『宝石城の魔女』

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『宝石城の魔女』」(2008/11/16 (日) 15:52:21) の最新版変更点

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「大ニュース! 大ニュースーっ!!」 主の部屋に駆け込んでくる小姓服の男装少女に、傍らの老賢者が苦笑を浮かべた 「ホホッ、相変わらず元気の塊のような娘じゃて」 「……。 『獅子』、君も淑女ならば少しは慎みというものを身につけたらどうなのだ」 「うるさい! 『樵』のクセに生意気、言うな!!」 小言を漏らした甲冑姿の男に「がぁー!」と可愛らしい威嚇を見せてから、少女は寝台の上に身を起こす主に向き直る 「すごい話、聞いてきた! ネームレスワン、敵から逃げた! しかもザコ二匹相手、傷まで受けてた!」 「何だと……!?」 「ほほぅ、アリスどもが敗北したとは聞いておったが、よもやワンダーワールドまでがのう……」 予想以上の事態に動揺する騎士と古老を手で制し、彼らの主人たる白子の乙女が問う 「それは本当ですか、アタランテ?」 「本当ー! だって『獅子』、ちゃんと包帯巻いてるワン子見た!」 満面の笑みで差し出された少女の頭にか細い手を伸ばし、収まりの悪い髪をそっと梳いてやる 「かふぅ~~♪」 「……如何致しますか、我が主?」 「負傷の末に敗退……。ふふっ、プライドの高いあの娘の事、今頃どんな顔をしているかしら」 普段は穏やかな白面を抑えがたい喜悦で紅潮させ、ほのかに色づく自らの唇に指を這わせる乙女 「そうですね…… せっかくの機会ですし、久しぶりに不出来で可愛い妹分の様子を伺うのも良いでしょうか。 ――アタランテ、お願いします」 「がぅっ!」 応えとともに『獅子』の姿が霞み、次の瞬間には名前通りの巨大な獣が主人の膝下に額突いていた 「それでは、後の事はお任せします」 「はっ、御意に。 『案山子』殿、我らは独自の情報収集を」 「そうじゃの。 ……主殿、くれぐれも荒事はお控えを……」 獅子の背に横乗りになった女主人が、諫言に微笑で返す 「お見舞いに行って怪我をさせるほど不調法ではありません。 それに……あの娘の『世界』では、私の『虚飾の城』の護りは破れない」 ドロシーの名を継ぐ魔女は、白い髪を揺らしながら暗い地下回廊へ消えていった…… 『宝石城の魔女』fin

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