十六聖天外伝 8話くらい

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「なるほど。彼も十六聖天の端くれだった、という訳だ」 「私は彼の評価を改めねばならないな」 「それにしても、仲間を信じているんじゃないか。素晴らしい事だ。私は嬉しいよマスター」 そんな使い魔の言葉に耳まで赤く染めた少女は、うるさいと一言呟くと 心配そうな眼差しで、彼女の仲間が今戦っている方角を見つめていた 口では強がっていても、所詮まだ四捨五入しても10代の少女なのだ そんな自分の主を気遣うように、吸血皇は口を開く 「心配する気持ちは理解しているつもりだがね、“アレ”が太鼓判を押したのだろう?」 「うん」 「ならば案ずることはない。“アレ”は幼女の姿をとっていても、その実、中身は化物。いや、神と言っていい」 ◆ 一方その頃吸血皇を従える死神が心配していた少女は フェイクワールドと対峙していた 「フン、さっきからウロウロと目障りよ!おかげでワンダーワールドを解除しちゃったじゃない!」 「ふぅん」 どうでも良さそうに少女は呟くと、自分に似た少女に向けて一言 「もう飽きちゃったわ。通してくれない?」 その言葉には「正面から戦えば自分には勝機など皆無。見逃してやるから失せろ」そんな響きが含まれていた 彼女の名前はフェイクワールド。偽りの国の女王 相対したる者と同等の力を生みだす偽りの女王 偽りと言えども、彼女は女王。それ故に、その言葉は彼女にとってはあまりに不敬だった 「ふざけるな!能力が同じなら使い手の差で私の勝ちよ!自らの力で自らが死ね!フェイクワールド!」 「くすくす」 「今度はワンダーワールドだけじゃない。お前の鏡も利用してやる…!後悔しろ!後悔して死ね!」 だが―。 偽りの不思議の国。そんなものは何処にもなく それどころか、フェイクワールドと名乗る少女の姿もなかった 「くすくす。だから言ったのに」 スナーク、と少女は一言呟くと、フェイクワールドが守っていたその先 赤の女王と呼ばれるそれがいる場所に、歩き出した ◆ ラビリンス最深部 そこに鎮座する“赤の女王”と呼ばれる“それ” ”それ”を前にしたアリスの目は、見開かれていた まるで信じられない物を見たように そこに在る筈がない物を見たように 「嘘…。そん…な、なんであなたが…嘘よ!!!」 アリスの叫び声が、ラビリンスの最深部に木霊した 8話くらい

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