十話

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「あ…ぁ…」 妹は生きているのだろうか。死んでいるのだろうか 見た目にはどう見ても死んでいるのだ だが、動いている ならば生きているのだろうか だが、どう見ても死んでいる だが、それでも動いている 見えぬ目で、鏡の城に血と肉と汁をまき散らしながら おぼつかぬ足取りでアリスを探している ―ごぼっごぼっごばぁ 凄まじい量の血泡と共に、顎のない口に長い舌がダラリと垂れ下がっていた 正直な所、アリスは怖かった。四捨五入するとまだ10歳の彼女には 余りにも刺激が強すぎる絵である。周りに大人がいるなら 間違いなく有害図書としてそれを取り除いただろう だが、頼れる大人は今はなく、年長者の側にいるのはアリスなのだ 殺してしまったという後悔の涙が、恐怖の涙に変わった時 彼女とアリスの目は合った 彼女には砕けて変な汁を垂れ流す濁った眼しか残っていなかったが それでもアリスと彼女の目は合った。少なくともアリスはそう感じ、そして恐らくそれは間違っていなかった ―ずしゃりぐしゃりどさり ーぐしゃりずるぶちっばしゃあ 潰れた肉の身体と思えないほどの速度で、 膝から下が足を器用に、それでいて不格好に、彼女はアリスに向けて移動していた だが、その速度故にその身体はますます痛み それでも歩む速度を落とさず、それ故に彼女の体は千切れ 潰れ千切れた上半身は、アリスの身体に覆いかぶさっていた 自分の身体に覆いかぶさったそれを横目で見る 「ひ…」 半分はみだしていた脳がアリスの肩にこぼれていた。それはまるで、うどん玉だった そして脳がはみ出した頭蓋骨は、薄いピンクの肉で覆われ、蠢いていた アリスに寄りかかっていたそれは、背中をそらせアリスと眼を合わせると 崩れた顔で笑い、そして 「この…ワンダーワールドを…なめる、な…」 本来なら声を張り上げた買ったのだが、肺が破れているらしく 酷く息苦しい。それ故に小さな声で、だがそれでもハッキリとワンダーワールドはその名を口にした 「チェシャキャット・ナインライヴス」 十六聖天外伝 ~失楽園の章~  10話

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