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「受験の朝」2009年
ドアを開けて、外の空気をめいっぱい吸い込んでみる
きりりと冷えた空気に、体がきゅっと引き締まった
「いよいよか…」
そうつぶやきながら、一歩一歩受験会場へと足を進める
この一年間、本当にいろいろなことがあった
歩きながら、頭の中をこの一年の出来事がかけめぐる
最初は、「どうしたらこの一年を楽に乗り切れるのか」
そんなことばかり考えていた
努力しても結果なんてそうそう出ないし
がんばるのなんてばかみたいだと思っていたから
でも、ほんの少し疑問もあった
「このままで本当にいいのかな」
ある日、大学のパンフレットを見てみた
少し憧れをもっていた大学、でも今のままでは確実に受かるはずもない大学
「どんな感じか見るだけ見てみよう」
本当に軽い気持ちでめくっていったページ
パンフレットに載っている大学生の顔はみんな
きらきらと輝いて見えた
そして、ふと思った「来年の私は、こんな風に笑えているだろうか」
そう思ったとき、私の中に今までになかった気持ちが芽生えていた
「私もこの人たちみたいになりたい…がんばってみようかな」
憧れていた大学を目指し、勉強する気にはなったものの
そう簡単に成果は出なかった
意気込んで受けた模試では、やる気をくじくような判定が続く
勉強しているのに…どうして?
焦りと不安で胸がいっぱいになる
そんなとき、久しぶりに友達とゆっくり話をした
私よりも頭がいい友達、きっと受験勉強も順調なはずだ
そう思うと、また少し胸が痛くなった
でも、予想に反して、友達が口にしたのは
私と同じ「不安」という言葉だった
「不安なのは自分だけじゃないんだ」
そう思ったら、くよくよしているのが急にばからしくなってきた
そして、季節が流れるにつれて次第に勉強することが当たり前のようになってきた
前は机に向かうのがあんなにいやだったのに…不思議なものだ
さらに不思議なことに、学んでいることがとても楽しく思えるようにもなってきた
新しいことを覚えたとき
初めて見た問題が解けたとき
何だか新しい世界を知れたような気がして嬉しかった
「大学ではもっといろいろなことが学べるんだろうか」
そう思ったら、シャープペンを持つ手にさらに力が入った
秋が過ぎ、冬になり、いよいよ試験の日が近づいてきた
「本当に合格できるのか」そんな不安がまた込みあげてくる
でも、やれることはやってきた
本棚に並んだ参考書や問題集がみんな使いこまれてぼろぼろ
なのが何よりの証明だと思った
参考書や問題集に励まされながら、
自分を奮い立たせて、また過去問をひたすら解いた
気付くと、不安は消えていた
代わりに「この大学に入りたい」という
ゆらぎない気持ちがそこにはあった
…気が付くと、もうすぐ試験会場に着く頃だった
校門が見え始め、緊張感が高まってくる
少し手も震えているようだ
一度立ち止まり、深呼吸をしてみる
震える手でケータイを取り出し、昨日友達から届いたメールを
もう一回読み直してみた
「いよいよ明日だね!お互いがんばろう(^○^)」
友達の笑顔が頭に浮かんで、少しほっとした
再び歩き出そうと
ケータイをカバンに戻そうとしたとき、
今朝、お母さんが作ってくれたお弁当に目がいった
「落ち着いて、いつも通りにやればいいんだよ」
そう言ってくれたお母さんの笑顔を思い出す
私はひとりじゃない
そう思うと、肩の力がすっと抜けていった
目の前には、この一年憧れ続けた大学がある
でも、今ここに立っている私は一年前の私じゃない
「よし!」
気合を入れなおし、自信を持って校門をくぐる
きっと今の私は、今まででの人生の中で一番いい顔をしているだろう
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