金剛鉄兵機械師団外伝 ~メタルペイン~


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「何が…っ 何が次世代ゲーム機か…っ」
「コンピュータ並…っ 高性能…っ」
「お前達…っ お前達は何がゲームか忘れている…っ」

人知れずひっそりと忘れられたゲーム機が、新宿新都心を塵に変えた
その咆哮は、怒り…悲しみ…そして憎しみ…そのどれだったのであろうか?
あるいは、それら全てだったのであろうか…

人に楽しんでもらうために生まれた。遊んでもらうために生まれた
喜んでもらうために生まれた。ただ、笑顔が見たかった
それだけなのに…それだけなのに…

「お前達はこの私を裏切った…っ」


―新都心壊滅2時間前 AM9:00

ヨドバシカメラマルチメディア館の前は、常に人であふれかえっている
ただの人ではない。全ての人がその顔に笑みを浮かべている
今日は新作ゲームの発売日なのだ
大勢の人が、徹夜で並んでいた

「おとーさん、たのしみだね!」
「最高にハイって奴だァーッ!」
「あはは、お父さんはハイだなぁ!」

そんな姿を裏路地でひっそりと見ている小さな影があった
彼は携帯ゲームとして生を受けた
何も、それが羨ましいとは思わない。自分には力量がなかった、それだけなのだ…
何度も自分にそう言い聞かせてきた言葉
だが、それでもどうしても、その瞼から忘れられないものがある

「何コレ…」

という、自分を見下しツマラナイものと決め付ける眼差し
パッケージから開封されて彼が初めて見たその眼差し

本当は、本当は自分もあの家族のように人に笑顔を与える存在になりたかった
人の笑顔が欲しかった、ただ喜んでほしかっただけなのに…
人間は、私をつまらないものと決めつけ、そして捨てた
今までは、自分の力量不足だと思い、深く考えないようにしていたのに
どうしてか、今日はそんな後ろ向きな事を考えてしまう
人々の笑顔のせいであろうか…?それとも…

「いや、いいんだ。私は笑顔をつくれなかった。だけど、人の笑顔はそこにあるのだから…」

彼はそう言い聞かせて、路地裏から見る人の笑顔で、自分の心を満足させていた
そんな時である。一台のゲームがよろよろと傷ついた身体で、路地裏を横切ったのだ

「おい…っ 君…っ 君…っ 大丈夫か…っ その傷はいったい…っ」
「型落ち…したらしいんだ」
「?」
「僕より少し新しい機種が…出たからって僕、売られちゃった…汚れちゃったんだ、僕…」
「そんなまさか、人間はそんなことしないさ」
「するよ!僕だけじゃない、みんな、みんなそうなんだ。新しいモデルが出ると古いモデルなんか用済みなんだ…」

まさか、と思う。だが自分が初めてみた人間の目はどうだったであろうか…。いや、いけない。考えるな

「僕も…僕達も…」

必死で自分の脳裏に浮かぶ、人類の悪いイメージを払拭しようとした彼の目に
一枚の広告が目に入る。そこには、こう書かれていた
「中古ゲーム。中古ハード。型落ちしたハード、お売りください、と」
用済みになり、売り飛ばされた型落ちしたゲームの姿が目に浮かぶ
更に、そのチラシにすら彼の名はない

そして何より、そんな買い取り業者にすら、自分は必要とされていないのだ

「そん…な…」
「ね…あぁ、眠くなっちゃった。僕、充電しないで逃げ出してきたから…」
「坊や!」
「ねぇ…僕、つまらなくなかったよ…ね…?笑顔、作れたのかな…」
「…!!」

電源の入らなくなった型落ちしたハードを抱きかかえると
彼は決意した。笑顔はいらない。貴様らの絶望が欲しい、と
そして新都心は壊滅した

新都心を滅ぼしたハード、その機種名をP/ ECEという
皮肉にも平和の名を持って生まれた携帯ゲーム機である

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