十六聖天外伝 残光~二章・後篇~

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あらすじ 田中茂が去り、一人浜辺を散策する次郎 そんな彼の胸中に一つの戦いの記憶がよみがえっていた 十六聖天2位、剣皇アレクサー・リーンヴォード… クリムゾンブロウ曰く「練乳うめぇ」 ブラックパイソン曰く「麻薬と何一つ変わらねぇ」 アレクサーとの激しい戦いを思い返していると、不意に次郎の横から声が聞こえてきた 「好い天気じゃのう、今日は」 横に現れた自分に驚く次郎を見ながら、悪戯好きの子供のような表情を浮かべる少女 一見すると10にも満たない年齢に見受けられるこの少女こそ 伝説の剣、エクスカリバーの剣精である 「なんだ婆さん、来てたのかよ…」 「ワシとて女子じゃ。たまには思い出に浸りたくもなる」 驚かせるな、と悪態をつく次郎を無視し、彼女の眼差しは遠くを見つめていた その眼が見ているのは、恐らく次郎と同じ景色なのだろう エクスカリバーは、静かに呟く 「…のぅ?次郎。少なくともお前には何の非もないのじゃ。自分を責めるでないぞ」 「心でも読めんのかよ、アンタ」 えへん、と胸を張りながらエクスカリバーは自慢気に言う 「たわけ。何年生きておると思う。心など読めずとも若像の思考くらい手に取るようにわかるわ  それに良い女は、男の気持ちに敏感なものじゃ」 「いい女は若作りなんてしねぇよ」 子供のような彼女の反応に、次郎は苦笑していた 「見事だジロウ」 致命傷を受け、本来ならば苦痛により、声を発する事すらままならぬであろうに、その男の声には一切の淀みがなかった そう、そこに立っていたのは狂える剣皇ではなく、十六聖天2位、剣皇アレクサーその人だった 「エクスカリバー、お前にも済まない事をしたね」 憑きモノが落ちたかのように、澄んだ顔で彼は、その手に持つ聖剣の封印を解除する 「アレクサー!アレクサー…! ジロウ、お主何をしておるか!ワシの鞘を持て!急げ、早くするのじゃ!」 解放されるや否や、エクスカリバーは叫んでいた。本体は封印されど、精神体となり次郎をサポートしていた 彼女は一部始終を見ていたのだ。故に、鞘を使わぬ限りアレクサーは助からない事も知っていた 「無駄だ、エクスカリバー」 「何を言う、うつけ!ワシの鞘ならば、この程度の傷たちどころに治してみせるわ!じゃから早く」 「違う、違うんだよエクスカリバー。鞘はここにはない」 「何をいう。お主先ほどまで持っていたではないか!そこらに転がっているはずじゃ!  早くせい次郎!何をボケっと立っておるのじゃ!」 そんなエクスカリバーが眼に入っていないかのように、次郎は叫んでいた 「…操られても鞘捨てる程の覚悟があるなら…操られてんじゃねぇよ…!剣皇だろうが…!」 「なん…じゃと…?」 「酷いな、ジロウ。もともと剣が専門だからね。ややこしいのは嫌いなんだよ」 全身を朱に染めながら、剣皇は笑う。彼はエクスカリバーを封印した後に最後の力で 鞘を投げ捨て、そして偽の鞘を自身の力で偽装していたのだ SSS級の魔導の力を持つ彼にとっては封印されたエクスカリバーを出し抜くなど容易い 地に伏せ、エクスカリバーは泣き咽ぶ。こんな形でマスターを失うのは彼女にとっても初めてなのだ 「お主はうつけじゃ!阿呆じゃ!大うつけじゃ!阿呆…」 遥かに年長者であるエクスカリバーをあやすように、アレクサーは笑う 「君の長い人生の中で、私など一瞬の煌きにすぎない。さぁ顔をあげてくれ、我が姫、そして我が剣よ」 口調に一切のよどみがないものの、彼の顔からは先ほど以上に血の気が失せていた。生きているのが奇蹟と思えるほどに 「さて、ジロウ。お別れだ」 「…馬鹿野郎が」 手厳しいな、と死にゆく剣皇は笑う 「ジロウ、タルタロスには、冥王には気をつけろ。…後は任せた」 「あぁ…いい旅を」 「アレクサーが逝って、もう随分経つというに、まるで昨日の事のようじゃのう…」 アレクサーが眠る海を見て、エクスカリバーは寂しげに笑った 「あやつは良いマスターじゃった。ワシの長い人生の中でもあれほどのマスターはそうはおらぬ」 アレクサーは最後まで、高知を滅ぼした事を謝らなかった。恐らく謝って済む問題ではないと考えていたのであろう そして狂行に走った自分の犠牲になった者への、せめてもの償いに、最後の力で鞘を捨てたのだろう 高知を滅ぼしたのは、次郎を怒らせ、その次郎に自分を止めて貰いたかったなのかもしれない 「そうだな…。大した男だったよ」 本当に、そう思う。強さ、品格、人格、何を取っても十六聖天屈指の男だった 「…で、お主、いつ二代目剣皇になるのじゃ?いつワシを貰ってくれるのじゃ?」 次郎の隣で、エクスカリバーが悪戯をする子供のような笑みを浮かべていた クリムゾンブロウ曰く「ネタがねぇ」 ブラックパイソン曰く「いいから早くAIRやろう」 十六聖伝外伝 残光~二章後編~ 完

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