闇伝 外道対外道8


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

遙かなる大草原に高校生がひとりと中学生が一人。
苓と杷羽は、まずは移動しないわけにはいかないということで一路西へ向う・・・のだが。

神速のクイックドロー。響き渡る銃声。無人の荒野に復讐の咆哮が迸る。
驚いた野鳥が一斉に飛び立ち、静寂の大地は大自然の喧騒に包まれる。

「・・・さっきから、何故後をつけてくる?」
そこに居たのは。屋外活動しやすそうなカスタマイズはされているが、明らかに場違いな修道服の乙女である。
「えぅぅ・・・そういうのは、せめて威嚇射撃をする前に仰って頂きたかったです・・・こわかったよぅグスン」
「目的は何だ? 事と次第によっては」
「とりあえず銃を降ろしていただきたいのですぅ! それが私の最初のお願いですぅ~~~!」
「・・・やりにくいな、まったく」
こういう得体の知れない相手を担当するべき翠が居ないと、話を進めるのが面倒で仕方がない。

「とりあえず悪い人じゃなさそうだし、話くらいは聞いてあげてもいいんじゃないですか?」
「おおぉ! そこのちっこい人の言う通りなのです! 話を聞いて欲しいのです!」
「・・・うん、撃っちゃおう、苓さん」

ガン泣きが始まったため、かわいそうなので弾丸発射は勘弁してあげましたとさ。

「えぐえぐ・・・道に迷った挙句にこんなところで理不尽な暴力の前に屈せざるを得ないなんて・・・
 かわいそうな私・・・えぐえぐ」
「とりあえず・・・そうだな、まずは何処の誰かはハッキリさせたい。俺は苓、こっちは杷羽。アンタは?」
「はい! 私は天子教学院(アカデーミア)騎士団所属、フレアリン=ソンルドークと申しまして」
「ヴァチカンの飼い犬が何故こんな所にいる?」
「はうぅ・・・そのいかにも当たったら体ちぎれちゃいそうな弾が出そうな、物騒極まりない銃は
 是非ともしまって欲しいのですぅ・・・」
「別に構わないだろう? 学院騎士団はその手の呪法のエキスパートだろう」
「ちぎれた体を元に戻すなんてことが出来るほど学も法も力もないですよぉ! そんな一部上層の人たちを
 引き合いに出されても困りますぅ!」
「そうか、それは済まなかったな」
「はわぁ!? 今さり気無く引き金が少し引き絞られましたよねぇ!? 私なんて殺しても、お金だってそんなに
 持ってないし、見ての通り身体も貧相で・・・うぅ、自分で言ってて悲しくなってきた・・・」
フレアリン、と名乗る修道女の独白に、若干一名が異様に食いつく。

「・・・わかる! わかるよおねえちゃん!」
「分かってくれるの? えっと、わわちゃんって言ったっけ」
「はい! それはもう痛いぐらいに! 我が身のように!」
「おお! 貴女トモダチねー! チャイナ風に言うと朋友ねー!」
固く結ばれた手と手、心と心、魂と魂。
かくして、大いなる大自然と透き通る青空の下、貧乳同盟が結成されたのであった。

「とりあえず・・・フレアリンと言ったか。なぜこんな大自然のど真ん中に一人なんだ? 近くに騎士団でも」
「それが・・・任務の帰りで、同士の皆様に付いていってたはずなのに、気が付いたらみんないなくて、
 私一人で、でも帰らなきゃって思って頑張って歩いてたら、いつのまにかこんなところに・・・」
「つまり迷子か」
「というより、方向音痴?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! そんなハッキリ言わなくてもいいじゃないですかぁぁぁぁぁぁ!!!」
「・・・携帯持ってるか。持ってたらちょっと貸せ」
「びぇぇぇぇぇぇぇん! ・・・へ? あ、はい。ちょっと待っててくださいね・・・っと、あったあった」

苓はフレアリンから預かった携帯を操作する。正直な話ファンシーすぎて持つことにすら抵抗を感じる
デコ具合なのだが、そこは我慢するのが貸せと言った手前果たすべき勤めだ。
「やはりあったな・・・GPS機能、使ったことないだろう?」
「へ? え・・・と、じーぴーえす、って何ですか?」

頭が痛くなる。やはりこういう天然系の相手は、波長が合うと思われるバカがするべきではないだろうか。
「Grobal Positioning System. 馬鹿でも分かるレベルで言えば、お天道様がオマエの居場所をここに
 表示してくれる機能だ。」
返してもらった携帯をせっせかと操作するフレアリン。・・・やがて、全身が打ち震える。

「・・・ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
 なんというすばらしい機能なんでしょうかぁ! うわぁ・・・すごいなぁ・・・知らなかったぁ・・・
 レイさん、本当にありがとうございますぅ! さらっと酷いこと言われましたけど水に流せそうです!
 これで私、やっと、やっと、やぁっっっっっと、ヴァチカンに帰れそうで」
「徒歩でか?」

三人だけの荒野に訪れた静寂は、むしろ耳障りなぐらいであった。

「はわわわわわわわわわわわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? どうしましょうか!?」
さっきまでの歓喜の表情から一転、全力全開で焦りまくるフレアリンの様子に、苓と杷羽は逆に冷静になる。
「車ならさっき地平線の彼方へ走り去ったわよ」
「まいがああああああああああ!? なぜです!? なぜもっと人気のあるところまで連れて行って
 もらわなかったのですかぁ?!」
「だって、運転手さんが本気で泣くんだもん。勘弁してくれって」
「そもそも俺達がさらに西まで車で進んでいたら、お前は正真正銘野生溢れる大地にただ一人だったのだが」
「ううう、そうでした・・・」

「というかさ、そのケータイで、ヴァチカンだっけ?の人に迎えに来てもらえばいいんじゃない?」
数時間後、とっぷり暮れた夜の空。迎えの飛行機にゆらりゆられて、3人はヴァチカンへ向うのでしたとさ。


一方その頃・・・日本では。

「改めて確認するぞ。我々が叩かねばならない敵の所在は」
「本部オフィス、の線が濃厚だろうな。間違いなく一人はいるはずだ」
「叩くべき敵は」
「東山副社長、錦織様、植草様の3名、御父様の相棒にして宿敵、三本槍の方々ですね」
「我々の為すべき道は」
「う~ん・・・みなごろし?」
「そこまでする必要はない。三本槍、親父の懐刀を全て下せばそれで終わる。但し、俺一人で、だが」
「ですが、社長、それはあまりに」
「親父に出来たことが出来なければ、俺の肩書きはただの世襲の飾りだ。そうでないと知らしめねば
 戦いは終わらない」
「にんきょうって、むずかしいね」
「ま、オマエみたいなパープリンにゃ分からんさ。それに、俺ら三人の仕事はあくまでも露払いさ。
 露払いなら、好きなだけ暴れられるぜ?」
「うん、そのほうがいい。たのしそう」
「決まりですね。それでは、まずは本部オフィスの奪還からでしょうか?」
「・・・だろうな」
「そうと決まりゃ善は急げだ! 行こうぜ社長!」

「くんくんくん・・・やばいよ、だれかくる。これは・・・!」
「っていうか、まだ犬の鼻持ってたのかよ!?」
「この気配・・・まさか!?」

決戦の刻、迫る。
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。