「さっき、校長先生から話しがあった通り、実は昨日、アキラが自宅で命を絶った。
理由は…まだ分からない。心当たりのある生徒は、今、ここでじゃなくていい。
僕のメールに連絡してほしい。誰からの情報だとかは、誓って絶対に口外しない。
もちろん、他の先生にもだ。人は、何の理由もなく死んだりしない。僕はみんなを
信じているから」
 「ちょっと待ってよ先生。それじゃ、まるで、このクラスにイジメがあったとか
言ってるみたいじゃん。俺ら責められてるみたいだよ。なあ、みんなもそう思わねー?」
 いつもはヒョウキンなクラスのムードメーカーの一人、ダイチが口を尖らせて抗議した。
 「いや、別にそんなつもりじゃないよ。イジメとかでなくても、アキラが悩んでいたとか
こんな話を聞いたことがあるとか、どんな小さな情報でもいいんだ。思い出したことが
あれば教えてほしい。それだけなんだ」
 「嘘だよ。いつもは俺らの味方みたいなことばっか言うけど、所詮、あんたも他の教師と
同じ。結局は俺らのことを疑ってるんだよ。俺らがアキラをイジメた、そう言いたいんだろう?」
 ダイチの責めるような区長に、多くのクラスメートが賛同している。被害妄想かも知れない。
でも、確かにそう感じる。アキラの幼馴染、トオルも僕を睨んでいる。アキラの彼女、サエコも
睨んでいる。委員長のオリエも、イジメを乗り越えてきたヨウコも…。心が必要以上に疲弊して
いるみたいだ。これ以上、彼らと向き合っていたら本当に僕は壊れてしまう。
 「とにかく、どんな情報でもいい。小さなことでもいい。なんか気がついたら、僕に教えて
欲しい。今日はこの後の授業はありません。これで終わりです。最後に、一つだけ気を付けて
ほしいのは、もう声をかけられた人もいると思いますが、校門の外にはマスコミがたくさん
います。インタビューとかには答えずに下校して下さい。みんなが悲しいように、僕だって
悲しい。僕は死んだアキラの姿を見てるんだ。僕だって悲しいんだ…」
涙が溢れて止まらない。僕は教室を飛び出し、背中に冷たい視線を感じながら廊下を走り、
職員トイレに駆け込み、そして泣いた。

                 ※

 どの位、泣いていただろうか。時計を見ると九時を回っていた。
もう教育委員会からの聞き取りが始まっている時間だ。行きたくない。でも、担任であり、
目撃者でもある僕が行かないことには始まらないだろう。
流しで顔を荒い、重い足を引きずって職員室に戻った。
すると、教頭の佐々木がすぐに僕のもとに駆け寄ってきた。
 「どこにいってたんですか。もう、教育長を含めて、委員会から来ています。
先生も入って下さい。ただ、一つだけ。現時点で、大麻のことには触れないで下さい。
話を混乱させるだけです。言ったからって、教育委員会は何もしてくれないって先生も
知ってるでしょ?記者会見も控えているんですから、その辺はよろしくお願いしますよ。
 僕にはもう、反論する力なんて残っていなかった。黙って頷き、促されるまま校長室に入った。
 教育委員会からは教育長の麻生、総務部長の柳沼、学校教育課長の小林、生徒指導課の指導主事の
水谷が来ていた。
 「二宮先生、一通りは校長先生の方からお聞きしましたが、改めて昨日の当該生徒の発見までの
経緯を説明して下さい」
 柳沼総務部長は穏やかに、いや、事務的に僕に問うた。僕はありのままを、ただ、機械的に説明
した。しかし、まるで被疑者にでもなったような心境だ。もしかしたら、僕のクラスの生徒たちも
僕の問いかけを受けて、そう感じたのかも知れない…。
自己嫌悪の念が湧きあがってきた。彼らのためにも、僕が潰れるわけにはいかない。
「生徒たちを守らなければ」「生徒たちを守らなければ」…心の中で何度もそう繰り返しながら、
目の前で耳を傾ける、幹部という名の事務職に報告した。
 「昨日までの状況はおおよそ分かりました。問題はマスコミが注目しているということです。
特に、心配されるのがイジメがあったかどうかです。その辺の事実関係はどうなのでしょうか?
ご時世がご時世ですから…」
 教育長の麻生が心配そうな顔を浮かべている。麻生の教育長の任期はあと一年。本人はもう一期、
あと四年間、教育長を務めたいのだろう。そのためにはスキャンダルはご法度。さぞ心を痛めていること
だろう。
 今回の一連の問題の渦中でずっと抱いている違和感がある。それは、子供のため、生徒のためと
教育関係者は錦の御旗のようにいつも口にしているけれど、でも、本当はそれは嘘。
まずは自分たちのことを考えるということだ。家のローンもあるだろう。退職後の人生設計もあるだろう。
でも、果たして子供たちの命より重いものがあるんだろうか?
教師という仕事に対して急速に冷めつつある自分をリアルに感じる。でも、僕には受け持ちの生徒たちがいる。
彼らにとって、担任は僕だけだ。今は、その思いだけでもっている。
 そして、『あいあい』の存在。まだ会ったことはないけれど、まるでいつも傍らで僕を見守ってくれて
いるように優しく包んでくれる天使の存在。僕を励まそうと、恥じらいながら裸体をメールしてくれた天使…。
下半身が熱くなってきた。
 「ちょっと、聞いてますか?二宮先生!」
 「あっ、はい」
 「しっかりして下さいよ。これから、記者会見ですが、校長の私、そして教頭、そして先生は担任として
同席してもらいます。教育長たちは校長室で会見が終わるのを待っていてくれます」
 「わかりました」
 すでにマスコミ各社は三階の大会議室に入っている。僕ら三人は、職員階段から会場となっている会議室へと
向かった。

 会議室には想像以上のマスコミが溢れかえっている。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞…いったい何社来ているんだろう。
僕らが現れると、一斉にカメラのフラッシュが焚かれた。犯罪者にでもなったような心境だ。
 設置されている長テーブルの真ん中に校長、その右隣に教頭、そして左側に僕が座った。
すると、いきなり校長が改めて立ち上がり、カメラに向かって深々と頭を下げた。
 なんで頭なんて下げるんだ?学校が何をしたっていうんだ?いったい、誰に頭を下げてるんだ?
夢の中なのか現実なのかよくわからないような気持ちで、僕もつられて頭を垂れた。
 校長からの説明の後、記者会見が始まった。
 「○○新聞です。自殺した生徒は、普段はどんな生徒だったんですか?」
 僕が黙っていると、校長が僕の方を見詰め、回答を促した。
 「担任の二宮です。彼は非常に活発な生徒で、クラスのリーダー的な存在の生徒でした」
 「なぜ自殺したのか、担任としてどのように考えていますか?」
 「現時点では、見等がつきません」
 「率直に質問させていただきますが、学校でいじめにあっていたとか、そういった事実はありません
でしたか?」
 「ない、と思います」
 「思いますって、あなたのクラスの生徒が死んでいるんですよ?そんな曖昧な答え、無責任じゃないですか?」
 「何分、昨日の今日の話です。いじめがあったのか、そうでないのか、これから原因も含めて生徒たちと
向き合い、明らかにしていきたいと思ってます」
必死に答えながら、頭の中のもう一人の自分がまったく別の回答をしている。
 「いじめはわかんないけど、大麻はあったよ」
 「他の生徒も関わってるかも知れないよ」
 「校長たちはそれは言うなっていってるよ」
 「アキラの死体の前であいつの母さんとキスしたよ」
 もう一人の自分の回答を頭の中で聞きながら、思わずフッと笑ってしまった。
 「何がおかしいんですか!あなた、今、笑いましたね。自分のクラスの生徒が亡くなったというのに!
一体、何を考えてるんですか」
 いきなり厳しい叱責が浴びせられ、僕は我に返った。
 「いっいえ、別に笑ったつもりは…とにかく、現時点では、いじめがあったとも、なかったともいえないんです」
 「だからって、なんで笑うんですか?テレビカメラが回ってるんですよ!あなたのその態度は全国に
向けて発信されますよ。あなたのクラスの生徒にも取材しましたが、あなた、今日、教室で、マスコミから何を
聞かれても、答えるなって言ったらしいじゃないですか!
複数の生徒がやる気のない先生だといってましたよ」
 「いや…そんなつもりじゃ…」
 「申し訳ありません。二宮先生は、昨日から徹夜でこの問題に対処しています。肉体的にも精神的にも限界なんです。
どうか、ご容赦ください」
 追い詰められた僕を見かねてか、校長がフォローを入れてくれた。ありがたいと思った。
しかし、もう一人の僕が僕の脳裏に語りかける。「違う、違う。あれは僕をフォローしたんじゃなく、
カメラに向かって善良な校長を演出してるの。フォローじゃなく、アピールね」
 一時間余り続いただろうか…ようやく地獄のような記者会見が終わった。彼らは真相を聞きたいのではない。
学校批判の口実を探すために来たんだ。心底、うんざりだ。でも、彼らの攻撃はこれで終わりではない。
僕らは、これからアキラの通夜に行かなければならない。そこにも、マスコミはてぐすねを引いて僕らを
待っているだろう…。でも、アキラの母親が、僕とアキラの死体の前でキスを交わした彼女がいてくれる、
それだけが心の救いだった。

                ※

 アキラの通夜は、学校と目と鼻の先にある斎場で午後六時から執り行われた。
 アキラの部屋で発見された大麻について、今後、学校としてどのように対応するか、そんなことを
議論する余裕などなかった。
突然学校を襲った嵐に、教員の誰もが思考停止状態となっていた。僕もそうだった。もう、何も考えたく
なかった。
 斎場の入り口には、予想通り、大勢のマスコミが待機していた。
 そして、そんなマスコミのアーチをクラスメートたちが神妙な顔で通りすぎていく。
泣いているクラスメートも多い。でも、でも僕は声をかけることさえできず、お焼香の列に並んだ。
 前列まで進むと、棺の左斜め手前にアキラの母親がいた。一人ひとりに深々と頭を下げているその姿は
パニック状態で僕にしなだれかかってきた昨日とは別人のように凛としていた。
 僕は熱を込めて彼女を見つめた。
 彼女と視線があった。
 彼女の視線に熱はなかった。
 他の人に向けるそれと同様の、冷めた視線だった。
 殴ってやりたくなった。
 焼香の順番がやってきた。
 アキラは白い布をかぶっていた。
 なんの冗談なのか、棺の中のアキラの肩口に、マイルドセブンが置かれていた。
 もう、誰も、何も言えない。
 もう、誰も、何も言えない。

                             ※

 ようやく自宅にたどり着いた頃には夜九時を回っていた。乱暴にかばんを放り投げ、冷蔵庫からビールを出して、
一気に体内に流し込んだ。まずいのか、うまいのか、全くわからない。
 テレビのスイッチを入れた。すると、そこには自分自身の姿が映っている。それも、記者会見の最中に薄ら笑いを
浮かべている僕の映像だ。キャスターは、会ったこともない僕をあきれた顔で批判している。
 画面が変わってモザイクがかけられ、音声を変えられた生徒がテレビに映し出された。
「先生方に全校集会の後、マスコミに何かを聞かれても答えるなと言われた」と話している。悪夢を見ているようだ。
 続いて別の生徒が語った。「いじめのない学校なんてないよ。うちの学校にだってあるよ」マスコミの作為を
ありありと感じた。アキラの自殺と、イジメを結び付けようとする意図的な編集だ。
この映像を見た事情を全く知らない人々は、生徒が死んでも笑ってみせるとんでもない担任、校内で起こったことを
必死に隠蔽する教師たち、そして自殺した生徒はイジメられた末、死を選択したに違いない、誰だってそう思うに
決まってるだろう。
 事実とは、『ある』のではなく、『作られる』ものなのだ。
 テレビを切ろうとリモコンを手に取った。寸前、僕はハッと指を止めた。アキラの母親がテレビのインタビューに
答えている姿が映し出されたからだ。
 彼女も辛いだろう。いや、辛さは僕以上だ。実の子どもを自殺により失い、現場には大麻と栽培キット…。
悲しくても、苦しくても、その思いさえ誰にもいえない。きっと、それを打ち明けられるのは、この世界で僕だけだ。
アキラの母親の加齢臭と、唇の温もりがよみがえる。
 「がんばろうな」、僕はテレビの向こう側にいる母親にエールを送った。
――お母さん、今、どんなお気持ちですか?
 おいおい、悲しいに決まってるだろう!なんて質問するんだ。
 「今もまったく信じられない気持ちです。」
 そりゃそうだ。そんな喪失を簡単に受け入れられるか!
――最近の様子で、息子さん、変わった様子はありませんでしたか?
 大麻作ってたんだよ!でも、そんなこと言えるかって!
 「私に対しては、とても優しい子供でした。ただ、最近、物思いにふけっているようなことはよくありました」
 それは僕も同感だよ。大麻の影響なのかな?確かに不安定だったよな!
――人間関係で悩んでいたとか、いじめにあっていたとか、学校は全く認めませんが、そういったことを感じた
ことはありませんか?
 思春期なら、誰だって人間関係に悩むだろう?イジメ?どうしてもそっちの方向に持っていこうとするんだな。
でも、ないよ、そんなもの。クラスでも中心だったんだから。
 「…はい。数週間前から、なんだか様子がおかしかったんです。どうしたのって聞いても、なんでもない、の
一点張りで…」
 そうそう、大麻のことなんて親には言えないよな!
――その原因はイジメだとお母さんは思いますか?
 だから、そんなわけないんだって。もういいよ、お前は!
 「は…い。息子はクラスでイジメられて、思いつめて…それであんなことに…あああ」
 って、ちょっと待ってくれよ!なんでそうなるんだよお母さん!違うでしょ?
 レポーターはアキラの母親にハンカチを渡し、肩を撫でている。
 どうなってんだ?夢でも見てるのか?イジメられてた?嘘だよ。大麻がらみで悩んでたなら分かるけど…。
おい、お母さん、嘘はやめてくれよ!
 「息子の遺品を整理していて、そして息子の携帯電話を見たんです。せめて、息子の生きた足跡を感じたくて…。
そしたら、フリーメモに、いくつもの書置きが残っていました…。そこには残酷なイジメの実態が刻まれていたんです」
――そのメモ、よかったら見せていただけますか?
 「はい」
 映像が携帯電話のディスプレーをアップで映し出した。

 フリーメモ1
 出席の時、担任に名前を飛ばされた。「お前は遅刻するから、もう名簿から抜いたんだ」って。
みんな僕を笑った。もう学校には行きたくない。
 フリーメモ2
 このクラスで僕は存在していない。話しかけても返事は帰ってこない。誰も僕とは口を聞いてくれない。
僕は名簿だけではなく、クラスそのものから抹殺されたみたいだ。
 フリーメモ3
 僕はもう死んだ方がいい。どうせ教室では消えた存在。僕がこの世から消えたって、誰も気づきはしないだろう。
世界は何もなかったかのように流れていくだろう…さようなら。

 バカな!こんなの嘘だ!デッチあげだ!大体、フリーメモなんて誰だって書けるだろう!
アキラの母親は何を考えてるんだ!
 怒りに震え、携帯電話から母親にコールした。
 プルプル プルプル プルプル プルプル プルプル
 ちくしょう!出ない!再ダイヤル――駄目だ出ない! 再ダイヤル――駄目だ出ない!
 イライラしながら、アキラの母親にメールを送った。

 どういうつもりですか?クラスにイジメがあっただなんて…。僕を破滅させるつもりですか?
訂正してください。大麻のことだって、まだこれから調査しなければならないんです。
あなただって無関係ではないんですよ?至急連絡して下さい。
 
 夢ならもう醒めてくれ。神様がいるならお願いです。僕を助けてください。
 アキラの母親へのメールは、『アドレス指定先ナシ』で送信することができなかった。

                 ※

 携帯電話のバイブが震えた。我に返ると、僕は携帯電話を握り締めていた。ああ、そうだ、アキラの母親に
メールを送って、そして、そして…思い出せない。放心していたのか、眠っていたのか、気絶していたのか、
それさえよくわからない。
 まだぼんやりしながら、携帯電話のディスプレイを見た。明らかにバイブが鳴ったにもかかわらず、
着信は何もない。
幻覚か…そう思った矢先、再び、携帯電話が震えた。震えている場所は、ズボンのポケットの中だった。
 そういえば朝、誰もいないはずの教室でサヨコのPHSが鳴って、どうしてかわからないけど、それを
バッグから出して…ああ、それでメールを見ようとしたら、ヨウコが来て、ヤバイと思って、思わずポケットに
しまってしまったんだ。
 ディスプレイを見ると、着信履歴に『サヨコ携帯』と映し出されている。そうだ、あいつ、自分でピッチを
どこにやったのかわからなくなって、自分の携帯から自分のピッチにかけてるんだ…。
そりゃ、わからないよ。なぜだかわからないけど、僕が持ってるんだから。
さぞ、心配してるだろう。落ちていたのを僕が拾ったと連絡してあげよう。もしかしたら、一番傷ついている
のはサヨコかも知れないな。自分の彼が突然、この世からいなくなったんだ…。
あいつ、アキラが死んだって言ったら、泣きながら震えてた。そんなサヨコを抱きしめながら、僕も負ける
わけにはいかないって、そう決意したんだ。絶対に守るって。
 ん?でも、何でアキラの家に行った時、サヨコも一緒だったんだっけ?そういえば、アキラの母親からの
電話を職員室で受けて、家庭訪問するって言ったら、校長や、教頭に授業が終わってからだって言われて、
ムカムカしながら教室に戻ろうとしたら…そう、そしたら、サヨコが職員室の前にいたんだ。
そして、僕に言った。「アキラなんかあったんでしょ」と。そうだ。何でそんなこと分かるんだ?
分かるわけがないじゃないか。え?どういうことだ?なんであの時、あそこにサヨコが居て…。
 僕は混乱したまま、サヨコのPHSのメール一覧をクリックし、受信メールを一つひとつ開いた。

 【影さん】
 本日午前10時、栽培者A『口なし』。実行W中。Tの様子に注意。後に合流して現場確認を。

 【影さん】
 最近はサイバーパトロールも盛んになり、援助交際を連想させる書き込みはNG。うちのパーティでの
募集書き込みも、囲碁、女子高生=JK、女子中学生=JC、女子小学生=JSとし、金額には『ユキチ』を
使う。(例)JS、ユキチ10.ハード可。
(訳)どんなプレイもできる女子小学生を十万円で
徹底してください。

 【影さん】
 大麻、ルート拡張します。先日立ち上げた学校裏サイトに、次のURLを添付して宣伝を。サイトは三日に一度、
新しくするので、こまめにチェックを。

 【影さん】
 いいネタをゲットしてので、有事の時の武器に。
 1 2Cのオリエ、うちのパーティサイトにアクセス。本日、ユキチ5で錦糸町
 2 教頭佐々木、うちの姉妹サイトにアクセス。JSユキチ7で派遣。新大久保。写メールあり。

 PHSを握る手が震えた。心臓の鼓動が鼓膜を直接たたいている。
 アキラは、自殺なんかじゃない。アキラは殺された…。それも、すぐ身近な人物に。
 学校の内部に精通している『影』と呼ばれる人物。一体誰なんだ?僕も知っている人間か?
そうに違いない。だとしたら、この人物のアドレスが僕の携帯に登録してあるかもしれない。
 僕は自分の携帯を取り出し、『影』と呼ばれるサヨコのメール相手のアドレスを自分の携帯に入力し、
検索ボタンをクリックした。
 ディスプレイに、『あいあい』という文字が浮かびあがった。

 

最終更新:2008年04月06日 12:02