黄金の瞳の少女 ⑨


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「私…ただの偽者かもしれないけど…私の事、嫌いにならないで…」
「嫌いになんかなるかよ。お前は偽者なんかじゃない
 俺達とずっと一緒に戦ってきたのは紛れも無くお前自身だ
 俺にとって本物のナナエル・リキテンシュタインはお前なんだ
 だから安心して戻って来い。また俺がお前を守ってやるから」
「ギ、ギデオンさん、私…私…」
ナナエルは泣き出していた。嫌われると思っていた、優しくなんかされないと思っていた
自分は機械―心も体も作り物の偽りなのに
ギデオンさんは変わらないんだ。自分が何者であっても受け入れてくれるんだ
そう思うと今まで我慢してきた想いが関を切ったように溢れてきたのだ
「私、ずっとギデオンさんの事が―」
その時軽いショックと共にナナエルの背中に茶褐色の花が咲いた
「―!?」
「ナナちゃん!?」
ナナエルの体が崩れ落ち、攻撃された方向を即座に睨みつけた
「誰だ!」
あんな状況だったとは言え何故気づかなかったのか?
かすかに洩れる殺気を感じ取れなかった不覚を悔いる暇も無く第二第三の攻撃が来ていた
「くっ」
ギデオンはナナエルを抱え次元相転移で攻撃をかわすが
その爪は何故かかわしきれずギデオンのナナエルを庇う腕をかする
「く―」
「逃がさねぇよぉお宝ちゃんよぉ!」
その爪の持ち主、グリフォンと共に現れたのは凶悪な面をしたゴスロリの少女だった
「貴様…アリスシリーズか!」
「お初にお目にかかるぜ。だが名乗らねぇ。これで最後だからな」
「シ、シエラ・・・なんでここに・・・イナバは・・・」
「もういい、喋るなナナちゃん」
ナナエルの背中からはオイルが絶え間なく流れ出て機械部品と生体パーツは無残に引き裂かれている
(ナナちゃん・・・)
ギデオンはナナエルの体を横たえると初めて見るアリスナンバーズ、シエラに向き直り睨みつけた
「今の俺は女子供でも容赦しないぜ。怒りで煮えたぎってるからな」
「おぉ恐っw」
表四位ギデオンの闘気をまともに受けてもシエラはふざけた様に余裕を見せていた
それは己の幻獣への絶対的自信からか或いは獲物が動けなくなった事からの余裕故か
いつものようにシエラは饒舌に挑発し始める
「だが教えてやる。俺のグリフォンは違う世界同士を行き交いしどんな獲物も狩り殺す幻獣だ
 お前の他次元を繋ぐ能力じゃ相性が悪いんだよ」
「御託はいい。もう始めるぞ」
「ふん、いつでもどうぞ」
その瞬間シエラの斜め後ろにギデオンは居た
少しの遠慮もない、普通の人間なら一撃で頭蓋骨が陥没するであろう全力のパンチを何の躊躇もなく打ち込む
グワキィィイン
「ちっ!」
寸での所でシエラを守るグリフォンに攻撃を防がれたギデオンはグリフォンの返す爪を避け再び距離を取る
「無駄だ無駄だ。グリフォンの防衛本能はバンダースナッチに次ぐ高さなんだ。そして攻撃力は遙かに上回る」
グリフォンの薙払われた爪の先には薙ぎ倒された木々が数十mも続いていた
ただ薙いだだけでこの威力。それを見てもギデオンは少しも動揺せず言い放った
「化け物はいつも倒される運命さ」
「減らず口かよ」
今度はグリフォンが仕掛けてきた
その攻撃は見るからに突進しての咬み付きか爪による攻撃と思われたが、そう単純ではなかった
「なにっ!?」
幾重にも張った次元異相の壁を全て無視して突っ込んでくるのだ
「死ねよ!」
ドゴオオォ!
凄まじい爆裂音と共に辺り一面に岩が砕け散る
ギデオン得意の他次元より召還しての質量攻撃である
しかし
「傷一つ無しかよ。モノホンの化け物め」
大きさ50mはあろうかという巨石をバラバラに砕きさも当然と言った風のグリフォンを前に
さすがのギデオンも苦戦を強いられる覚悟をしていた
(次郎なら今のでブッた斬って終わりだったのかもしれねーな)
「ま、俺はもっと頭脳プレーで勝つけどね」
「何をゴチャゴチャ言ってやがる!グリフォン!!」
再びグリフォンがギデオンめがけて突進してくる
正攻法じゃあグリフォンは倒せない
そう考えたギデオンのとった行動とは
「よっしゃ来い!」
なんとキャッチボールで友人の投げた球を取るかの如く軽率な構えを取ったのだ
「ハッ!挽き肉になりやがれ!」
グリフォンの突進がギデオンに直撃した瞬間
「なにぃ!?」
グリフォンはギデオンを通り抜け後ろにあった十数mの破片の岩を砕いた
「捕まえた!」
そしてほとんど同時にギデオンはシエラを背後から羽交い締めにする
「こんだけ近けりゃグリフォンも手出しできんだろ」
「…」
「このまま首へし折ら」
しかしそこまででギデオンの言葉は途切れた
あの巨体と荒々しい動きからは想像も出来ないような精密な動きで
グリフォンは紙一重の所でシエラに当たらないようギデオンだけを薙払ったのだ
「っがは!」
20m近く吹き飛ばされたギデオンが両膝に手まで地に付かされ苦しげに血を吐く
「ち、器用にガードしやがって」
シエラが余裕しゃくしゃくの態度でギデオンに近づいてくる
「見え見えなんだよ考えが。次元転移はさっきも使ってたろ」
最早半分勝利を確信したのか饒舌に語るシエラ
「グリフォンは元々宝を守護する幻獣だ。近いなら攻撃できないだって?十六聖天4位もとんだ甘ちゃん野郎だな」

「へへ…」
しかしギデオンはダメージを受けながらも不適な笑みを浮かべてみせる
「何のブラフか知らねーが惨めだぜ。それとも恐怖のあまり気でも違ったか?」
「いや、あんまり上手く行ったもんでな」
ギデオンが痛みも収まったのか立ち上がり今度はシエラを見下ろす
「お前、自分が今どうなってるか気付かないのかい?」
「なに?」
そう言われてシエラは初めて自分の周りに起こっている事態を認識した
何も物が掴めない、遠近感が掴めない
「な、何だこりゃあ!!?」
「お前さんを一次元引きずり下ろしてやった。2次元の世界はどうだい?気持ち悪いだろ」
「てめぇ!」
シエラは戦いが始まって初めて焦ったような表情を見せた
かに見えたが
「フ・・・ハハハハハハッ!」
一転、突然の高笑いを始めた
地面に映写機で映し出されたかのような状態のままシエラはまだ己の
グリフォンの能力に絶対の自信を持っていたのだ
「冗談だよ間抜けぇ!グリフォンが居るのにこんな攻撃意味あるか。グリフォン!早くあたしを助けろぉ!」
そう言ってグリフォンが地面に没しようとした刹那
ドッ―
「―え?」
壁に映る動画のように動いていたシエラの胸に一本のナイフが突き立てられていた
「ガフッ・・・ゴフッ!  て・・・めぇ・・・」
シエラは戦いの最中であるにも拘らず駆け引きよりも己の身の脱出を優先してしまったのだ
それは過信と油断と経験の無さが生んだ致命的なミスだった
「勝負はもう着いてたんだよ。俺を怒らせた次点でな」
胸を押さえ血を吐きながら崩れ落ちるシエラは地面の中で絵画のように動かなくなってゆく
「グリフォン・・・あたしを助けろ・・・グリフォン・・・」
「グリフォンに頼りすぎたな。あばよ、お嬢ちゃん」
吐血しながらも未だグリフォンに頼ろうとするシエラにギデオンは最後の別れを告げた
「グリフォン・・・グリフォ・・・ン・・・」
もうグリフォンを使役する力の残っていないシエラをグリフォンは無機質な目でただ眺めていた


予告
 ナナエルの過去とデス子の瞳の色の関係とは?
 デス子の術とキラーの術の関係とは?
 そしてギデオンはナナエルを救えるのか
 次回、黄金の瞳の少女完結編
ツールボックス

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