『四堂家物語~畑違いなお話と鳥のお話~』


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『四堂家物語~畑違いなお話と鳥のお話~』

「ヴァルお姉ちゃん」
「ん? どったの?」
珍しくヴァルと二人きりになった朔は今まで疑問に思っていたことを尋ねてみた。
「ヴァルお姉ちゃんはどうして一緒に暮らしてないの?」
「それは私が妾腹だからだよ」
子供に言うような言葉ではないはずなのだがヴァルはあっけらかんと言い切る。
「しょうふく?」
「んっとね、簡単に言うとね畑が違うの」
「畑?」
「そ。私のマーマとみんなのマーマは違うの」

「そうなんだ?」
「うん。でもパーパは同じなんだ」
「うんうん」
「でも畑が違うって言っても実は生まれ方も違うから畑が違うっていうのも少しおかしいんだよね」
「違うって?」
言っている意味が良く理解出来ない朔は小首を傾げる。
「私はキャベツ畑で生まれたの」
「そうなの!?」
余りに突拍子なことに朔は目を丸くしながら聞き入る。
「ふっふっふ、それはそれは立派な畑が私の実家の裏庭にあってね……」
心底真剣な、それでいてどこか誇らしげにヴァルが語る。

「それで春ちゃん姉妹はコウノトリが運んできたの」
「ママたちは鳥さんが運んできたの!?」
また突拍子もない事実を聞かされさっき以上に朔は驚く。
「だから畑違いというかこっちは鳥違いだね。
あ、でも姉妹だからみんな同じ鳥が運んできたのかな? だから姉妹なんだろうし」
「そうなんだ……。ヴァルお姉ちゃん物知りなんだね」
朔は心底感心したようにヴァルを見つめる。
「フフフ、これでも学校の成績は保健以外は学年トップなのだよ」
顎に指を当てニヤリと笑う。
「どうして保健が駄目なの?」
「保健は見てたらドキドキしたり顔が赤くなってりするような絵が載ってるの。だから苦手なんだよねー」
「勉強って難しいんだね……」

「そうなんだよー……」
どこか遠くを見るようにヴァルと朔は縁側から庭を見る。
「ところでさっきのお話なんだけど」
「ん?」
「キャベツ畑とコウノトリはどうやってママのパパとママやヴァルお姉ちゃんのママに子供をくれたんだろうね?」
「私もそこだけが分かんないんだよね。でも、ほら世の中には知らない方が楽しいってこともあるでしょ?」
「そうなの?」
「そうだよー。だって何でも知ってたら何も面白くなくなっちゃうよ。
だから知らないで居ることで幸せになれることもあるんだよー」

「なんだか難しいね」
「それが人生ってやつなのだよ」
その言葉で会話を締めてヴァルは立ち上がり、帰宅してきた夏の方へと向かっていった。
朔はまだまだ知らないことがたくさんあるのだと思い、暮れる空を見上げた。


『四堂家物語~畑違いなお話と鳥のお話~』 了
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