十八話


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「ワンダーラスト」

銀髪の少女。アリスに瓜二つのその少女は笑う
少女の銀髪が風に揺れ、咲き乱れた花が風に舞い花吹雪となり
金色の眼を持つ少女の視界を一瞬だが遮った
やがて、花と風のワルツは終わりを告げ、彼女の視界を遮るものは無くなった
だが、無くなったのはそれだけではない

辺り一面に広がっていた花畑は其処に無く
其処にあるのは地獄…。恐らく地獄というものが存在するのならば
これがそうなのであろう。そう思える殺伐とした景色がそこに広がっていた

「ラストダンサー」

銀髪の少女が口を歪ませる
咄嗟にデスメタルは、アリスを抱えて跳躍していた
一瞬だが明確な死のイメージが、デスメタルに飛び込んできたのだ
だが、先ほどまで立っていた場所に異常は感じられない

(何…?今の…)

そんな時だった。先ほどまで立っていた場所から風が吹いていた
地面から、風が吹いていた
地面から風…?まさか…。デスメタルは自分の勘の正しさを悟る
眼を凝らせば、先ほど立っていた場所から、うっすらと細い線が地平の彼方まで続いている
ラストダンサー。その一撃は大地を深く切り裂いていた

「その刃は、空間ごと相手を切り裂く死の刃。いかなる守りも通じない。さぁ踊りなさい」

音も無く振り下ろされる死の刃を、殺気をたよりにデスメタルは懸命に回避していた
蓄えていた魂を全て失い、身体能力の補助もなくなった身体で、アリスを抱えながら懸命に…
もともと身体能力それ自体は、常人以下の少女である
アリスを抱えながら、回避し続けていたデスメタルの息は既に荒い

「ふふ。ゴキブリさん。いつまで持つのかしら。そんな“モノ”を抱えたままで…ね?」
「あぅ…ッ」

ラストダンサーが初めてデスメタルの身体に接触した
回避しそこない、肩を切り裂かれたのだ。直撃ではなかったのが不幸中の幸いだろう
そんなデスメタルに向い、死の刃は容赦なく振り下ろされる

ポタポタと熱い何かが顔に落ちてくる…
赤い…血…?
何…?

「ホラ。言ってる間にこのザマね。早くそんな足手まとい、捨ててしまいなさい?」
「そんなの、お断り…!」

誰かが喋ってる…?
誰…?聞き覚えがある
そうだ…私は…

「デスメタル!?」

意識を取り戻したアリスが見たのは
自分を庇い血まみれになったデスメタルの姿だった

「おはよう、アリス」
「お、おはようじゃないよぅ!血がいっぱいでてるよ!」
「平気」

そう言いながらアリスに笑顔を向けるデスメタルの顔は
血に染まっていたが間違いなく美しかった
そして、デスメタルを血に染めた少女もまた、美しかった

「ふぅん。目が覚めたのね。丁度いいわ。眠ったまま死なれちゃ苦しみを与えれないものね」
「…ワンダーワールド!」
「ふふ…。アリスが目覚めたのなら、見せてあげるわ…」

デスメタルと、その腕に抱かれたアリスが見守る中
黒い霧のようなものが、銀髪の少女の周りに漂い出していた

何処かで見た覚えがある。あれは何処だっただろう
私はこれを確実に知っている

「そう。これは貴女の能力。さぁ…震えなさい」

そう…これは…

『ジャバウォック!』

二人の少女がその名を口にしたと同時に
金色の眼を持つ少女も声を高くあげていた

「やらせない…!来たれ、不死なる皇!血の誓いにより現界せよ!」

十六聖天外伝 ~失楽園の章~  19話
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