四堂家の受難・離別編


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「あー暇や、暇や。どないしようかなー」
四堂家の四畳二間の不釣合いに大きなテレビの置かれた一室でケルベロスは悶えていた
春風はヴァルと二人で外出中で、夏夜、秋奈、冬音の三人もどこかに出かけていて、
今はケルベロス一人で留守番というわけである
部屋はお菓子の袋や食べかす、ゲームで散かり放題だ
「くまたんはかわいいけど単調すぎて正直飽きたし…ほなテレビでも見よか」
とりあえずザッピングしていると、
アフリカを舞台とした少女とショウガラゴの赤ちゃんの冒険を描いたアニメの再放送が目に止まった
「おっブッシュベイビーやないか、懐かしいなー。そういえば昔、世界名作劇場はよう見たもんや。
子供と動物をつこうたストリーはえらい卑怯やと思うたけど、ソレを抜きにしても感動させれるで…。
名作劇場はいいねぇ。心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みやで。最近はこういうアニメが
あらへんから少年犯罪とかが多いんや、まったく。ボリボリ…」
手近にあった銚電名物ぬれ煎を頬張りながら独りごちる
「それにしても…マーフィ、ティコ、モッシュ、パトラッシュ、メルクル、ラスカル、アメデオ、バロン、
シーザー、もろもろ、プリティな動物がぎょうさんおって、ホンマいやらしいもんやで。バリバリ…」
「・・・」
「ん?メルクル、ラスカル…?」
「あーっ、そういえば高知を奪還するはずやったんや!なんやこの生活にわみ過ぎてすっかり忘れとったで!
四堂家恐るべし…」
食べていたぬれ煎を噴出し飛び上がる
「もう傷も完治したし、また活動再開といこか。せやけど、ネプチューンと本格的にやり合うとなると規模が
えろう大きくなるし、このままとはいかへんな。かといって同じ聖天とはいえ四堂家を巻き込むのは忍びないな。
あいつらの日常を壊したくないし…。うーん…」
ケルベロスは腕を組み暫く悩む
「よし!少し淋しいけど、わいとの記憶を消してここを出よか。あいつらの未来はあいつらのもんやしな…」
ケルベロスが何らや念じると淡い光が家全体を覆い込む
記憶を消し去る忘却の精神波である
「よし、これでええやろ。春風たちは家に入ったらワイのことだけを綺麗さっぱり忘れるはずや。
さよならは言わへん。聖天であればまたどこかで会えるしな。いろいろ楽しかったで。ホンマありがとな」
そう言いケルベロスは四堂家をあとにした


数時間後、夕餉の時刻
春風とヴァルの二人が帰ってきた
なにやらビニール袋を持っている
「それにしてもぉ良かったねぇ~ヴァルちゃん」
「おうさ、粘ったかいがあったもんさ」
「夏たちはぁ喜んでくれるかな?」
春風は袋を揺らしながら嬉しそうにヴァルに尋ねる
「もちろんだよ!きっとすごく喜んでくれるはずだよ」
「えへへ、そうだよね!」
「そうさ!」
ヴァルもビニール袋を揺らし、二人で楽しそうに笑い合う

二人が家の前に着くと、同じくして他の三人もちょうど帰ってきた
「おーい、春風姉にヴァルじゃない。二人して何してるの?もしや…」
秋奈が尋ねると、春風とヴァルは笑い合っている
「ニヤニヤして、また何か企んでいるんじゃないだろうな?全く、この前だって…」
夏夜が疑いの眼差しを向けると、二人が反論する
「違うわよぉ~もう」
「ふっふっふ…キミ達これを見てもそんなことが言えるかね?」
春風がビニール袋の中身を三人に見せる
「わーこれ伊達地鶏のモモ肉じゃないですか!すごいです!!」
中をのぞいた冬音が歓喜の声を上げる
「どうしたの冬音?そのお肉ってすごいの?」
「すごいものですよ!虚空に飲み込まれしまった県の幻の鶏肉なのです。もう存在すらしなかと
言われているものですよ」
「へーそれはすごいじゃないか。でもそんなものどうやって手に入れたんだ?」
「行きつけの肉屋さんが何かその筋の人らしくて、わたしと春風で頼んでもらったのだよ。
どうだすごいでしょう!」
ヴァルが誇らしげに説明する
「そうなんだ。それより久しぶりのお肉だーやったー」
「偉いぞ春風、それにヴァル」
「さすがです春風お姉ちゃん」
秋奈、夏夜、冬音の三人が喜ぶ
「喜んでくれて嬉しいわぁ」
「ね?言った通りでしょ」
春風とヴァルは再び嬉しそうに笑い合う
「早速夕飯の準備にはいろう」
家の中に入ると五人を淡い光が包み込む
「ん?、何か今変な感じがしなかった?夏夜姉」
「ちょっと違和感があったが、別になんともないぞ」
「わたしも何か感じましたけど…春風おねえちゃんはどうですか?」
「えーと、何ともないわよぉ。ね、ヴァルちゃん」
「うん!なんともないよ」
ケルベロスの忘却の精神波が発動したのだ
「うわっ!何これ!?部屋が散らかり放題じゃない」
部屋に入るとそこはひどい有様だった
「春風!これはどういうことだ?」
夏夜が怒る
「え~わたしじゃないわよぉ、知らないよぉ」
「朝、出て行くときはこんなになっていなかったぞ。春風」
「ホントにわたしじゃないわよぉ。信じてよぉ」
「あの、まだ春風おねえちゃんが犯人だと決まったわけじゃないですし…」
冬音が擁護にまわる
「じゃあ春風以外に誰がやるんだ?泥棒が入ったわけじゃないし」
「夏夜姉の言う通り、泥棒のわけないわよ。悲しいけど、家貧乏なのよね」
「そんなことより夕飯にしようよー」
ヴァルが話題を変える
「まあこの件は鶏肉入手に免じてこのくらいで許すけど、春風は責任を持ってちゃんと片付けること…
いや待て、春風にやらせたら余計ひどいことになるのが落ちか…私と秋奈で綺麗にするから春風とヴァルは
そこで正座して反省していろ」
「えっなんで私まで!?」
ヴァルがビックリする
「春風と一緒にいた連帯責任だ。あと冬音は夕飯の準備を頼む」
「分かりましたです…(ごめんなさい春風お姉ちゃん、かばいきれませんでした)」
「え~違うのにぃ」
「そうだ横暴だぞー」
春風とヴァルは隅で正座しながらブーブー言っている
夏夜と秋奈が部屋を掃除する
その時台所で夕飯の準備をしている冬音が声を上げる
「あれ?食器が一つ多いです。六個あります」
「どうしたの冬音?何かの間違いじゃない?ヴァルの分も含めて五個でしょ」
「ホントに一つ多いんですよ」
「ほらあれだ、予備の分じゃないのか?」
「そういえばそんな気もしてきました」
「あはは、冬音はドジだねー」
夏夜、秋奈、冬音の三人が楽しそうに笑い
しくしくしく…
部屋の隅で春風とヴァルが泣く
忘却の精神波が正常に働きケルベロスのことを完全に忘れたのだ

一方、四堂家に別れを告げたケルベロスは思い出したように声を上げる
「あ、部屋散らかしたままやった。なんや悪いことしたなー。ま、ええっか。もう過ぎたことやしな」
あっはは、と笑う

「さー唐揚ができましたよー」
四堂家のちゃぶ台にメインディッシュの唐揚の大皿が並ぶ
「よーし、一番のりー」
秋奈が早速唐揚に手を伸ばす
しかし夏夜がそれを止める
「ちょっ秋奈、それ何かけようとしている!?」
「何って、レモンですけど何か?」
「レモンってありえないだろう!唐揚の風味を殺してしまう」
「いや唐揚にはレモンでしょう!常識的に考えて」
「そんな酸っぱいものが常識なわけないだろう。おまえは酢豚にもパイナップルを入れるのか!?」
「入れるわけないでしょう!それ(酢豚パイナップル)とこれ(唐揚レモン)は別でしょ。何考えてるの?
馬鹿なの?死ぬの?」
「屋上へ行こうぜ・・・ひさしぶりに・・・きれちまったよ・・・ 」
夏夜と秋奈の争いの隙を突いてヴァルが唐揚に攻撃をかける
「いたたきま~す、だばぁ」
戦場に黄色い天使が舞い降りる
「「なっ、なんですとー!!」
夏夜と秋奈が愕然とする
「ん~!マヨネーズ最高~!!」
ヴァルがそれをおいしそうにほおばる
「貴様マヨラーか!」
「この邪教徒め!!」
そんなやり取りを春風は嬉しそうに優しく見守る
「うふふ、仲良しさんだねぇ三人はぁ」
「はい、春風お姉ちゃん。これはお姉ちゃんの分ですよ。別にしておきました。私たちも食べましょう」
冬音が唐揚の小皿を春風に渡す
「うん、ありがとう冬音ちゃん」
「えへへ~(褒められちゃいました)」

こうして四堂家に一つの別れが訪れたのであった
その後、現在の家が春風とヴァルの手により全焼することや、朔夜との出会いなどがあったりするのであった

「いや~四堂家を出てきたのはええけど今後どないしようかな~」
ケルベロスは夜の街をさまよっていた
「いま石油が下がっているから、ファーストクラスの飛行機つこうてゾンドトピアンに一度帰ろうかいな…
でもあそこにはお菓子やゲームがあらへんからな~。
とりあえず聖天の本拠地ってとこにでも厄介になろうか。せっかくこっちにきたことやしな。
そうと決まればヘレンesp第一巻でもお土産に買うて、そこへ行こか」
ケルベロスはふらふらと目的地に向かうのであった

「それにしても蒟蒻畑はどこのもあらへんな。ホンマに販売再開したんかいな?
こんなことやったら販売中止前にまとめ買いしとくんだったで…」

~四堂家の受難・離別編 完~
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