【亡き人の背中~in the wake of dad~】

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「たいへん! たいへんです、おにいちゃん! ……って、うわあ……」 「……何だよその『大変なものを見てしまった、どうしよう』みたいなリアクションは お、俺は別に何もやましい事なんかしてない!」 「いやー、だって……ねえ? ……いくらなんでも今さら『○い○ん!』はないと思いますプププッ」 「いろんな意味で失礼な――!! 俺は昔からギター演ってるんだよ!」 「………… えええええ――っっ!?」 「なんでそんな明日世界が終わるかのような驚き方!? だいたい俺の技名で気づくだろ普通!」 「わざ……めい……?? あいか、そもそもおにいちゃんが戦ってるところを見たことがありませんよ ……開戦1秒に良い感じのが直撃してお星様キラーンなところなら何回も見てますけど」 「ぬわ――ッッ!!!! あいかテメエ決して触れてはならない部分に触れやがったな……!! てか本当になんでそんな役回りだよ俺!? 責任者出せ責任者――!!」 「いやまあ、あきらかに自己責任なんですけどね」 「ドちくしょ――ッッ!!」 「はいはい、おちついてくださいおにいちゃん あいかが世間の冷たい荒波に凍えるおにいちゃんを暖めてあげますから……おもに肉体的な意味で」 「断固拒否する! 身体だけ暖まった翌日に冷たい留置場で冷や飯食わされるオチはゴメンだ!」 「社会復帰のあかつきにはご近所様の視線もさぞかし冷たくなっていることでしょう」 「世界はみんな俺の敵だ――!! ……はあ、なんだかむしろ段々と悲しくなってきた……」 「どうどう、元気出してくださいおにいちゃん きっとそのうち、いいこともありますよ」 「ああ、ありがとうあいか おまえは優しいな…… ……って、あれ?」 「ちっ、洗脳失敗です ……そんなことよりも、そのギター、またずいぶんとボロボロですね」 「ボロいうな、年代物なんだよ! これはな、父さんの……形見、なんだよ」 「なるほど……つまりはパパからもらったレスポール、というわけですか」 「お、よく判ったな! 実はあいか、ギター詳しいのか?」 「いえ、てきとうに言ってみただけです」 「…………」 「それで、お義父さんはギター上手だったんですか?」 「……『おとうさん』のイントネーションが微妙におかしい気がする…… まあ、それは後々追求するとして…… 父さんのギターはな」 「ふむふむ」 「これが実は恐っろしく下手でなあ……」 「ほうほう……って、下手だったんですか」 「ああ、本人はロック大好きでレイブのハシゴしたあげくヘッドバンギングのしすぎでムチ打ちになったくらいなんだけど…… どうにも下手の横好きでさ」 「鞭……お義父さんもMだったんですね……」 「やっぱりそこに反応しやがったか! てか俺はMじゃねえ! あとたぶん父さんもおそらく!」 「あはは、冗談です 続けてください、おにいちゃん」 「……、まあいいけど…… それでな、父さんは滅多に家にはいない人だったんだけど、年に二、三回くらいは早く帰ってきてくれてな」 「いそがしい人だったんですね…… おにいちゃんそっくり」 「俺が忙しいのの半分は誰かさんたちのせいだと思う…… まあ、とにかくそういう日には手料理作ったり一緒に風呂入ったりしてさ」 「優しい人だったんですね」 「ああ…… で、夜になると子守歌だ、なんて言ってギターを弾いてくれたんだ」 「……あれ? なんだか本当に良い話で終わりなんですか?」 「普通に良い話なんだよ! いや、オチというか……ヘタクソなハードロックばっかり弾くんでうるさくて眠れずに、結局父さんが帰ってきた次の日は遅刻するのが定番だったけどな……」 「おにいちゃん…… そのニヤニヤした顔はびみょうに犯罪者っぽいです、おそらく性的な方向の」 「余計なお世話だ! そ、そんな事よりも…… そうだ、あいかの父さんはどんな……あっ」 「…………」 「ええと、その……ゴメン……」 「……ううん、いいです、気にしないでください」 「…………」 「たしかにあいかの家族はみんなバラバラになっちゃいましたけど…… でも、おとうさんもおかあさんもあいかのことを愛してくれていた……その事実はきっと、なくなったりしませんから……」 「……そっか」 「はい、そうです」 「そうだよな……」 「……」 「~~♪」 「…………」 「~~~~♪」 「………………ふふっ」 「~~……って、なんだよ急に」 「……うん、おにいちゃんのギター……なんだか優しいです」 「――っっ!? そ、それはっ……たぶんこのレスポールのせいだッ、そうに違いないぞ、うん」 「……あはっ、そうかもしれないですね」 「――ああもうっ、なんか、その……えっと…… ……ああっ、そうだ! 確かあいか、おまえ最初になんか大変だとか何とか言いかけてただろ!」 「あ、はい そういえばドロテーアたんが、おにいちゃんから今月分の血液をもらってないんで自分で採血に行くって、さっき街へ出てっちゃいました」 「そっ、それを先に言えええええええ――――ッッ!!!!」 【亡き人の背中~in the wake of dad~】 『続きまして…… 今日夜9時頃、男性が路地裏で何者かに襲わ…重傷を負っているのが発見されま…… この事…は本日午後9時過ぎ、東京都の会社員で十六…天の田……さん三十…歳が渋谷駅近くの路地裏で倒れ……るのを通行人が発見、病院に搬送されたも……… …中さんは首に負った怪我こそ軽かったものの失血が酷く意識も朦朧とし…おり、検非違使庁では首に注射針のようなものを刺され大量の血液を抜き取られたものと…て、殺人未遂事件として……』 【おまけ:天国への落とし穴】

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