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魔塵戦記ガニメデ 血の盟約

『魔塵戦記ガニメデ 血の盟約』 (まじんせんきガニメデ ちのめいやく)は、魔塵戦記ガニメデシリーズの(みてい)作目にあたる黒歴史作品。原案はKOMY。



1 概要


『魔塵戦記ガニメデ 血の盟約』はガニメデ北大陸「マグレヴ」を舞台に、弱小マフィアの構成員である青年が刻印を巡る戦いを通じて北大陸の王となるまでを描いた物語である。

2 ストーリー


「ヤバイ!クルフェーグ家のヒットマンが報復に来たんだ!殺される……俺たちも!」「それは少し違いますねぇ…マフィア風情と一緒にしてもらっては困る」背後から男の声がして、俺たちがそれを認識した瞬間。振り向こうとしたまさにその瞬間、ごつんと鈍い音がして、マルクスの頭が床に転がった。噴き出した血が俺の髪を、顔を、シャツを朱に汚す。「こんにちは。ポケットの中の物を渡して頂けませんか?」生きて振り返る事を許された俺に向かってヘラヘラと愛想笑いを浮かべながら、男はそう言った。誰だこいつは?マルクスが死んだ?こいつが皆を殺したのか?クルフェーグ家に手を出すべきではなかった?ポケットの中?石ころの事か?そもそもこれは現実か?わからない。わからない。

 ガニメデ北大陸『マグレヴ』。ここには国も、政府も存在しない。力のみが全てを統治し、力のみが全てを支配する。
力ある者の掲げる正義、力ある者の作る秩序。自らにその力があると信じる者たちは集団を形成し、彼らは絆で結ばれた「マフィア」となる。
 青年、アイル・ロアもマフィアである。16歳の時に妹を強姦した父を刺し殺し、故郷を離れた。その後間もなく妹が自殺した事実を知り、家族も友人もなく、本当に一人ぼっちになってしまった彼は、行くあてもなく犯罪者としてこの大陸へと渡ってきたのである。彼は自分に力があると信じているわけではないが、自分を拾ってくれた仲間に恩を返すために働いている。アイルが所属する『ロールド一家』は決して大きな組織ではなく、むしろ弱小の部類に数えられるマフィアだが、彼らにはこの『マグレヴ』を統一し、本物の法と秩序と正義に守られた大国として成立させるという夢があった。その大きな夢のためにも、今日の仕事は必ず成功させなければならない。

 『クルフェーグ一家』はこの地域でも強い影響力を持つマフィアである。アイルが所属するロールド一家も弱小ゆえにクルフェーグの傘下にあり、組織の利益はほとんど吸い上げられてしまう。アイルの仕事はヴィヴィオ・クルフェーグ、すなわちクルフェーグ一家のボスを暗殺する事。クーデター、というやつだ。敵の大部分は正面から突入する仲間たちが引きつけてくれる。簡単な仕事ではないが、仲間への恩返しを誓ってから5年、血を吐くような訓練を重ねてきたアイルの戦いの腕は一流であった。ザコの5人や10人、いや、20人だって相手にして見せる、という覚悟と自負がある。

 結論から言うと、作戦は成功した。
「大マフィアのボスも、所詮はただの人か……」
 何しろこんな大物を相手にするのは初めてだったので、どんな化け物が待ち構えているのかとあれこれ想像していたが、何のことはない。アイルから見ればヴィヴィオはただの太った中年男だった。少し頭がイカれているらしく、小汚い石ころを大事そうに抱えて右往左往し、最後には床に這いつくばって命乞いしながら惨めに死んだ。しかし、もしかしたらこの石ころは価値のある物なのかもしれない、売れば今後の活動資金になるだろう。そう考えたアイルは死体の指をはがして石ころをポケットにしまい込むと、無線で仲間と連絡を取って裏口から撤収した。

 アイルは脱出用の車を操縦するマルクスと合流し、互いの無事を祝い合うのもそこそこに、仲間の待つアジトへと向かう。フリオとディーンが撃たれたが、命に別状はないらしいと聞いて安心した。
組織の参謀役を務めるマルクスには学がある。アイルはマルクスにヴィヴィオから奪った石ころについて聞いてみたが、彼も心当たりが無いらしい。やはりただの石ころか。……いや、今はそんなことはどうでもいい。俺たちは夢に向かって大きな一歩を踏み出した。この達成感と喜びを一刻も早く仲間と分かち合いたかった。戻ったら豪勢な料理と、シャンパンのスコールが自分たちを待っている。

 3時間ほど車を飛ばして意気揚々とアジトに凱旋したアイルを迎えたのは、シャンパンと仲間の笑顔ではなく、鼻をつく酷い悪臭と。
 ――散乱した、肉の塊だった。







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