十五話


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「この鎖を外した事…後悔させてあげるわ…」
「後悔なら、貴女に嫌というほどさせられた」

2年前の惨劇を思い出し、デスメタルの声に一瞬苦いものが混じる

「大丈夫よ。もーっと後悔させてあげるから…!ローズガーデン!」

相手の感覚や注意力を鈍らせ、あらゆる場所を迷宮に仕立て上げるその能力
2年前、アリスやデスメタル達に使い、次郎の負傷の原因を作った能力の一つ
それが再び発動される。そしてそのターゲットは二年前と同じく、デスメタル
霊子の類を遮断すれば、ネクロマンサーとしての能力の大半は封じ込めれる
それを理解しているワンダーワールドは、

「霊子を一つ残らず迷わせなさい!この子に近づけてはダメよ!」
「…くっ…」
「ほうら、同じ。2年前と、ね」

デスメタルがあげた声は、苦悶によるものではなかった
ワンダーワールドがそれに気づいたのは、無表情なデスメタルの顔に
明らかな笑みが浮かんだ時だった。
だがその時既に、デスメタルの手はワンダーワールドに向けられていた
そして、その手に浮かぶ魔方陣の術式構成を理解した時には、時既に遅く

「嘘…!」
「エターナルフォースブリザード」

そしてそれに続き、雷、火、風、土、水。六全ての高等呪文が同時にワンダーワールドに炸裂した
―霊子を封じられたなら、魔力を使えばいい

六大属性魔法が、ワンダーワールドに炸裂するとほぼ同時に
デスメタルの周囲に様々な武器が浮かび、デスメタルに襲いかかった

―そして霊子を封じられたなら、霊子を使わずに戦う術を得ればいい

だがそれらは一つたりとも命中することがなかった
デスメタルの左右に現れたゴーレムがそれら全てを粉砕していたのだ

その時に至ってワンダーワールドは初めて理解した
本気を出さないと自分が殺されるという事を
故に使おう。この力を。故に外そう。この守りを

「もういいわ…キングオブハート」

その時、デスメタルは気付いた。如何に強化された肉体とはいえ
ワンダーワールドの身体には殆ど怪我がない事に

「キングオブハート。ケーニッヒ・デア・アイゼルンウォンド解除」
「ランツェンレイターを指揮して攻撃なさい。ケーニヒスティーゲル」
「…!?」

ワンダーワールドは自身を守っていた最強の盾を解除し
守りを捨て攻撃に移る
その苛烈さは尋常ではなかった
トランプ―ランツェンレイターを指揮する王の攻撃力は鋭く
無数の命を持つメタルシリーズをも破壊していく

(ヘヴィメタル、アリスを守って!)
(…オルタナティブメタルが、もう持たない…!)
(シンフォニックメタル・形体を盾に…ダメ!このままじゃ抜かれる…!)

命を複数個持つならば、物量ですべて押しつぶせばいい
キングオブハートに指揮されたトランプの兵隊達の攻撃力は
神器の一撃にも匹敵する。それらが雨のように大量に、そして統一された動きで襲いかかれば
避ける事など不可能。そして防ぎきる事など不可能
防戦一方となったデスメタルを見て、ワンダーワールドは満足気に笑った

「さっきまでの強きな貴女は何処にいったのかしら?」
「そうそう、そうやって逃げ回りなさい。這いつくばりなさい」
「凄いのねぇ。まだ死なないんだ。ふふ…黒いマントと相まって、まるでゴキブリね」

「…うるさい」
「あらあら。口の効き方には気をつけなさい。私はこの世界の女王なのよ」

肩で息をしているデスメタルを見下すワンダーワールドの横で
キングオブハートがゆっくりと腕を手に掲げる

「あら。ケーニヒスティーゲル、もう使うのね。アースグリムを」
「何…?」

キングオブハートの掲げた手が、真っ赤に光輝き
不思議の国の大地から緑が消えていき、花や木が全て枯れていく
キングオブハートの手に、周りのエネルギーが吸収されているのだ
その赤い輝きは誰が見ても不吉な物だと一目で判るほど
邪悪な輝きだった

「真っ赤に燃えて…轟き叫ぶわ…。アースグリム!」

―不味い
咄嗟にオルタナティブメタルに防御命令を出そうとするが
破損のためオルタナティブメタルは、まともに動かない
自分の命を移す余裕は無い
―間に合わない…!
それとほぼ同時に世界は赤い輝きに包まれた


十六聖天外伝 ~失楽園の章~  18話
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