十九話


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デスメタルの身体は血に染まっていた
死の刃をその身に受け、血に染まっていた
だがワンダーワールドは気付かない
彼女の身を切り裂いた刃、そのうちの半数以上は
デスメタルが故意にその身を晒したものだという事に

モービットエンジェルを放ち、蓄積していた魂を全て使いきった以上
ジョーカーを切るしかない。だがそれには血が必要だった
その身をあえて切らせ、回避しながら、その流れる血で陣を書いていた事に
ワンダーワールドは気付かなかった

ワンダーワールドがジャバウォックを呼び出したと同時に
デスメタルも召喚の準備が整っていたのだ

槍のように鋭い深紅の柱が、何百本と大地を突き破りそそり立っていた

「久方ぶりの現世だ…。現世か?怪しい空間だが、まぁいい…」

紅い外套に身を包み、闇よりも黒い髪を腰まで伸ばした美丈夫は
デスメタルの前に跪き、うやうやしく礼をする

「呼び出される気配がないので、忘れられたのかと少々不安だったよ
 それにしても随分と血を流したようだね。我が姫に傷を負わせるとは大したモノだ」
「して、我が姫よ。私の敵はどちらですかな。
 そこの少女かその化け物か。そこの化け物かその少女か。その一方か、あるいは両方か」

デスメタルが呼び出した男
その男こそかつて十六聖天最強の四人の一人に数えられし男
吸血皇―アルハザード・インペールメント
優雅に微笑みながらも、その眼は鋭くジャバウォックと呼ばれた、黒い水晶の龍ととワンダーワールドを射抜いていた

「へぇ…。ゴキブリさんは随分と隠し玉が多いのね。その様子だとまだ何かありそう
 まぁいいわ。ジャバウォックの力を舐めな」

それは神速にて精妙な一撃だった。ワンダーワールドが知覚する頃には
既に、ジャバウォックの身体に深紅の槍が突き刺さっていた
ワンダーワールドは突然の事に事態を飲み込めない

「おっと失礼。隙だらけだった物でね。答えを聞く前に攻撃してしまったが…よろしかったですかな」


同時刻、晴海
不思議の国が地獄と化したならば
恐らく、この晴海は、この世で最も地獄に近い場所だったと言えるであろう

―半刻前

「そこの立体映像…今、貴様何ト言ったネ…?」

狂人と化し、おおよそ人らしい感情を捨てた男とは思えない感情の色が、震える声に乗っていた

「よろしい!もう一度言って差し上げよう。二年前の襲撃から今日に至るまで
 すべて私の作戦通りということ。そう申し上げた!」

戦意を削ぐ意図もあるのだろう。タイガーの質問に対し先ほどより明確に
ストーリーテラーは声をあげていた。それを受けたタイガーの様子は明らかにおかしい
痙攣しているのだろうか、震えているのだろうか、あるいはその両方なのだろうか

「ク…クククククク…見つけタ… 見つけたヨ… ハァッハァッハァッ…
 ハッハッハッハ…ハーッハッハハ…ヒャーッハッハッハッハッハ!」
「な…何だ?これは。この男のデータにこんなものは…」

狂ったかのように笑いだすタイガー。その足元には先ほどまでとは比較にならない程の
規模と密度をもつ毒の領域が形成されつつあった。毒の領域はストーリーテラーの作戦を
狂わせる程の速度で領地を拡大しつつあった。

狂わせる程の速度で領地を拡大しつつあった。
戦いの中培われた勘で、危険を察知した戦士達は、戦闘を中断し退避の準備を始めていた
そんな中、シルヴィアは確かに聞いた

「見つけたぞ、バイソン、ブロウ…。友よ。お前達の仇だ。そして捧げよう
 喰らえ、我が身を、我が全てを。そして飲み込め。私を、敵を…何もかも、全てを!」

狂人とかした男、ヴェノムタイガー。その男の人間としての最後の言葉を
そして真の狂人としての最初の言葉を
その言葉を最後に、ヴェノムタイガーは自身の生みだした毒獣に飲み込まれ、消えた

暴走した毒の領域は周辺地域全てを飲み込み、十六聖天、および十大聖天共に被害は甚大
辛うじて聖天位の人間は脱出した様子だが
これではもう策どころか、戦いなどあったものではない
そして現状、最も問題なのは

「ちぃ…私は4WDである。故にジャンプなど出来ぬである…このままでは電池が切れる
 ここまでなのか…」

四方をプリエデイターヴェノムに囲まれた
ここで終わるのか…。メカシバイが目を閉じ覚悟を決めたその時

「はわわー。間にあいました。なんとか予測の範囲内なのです」
「は、ハワワイザー!」

               軍☆師☆王 見参!

十六聖天外伝 ~失楽園の章~  20話
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