『四堂家物語~堕ちた少女と闇の底~』

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『四堂家物語~堕ちた少女と闇の底~』 「ゃ……」 少女のくぐもった声だけが響く。 そこは暗い暗い場所。 光も差さぬ闇の住処。 そしてソレに魅入られた少女――名を四堂冬音。 「おとなしくして……」 「んっ……!」 優しい声とは裏腹に少女と思えぬ力を込められて手足を組み敷かれる少女――否、幼女。 片手で両の腕押さえ、もう片手で幼女の傷一つ無い体に指を這わせる。 「朔……きれい……」 上気した頬と光悦とした声で冬音は幼女の、姪である朔夜の体を検分するように弄る。 「冬お姉ちゃん、なんでこんなことするの……?」 「……朔がかわいいから……」 「わたし、いやだよ……?」 「……きもちよくないの……?」 「きもちわるいよ……いやだよ……冬お姉ちゃんがこんなことするの……」 「わたしはずっとしたかったよ」 拒絶を拒否し、拒否を拒絶し、全てを否定して今度は貪る様に体を触り始める。 「朔をはじめて見た日から」 冬音は囀る様に想いを吐露する。 「朔がわたしを見てくれた日から」 そこにあるのはただ変質的で偏執的な劣情。 「朔……」 朔夜は殆ど触れ合うほどに近づいた顔を拒絶する。 「ゃぁ……」 恐怖は既にその感情を超え最早声ならざる声で抗議の音を奏でる。 「だめ……にがさない……」 顔を無理矢理正面へと向け、冬音は朔夜の唇を奪う。 「だって、朔はわたしだけのものになるんだから……」 そこで初めて朔夜の体から抵抗という名の力が抜けた。 それは信じていたものの一つが完全に崩れ去った証でもあった。 「冬、何書いてるの?」 没頭の余り周りのことに意識が行っていなかった冬が飛び上がらんばかり勢いで驚き、手元のノートを閉じた。 「……ないしょ」 「秋はよくお絵かきしてるけど冬はたまに日記みたいなの書いてるよね?」 「そうなの?」 朔が好奇心の目を向ける。 「……うん」 その真っ直ぐな瞳が冬の心の闇の底の暗部の下の影にある何かをより強いものとする。 (ブシュッ) 「だいじょうぶ!?」 余りに唐突な出来事に朔は狼狽し横に落ちていたティッシュを掴んで冬の顔に押し付ける。 「……あ、そのティッシュは……ブシュッ」 「きゃっ! どどど、どうしよ!? ママ、どうするのこういうとき!?」 「えっと、えっと、確か頭を上げて血を逆流させるんだっけ!?」 そういって春は冬を後ろから強引に頭上げさせる。 どうでもいいがそれは民間療法で間違いだ。 「おっぱい……当たって……ドブァ」 「うわぁぁぁん」 「えええええ、どうしてぇぇぇぇ!?」 先ほどの数倍の量の血を顔から垂れ流しホラーと化した冬は 片足を天国への階段にかけたまま辛うじて今ある現実をかみ締めていた。 ×『四堂家物語~堕ちた少女と闇の底~』 ○『四堂家物語~しあわせのありか~』 了

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