそんなに暴れると疲れてしまうわよ？」
栗色のボブカットの髪に見るからに病弱そうな薄い色の肌。
小日向 雪江（こひなた ゆきえ）
生まれつきの病弱で天文部に現れることもそう多くない、今日一番来そうにない人物があらわれていた。
「雪江さん、体、大丈夫なの？」
体が弱いため本人が一番の楽しみにしている天文部にさえ来ることは稀である。
そんな彼女が天文部の活動ではなくただメンバーと遊びに行くために来るというのは稀を通り越して何かの奇蹟かと思ってしまう。
確かにこれまでも一緒に遊びに行ったことはあったがそれでも片手で数えるほどである。
そんな三途の川にいつでもダイブできそうな彼女はコロコロと笑う。
「ええ、今日は体の調子がいいみたい。このままいけば次の天文部の活動にも行けそうなの。そのときはよろしくね。」
顔を見るとその色の薄い肌は青白い色ではなく、確かに血色のいい色をしていた。
体の調子がいいというのは間違いないと言えるだろう。
「さあさ、僕らは外で待ってますので部長も準備してきてください。」
「そうね、それじゃあちょっとまっててね。１０分くらいで大急ぎで準備するから」
賢規にうながされ、真那も準備するために部屋の中へと戻っていく。
「あっ、センパイ私も手伝いまグエッ」
真那を追おうと沙希が走り出そうとするがその瞬間に超反応で雅が沙希の首根っこを掴んでいた。
「お、ま、え、も待ってるんだよ」

約１０分後
「みんなお待たせ。さて、それじゃあ行きましょうか」
そして天文部の面々は星を見るため以外の目的で歩き出す。
今日は学校も天文部も活動はない。
休日というやつだ。
家を出た頃にはあの不快な鬱感情はなくなっていた。


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ここは町の外
真那たちの住む町から電車で約１時間半ほどの場所にあるそこは休日の昼ということもあり多くの人でにぎわってる。
道行く人々はほとんどが１０代半ばから２０代もしくは３０代でいかにもその地域の中心街であることがわかる。
この街は近場に住む人間たちにとってだけでなく、それなりに離れた人間にとっても遊びに来るほどの娯楽にあふれる街で真那たちのように電車で１時間半やそこらで来られる人間がいるのも珍しくない。
そのような人口密集地でありながらそこにいるたいていの人々は何かに操られるように同じ目的でさまよい歩く。
それは真那たちも例外ではない。
欲望と本能に突き動かされながら、時折理性も働かせて、彼らは最適の場所を探す。
「なかなか見つかりませんねー・・・」
賢規が全員の想いを代表してぼやくがそういったところで好転するわけでもなく。
「あそこなんかよさそうな感じじゃないっスかね・・・ああ、だめだ懐に致命傷が行きそうだ・・・」
雅が何か見つけたようだが即座に撤回する。
このようなやりとりがだいたい３０分ほど続いているだろうか。
今は昼時。
道行く人々の多くは自分たちの胃袋を満たす場所を探して歩いていた。




「あ、そうだ。あそこがあった」
何か天啓でも与えられたかのように、突如沙希がそんなことを口走る。
「こっちこっち、こっちですよー」
他のメンバーの返事を待つこともなく、先導する。
もとより全員が空腹の限界値に達しかけていたのでそれに文句を言うつもりもないようだ。
数分後
「ちょ・・・沙希、ここは・・・」
賑わいをみせる大通りから人通りが半分以下になる裏路地、その中にたたずむ一軒の店があった。
それほど人がたくさん入っている様子はない。
だが雅も知っている、知っているからこそ、女子もいるこのシーンで来るべきか迷っていた場所。
「ネットで見てたらここがかなりオススメみたいに書いてあったんですよー。いやーこの街に来ることはそれなりにあったんですけど忘れちゃって来ないことが多くてですねー、でも今おもいだしちゃったもんだからこれは来るしかないじゃないですか。それでそれでみんなでここはどうかなー？って感じできてみたんですよ。安くておいしくていい、と評判みたいですよー。」
沙希が早口でまくしたてる。
たいてい沙希が早口になるのは興奮しているということだ、それほどこの店は評判がいいのだろう。
ネットでは確かに「味よし、価格よしとなにかと食費にお金のかかる自分にはとっても嬉しかった」だの、「食べざかりの自分には質も量も値段もとても満足だった」とも書かれている。
だが逆に雅はあまり乗り気ではないらしい。
「いや確かにここはうまくて安くてって店らしいんスけども・・・なんというか・・・量がハンパないってことでも有名なんスよ・・・さすがに食べきれはするとおもうけど女子だときついところも・・・って気がするんスよねー・・・」
いわゆる、大食いさんご用達のお店というわけだ。
雅の情報は方向性は間違っていない、だが、ネットでのもう一方の評判はさらにすごい。
いわく「あれは人間が食べきれる量なのか？」「そうとうな悪食をできる人間でなければ食べれないものもたまに出てくる」「ネタで行ってみるかーなんてノリで行くなよ？絶対に行くなよ！？後悔するってレベルじゃないから」などなど恐怖に身を震わせた勇気ある生贄からの悲鳴も聞こえてくる。
「どうしましょうね・・・私はそんなにたくさんは食べれないけど・・・」
雪江が心配そうな顔でつぶやく。
その表情は冗談も何にもなく、本当に無理、というサインが見て取れる。
「きっと大丈夫ですよ！少なめにしてほしいって言ったらちゃんと普通の量にしてくれるみたいですし」
確かに情報で悲鳴を上げたものは大抵そのまま突っ込んだ人間たちばかりだった。
減らしてもらえば問題もないだろう。
そういった考えのもと、彼らは店内へと足を踏み入れた。

店内はそれなりに人は入っており、肝心のメニューを見てもそれほどひどいものはなさそうだった。
内装はこじんまりとした昔ながらの定食屋という感じだろうか、学生や若者相手という感じも見て取れるがおそらくそういう事情から大食い的なメニューもできたのではないだろうか。
「結構普通ですね、てっきりよく食べそうな人たちであふれてるか閑散としているかのどっちかだと思っていましたが・・・」
意外、といった感じで賢規が正直な感想を述べるが賢規の認識はあまり正しいとは言えない。
よく食べそうな人というと体の大きな人間をイメージするが実際に食べる人間は体が大きいというわけではない。
大食い選手権などを見てもらえば分かるようにあくまで食べる人間は普通の体つきをしており、特別体が大きいわけでもなく、むしろ大食いとは無縁そうな人間までいる。
実際に彼らは気付いてはいなかった。
部屋の隅に尋常ではない大きさの皿をまとめ、満足そうな顔でお茶を飲んでいるホンモノの姿を。
「いらっしゃいませ。お客様５名様でしょうか？」
中から出てきたのは色黒ではあるが礼儀正しそうな好青年だった。年は真那たちと同じか、少し上くらいに思えるほどに若い。
手慣れた感じで席へと案内し、水を出すと店員は店の説明を始めた。
「この店がどんな店かはネットで知っていると思いますが、もう一度言っておくと大食い系の店です。ちなみにそんな人向けのメニューがあそこにあるランチセット。
それ以外のメニューは少なめと言ってもらえればだいたい普通の店と同じくらいのサイズになります」
その後、メニューを見て注文に入る。
もちろん彼らは一般人、普通の人からみれば大食いなんて無縁の人間に見える。
天文部の面々はやはり少なめで普通のメニューを頼んでいく。
色黒の店員もそれが普通、といわんばかりにオーダーをメモしていく。
「ランチセット」
その言葉が聞こえるまでは。
店の空気が凍る。時間が止まる。世界が変わる。
「えーとランチセットでよろしいでしょうか？」
店員は何かの聞き間違いかともう一度聞きなおす。
だが真那は表情を変えることはなく一字一句変えずにもう一度オーダーを言い直す。
「ランチセット」
あくまで表情は変わらない。
見た感じ大食いに適した体にも全く見えない。
だが店員はとめることはなくそれをしっかりとメモをとり
「いいんですね？それではランチセット一つで。胃袋の空きは十分でしょうか」
その挑戦的ともいえる物言いに真那はしっかりとうなづく。
「ええ」
店員の見間違えでなければ、確かにその眼は一瞬だけ光ったように見えた。
彼の肌に戦慄が走る、すごいお客が来たと。新たなる戦友がやってきたと。

そう、「ホンモノ」は、見た目は普通の人間なのだ。    </description>
    <dc:date>2009-03-10T00:17:26+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/37.html">
    <title>第九節</title>
    <link>http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/37.html</link>
    <description>
      「――それで、今後の活動は？　」
　木枠により等分に区切られた大窓の傍ら。しどけないガウン姿の那由多が携帯電話を片手に、闇に包まれた屋外を睥睨していた。――外は全くの凪(なぎ)。

　山岳と入り江に挟まれた、県内第二の経済規模を持つ港湾都市、東雲(しののめ)市。源家は、歴史と風土に満ちたこの地方有数の名家であった。その広大な敷地は、市の北端から、他市に跨る『紫苑(しおん)山』を含め、およそ２ヘクタールにも及んでいる。
比較的、市中心部に接する『本邸』に対し、山間部には『別邸』も幾つか存在し、そういった『別邸』には、親族や源家ゆかりの文化人などが暮らしていた。こうした『別邸』に暮らす人々、そして那由多ら直系の暮らす『本邸』、使用人を含めた数十人がこの膨大な敷地の中で、まさに優雅な生活を送っているのである。

普通の住宅の多い浜辺から、駅を挟み、山裾へ向かった斜面にそびえる巨大な洋館、源家『本邸』。その部屋数は優に１００を超える。バロック様式の旧家屋は、林業によって一代で財を成した初代当主、総一郎の残した物であり、市の文化遺産にも登録されていた。
蔦蔓の絡んだ白亜の豪邸は、まさに中世貴族の屋敷そのものであり、今尚ここに暮らす現当主、進一郎の好事家ぶりと、資産家たる矜持がうかがえている。
また、名にし負うその内装たるや、毛氈(もうせん)の敷き詰められた廊下。そこかしこに散りばめられた中世の絵画、調度品の数々。そして天蓋のシャンデリアなど、一族創設当時の、奢侈の極みともいえる精緻な装飾が、屋敷全体を彩っていた。

　将来有望な那由多を有し、また、輸入貿易を営む昨今の経営も右前と、源家安泰の礎は今後も確かなものかと思われた。が、唯一悩ましいのは、一家盛栄の象徴であるこの屋敷が、近年老朽化により、行政による文化遺産保護を目的とした立ち退き要請が申しつけられているということであった。ところが、辣腕で知られる現当主、進一郎は「行政の世話にはならない」と、それを頑なに突っぱねていた。
　その数ある部屋の内の一室。赤を基調とした１０畳ほどの寝室で、那由多は電話機を握りしめていた。

　「――そやナ～。さしあたり、現状維持ってとこやナ。」
　　携帯電話の奥からは、間伸びしたアンナの声が響いていた。
　「キム君はなんて言ってるの？　」
　「Ｋっちかー。アイツもアイツでよう分らんやっちゃからナ～。」
　電話機の奥のアンナは困った様子で言った。本当に分からないと言った風であった。
　「ねえ、そろそろ本当のコト教えてよ。貴方、まだ私に言ってないことあるでしょう？　」
　毅然とした声で那由多が問いただした。
――状況は刻一刻と変わってきている。
那由多は思っていた。初めは私利私欲でこの『力』を使ってやろうと。しかし、あの変態姉妹は那由多のみならず、『行きずり』のマナにまで手をだした。
本当は、退屈な日常を変えてやりたいだけだった。この何所より湧いたとも解らない『力』をおもむくままに解放し、マナを、そして自分自身を目茶目茶にしてやりたいだけだった。
しかし、もはや非日常的なのは自分だけではない。状況は、自分を取り巻く環境に伝播している。もう、『均衡のとれた日常』なんてものは、とっくに終わっていたのだ。
その現状認識を踏まえ、那由多は気づいた。マナは自分にとって、邪魔なだけの存在ではない、と。
そう、マナをどうにかしていいのは自分だけ。人生の中で、唯一越えられない壁として存在しているあの子をどうにかしていいのは自分だけ。だから、誰であろうと、自分以外にマナに何か危害を加えるのは、
（絶対に、許せないのよ…。）
「話せないコト…？　せやなぁ、なんのことでっしゃろナァ。知ってるコトゆうても、あッチもたいしたこと知らへんでぇ？　」
　アンナのとぼけた声が聞こえる。大して取り繕うとしない姿勢がうかがえることから、それは那由多に対する『いまだ仔細な話をするほど信用していない』という明確な意思表示であった。それを察知できないほど那由多は鈍感ではない。ついに痺れを切らし昂然と口走る。
「…いい？　私はあの子さえ守れたら、あとはどうでもいいの。そのために私は貴方達に力を貸すわ。だから私は所属しないし、利害を鑑みない。それがあの子のためになるのならば、ね。――そう、私は一個人として、貴方達に付いているだけなの。どう？　これでいいでしょ？　」
「う、ぅ～～ん……　」
　今度は『本当に困っている』といった調子でアンナがうなった。情報の見返りを求め、那由多はつづけた。――全ては、ただマナ一人のために。それは那由多自身が認めたくもない心情の変化だった。
「私は貴方たちにどう利用されようが知ったことじゃないわ。ただ『私は私で在り続けるため』に、情報が欲しいの。」
　那由多の余りのぶちまけ様に、アンナが思わず色めき、
「せ、せやかてあゆはん、それじゃあッチら……　」
　ふふ、と少し鼻で笑い、
「そうね。もう少し色をつけるとしたら、私は一度貴方達に助けられた。そのことから考えても、貴方達に危害を加えることはないはずよ。人として。」
「そか……。なんやあッチら全く信用されてないんかと思うたワ……　」
アンナがほっと安堵した様子であることが、電話機から伝わってきた。
「それはお互い様よ、アンナ。ね、私を『試して』まで知りたかったことって何？　それで貴方の知ってることは？　」
　電話機の奥でアンナがぐったりとうなだれるのが分かった。
「あ、あんサンなんでもお見通しやなぁ…、適んでぇ…。　」
　「ねぇアンナ。私は全て腹を割って話したわ。今度は貴方の番よ。」


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　話は今日の放課後にまで遡る。
放課後、昼放課の会話の始末と、今後の活動を決めるべく、三人はすぐさま校門の前に集合した。
「ねえ、それで私たちは何をすればいいの？　そもそもあんな話だけじゃ、はっきり言って私が付いていく理由にならないわ。」
まだ二人への警戒心がむき出しの那由多が検のある口調で言った。少しは打ち解けたはずであった仲も、授業を挟めばいつのまにか、このとおりの状態になってしまっていた。
するとアンナが闊達な具合に、
「まぁまぁ。『事は急いては仕損ずる』、や。まずは情報収集やでえ。ほんなら公園でもいこか。」
　そう言われ、意気揚揚と出発したアンナの揺れる赤い三つ編みを眺めながら、不承不承、那由多は学校よりほど近い、『あの』公園に到着した。
どこにでもある小さな公園だった。住宅地に囲まれた公園は精々３０平方メートルほど。下校時にも関わらず、中には誰もいなかった。三人は会話もなく歩き、やがて中央部に達した。すると突如アンナが、
「ほな、始めまっかぁ！　」
大手を広げ叫んでみたものの、周囲には何もない。寂しげな遊具が散在しているだけだ。少しの間の後に、いよいよ訝しんだ那由多が、
「こんなところで何をしようっていうのよ…。　」
　じろり、とアンナをにらみつける。
「ま、ま、そうツンケンしなさんと。」
ひらひらと手を振ってみせる。そうしてアンナは、
「ええかなゆはん。その前の道は、ウチらの通ってる冥栄高等学校の生徒の多くが通学路につこうてるトコロなんやワ。」
そう言って、目の前の公園の入口の向かいの道を指差した。
それに対し、那由多は焦れた様子で、
「そんなこと知ってるわよ。何が言いたいの？　早く言いなさいよ。」
「そ、それで、昼間もゆうた通り、あッチらの周囲は今、はっきり言って異常事態や。あんサンや、あっチらのよーな、いわゆる『能力者』が仰山出て来とる。」
腕組みをしながら足踏みする那由多を前に、さすがのアンナもあたふたと身ぶり手ぶりで説明する。
「その状態が、あッチらの周りだけか、それともこの町全体か。はてまた日本全土に及んでるのかは正直分からん。だけんど現状から分かるとおり、あっチやケイっち。ほんでなゆはんが此処にいるとおり、あッチらにとっては、とりあえずこの周囲に『能力者』が増えていると仮定せずして、解決の進展は計れんわけヤ。」
アンナは気を取り直し、明瞭な口調で続けた。
つまり、事態の規模や原因の当ては全くない。だが迅速な究明には、ある程度断定的である必要があると、アンナは言う。
「――で、あるならば。そう、まさにあッチらの近くに、『ヨルニフィーブ』を呼ぶ『よりしろ』があったとしてもおかしくないわけヤ！　なにせ、こんな事態が日本全土に及んでいたら、もっと早く何かが明るみに出ていたはず……。そして、『よりしろ』。これは恐らく『人』である、とあっチは睨んでいるわけヤ。今回の事態は何か人為的な目的が絡んでいる……。これはあッチの『勘』やけどな。　」
ある程度筋道の通った説明に、那由多はとりあえず黙って聞いていた。
と、気持ちよく語り終えたアンナは、即座に、
「そこで！　」
　人さし指を突き上げると、すぐさま公園内を指示し、
「――まずは釣り糸を垂らすことにしよう、と。」
　ややあって、那由多が、
「……もしかして、ここで通り過ぎる生徒の一人一人まで見張ってろってこと？　」
「ご明察ぅ～♪　」
　両手を組みあわせたアンナがそれを枕にして嬉しがる。
「ふっざけんじゃないわよ！！　　」
　那由多はついに強烈な怒声を吐き始めた。アンナは「ひっ」と体をすくめる。キムはというと、我関せずとばかりか、傍らにぽつねんと木のように立ち尽くしていた。
　「あんたねぇ……。そんなことするために私をわざわざ」
「なゆはん、落ち着きなはれ。『急がば回れ』、や。ええか、あんサンが『力』に目覚めたのはつい最近。あッチとこのキム公が目覚めたのも最近や。つまり状況はここ最近で急激に推移してると考えるべきや。」
　那由多は「ん」と片眉を吊り上げ、振り上げたこぶしを降ろす。
　と、アンナは我が意を得たりとばかりに上舌になり、
「それに加えて、あッチもあんサンも同じ『冥栄高等学校』の生徒や。どや？　獲物は案外近くに居るんちゃうか？　」
アンナは得意顔でむふふ、と笑うと、
「つまり、ここで網を張ってれば、必ず何らかのリアクションが得られるとふんでもええわけや。ええか？　能力者はな、お互いに通じ合う『何か』を持ち合わせてるんや。」
「私と、貴方達を引きわせたように？　」
　少し落ち着いた那由多が聞き返した。
「そういうコト♪　あッチらの周囲で能力者が増えているとするならば、この場所のこのタイミングしかないわけや。やることは地味やけど、きっと何かが起こるはずやデ。」
そう言うと、アンナはガサゴソとブレザーのポケットから紙を引っ張り出し、
「あ、これ。あッチとキムの携帯番号や。何かあったらすぐ電話してや。」
　そう言って那由多に紙片を手渡すと、アンナとキムはすたすたと公園の入口を目指して歩きはじめた。
「ちょ、ちょっとドコ行くのよ！？　」
　と、那由多が動転して呼びかけると、アンナはウインクしながら人指し指を振って、
「なゆはんの持ち場はこ～こ♪　固まって見張っとってもしゃあないやろ？　あっチはあの地獄の坂道を。ケイっちは工事中のここの本道を見張らせてもらうわ。」
「ちょ、私はいつまでいればいいのよ！？？　」
「せやなぁ～、あんま遅くなってもあれやし、６時くらいまでとしよか？　」
　言ってる間もアンナは足を止めず、公園の入口へ向かっている。と、急に何か心細くなった那由多は、
「あ、あんた達、勝手に帰ったら承知しないんだからねっ！！　」
　ゲンコツを振りかざしてピョンピョン飛び跳ねる那由多に、もう入口の向こうへ差しかかったアンナはにっこりと笑って、またね、とひらひら手を振った。横ではキムが珍しく、口元を押さえ微笑んでいる。那由多の様子がおかしかったようだ。
こうして三人は別れ、暫くし、公園に残った那由多に『あの』出来事が起きたのである。




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そして時は現在へと戻る………。

時刻は１０時を回ったところだろうか。風凪の夜。二人の会話は、もうずいぶんと長くなっていた。那由多は脇にある豪奢なカーテンの紐をもてあそぶ。
「まずはなゆはん、今日のことは、マコトに申し訳なく思ってますワ…。」
電話から、沈痛な声が聞こえた。どうやらアンナは本気で謝っているらしい。だが、どこまでが本気か分からない、と那由多はふん、と鼻を鳴らし、
「あの時から何かおかしいとは思っていたのよ。貴方は『能力者同士は通じ合うものがある』なんて言っていたけれど、私は初めて貴方達に会ったときに何も感じなかった。
――そして、あの変態姉妹の片割れ。確かに初めて会う私を能力者と認知していたわ。最後に貴方達よ。まるで私が襲われるのを知っていたように現れたわよね。これはもう、能力者が能力者であることを知るのには、そういう探索的な能力者が必要であることが自明だわ。つまり、あの公園での私の見張りはまるで無意味ということになるわよね。」
「なゆハン、さすが学年二位だけのことありますナァ。たいした考察力やで……　」
　電話越しのアンナの讃辞に、那由多は頬を赤らめつつ、
「ゴホン。ご、誤魔化さないでよね。問題は、そうと知りつつ、私をあそこに放置した理由。――私を試してまで、貴方が知りたがっていること。または本当の目的、よ。」
改まった口調に、アンナのほうも真摯な態度となり、少し間をおいて、
「――ウソついて試したことも、ほかに目的があったことも間違いおまへん。ホンマ、申し訳ないッスわ。分かりマシタ。お話しましょ。」
那由多は電話越しにこっくりとうなずく。
「せやなぁ……。何からお話しまショ。せや、あの公園の話がウソだったと踏まえ、あチが知ってることからまんず。」
ゆっくりと息を吐き、
「まず、あッチらの周りに『よりしろ』が居ること。これ間違いおまへん。これはケイっちの能力から裏がとれとります。」
「どういうことなの？　」
「アイツの能力は、運動野の共振によって、無意識に簡単な動作をおこなわせる『オネガイ』の他にもう一つありましてナ。一種の『記憶探索』のようなモンでしテ。――『サイコ・ダイヴ』なんてアイツは呼んどりましたケド。で、それを使い他人の意識に入り込むことによって、その時対象が思っていたり、記憶していた物事の中層あたりまでを断片的に探ることが出来るんや。」
「それで、どうして分かったのよ。」
「実は、あッチら、あのサンとピアスの変態姉妹に一回遭遇してまんねん。その時ケイっちがアイツらの意識に入り込んだワケや。あッチらが、自分らの存在やヨルニフィーブ。隕石や『よりしろ』について知ったのもその時や。……あいつら、『よりしろ』を探す以外に、あッチら能力者も排除する意向のようでっセ。」
あの異形の姉妹を思い出し、那由多はおぞましく感じつつ、努めて冷静に、
「物騒なことね。それで、貴方たちの本当の目的は？　」
「それは最初にゆうた通りや。『誰も悲しまない結末』。これがあッチと、キムの目的や。そのためにあッチらは、誰が『敵』で、誰が『味方』か知る必要があったんや。なんせ、状況すらよう飲み込めん状況さかいに。だから、あんな試すようなことさしてもろたんや。」
「たいした念の入れようね。」
　那由多の嘲弄に、アンナが参った様子で、
「ああする意外になかったんや。なんせ、あの姉妹の背後関係も見えてこぇひん状態や。で、あッチらが、あの公園で知りたかったんは、まさにその、あいつらの背後関係。誰の差し金でこんな真似するのか…。分からんことには、まるで身動きとれんでナ。」
「確かにあのお人形みたいな子たちが、自分たちの意志で動いてるとは思えないわね…。」
「あとは、あんサンを含めた新しい仲間の確保。そして、これは副次的なもんやけど、『よりしろ』の居場所も掴めればええと思っとった。で、結局あの時、あいつらは煙に巻いたったけど、肝心のあいつらの背後関係はよう探れんかった……。けど」
「けど？　」
那由多は息をのむ。
「『瓢箪から駒』、や。あの時現場にはあッチらの前に生徒会長さんがおったやんな。で、や。もしやと思うて、あのあと試しに生徒会長さん付け回して『サイコ・ダイヴ』かけてみたんや……。」
「まさか……マナが！？　」
「その『まさか』、や。やっこさん、『よりしろ』である可能性高いで。」
　唐突な事実に、那由多は一時絶句する。
「キムが言うには、『能力者としてではないが、異様な精神波を感じた』そうヤわ。」
瞠目し、つぶやく。
「『能力者』では、ない…？　どういうことなの？　」
「それが分からんのヤ。だが、能力が芽生えてから、そこら中の人間に『サイコ・ダイヴ』してきたあのケイっちが、生徒会長はんに侵入したとたん、鼻血だして卒倒しかけたからナァ……。『サイコ・ダイヴ』は確かに疲労が込む技らしいんやが、ケイっちがあんなになったの初めてや。一体どうゆう精神構造してんねや？　あの人。」
ややあって、
「そう、やっぱり只者じゃなかったんだわ、あの子…。　」
　おいおいと言った調子でアンナが諌める。
「なんか嬉しそうな声でんな、なゆはん。でも、事はそう悠長でないデ。」
「そうだ、マナッ！！！　」
　今にも飛び出しかねない勢いで那由多が叫んだ。
「ダイジョブ、や。その点ぬかりないで。ケイっちがその辺の浮浪者に『オネガイ』して、生徒会長はん宅の周り随時警戒中や。それに、『あいつら』もどんな背後がついとるか知らんけど、こんな夜中に派手に動くような真似せんやろ。」
「そう、そうね……。それにしても、マナが『よりしろ』だなんて、本当に考えられるのかしら。　」
　アンナはううむと唸ったあとに、
「ふむ、あの時あの姉妹がなゆはんでなく生徒会長狙った、というんも考えられるしな。」
「それは…、どうかな。あの時はどうも私を狙っていたようだったけれど…。」
　さえぎるようにアンナが言う。
「『よりしろ』ってのはそれそのものに何かの能力があるわけでなく、『能力の受け皿』としての本質が備わってることをゆうと、あッチは推測しとる。だから、見当違いとは言えへんと思うで。」
「でもそれじゃあ、あの姉妹の能力では『よりしろ』の位置は特定できないことになるわ。」
アンナがまた一しきり呻くと、
「もしかしたらあの姉妹は『よりしろ』のことを知りながら、『よりしろ』捜索は任務の内に含まれてないのかもしれん……。」
　互いの沈黙が流れ、暫くし、
「なるほどね……。でも今後のやるべきことは決まったわね。」
「そやな。相手の勢力を把握する前にまず『よりしろ』の保護、や。明日生徒会長はんに接触しましょ。まだ確証はないけどな。」
「ええ。とりあえず何か目標があるにこしたことはないわ。」
　こうして話もひと段落を迎えようとした。時刻は１１時を迎えようというところであった。と、このまま通話も終えようかというところで、途端にアンナ大きな声をあげた。
「ああ、せや、なゆはん。」
「何よ。」
　アンナの馴れ馴れしい声に、那由多は一瞬躊躇する。その間も電話からはアンナの明朗な声が聞こえてくる。
「あッチな。実はこの『力』手に入れた当初、自分のためだけに使こうたろ思うとったんや。」
　突然の告白に思い当たる節もあり、那由多は思わず息を呑んだ。
　アンナが言う。
「でもな。思ったんよ。もし同じような『力』持った奴らが、あッチの友達にちょっかい出してきよったらって。」
　一変、沈んだ調子で、
「そしたらあッチ、気づいたんや。これじゃアカン、て。」
「わ、私は別にそうだとは言ってないわ。」
　内心を見透かされたように、那由多は動揺する。
　ただ一人、マナのために行動しようとする那由多の意気込みに、それは似ていた。
「な、あッチらどこか似てまへんか？　少しでもそう思うてくださったら、その『個人として同行』っちゅうの、もうやめまへんか？　」
　アンナの精一杯の懇願に、那由多は黙る。承知で、アンナは目一杯の明るい声で、
「せや！　あッチらもう『仲間』やおまへんかぁ。」
そう、独特の愛嬌と、おもねった口調で言った。
孤高な人生を生きてきた那由多にとって、『仲間』という響きは、あまりにも耳慣れないものだった。しかし、アンナの素直な気持ちに感化されたせいもあるだろう。だが、まだ素直に気持ちを受け止められない那由多は、
「ふん。まだ、貴方達のことを全面的に信用したわけじゃないわ。」
紅潮する頬を押さえつつ、
「でも…、今はひとまずそういうことにしておいてあげる。」
それでも、胸には何か熱いものがこみ上げてきていた。



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同時刻。皆識家。

畳敷きの殺風景な部屋の片隅。すでに照明は落とし、敷布団の上でマナは既に寝る態勢であった。しかしそれも三十分以上も前から。マナは中々寝付けずにいた。
体は疲れ切っているはずであった。けれど、いまだに認識が現実に追いついていない。
あの姉妹の急襲から、沙希とのティータイムまで。全くもって現実味がなかった。
しかし、論理的にどれだけ解釈を試みても説明がつかない、その反面で、彼女の心境は荒れ狂う海原のようであった。
警察に届け出ようとも、何度も考えた。しかしマナは思った。
（でも、なぜ、私が？　）
全てが調和のある『和音』で形成された彼女の日常において、凶悪事件の当事者であるような面倒など、起こっていいはずもない。他人に疎まれるような事はあっても、恨まれるようなことはなかったはずだ。あの時、仮に自分でなく対象が那由多だけだったとしても。こんなことで警察に事情を聞かれては、家族に心配をかけてしまう。彼女の現実にとって、絶対的な権力者であり、世界の創造者である両親に対し、心配をかけるということは到底、
（考えられない。　）
のである。しかし、その考えに、心の叫びは常に反抗する。
が、それでも考えて、そしてそのたびに『凝っていく』心の有り様が、マナにとっては全く人ごとのように思えてならなかった。自ら作り上げた無敵の世界と、実際に起きている世界の間で、マナは悶えていた。
（そうだ、源さんは大丈夫だったのかな…。沙希ちゃんは、なんだか迷惑かけちゃったな…。）
様々な事が頭にめぐっていく。夕暮れの街かどで、思わず沙希に抱きついてしまったことが脳裏によみがえった。あの時の沙希の嬉しそうな顔。それを思い返すと、一瞬不安が紛れる。それを自分で自覚するたびに、「こんなことはない」と自分を戒める。
一度した行為を思い返すなど、マナにとってかつてどれだけしたか分からないような事であった。それも、自らの不安を搔き消すためになど。
今、彼女のイレギュラーだらけの世界で起こっていること。それは、

『あらゆる感情の、一斉の萌芽。』

起こりうる全てが必然で、かつ論理的で、それ故に芝居のような白々しさを呈していた彼女の世界。その中で、流動的で無機質な感情という代物が、明白に『力』を持ち始めていることに、彼女は驚愕していた。それはもはや抗いがたい事実として、彼女の眼前に突きつけられていたからだ。
惑い、憂い、想えばそれだけ世界はまたその歪みを増していく。そんなものはもはや彼女の住む現実ではない。いや、これはもはやどの世界においても現実的ではない！
（嗚呼……　）
マナは胸を引き絞られる思いで息を吐き出す。
（壊れていく…。私の『  現実(EDEN)  』が…　）
掻き抱くように、布団を口元まで引き寄せた。
涙が頬をつたった。
もう誰に頼ればいいか分からない。
無敵で、完璧で、絶対的な彼女の現実はそれ故に孤独で、単純で、もろく儚いものだった。

その日、マナは再び夢を見た。それはあのチープなＳＦ映画に出てくるような怪獣に、マナが追いかけられるというものだった。

夢は心の断片。
それは、かつてない目に見えない不安や恐怖の『イメージ』が、マナの中で『それだけ』しかイメージできなかったことによる。



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同時刻。市内。

市を囲う山の山裾が海岸にほど近くなる一帯。その斜面に位置するホテル『ＹＵ－ＺＥＮ（悠然）』。８階７号室。市の西端に位置するこのホテルの一室からは、市内の夜景が一望できる。緑色を基調とした室内は、これといった派手さもないが、リラクゼーションを趣旨とした内装は、誰でも落ち着くことのできるものであった。居間と寝室の２フロアに分かれた部屋は、このホテルのスウィートルームに指定されていた。一等の観光地というわけでもないこの市のホテルにしても、その宿泊料金は一般庶民にとってあまり経済的でないものであった。
暖色の室内灯が照らす傍ら、一面に広がる夜景を前に、ワイングラスを片手に持った老紳士が佇んでいた。
その風体や、深い皺が畳まれた顔つきや、後退した頭髪から見るに７０近い老爺と見ておかしくはない。だが、すらりとした長身に加え、ピンと伸びた背筋。そしてビンテージな風合いの全身柄のスーツ。なにより、全身から発せられるその精悍なオーラが、彼を７０近い老人とは思わせないものとしていた。その表情は莞(かん)爾(じ)とし、怪しげな色気さえ漂っていた。その双眸は夜景を眺めているが、実際はどこを向いているのか判然としないものがあった。
「『おじいさま』」
老紳士の背後で、凛とした声がした。老紳士がやおら振り向くと、そこには神秘的な容姿をした二人の少女が立っていた。二人の少女は、二人ともタイトなダークグレーのスーツに身を包んでいる。老紳士は暫く二人の少女を瞠目したまま見つめると、やがて、
「美しい…　」
「――『おじいさま』、見惚れていらっしゃっては困りますわ。」
　呆然としたまま動かない老紳士に向かい、双子の妹ピアスが甘い響きのある声でいった。すると老紳士はおお、と我に帰り、二人を迎えた。
「なに、シンメトリーは古代より文明を問わず神性なものであるでな。お前たちを見てるとまるで四千年前に戻ったようだよ。」
と、初めに声を発した双子の姉、サンが微かに笑い、
「これは異なことを。よもや只の人間である私どもを『神性』だと仰せですか。歴史上のいわば『神』である貴方が。――ヴェルフェゴール・オーガ・『アバター』。」
ヴェルフェゴールと呼ばれた老紳士は微笑むと、ゆっくりとした調子で言った。
「本当に美しいのは、言葉や概念でなく、今そこにある『生』。純粋な魂。エネルギー
そのもの。それは荘厳な宗教や美術を持ってしても再現し得ぬもの。花は何故美しいかといえば」
「おじいさま。」
　ピアスが取り成すようにさえぎる。老紳士はおお、しまったというような顔つきで改まる。
「御苦労だったな。今日の報告をしてくれたまえ。」
　サンが朗々とした声で報告を始める。
「本日時刻、ヒト、ナナ、マル、マル。能力者と思しき少女に接触。これを取り逃す。以後追跡にあたるがその他勢力の介入もあり、これをロスト。現在に至ります。」
「ほう。その他、勢力とな？　」
「はい、既に冥栄高等学校周辺に発生した能力者の間では徒党だった動きが見られます。これは由々しき事態と思われます。
　　と、ヴェルフェゴール老は、その深い眉間の皺を一層濃くした。
「随分と早い、な。まだ彗星の接近と、『大成』まで２週間と経ってないはずだが。」
　サンもこれに応じ、
「ええ、驚きました。昨日今日で『力』の芽生えたサイキッカー紛いどもが、これほど早く結束するなど。――扇動者の存在があるかと思われますが。」
　ヴェルフェゴールはそれを即座に否定した。
「いや、彗星の接近ならまだしも、『奴ら』は『大成』の頃合いなど知る由もなかろうて。また奴らがサイキッカーどもを保護するとも考えにくい。重要なのは『よりしろ』だ。」
　少し間をおいて今度はピアスが報告した。
「その『よりしろ』、ですがやはり私どもの能力では捜索は困難です。」
　ヴェルフェゴールは全てを見通した慈父の如き表情で言う。
「それはそうだ。そもそも『よりしろ』には何の『力』もない。あるのはただ途方もないカラッポの『器』だけだ。それは我々のような存在しか共鳴せぬものなのよ。」
「なるほど。それで…。」
　サンがうなずく。彼女の『力』の媒介となる端末には、『よりしろ』の反応はいくら経っても表示されないからだ。
「うむ。だからお前たちには障害となり得るサイキッカーどもの除去を命じておる。しかし、徒党を組むとなると少々厄介だのう。」
「はい。今日我々を妨害した勢力も、『冥栄高等学校』の生徒でした。もしや『よりしろ』もかの生徒なのかもしれません。ともすると組織だって『よりしろ』を守ることも考慮にいれられます。そうなれば、私どもの身に余る可能性も十分に考えられます。」
　サンは申し訳なさそうにしながらも、状況と自己の能力を冷静に分析し進言した。ヴェルフェゴールはワイングラスをしゃらりと鳴らし、鷹揚な口調で言葉を紡いだ。その音韻はどこか祝詞を捧げる祈祷師のソレのような荘厳なものであった。
「大いなる『よりしろ』を求め、この地に降り立った『禍つ神』は多い。そしてお前たちのような『力』のはけ口を求める『ならず者』も今後集まってくるだろう。心配することはない。じきに『応援』をつけてやる。」
　ヴェルフェゴールの言葉を聞いて、ピアスは素直に嬉しがった。小躍りのような動きをへて、傍らの姉に抱きつく。
「よかったわね、姉さま。」
「恐れ入ります。」
サンは深々と頭を下げた。が、プライドの高いサンのほうはどうも素直には喜べてはいないようだ。

報告を終え、寸暇のしじまを破り、ピアスが率直な質問をした。
「ところで、おじいさま。前から気になっていたのだけれど、『ヨルニフィーヴ』って、一体なに？　人なの？　それとも『神』？　」
　ピアスに便乗する形で、サンのほうも硬い声で質問する。
「私の『力』も、かの『ヨルニフィーヴ』より授かったと聞いています。そしてこの『力』がなければ、『おじいさま』に拾われることもありませんでした。私も気になります。どうか教えて頂けませんか。」
　暫時の間。室内灯が薄暗く照らす室内の時刻は午前零時を回ろうとしたいた。
いまだ遠くの夜景に視線を投げるヴェルフェゴールは、やがて重い口調で二人の問いに応じた。
「『人』でもなく、また『神』でもない……。全てを超越した『力』。それが『ヨルニフィーヴ』だ……。　」
老爺の思わぬ答えに、サンは乗り出すように続けた。
「そ、それは一体！？　『おじいさま』。それは一体どういうことなのでしょう？　」
老紳士はゆっくりと振り向くと、先ほどとは一変、禍々しい威厳を湛えた表情で二人を見下ろした。その瞳は地獄の深淵より深く、また昏かった。あまりの畏怖に、サンとピアスの二人は、金縛りにあったかのように動けなかった。ヴェルフェゴールの背後より、突如異形の空間が展開した。二人を漆黒の風が包んだ。
やがて、地の底よりも低いヴェルフェゴールの滔々たる文言が始まった。
「『ヨルニフィーヴ』は今の人間が栄える以前、宇宙の遥か昔よりつづくものだ。お前たちも知っている通り、名や姿を変え、『ヨルニフィーヴ』は世界各地の災厄、または吉兆として多くの文献に登場してきた。その実体はこの惑星に定期的に近づくかの『彗星』にあるとされている。――まるで蚕が『繭』の糸を紡ぐように……『彗星』はこの惑星の生物の思念、想念等に含まれた『純粋』なエネルギーをゆっくりと紡ぎその身に、纏わせてきた。それも何億年、いや、この惑星が出来る以前の途方もない太古からな。
それはまさに莫大なエネルギーの集積。その存在は言わば宇宙創世当初の『カオス』そのものといっていい。わしのような『禍つ神』、またいかなる『善神』や『自然神』とは比べ物にならん『全てを超越した存在』だ。
前文明の言葉であるそれを今の言葉に直すなら、『ヨルニフィーヴ』とは、恐らく『宇宙の花粉』といったような意味になる。そしてその働きは、この宇宙、または銀河系における『生命の記録伝達』といえるだろう。そう、文字どおりあれを花に例えるのならば『雄期を迎えたおしべより放出された花粉』に似ているといえるだろうな。」
荘厳と異様をもったヴェルフェゴールの話もひと段落を迎え、圧倒されたサンが幽かに掠れた声で聞く。
「では、『よりしろ』とは……？　」
「あれが『おしべより出でた花粉』であるならば、『よりしろ』は『めしべ』になるだろう。宇宙、またはこの銀河という単位で営まれてきた大いなる『生命』の結晶が、何億光年と宇宙を漂よい、そして、かの彗星がかつてなくこの惑星に近づく今、ようやく『授粉』のときを迎えようとしているのだよ！　」
ヴェルフェゴールは半ば上気しつつ、ついに事の顛末を語り終えた。
あまりのスケールの大きさに、呆然とするピアスの横で、サンが絶望的な表情を浮かべながら、
「では、もしそのような莫大なエネルギーが『交配』の時を迎えたとしたら…。そのエネルギーはもはや計り知れないものになるでしょう。そうなってしまったのならば、一体この星は、いや、全てにおいて私達の居る世界はどうなってしまうのですか……！？　　」
　哀願のような問だった。
と、ヴェルフェゴールは最初の気さくな老紳士のような表情に立ち返り言った。
「そんなこと。人の作りし『神』であるわしの与り知るところではないよ。」
再び呆気にとられる二人を前に、自重気味に続ける。
「まさに、『神』のみぞ知るというやつさ。」
くつくつと笑い、ワインを一気に飲み干す。
有史以来、あらゆる畏敬の象徴であり続けた、超自然物であるこの老爺（の形を借りた神）ですら、宇宙の営みの前では匙を投げざるを得なかったのだ。
「『人』の見地によれば宇宙が生まれておよそ１３７億年…。宇宙の営みによる『世代交代』が今、このタイミングだとするならば、一体我々はどこへ向かっていくのだろうな……。　」
ワインを飲み干したグラスをベット脇の小卓に置き、ヴェルフェゴールは再びガラスの外に広がる夜景へ神妙な面持ちで目を向けた。
と、一端真剣な空気を作ったと思われた途端、振り返り、老紳士はその口角を吊り上げて言う。
「サンにピアス、今日はこのままここに泊ってゆくがよい。大いなる『生命』の躍動を祝い、今宵、生命への感謝として存分に『まぐわり』あうとしようぞ。」
話の大半を理解していなかったピアスがヴェルフェゴールのいきり立つ『またぐら』を見るや、
「あら、おじいさまったら♪　ウフフ。初めからそういってくださればよかったのに。」
ベットに向いながら、サンと共にそのダークグレーのスーツ、シャツ、そして下着を脱ぎすてていく。次第に部屋は蕩けたような糜爛した空気に包まれ、人間と神はここに歴史的な結合を果たす。
それははたして、神か、人間か。


「――大いなる生命への賛歌。ここに仕ろうぞ。　」    </description>
    <dc:date>2009-02-12T01:55:18+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/36.html">
    <title>第八節</title>
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    <description>
      那由他、アンナ、金の3人は追っ手がこないことを確認して、学校へと伸びる、あの悪名高い長い坂の下にある見通しの良い広場にひとまず入ることにした。
秋になって風は寒くなり、街路樹の銀杏並木はすっかり色が変わったものの、今日は何か生暖かい1日だった。
「あ、ケイっち、念のため見張りよろしくな。一般人がいた方がええから能力は使わんでもええで。」
「心得た。」
金は立ったまま広場を見渡し始めた。この辺りからもわかるように、この二人には何ともいえない絶妙な信頼関係が存在するらしい。
「もうっ。何なのよあいつらは！せっかくのチャンスだったっていうのに！」
と、広場の端にあったベンチに腰掛けたところで那由他は怒りをぶちまけた。
「まーまー。奴らはあっチらの中では割に有名な変態姉妹でな、ええっと…名前何やったっけ、ケイっち。」
「姉がサン、妹がピアスですよ。有名というなら忘れないでくださいよ…」
「おお、そうやった。変態の方がイメージ強いねん。スマンスマン。」
金はアンナを、いわゆるジト目で睨むが、それでもアンナは笑ってかわし、なおも悪びれずに続けた。
「で、奴らはどういうわけかあっチらみたいな『力』を使える人間を殺そうとしてんねん。」
「それで、さっきの襲撃につながったわけね…」
「そうや。んで、姉の方が能力者でな、どうやら『力』を使った人間の居場所を、ケータイの逆探知みたいにして探れるらしいんよ。」
「ふうん。でも、それだと、誰が『力』を使ったのかわからないわよね。」
「せやねん。だからさっき生徒会長はんも一緒に襲われてたやろ？」
「なるほどね。で、妹の方は？後、変態って？」
那由他はまくし立てたがアンナは
「まぁまぁ、そんな焦らんといてな。」
と悠然と構えている様子でいった。恐らく姉妹が追いかけてこないと踏んでいたのだろう。
「ええっと、妹やったな。そういえば妹の方は能力者やないらしいんよ。」
「え？ということは、攻撃してきたのは姉？」
「いんや、妹やろな。妹はどこぞの軍隊に所属してた経験もある、マーシャルアーツとナイフ投げの達人っちゅう噂ですわ。」
（それであの細身の体型って…恐ろしい女。）
那由他は思わず本音が漏れるくらいに疲労しているようだ。
「んで、ド変態なんですわ。あいつら。」
「そこはなんとなく触れてはいけない気がするけど、あなたのことだからきっと説明するんでしょうね…止めないわよ、止めないから話なさいよ。」
「どんだけツンデレやねん！って、思わず突っ込んでしまったやんか…なんだかんだ言ってなゆはんも興味しんしんやな。」
「きょ、興味なんか…」
笑ってそう言ったアンナに、那由他は顔を真っ赤にして反論しかけたが、真っ赤になった顔が仇となって結局は口をつぐまざるを得なかった。
　「まぁ、簡単に言えば百合趣味姉妹なんですわ、あいつら。」
　「…姉妹で？」
「そう、姉妹でな。」
「趣味悪…私には理解できないわ。」
「幸いなことに姉妹以外の人間には手を出さへんらしいから、こちらとしては勝手にしとき、って感じなんよな。」
「まぁ、変態、ということはよくわかったわ…」
那由他はげんなりして、若干脱力気味に続けた。
　「で、あの姉妹にはどう対処するつもり？」
　「うーん。狙われてる以上またどっかで襲われそうやし、ひとまず襲われたら逃げる、以外に対処法はないんちゃうかな…」
　「最終的には危険は排除しておきたいところだけど、まだ『力』も弱いしどうしようもないわね。」
　「せやな。」
　議論が落ち着いたところで、冷たい風が3人の間を吹きぬけた。
　「帰りましょうか。なんか疲れたわ…」
「はいな。ケイっち、なゆ先輩送ってあっチらも帰るで。」
「ん。」
そうして3人は帰路に着いた。

　-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

一方、真那は長い休憩の後、家に帰ろうかとも思ったが、依然として混乱していて、今ひとつ誰もいない家に帰る気にはなれなかった。そこで、真那は駅前の商店街に向かうことにした。今は回りに人がいる方が安心できると思ったからである。
商店街まではバスに乗れば5分くらいの距離だったが、運悪くバスは行ってしまった直後で、次のバスまでは20分くらいあった。真那はひとつため息をついて、とぼとぼと商店街までの道を歩き出した。
この町の商店街は地方でも有名な活気のある商店街で、古くからの八百屋や魚屋の品揃えや価格は、この地域の主婦に頗る好評である。そのような古くからの商店が立ち並ぶだけでなく、若者向けの店も最近で多く見られ、ファストフードやアメリカ風のおしゃれな喫茶店、ゲームセンターや服屋など、必要なものは全てこの商店街に凝縮されているような格好だった。この町はかつては漁師町として栄えていたが、今となっては総じて寂れており、大型の郊外型ショッピングセンターが出店してくる計画すら立っていないのだから、商店街が重宝されるのも当然といえば当然である。
真那が商店街にの入り口にたどり着いたときには、そこは主婦による主婦のための主婦の戦争状態は終了していて、道を行く人は家路を急ぐサラリーマンがほとんどだった。
真那はとりあえずファストフードに入ろうとして、商店街を駅側の入り口に向かって歩き出そうとした。そのとき、
「あれ？先輩？」
と、後ろから呼びかける、聞きなれた少女の声が聞こえた。
真那が振り返ったその先にいたのは、予想したとおり沙希だった。真那は涙が出そうになって、その感情の暴走と先ほどの出来事のためにあまりに頭の中が混乱していたため、思わず沙希を抱きしめてしまった。
「わ、はわわ！？先輩！？やっと私の気持ちを理解して…って、先輩？」
抱きしめられたことで沙希も混乱しかけたが、真那がどこか弱々しい感じだったので、すぐに異変を感じ取って、しかもどれにせよいつもの妄想が実現した瞬間だったわけで、とりあえずはされるがままにしていた。
そして10秒ほどが経過したところで、真那の頭が徐々に正常に戻り始めたところで、真那はようやく現状を認識し、沙希を解放した。
「ごめんごめん。ちょっと混乱しててね…」
「いえいえ。私としてはすっごく嬉しかったですよ。っていうか、大丈夫ですか？」
「うん。もう大丈夫。」
そういって真那は微笑んで見せた。そんな様子を見て、沙希は余計に心配になったのか、若干不安そうな表情になったが、すぐさまいつもの明るい表情に戻って、
「そうだ、先輩、甘いものでも食べに行きませんか？新しい喫茶店ができたんですよ。」
と提案した。
「うーん…時間は遅くなっちゃったけど行こうかな。沙希は帰らなくていいの？」
「今日、うちに帰ってもだれもいませんもん。両親とも旅行に行くとか言い出して。」
「そう。なら、行きましょう。どっち？」
「はい。こっちですよ。」
沙希は真那の先に立って歩き出した。
店は、新しいとだけあって明るく小奇麗な作りになっていて、店内の椅子やテーブルなどは、全て流行の北欧系のデザインで統一されていた。もはや夕方とはいえないような時間であったにもかかわらず、店内には依然として多くの客がいた。それぞれの机では人々が談笑したり、あるいは勉強に励んだりと、いつもどおりの喫茶店の雰囲気を醸し出していた。
真那は、ここにきてようやく世界は通常通りに進んでいるんだということを実感した。
「先輩先輩！何にします？」
真那は安堵の表情で呆けていて、呼びかけには気づかなかった。
「せんぱーい。戻ってきてくださいよー。」
沙希は呆れたような顔で言う。
「ああ、ごめんなさい。オーダーね。何がお勧め？」
「うーん。そうですねぇ。ミルクティーとロールケーキですかね。ここのお店、紅茶とお菓子がおいしいって評判なんですよ。」
「じゃあ、それで。」
「じゃあ注文してきますね。先に席とっといてもらっていいですか？」
「わかった。お金は？」
「後でいいですよぅ。じゃ、いってきまーす」
そう言って沙希は跳ねるような足取りでカウンターへと向かっていった。
客は多かったものの、かといって満席になるほどではなく、2階の禁煙スペースの一角に席は見つかった。真那は席に着くと、ひとつため息をついて、今しがた起こったあの不思議な出来事を思い返して整理しようかと思案にふけりかけたが、たった今精神的に落ち着いたばかりだったので、思い返すことはためらわれた。
そうして5分ほど呆けていると、沙希がトレーに2つのカップとロールケーキの乗った皿を載せて戻ってきた。カップも皿もトレーすらも、やはり洒落た北欧デザインで統一されており、この店のこだわりの深さが感じられた。
二人は先に清算を済ませると、ミルクティーのカップで乾杯した。
「って、何乾杯してんだろうね、私たち。」
「あはは。いいんですよう。独り身の寂しい女同士、今日は語り明かそうじゃありませんか！」
「いや、独り身って…」
真那が苦笑いの表情になったのを見て、沙希は大げさに反応して、
「むー。やっぱり先輩とミヤビーはいい感じの関係なんですね？」
と拗ねてみせた。
「だから、あれは誤解だってば。」
「じゃあ、他に好きな人が！？」
「いないって。私にはやるべきことが他にたくさんあるしね。そういう沙希はどうなのよ？」
「私は先輩一筋ですから！」
沙希はサムズアップしてそういい切った。
「はいはい。ありがと。で、ホントのところは？」
「えー。冷たいなぁ。んー。男子にはあまり興味がないですね。」
平然として言う。すると、真那は意外そうな表情で言った。
「あれ。すっごい意外なんだけど。確か少女漫画とか好きでしょ？」
「確かに好きですけど、それとこれとは別ですし。」
「なるほど。」
いったん区切りがついたところで、真那は皿に載っていたロールケーキをフォークで切って口に運んだ。
「おいしい！」
と素直な感想が出るくらいにそのロールケーキは美味しかった。しっとりした、黒糖を使った生地と、あまり甘くないあっさりとした生クリームの味わいが、えらく評判であることは先に沙希に説明されたとおりだったが、その実際の味は想像をはるかに超えるものだった。
「ですよね！私もここのロールケーキ大好きで、このお店ができてから週に一度は通ってるんですよ。それ以上は体重に加算され…ゴニョゴニョ。」
「確かに、このロールケーキはおいしいわ。」
「喜んでもらえて嬉しいですっ。では私も一口。」
そう言って、沙希は手でロールケーキをつかむと、大きく口をあけてかぶりついた。
「あーあー。もう、お行儀の悪い。」
「えへへ。ごめんなさーい。」
無邪気に笑う沙希の口の左側には、クリームがついていた。
「ちょっと動かないでね。口の周りにクリームついてるから。」
真那は腰を浮かせて沙希の口についているクリームを指でぬぐうと、何を思ったのか、そのまま指についていたクリームを舐めとった。
その瞬間、沙希の顔が、ボッ、という音を立てたかもしれないくらい、一瞬で真っ赤に染まった。
「ちょっちょちょちょ、先輩、何してるんですか！？」
「え？何かした？」
と、真那はまったく意に介する様子もなく、平然としていた。
「いやいやいやいや。クリームぬぐってそのままペロッて。」
「ああ、何も考えてなかった。」
「うわーん。もう先輩以外の人の下へお嫁にいけないー。」
そういいながら泣くふりをして見せて、そして一瞬で満面の笑みに戻ったかと思うと、
「というわけで、先輩がもらってくださいね。」
と、言葉尻に音符マークを三つくらいつけてそうのたまった。
「さて、そろそろ帰ろうかな。」
「うわーん。またスルーされたーっ。」
今度は本当に涙目だったそうな。

　-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

二人が店を出たときにはすっかり日も暮れて、もう人通りもまばらになり始めるような時間帯だった。
「家まで送るよ。同じ方向だし。」
「ありがとうございますっ。お願いついでにひとついいですか？」
「何？」
「手をつないで帰りませんか？」
真那はきょとんとしてしばらく固まってしまった。
「いや、何で？」
「特に理由はないですよ。なんとなくです、なんとなく。」
沙希はくすくす笑いながら言う。真那はしばらく思案顔だったが、沙希に出会ったことで救われた面もあったことだし、何かと心配してくれたことはわかっていたので、最終的に承諾した。
そうして手をつないでみると、沙希の手は温かく、どこか懐かしい感覚に浸ることができた。
やれ手が冷たいだの冷たくないだの、恥ずかしいだの恥ずかしくないだのときゃいきゃいしているうちに、すぐに沙希の家についてしまった。大きな庭付きの一軒家には芝生が敷き詰められ、ゴールデンレトリバーが一頭飼われている。話では沙希と同い年のご老体だとか。
「じゃあ、これで。」
「はい、今日はありがとうございました。」
「うん。こちらこそ心配かけてごめんね。」
「いえいえ。一人で溜め込まないで相談してくださいね。いつでも相談には乗りますから。」
「ありがとう。じゃあ、また明日。」
「はい。また明日。」
そうして、長く感じられた真那の一日は幕を閉じた。    </description>
    <dc:date>2009-02-06T20:30:53+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="http://www20.atwiki.jp/gennsoumanngekyou/pages/35.html">
    <title>第七節</title>
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    <description>
      郊外から少し離れた場所にビジネスホテルがポツリと立っている。
冬のシーズンには山が近いということもあり繁盛するが、今のような秋半ばではあまり客はいない。
そのホテルの一室には、二人の客が泊まりに着ていた。
一糸纏わぬ姿で、お互いは別々のことをしていた。
「サン姉さま…」
姉と呼ばれた方は携帯電話を弄くっている。手馴れた手つきで情報を検索、整理していく。
一方姉と呼んだ女は、姉の身体を一心に舐めていた。
首周りから、徐々に下に向けて、全身を舐めまわす。姉は一歩もたじろぐことなく、携帯を弄くる。
「ピアス、次の標的の居場所がわかった。」
サンはオープン型携帯をベットに放り投げる。そして妹のピアスのことがいないかのように衣装棚に向かう。
携帯は跳ね返り、地面へと落ちてしまう。サン・スロスト・ヴェーダと書かれたシールがホテルの天井を見上げた。
取り残されたピアスが携帯を拾うと、サンは棚から下着を投げる。
「どこ？」
上気した表情のまま、ピアスは服を着ていく。サンもまた、舐められたことなど気にすることもなく着替えていく。
「冥栄高等学校。又はその周辺だ。」
言葉遣いとは裏腹に、サンはとても端整な容姿であった。細いラインの肉付きの姉に対し、妹のピアスは引き締まった筋肉が
要所要所に見受けられる。しかし二人の女はまったく同じ顔をしていた。
「微弱な方はどうするの、姉さま。」
ピアスは赤いネックレスをしながら後ろの姉に問う。
「あちらはしばらく放置だ。いつでもできる。今は違う。」
サンは着替え終わり、机の上においてあった鍵を取る。
「そろそろ、ここも引き払おう。相手の移動範囲はここらじゃない。」
双子の女は着替え終わると、ピアス・クリット・ヴェーダ名義で貸し出されたホテルの一室を引き払った。

パタン、と真那は本を閉じた。周りを見回せばそこには今日も天文部の部員が顔を突き合わせていた。
雅と紗希が談笑していた。紗希はどんな人とでもよく馴染む。雅は上級生だというのに、よく会話が続く。
くしけんはこの前の天体観測のデータを何やら紙魚から取り出してきたプリントと比較していた。
たまに唸りながら、鉛筆を走らせる。
そして―、真那は窓の奥を透かす。秋の空は、雲が厚く覆っていた。
真那には一つ、心に詰まる考えが、消化しきれずにいた。
鉛筆の筆音のような、何か断続的な不安がよぎる…特に悩んでいることや、困ったことなどはないと思うのに。
いや、あるだろう。しかし交じり合い、原因がもやにかかったかのように霞んでしまう。
午後の授業後、天文部は活動日であった。引き続き、前回の観測できた彗星についての談義であったが、
まじめに取り組んでいるのはくしけんのみであった。
真那も取り組んではいたが、自分のできる部分は全て済ましてしまった。後の二人は、最低限のことのみをやると
まったく別のことをはじめた。
「先輩、ちょっと見てください。この前の彗星のやつなんですけど」
くしけんがプリントを机の中央に出す。一枚はくしけんのプリントで、もう一枚は紙魚より発掘された昔の資料だ。
「なんか変なんですよ。なんか、資料と違うっていうか。」
不意に、学校のチャイムが鳴り響く。それは部活動の終了を知らせる鐘の音であった。
「どう違うの？」
真那はチャイムが鳴り終わるのを待ってからくしけんに切り出した。
「うーん、はっきりとは言えないんすけど、なんか、こう。」
くしけんが出したプリントを眺める。古い資料の方は文字がかすれたりしていた。
「まあ、はっきりするまでちょっと調べてみます。今日はもう活動も終わりなんで、また今度にしますよ。」
くしけんのその言葉で、今日の部活はお開きとなった。

　-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

帰り道、途中まで一緒だった天文部の部員と別れ、真那は一人、暗くなってきた道を歩いていた。
周りには同じように部活動を終えた生徒たちがいた。自転車に乗るサッカー部、革の大きな鞄を抱えたのは吹奏楽だろう。ちらほらと留学生の姿も見える。
いつもと同じ道を通り帰宅する真那。途中で同級生と会い、会話をしながら歩いた。
同級生と別れ、いつもの道を通る予定だったが、歩いている真那の前に工事中の立て札が見えた。
下水道工事、まで読んだ真那は、ふと違う道を行くことにした。
いつもの通りとは違う、一本奥に入った道は通ったことはある。真那はその道に足を向けた。
少々遠回りになるが、狭い道が続いた後、幅の広い道に出る。
人通りは少ない。歩いていても、五人の人とすれ違っただけだった。
自転車に乗った主婦同士、散歩中の老婆、そして双子。
真那はそのまま、踏み切りへと続く道を歩く。手前にはマンション街が続く。
そのマンション街の一角、狭い公園の横で真那は足を止めた。
公園のベンチには、那由他が座っていた。空を見上げて、手には紙パックのコーヒーを持っていた。
真那は少し考えた後、公園の中に入った。
「源さん。」
真那は声をかけた。無視して通り過ぎることもできたが、あの出来事の事を聞きたかったからだ。
「皆識…」
那由他は驚き真那を見る。
真那は公園の中に入り、那由他の横に座った。
那由他はきっと睨んだ目で真那を見た。
「何よ。こんなとこに来るなんて。」
那由他はきつい口調で聞いた。
「着いてきたわけじゃないの。今日はたまたま、この道を通っただけ。」
真那はきわめて平静に答えた。真那は少し躊躇ったが、口を開く。
「あの日の事を聞きたくて、源さん、あの時何が起こったの？」
瞬間、那由他の血がぞくぞくと湧き立つ。
快感すら覚える、非日常的な意思が、思い通りにならない人物を駆り立てろとざわつく。
流れ星のような不規則な力で、死んだ土を科学では解明できない。電柱が、足もないのに退却とひしめく。
「あの日は、とても素敵な日だったわ。」
那由他は十時間ほど天井を見上げた後の表情で宇宙の地面を見つめた。
慣性に従った雲が、光の子供が、錆びたカビの着色を織り成していた。
「源さんあの日、列車に飛び込んだのよね…？」
「ええ。」
「どうして…」
「退屈だからよ。」
真那にはわからない。那由他の感情がわからない。しかし那由他には真那の考えが大体はわかる。
心の動きがわかるわけではない。目の動き、顔面の動き、仕草、手の動き一つとっても、那由他はつぶさに観察していた。
真那はどうしていいかわからない顔をした。那由他は蔑むように真那を見た。
「退屈なのよ。何もかも。&amp;ruby(予定された変化のない){アルゴリズム}ライフはごめんなの。あなたはどう？退屈じゃないの？」
那由他は世間話のように聞いた。しかし那由他の視線は空中を捉えながらも、真剣に聞いていた。
真那は一歩引いた。&amp;ruby(質問→答え){コール＆レスポンス}を真那はできなかった。
「私は…大丈夫よ。」
「本当に？」
「私は満足してるもの。」
「何に？」
「…この生活よ。」
「生徒会長になり、試験で一位になり、それで満足なのね。何もかも思い通りにいって、満足なのね。」
真那は今日天文部の部室でのことを思い出していた。断続的な不安…この生活に対する、漠然とした気持ち。
「私はあなたがいたせいで生徒会長を落選し、試験ではいつも二位。最初は追い抜く楽しみもできたけど、退屈。」
那由他は紙パックをゴミ箱へと放り投げる。吸い込まれるようにして紙パックはゴミ箱に入った。
ゴミ箱はカランと音を立てた。
「間違った選択さえしなければ、すべてが成功してしまうのだから。」
那由他は真那の方を振り返る。
皆識真那、私の完璧を突き崩し、あまつさえ私に持ってないものをもっている女。
いなくなればいいのに。そう、そうすれば、私のこの退屈な感情も少しは晴れるのかしら。
「だから私は、あなたが正しい選択をしても、間違ったことにしてあげる。」
那由他はほんの少しだけ口の端を吊り上げた。
真那が困惑した声を震わせた。
「何を言って…」
「例えば今日、この道を選んだこと。正しいと思ったこの道を選んだことを後悔させてあげる。」
那由他が真那にそっとそう呟いた。
突如として、真那の膝の上が暴れだす。
置いていた鞄がカタカタと動き出し、するりと真那の元を離れた。
ドサりと地面に落ちた鞄の中から一本のカッターナイフが空中に浮いていた。
それはいつも、天文部の中で使っている真那のカッターであった。真那は怯え、後ずさりする。
それが今、カチカチと音を立てて刃を剥き出しにしていた。やがて人差し指ほど伸びた。
「あんまりまだ上手くないの。」
ヒュッと音を立てて、カッターが真那目掛けて飛ぶ。明らかに真那の眼球を狙ったそれは、真那が逃げようと立った寸前であった。
真那はベンチの足に引っかかり、躓き倒れた。効を奏したそれで、カッターを間一髪逃れる。
カッターは音を立てて地面に落ちる。動かなくなったそれは、普段の日常と化していた。
「どう？面白い手品でしょ。」
今度こそ本当に笑いだした那由他。真那は倒れ、土にまみれていた。
「冗談、手品にそんなに驚かれては拍子抜けよ。いつものすました顔の方がよっぽど魅力的。」
真那は立ち上がり、手で土を払う。その間、那由他は真那を助けることはなかった。ただ真那を見ていた。
「なんなのよ…！いきなり…怖いじゃない！」
真那は鞄を拾い、真那は憤るように那由他に迫る。
「手品よ、手品。それなのに」
不意にカシュ、と間抜けた音が近くでする。
那由他は驚き、横を向く。自分の座っていたベンチの３０センチばかり隣に長く青黒いリボンの付いた艶のない細く長いナイフが刺さっていた。
真那もそれを確認して、目を見開く。
那由他が立ち上がり、真那は振り返った。公園の入り口には人が二人、立っている。
「ここだ。先ほど少しだけ感知した。」
「姉さま、少しずれましたわ。」
男口調の女声と、甘い女の声が真那と那由他には聞こえた。
那由他がナイフを眺め、女たちを睨みつける。真那は事態の理解ができないような表情をして、拾ったばかりの自分の鞄を抱きしめた。
「何よあんたたち。それに何、この大きいナイフ。ふざけてんの？」
那由他が真那をどかすようにして、女に近づく。
「姉さま、どちらが本命なの？二人いますわ。」
「わからない。」
ちょっと躊躇うような顔をした青黒髪の女がフフ、っと笑って姉に抱きついた。
「姉さま、二人ともなら確実よ。」
「一般人は巻き込みたくない。」
「姉さま、じゃあどうしたいいの？」
「追い詰めて、確かめる。」
姉が無表情に言った。青黒髪の女がこちらを向く。
真那は公園の出口を探した。ちょうどベンチの左側にあるのを確認し、真那はそちらに走った。自分でもこの行動が正しいと思った。
真那は走った。息切れ、長い髪が口に入ろうとも、必死に走った。
一刻も早くこの場を立ち去りたかった。真那の見慣れた場所じゃない、異常な公園を。だんだんと恐怖が心からこみ上げ、心が皿を割った音を立てて軋んだ。
途中振り返る人もいた。ぶつかる人もいた。真那と逆方向に走る人もいた。しかし真那はそんなことを気にもとめず、走った。
真那がもう幾つ目かの曲がり角を曲がると、ようやく真那はとまった。普段からあまり運動をしない真那の身体に限界が来たのだ。
真那は今どこかはわからない。ただ周りにはもう人気はなく、森が近い。だいぶ山側の方に来てしまったようだった。
真那は近くにバス停のベンチを見つけ、そこに座った。汗ばんだ身体には、冬服が暑かった。
しばらく何も考えられず、ただ息を整えるのに時間を要した。何か飲み物を要求していたので、バス停横の自販機で清涼飲料水を買った。
冷たい缶が真那には心地よかった。水分を補給し、しばらくただ座った。長い時間が必要だった。体力が回復してきたところで、真那は先ほど走ってきた道を振り返る。
「もう…わけがわからないわ…」

　-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

那由他はベンチに刺さっていたナイフを抜き取る。黒髪の女が那由他に向かって走っていった。
「なんなのよ、このっ！」
那由他が黒髪の女に投げつける。回転しながら飛んでいくナイフは、まったく狙いとは違う方向に飛んでいく。
しかし、突如として回転が停止する。空中で一度方向を変えたナイフが黒髪の女に向かって直線に走る。
女が身を翻し、転がってナイフをよける。地面に斜めに突き刺さったナイフ。柄まで突き刺さっていた。
「どうやら、追い詰めるまでもなかったな。」
ただ立ち尽くしていた藍黒髪の女が那由他に向かって指を刺す。
青黒髪の女が頷き、ゆらりと立つ。ちらりと埋まっているナイフを眺め、那由他を見た。
「事情、知ってても知らなくてもいいけど、ごめんね。」
女は服の中を探り、今度は短いリボンのついたナイフを二本取り出した。
那由他は周りを見渡す。既に真那の姿はなかった。先ほど、すぐに逃げ出したのだろう。
「あなた達、チカラのある人間ってやつなの？」
那由他の表情は笑っていた。退屈じゃない、疼くような気持ちが那由他にはあふれていた。
「私は違うわよ。普通の人間。」
ナイフをくるくる回しながら青黒髪の女が答える。リボンが付き、重心が違うというのに、とても器用にまわしていた。
ヒュっと唐突にナイフを投げる。那由他目掛けて一直線に飛んでいくナイフは、半ばほどで急にパタリと地面に落ちた。
「ただ、姉さまはね、違うのよ。選ばれた人間。私の姉さまは、ああ、姉さま姉さま姉さま！」
青黒髪の女が那由他のことなど気にも留めず、姉を抱きしめにいく。
「じゃああなた達が、『源』を持つ人間を殺すハンターってやつ？ヨルニフィーヴ、だっけ。」
那由他は気持ちが高ぶり、口を滑らせた。ヨルニフィーヴという単語の情報を相手に渡すなど、冷静な那由他にはありえないことだった。
そしてその単語を聞いた姉が始めて反応を見せる。胸元で操作していた携帯をすっと下ろす。
しばらく那由他を見つめていた藍黒髪の姉が口を開く。
「ああ。」
妹の肩に手を乗せ、そっと妹を抱きしめた姉は那由他を見つめながら呟く。
「疑わしいものは、殺す。」
姉が妹を離すと、まるで猟犬のように那由他を見た。隙のない立ち姿だった。
那由他は必死に使えそうなものを探していた。
その猶予もなく、青髪色の女は右に持っていたナイフ空中に投げ、左手で受け取り走り出した。
「なゆはん！」
公園に関西まじりの声が響く。
出口から来たのは赤髪の女とボサボサの髪の男だった。
青黒髪の女が立ち止まる。今来た二人の学生を見る。
そして何かを感じたかのように姉の方角を見た。
足音が多く聞こえる。公園の入り口から大量の人が集まってきていた。
それぞれ好き勝手にそこら中を歩き回る。世間話をしながら、さながら祭りのような人だかりであった。
すぐに公園は人だらけになってしまった。
藍色髪の女がいち早くその様子に気づき、携帯を取り出し弄くりはじめる。
「なゆはん、一旦逃げるで！」
気が付くと那由他の隣にはアンナがいた。
「あんたは」
「ええからはよう！」
アンナが那由他の手を引っ張り、公園の出口に走る。アンナ、那由他、最後に金が続いた。
その様子を遠くから姉が見ていた。間にいる人だかりなどいないように、携帯を構えていた。
青髪女の妹が那由他達を追いかけるが、人が邪魔で思うように進まない。
妹が追跡をあきらめ、姉の元に戻る。戻るのにも人だかりが邪魔だった。何度も殺してやろうとナイフを構えたが、そのたびに姉の言葉を思い出していた。
「姉さま、逃してしまいましたわ。」
「写真はとった。どうとでもなる。」
人だかりの中、姉は最初から一歩も動かずに携帯を操作していた。
携帯にははじめに出会った時の那由他と真那の写真と、逃げていく那由他、アンナ、金の三人の写真が写し出されていた。
そして二人は、人ごみにまぎれるようにして、姿が見えなくなった。

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    <dc:date>2008-12-31T21:52:49+09:00</dc:date>
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    <title>第六節</title>
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昼休み、学校の中庭には３人の人影があった。

昼休みといえば学生生活の中で最も長い休み時間の一つだ。

故にその時間の使い道はその他の休み時間に比べ多様性に富んでいると言っていい。

校庭で走り回る生徒、図書館で読書をする生徒、昼休みも部活に打ち込む生徒などなど様々だ。

もちろん中庭で談笑する生徒も珍しくはない。

彼女たちの空気を知った上で、談笑と言えるかは甚だ疑問だが。

「さて、と。まず何から話したモンやろなぁ・・・」

そう言いながら草むらに腰を下ろす少女－アンナは言葉とは裏腹に何から伝えるべきか迷って困っているという雰囲気はなく、むしろそれすら楽しんでいるように見える。

ただの楽天家か、何も考えていないのか、それとも器に大きさか、彼女に会ったばかりの那由他にそれを読み取る術はない。

ふと金を見てみたがこちらはこちらで先ほどからほとんど表情が変わらず別の意味でよくわからない。

ただ、それよりもさらに強く、那由他に疑問・・・興味と言った方がいいだろうかを持たせることがあった。

「じゃあ私から聞かせてもらってもいいかしら？」

「ほむ？ええよ。あっチにわかることならじゃんじゃん聞イちゃって～」

アンナはにっこりと笑いながら手をひらひらと振り快諾する。

普通の人が見れば中庭で３人の生徒が談話している光景に見えたことだろう。

一人はクールで真面目な少女で、もう一人は無口で硬いイメージの少年、そしてその二人の分までとでも言うかのような陽気さを持つ少女。

青春の微笑ましい光景がそこにはあった。

だが

「さっきからずっと気になっていたのだけど」

 

「なんで中庭に私たち３人しかいないのかしら？」

それは何でもない自然な光景のはずだった。

昼休み、中庭で３人の男女が談笑している。

ように見えていた。

「いつもならもっと生徒がいるはずよ。主に女子のグループがいくつか、という場合がほとんどだけどね」

風の音と那由他の声だけが中庭に響く。

そして次の瞬間には静寂が訪れる。

それは「昼休みの中庭」にはあり得ない光景、普通のように見えてふたを開けてようやくわかる異常。

「先輩には、もうわかってるンと違いますか？」

その世界を楽しむように、今のこの状況を楽しむように、そして那由他の疑問に満足するように、アンナは笑顔のまま那由他へと質問を返す。

「あなたか、彼か、はたまた他の誰かか。何かしたのね。正確には「力」を使った、と言った方がいいかしら。」

「ゴメイトウ、今回のコレはケイっちの「力」ですわ。」

「ケイっち？」

「ああ、こいつのコトです。「きん　りけい」なんてなかなかパっとせんというか呼びずらくてこう呼んどりマス。」

そんなパッとしない名前と言われた少年は対して気にしたふうもなく、那由他に自分の力の説明を始めた。

「ボクの力はヒトの精神に感応する力です。今回は周りに「なぜか中庭に来ようとは思わなくなる、中庭での異常を感知しなくなる、中庭を見ようとも思わなくなる」という「オネガイ」を心に刷り込むようにしています。」

「でもそれならなんで私たちがここへ来れるのかしら？」

那由他はその説明を聞いた率直な疑問を感想としてぶつける。

今の説明が本当なら自分たちがここにいるのは矛盾している。

その疑問に対してこんどはアンナが口を開く。

「ケイっちの「オネガイ」はたいして強い拘束力を持たンのヤ。オネガイの存在に気づけば破れるし、強度を手加減すれば今回みたいに普通の人間だけに効果を及ぼすナンて使い方もできるいうわけヤな。」

アンナは心底楽しそうに、そして満足するように那由他を見ながら説明していた。

さすがにそこまで言われて気付かない那由他ではなかった。

「普通の人間だけ・・・ね」

「そうや」

アンナは満面の笑みを浮かべる。

 

「先輩は、もう普通の人間ヤない」

 

「ふぅん・・・、なるほどねぇ・・・」

那由他は別段気にした様子もなかった。

むしろそんなことは前からわかっていたことだ。

「それ・・・で、私は合格だと判断された、ということでいいのかしら？」

だが那由他以外の二人にとってこれはこの場における最初の目的。

「そういうコトですわ。先輩がもし所謂普通の人間ならケイっちのオネガイで中庭には来れない、というか中庭の存在すら忘れるところヤったケドモ・・・、先輩は来た。」

合格、とはそういうこと。

普通の人間であるか、そうでないか、それがこの場に存在する条件だった。

「さて、それじゃあこっちの前提条件は満たしたところだし、改めてあなたたちが知ってることを教えてもらいましょうか」

そして那由他は次の質問に移る。

それが自分がこの場に来た目的、自分の側の本題。

自分はどうしてこうなったのか、自分はこれからどうなるのか、おそらくここが第二チェックポイントのはず。

同時に、ここを過ぎたらもう戻れない。

この境界を越えた時点で那由他という人物は否が応でも巻き込まれるだろう。

だが、もとよりそんなことは問題ではなかった。

「まず、私がなぜこんなことになったのか、それから教えてもらえるかしら。」

別に理由なんてない。

そもそも理由とは後付けするものであり人間すべての事柄にいちいち損得など考えて行動しているわけではない。

ただ、このときの那由他の行動に理由を後付けするとするならば・・・。

（・・・その方が面白そうだから・・・と言ったところかしら？とっても陳腐でシンプルだけどね。）

「結果があれば必ず原因があったはずよ。」

アンナにとってこの質問は予想通りのものだった。

自分の身に不思議な出来事が起こり、その原因を知っているかもしれない人物が現れたのだ、この質問は当たり前と言っていいだろう。

「せヤなあ・・・何から言うのがエエかなァ・・・」

そう言いながらアンナは何から教えるべきか頭の中で吟味する。

知ってしまったらもう那由他は後戻りできない。

それはアンナもよく分かっている。

それを那由他が理解していることも。

先ほどのやりとりから考えても那由他はアンナがそれまで思っていた以上に頭の回転が速そうに思えた。

だがすべてを教えてしまうわけにはいかない。

そしてすべてを教えられたと思わせるわけにもいかない。

その時点で那由他にとって自分たちは必要でなくなるかもしれない、最悪敵対することになる可能性もあるためだ。

それでは何から教えるべきか、たとえ断片的でもあまり教えすぎると先ほどのことから考えてもそこから情報をかき集め、足りない情報を補完するくらいのことはできそうというかやるだろう。

大事なのはアンナ自身がまだ何か情報を持ってると思わせながらも那由他が満足する情報をできる限り与えること。

そしてアンナの結論は・・・

 

「先輩、ヨルニフィーヴって知っとりまスン？」

 

とりあえず、那由他の質問、自分たちがこのようになった原因を教えることにした。

「ヨルニフィーヴ？」

那由他はそんな言葉聞いたこともない、北欧のお伽話にでも出てきそうな名前だと思った。

だがそんな理性とは裏腹に那由他の内側の奥深くの部分、人間の直感、第六感、本能とでも呼べばいいのか、そこで確かに何かがざわめくの感じた。

「どのようなものなのかしら？何かの道具？それとも生物？」

いきなり核心部分に来た――と思い、那由他は身を乗り出すように聞こうとする。

しかし、

「いや～・・・それがアッチにもヨーわかりませんのヤ」

「・・・ちょっと」

那由他は完全に出鼻をくじかれアンナを半眼で睨む。

「た、確かに生物か道具か何かはわからんのや。ちょ、まって、そんな顔で睨まんといてーナ」

さすがにアンナもその言い方まずかったと思ったのか、半ばあわてて補足を始めた。

「・・・続きを聞こうかしら」

「・・・ｵｯｶﾅｲﾜー・・・」

アンナのつぶやきは那由他には聞こえなかったのか、はたまた無視しているだけか、特に反応もなくアンナは話の続きに移る。

「ヨルニフィーヴというのが何かはワカラン、これはショージキにわかってないんヤ。いままでどんな文献読んでもそれらしい確実な記述はなかっタしなァ・・・。」

これは情報を隠してでもなく本当にわからなかった。

「ちょっとまって、確実な記述っていうことはいくつかはあったわけね？」

「ウン、あったハあった。でもその書物によって変ワっとる。呪いの道具だった物モあった、ゾー○みたいに世界を闇に包んで支配した魔王みたいな記述もあった。挙句の果てニはキリストに奇跡の力を与えた神がジツはヨルニフィーヴだったんじゃないか？もしくはキリスト自身がヨルニフィーヴであったのではないか？というものマデある。最後の書物は焼き払われてほぼ抹消されたけどナ」

ヨルニフィーヴが生物か物質か、はたまた神か魔王か、それはまったくの謎のままだ。

アンナ自身も李圭も世界を飛び回って様々な書物を漁ったがそれでもわからない。

むしろ全く統一性がなく、どれを信じたらいいのかわからないと言った方が正しいのかもしれない。

「それで、結論はヨルニフィーヴが私たちに力を与えた・・・と」

アンナの説明に那由他が割って入る。

「流石というか理解が早くて助かりますワ。ヨルニフィーヴがアッチらにチカラを与えた、これはほぼ間違いないとアッチらは考えてル。先輩もそう思うヤロ？」

「・・・ええ、そうね」

その論理性のかけらもない問いかけに、しかし那由他は否定することができない。

頭でなく、直感で分かってしまったからだ。

ヨルニフィーヴという言葉を聞いた時からざわめき続ける心が確信を持って答えをYesにしていた。

「ソンでもって今わかってるのは、まずそのヨルニフィーヴが近づいて来ているということ。」

「・・・どういうこと？」

今までとはかなり違うというか前提がおかしい。

近づいてくる、それは、まだここには存在していないということ。

来ている、それは移動しているということ。

そしてアンナたちは近づいて来ていることをわかっている、それはヨルニフィーヴの存在場所を知っているということ――――。

「ヨルニフィーヴは・・・今どこに・・・？」

那由他は自身の鼓動がしだいに早く、強くなっていくのを感じた。

興奮しているのがわかる、あれほど普段冷めている自分が、皆識真那と競っているときとはまた違った熱さが自身のなかに渦巻いている。

アンナは右手を上にあげ、どこまでも青く広い空の一点を指差した。

 

 

「この空、この宇宙、その中の小さなひとかけらながらも今もここに向かって疾走し続ける彗星。どこぞの書物には凶星ともかかれたあの星に、ヨルニフィーヴはある。」

 

那由他は無意識に空を見上げた。

近づいて来ている、それはわかった、彗星が来ているそれは前から知っていた、だが、ヨルニフィーヴの在り処がまさかあの彗星だったとは。

「あの彗星、情報統制とかで表沙汰にはナッテはいないケドも、軌道もスピードも、果てはその存在も理論上ありえないというかおかしな事態になってルラシいんや。」

那由他はあまりの展開に言葉を探し切れない様子でいる。

アンナも確かにいきなりこんなことを言われてついてこい、というのも無理があるとは分かっている。

だが那由他が理解しきれない内容でもないことも分かっている。

だからこそ続けることにした。

那由他がまだ理解しようとしているうちに、伝えるべきことも伝える必要と、自分たちの目的もあったから。

「さて、そんなおかしな彗星に乗ってお越しくだサるヨルニフィーヴですガ、もしくは彗星そのものがヨルニフィーヴの可能性もあるけど・・・、そんな物の存在を許すわけにはいかない人たちもいまシテ。」

こんどこそ那由他はわけがわからないという顔をした。

（存在を許すわけにはいかない・・・？）

「ヨルニフィーヴが来るとなにかとてつもない災いが起こる、とある予言の書の断片を要約するとそういうことらしいンだわ。予言の書はもう写本すらまともに残ってない超レアな本でアッチらも苦労してようやっとその部分の断片を手に入れたクライやし。本当かどうかはシラン。ただそれを狂信的に信じとる連中は・・・彗星がコッチ来るっていう事態をなんとかしたいわけヤ。そしてその予言の書から読み取れる災厄の回避法は・・・。」

そこでアンナはいったん言葉を切る。

ただの休憩というわけではない、ここからが今回の重要事項。

「ヨルニフィーヴが引きつけられる存在を、殺せばいい。」

それはとても簡単な、簡潔な答え。

「ヨルニフィーヴが引きつけられるのは、引きつけられるほどたくさんのチカラの源を保有する人間。」

しかしそれはだれかを殺さなければいけない。

「そういった人間は必ずヨルニフィーヴの影響を受ける」

そしてその殺されるべきだれかは

「そういった人間、その中でもただ一人、ヨルニフィーヴを引き寄せるほどのチカラの源を持った人間」

この中庭にいる３人の同類、ヨルニフィーヴの影響を受けている人間の中の一人。

「先輩も気をつけてーナ、ただ一人を探し出すなんてことはできへん。確かめる方法もないしネ。予言の書が正しいかはアッチにもわからへん。デモ信じとる連中は確かにおる。そいつらはもう手段を選ばんつもりヤ。疑わしきは殺す。この方針で殺された人ももうおるんヤ。」

これがこの中庭での話の最重要事項。

自分たちは殺される存在。

だからこそ、「気をつけろ」と

「それで、私にどうしろと？」

もう昼休みも終わりに近づいていた。

生徒たちはもう各々の教室にいるだろう。

結局この昼休み、中庭は静かな異常が支配していた。

「先輩にはアッチらに協力してほしいんヤ。結構アブナイ橋渡るけどな」

「危ない橋とかを気にしているわけではないわ。でも教えて、あなたたちの目的はなに？」

那由他は立ち上がりアンナと李圭をまっすぐ見つめる。

二人はその視線を受け取り、答えを、彼らの決意を言った。

「誰も死なない、誰も悲しまない結末を」

それが彼らの求め、そして誓いであった。

災厄を引き起こすかどうかはわからないがヨルニフィーヴは間違いなくやってくる。

そしてそれを阻止しようと自分たちの同類を殺す人がいる。

でもそれを止める手段はあるかもしれない。

「わかったわよ、少しくらいなら協力してあげるわ」

別に那由他にとってはどうでもいいことだった。

一度死のうとした身だ、殺されようと思うところはない。

「おぉ～マジか、それじゃあこれからヨロしゅうナ、なゆ先輩」

でも

「ちょっ・・・何よその呼び方は！？」

那由他はなぜだか断る気にはならなかった。

理由はよくわからない。

しかし別に理由なんて後付けすればいい。

「ええ～？イイじゃないノ、これから仲間なンだからさ」

「なゆ先輩」

「なっ・・・あなたまでそんな、しかも仏頂面で言うわけ！？これは・・・そう暇つぶしよ、いままでずっと退屈だったから仕方なくよ、わかったかしら？」

（そう、暇つぶし、これはただの暇つぶしよ。後付けの理由なんてそれで十分だ。）

 

那由他の世界が動き出す。

 

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