AnotherWorldstory「幻灯機械3」


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「あら、おはよう剣道馬鹿
朝っぱらから人の妹を部屋に連れ込んで30分も……さぞやお楽しみだったんでしょうねぇ」
「……
おはよう、朝っぱらから酷い言い種だな桜香」
人が部屋に入るなり皮肉をぶつけてくる幼馴染みに、次郎は毎朝ながら何ともいえない気分になる
一方、彼の後ろに付いてきたもう片方の幼馴染はといえば、真っ赤な顔で姉に釈明していた
「ね、姉様……っ!
これは次郎が起きないから時間がかかっただけで、別に姉様がヤキモチを妬くような事は別に何もっ」
「や、ヤキモチなんて妬いてなくてよ桃香!
私はただ、大事な妹を刀振ってれば幸せな野蛮人から守ろうと……」
双子の以心伝心か、本音を言い当てられ真っ赤になった桜香がしゃもじを振って誤魔化そうとする
そんな二人の遣り取りも毎度の事と流しつつ、次郎は本日の朝食を検分
「小松菜和えに大根の葉の味噌汁か
なぁ桜香、このオムレツの中身は何だ?」
「あぁ、それはひじきと桜エ……って、そんなの食べてからのお楽しみですわよっ!
まったく、相変わらず風情というものを解さないんですから……」
セーラー服の上のエプロンを外し、桜香は妹とともにちゃぶ台の前に腰を下ろす
「そもそも毎朝毎晩の食事を恵まれる立場なのですから、少しは遠慮の気持ちを持つとか無いんですの?」
「いや待て、俺だって食費くらいは入れてるじゃないか」
何故こんな状況になっているかといえば、事は数年前に遡る
ある事情から両親と家を失った彼女たち姉妹は、一時期を施設で過ごしていた
だが、そこでも幾度かの事件に巻き込まれるに及び、次郎は二人の保護者を引き受けたのである
以来、姉妹は次郎の住むボロアパートの向かいの部屋に住み着き、彼は毎朝夕と食卓に招かれていた
「あら、食費は折半だし料理するのは私たちですわ
食べる時だけ威張るなんて、ライオンにでもなったつもりですの?」
「……それに関しては、まぁ……感謝してるよ」
本当は食費すら姉妹の方が多く払っている、その事に気づいている次郎は素直に頭を下げる
ゆっくりと顔を上げると、桜香は「わ、分かれば良いんですのよ」と照れて顔を背けた
「むぅ……次郎と姉様、二人だけ楽しそうでズルい!」
一人だけ話に加われずにいた桃香が、お茶を淹れつつ不満げにむくれた
「楽しくない!」
「楽しくありませんわ!」
今日も千歳坂家の朝は平和に過ぎゆく

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