十六聖天外伝 失楽園の章 ―Epilogue Breakmiller―

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「だらしないのねぇ。オリジナル。いらないわ、死んじゃいなさい」 「いかん、マスター!」 ―Epilogue Breakmiller― その声は、唐突に聞こえてきた 殆ど反射的に、アリスはこの子を抱きしめていた 鏡、出しとけば良かったな…。背中から胸に焼けつくような熱さを感じて 今更、そんな事を思う。 あぁ、本当にアリスはダメなお姉ちゃんだなぁ。 突き飛ばすか、鏡を展開させるかすれば良かったのに 咄嗟に抱きしめたりするから、結局この子に怪我させちゃった 本当に、アリスはダメなお姉ちゃん あんまり申し訳ないから、声にだして、この子に謝る けど、決して浅い怪我じゃないとは思うけど、それでもこれくらいなら きっと、デスメタルが何とかしてくれる。アリスはそう信じてる あぁ、なんだか声が出し難いなぁ…。足に力が入らない けど、それでも、だからこそ…この子に 自分をワンダーワールドと名乗るこの子に教えてあげなくちゃ アリスはそれを伝えるためだけに、ここに来たんだから… あのね、ワンダーワールド…貴女の本当の名前は… 「貴女の本当の名前は――」 上手く、言えたかな。ちゃんと聞こえていれば良いのだけど あぁ、本当にデスメタルは優しいな アリスにも、――にも、必死に治療魔法をかけてくれてる そういえば、デスメタルはいつからそんなに芸達者になったんだろう この1年何があったのか、お茶でも飲みながらゆっくり聞きたかったな デスメタルは本当にいい子。さっきから必死に私と――に話かけてくれてる デスメタルのこんな必死な顔見るの初めて これだけ必死になるくらい、アリスの事を好きでいてくれたんだよね ありがとう。嬉しいよ。アリスも大好き だからね、デスメタル。妹の事も、アリスと同じくらい好きになってくれたら嬉しいな この子は、本当は悪い子じゃないんだよ。色々取り返しのつかない事しちゃったけど…。 アリスの代わりに、お姉ちゃんになってあげてくれたら、アリスは嬉しいな もう、何を言ってるのか聞こえないし、上手く喋れてるのかわからないけど その顔を見ているだけで、なんて答えてくれてるのかわかるよ。ありがとう だから最後にもう一つだけ頼まれてくれないかな ――。その怪我じゃ辛いよね。デスメタル、アリスの身体から無事な所を妹に移してあげて。 もうアリスにはそれくらいしかしてあげれないから。お願い あぁ、最後に次郎に一度逢いたかったなぁ…。 エクスカリバー、花子、シルヴィア、ムー、ナナエル、みみちゃん、あいか… みんなにもう一度逢いたかったけど、まだ当分逢いには来ないでね ――。頑張って、強く生きて、アリスの…お姉ちゃんの分も 最後までダメなお姉ちゃんでごめんね ――。私の為に泣いてくれてるの?うれしいな、それで十分だよ。ありがとう 考えてみれば、結構幸せだったな、アリス 神様、アリスをこの世界に作ってくれてありがとう 次郎、デスメタル…それにみんな…大好きだよ あぁ、もう何も見えない。もう何も Side~Alic~ 嘘だ。こんなのは嘘だ こんなのは嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ! 眼の前で血を流す双子の姉妹を見て、私は声を上げて叫んだ 吸血皇アルハザード・インペールメントは私が命ずる前に 使い魔を差し向け、私の負担を減らしてくれる アリスたちに集中していろというのだ …大丈夫。そうだ、今の私なら治せる。きっと治せる 今の私は2年前のあの時の無力な私じゃない。人呼んで死神 死と再生を司る神と恐れられる存在なのだ。だからきっと治せる。治してみせる アルは横で急所がどうのこうの言ってるけど、そんなこと知らない 私は、周りからありったけのマナを集め、持てる全ての力を治療に使った …なんで!?なんで治らないの…?そんなの嘘!どうして…! ―まさか。今の刃は…。 私は、ワンダーワールドとの戦いを思い出だす あの子の能力には、魂を直接破壊する刃があった あの子の使う能力は、すべてがオリジナルでアリスシリーズより強力だと聞く この癒えない傷はその能力のコピー…? それに気づいた時、私は目の前が真っ暗になった 不幸中の幸いか、アリスが抱きしめて庇ったワンダーワールドは致命傷には至っていなかったらしい そして何故か、その癒えないはずの傷が徐々に癒えている 彼女は、ナインライヴスの最後の命だと私に一言言うと 血の湖に浮かぶアリスの手を取り、必死に姉の名を呼んでいた せっかく和解できたのに、こんなのはあんまりだ 私は何処まで無力なんだ…。私は何のために強くなったんだ… 私もアリスに必死に呼びかける。死なせない。もうすぐきっと仲間が来てくれる そうすればきっと誰かが何か方法を見つけてくれるはず お願いだから死なないで。私の多くはない大事な友達。お願いだから死なないで 妹をお願い―。なんて、そんな遺言みたいな言葉は聞きたくないよ アリスの一人や二人、今の私なら何とでも出来るし、面倒だって見れるよ 何も妹だけじゃなくたって良いじゃない。アリスの面倒も一緒に見てあげるから…! 私の声も空しく、アリスは遺言めいたことばかり口にする やめて!と言おうとした私を静止して、アルが首を振った 最後の言葉をちゃんと聞き届けてやれというのだ そんなのは…嫌だ アリスは、喋るのも辛いだろうに、私を一番の友達だと言ってくれた ありがとう、とお礼も言ってくれた …私もだよ!お礼を言うなら私の方だよ!それにお礼を言うくらいなら恩返しをしてよ! 別に高いケーキを買えだとか、言わないから、ただいつもみたいに元気に笑ってくれてたら、それでいいから! 私やワンダーワールドの泣き顔を見て笑うなんて、本当にアリスは酷い… 挙句、自分の無事な臓器を妹に移植しろと言う。 確かに回復魔法とアルの知識があれば出来なくはない出来なくはない…けど… 私にそんな事を頼むのは酷いよ… 「みんな、大好きだよ」 その言葉を最後に、アリスはゆっくりと目を閉じた Side~DeathMetal~ 咄嗟に何が起きたのか理解できなかった。 嬉しくて、悲しくて、切なくて、なんだか良くわからなくて泣いていたら 急にアリスが私を抱きしめた。それと同時に胸に焼けつくような痛み 何…?意識が遠くなる。それは、薄れゆく私の意識を、世界に留めるには十分すぎる一言だった 「貴女の本当の名前は――」 私の名前…?名前…?私にも名前があった…?――。が私の本当の…? 呆然としていると、胸と口から血がこぼれ出した ナインライヴスの最後の命が発動しているのに、完全に癒えていない これはどういう事だ。攻撃してきたのは恐らくは、アリスナンバーズだろう だが、ハンプティダンプティの刃程度じゃ私のナインライヴスの治癒能力の前では塵に等しい それなのに…まさかこれはオリジナルの私にしか使えないはずの ハンプティダンプティの真の力、スカーフェイス…?ありえない。八尺瓊勾玉が無いと ワンダーワールドの真の力は発動しないのに…。 そんな混乱する私の耳にアリスの咳きむ音が聞こえてきた そうだ…アリス…! 恐らく私を庇ったからなのだろう。どう見ても、致命傷だ これがもしスカーフェイスならば尚更…絶対に助からない 死んだ後魂すら砕かれて、存在すらなくなる…これはそういう能力なのだ… アリスはさっき、姉だから私にここまでしてくれると言った それは凄くうれしい。そんな感情を理解できる日がくるなんて、夢にも思っていなかった それに、デスメタル…っていったっけ。散々酷い事をして、散々酷い事を言ったのに この人は、アリスと私の為に必死になって力を使ってくれている なんで、みんなこんなに私に優しくしてくれるの…? 訳が、わからない。なんで嬉しい事がいっぱいあった日に、こんな嫌な目にあってるのか、訳がわからない… こんな嫌な目にあうくらいなら、やっぱり優しいのなんていらない、一人でも良かった… 呆然としてる私に、アリスは何だか色々な事を言っている 嫌だ。そんなの聞きたくない。私の姉だっていうならそれくらい、なんとかしなさいよ… やめて!聞きたくない。そんなの嫌。嫌だよお姉ちゃん…! いなくならないで!折角一人じゃなくなったのに、また私を一人ぼっちにするの! 謝らないで!謝るくらいなら一緒にいて!私を一人にしないで! お姉ちゃん、お姉ちゃん… 眼を開けてよ、お姉ちゃん… デスメタルが、お姉ちゃんのの臓器を私に移植する準備をすると言っている アリスの意思を無駄にするな、と私の頬を叩いた そんなのはわかってるよ!わかってるけど、でも…それでも… 傷ついた臓器と無事な臓器を入れ替える…?そうすれば私は助かる…? そうか、そうすればいいんだ。そうすればお姉ちゃんは助かる 私は、今まで悪い事をいっぱいしたし、それでも凄く幸せな目を見させてもらった これは全部お姉ちゃんと、デスメタルのおかげ だから、私からの恩返し。 お姉ちゃんはきっと怒るだろうけど、いいよ、私はもう十分 この一瞬の幸せは、きっと普通の人の人生の何倍も幸せだったに違いないから …普通の人の人生の幸せの総量はわからないけど。それでもきっと、そうに違いないから だから、次はお姉ちゃんが幸せになりなよ。 デスメタルの大事な人も、これ以上取り上げたくないよ。二人とも、本当にありがとう。 だから私は決意を胸に、デスメタルにこう告げた 「…まって。逆よ。私の身体をアリスに使って」 Side~WonderWorld~ ―Lastorder 「…まって。逆よ。私の身体をアリスに使って」 「…何を言ってるかわかってるの?」 「わからなくてこんな事を口にするほど馬鹿じゃないわ」 「その目は本気なんだね。それでいいの?アリスは…」 「いいの」 「本気、なんだね」 「…ごめんなさい死神さん。貴女には嫌な思いばかりさせるわ」 「どうするかは私が決めるわ」 「…そうね。貴女にお任せするわ。嫌なことを沢山した私にそんな権利ないもの」 「…」 「…」 「――よ。私の本当の名前。覚えておいて」 「…それがワンダーワールドの本当の名前なんだね」 「アリスが、お姉ちゃんが教えてくれたわ」 「――よ」 「え?」 「私の本当の名前。この名前を教えたのは貴女が初めて」 「…ありがとう。決して忘れないわ」 「私も忘れない」 アリスとワンダーワールド デスメタルはどちらかを秤にかける事を迫られた アリスの意思を尊重するか、それとも… そして、デスメタルは決意した。彼女が選んだのは… 「目が覚めた?」 「何、で…?」 「憎みたければ憎んでくれていいよ。それが私の答え」 「憎める訳ないじゃない…」 「…アルの使い魔が、貴女達を襲った奴を見つけ出した」 「そう…。ねぇ、デスメタル」 「あの子は旅立ったよ」 「…ありがとう」 ―そう遠くない未来 「何故生きている?オリジナルはこの手で殺したはずなのに」 「残念だったね」 「違う、お前は誰だ…?その髪の色…アリスでもネームレスワンでもない  だがまあいい。見せてやろう。貴様らオリジナルと、そして出来そこないのナンバーズ  それら失敗作の上に立つ、真の完成品を!」 「…」 「絶望しろ!鏡の国と不思議の国、全ての力を行使する私の能力。ナイトメアワールド!」 「つまんないね」 「何?」 「“私達”の力を見せてあげる。吼えろ、ジャバウォック。羽ばたけ、グリフォン」 「私の名は…アリス・ザ・ワンダーワールド」 ―Epilogue Breakmiller― fin クリムゾンブロウ曰く「マジかよ。アタル兄さんキン肉王家飛び出した時3歳!?」 ブラックパイソン曰く「マジかよ、あんなに筋骨隆々だったのに。やべぇ」

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