服部半蔵伝外伝ほのかの巻

闇が秋葉原を覆った
太陽の恵みを遮り、人の営みを否定する闇が
アバドン
それは雲霞のごとき蟋蟀の群
千ではきかぬ、万ではきかぬ、群
そしてその中心にそれはいた
アバドン
それはひときわ巨大な体躯とひときわ巨大な顎を持った蟋蟀―――リオック
「喰らい尽くせ!喰らい尽くせ!」
アバドンが吼える
「喰らい尽くせ!喰らい尽くせ!」
アバドンが響く
そして―――焼滅
「な……何がおこった!?我が群体が……我が軍隊がぁ!!」
「やれやれ、あの子たちが愛した街を壊されるのを見るには忍びないんでね。ちょっとだけ、手出ししちゃおうかね」
アバドンの前に現れたのは、たった1人の老婆だった
「今のを……貴様がやっただと……?舐めるなよ!俺を舐めるなよ人間風情が!!俺を誰だと思ってやがる!!ビーストハザードのアバドンを!!舐めるなあぁぁぁっ!!」
「もう少しおしゃべりは控えた方が良いねえ。周りが見えていないんじゃないかい?」
「なっ……ぐああぁぁ!!貴様何をしたぁ!!燃える!?俺の軍隊が!?俺の群体が!?俺の体がぁぁっ!!」
「あの子たちが言ってたよ。この街には『燃え』があるって。だからね、私はその熱をちょっと貰っただけさ」
アバドンが、火に飛び込む蛾のように、燃えて燃えて燃えて最後に
「何故だ……何故人間風情に……この俺が……」
「人間だろうとなかろうとね、命の火を燃やせないようじゃ駄目さ」
轟、と炎が巻き上がりアバドンの体を包み、それもやがて消えた

ここは秋葉原―――最も熱のある街
そして服部ほのかの守る街

服部半蔵伝外伝ほのかの巻

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最終更新:2009年01月12日 22:39
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