「ヒャッハァ!真ァ~ッ二つウゥ!」
二本の指が閉じた時、巨漢の男は音もなく二つになっていた
更に、その男は閉じた指を再び広げると、男たちを見てニヤリ、と笑った
「はい、チョッキン♪」
その場にいた黒服のたちは、一滴の血も流す事なく、絶命していた
男がした事は、二本の指を開き、閉じただけ
それだけであった
「ヒィヤァーッハッハッハッハハァ!紫閃滅鋏断だよぅ!?」
男の名はヴァイオレットキャンサー
概念すら切断すると言われる男。人呼んで、断滅の紫鋏
◆
さて、君たちは海が好きですか?私は嫌いです
塩水がベタつきますからね。そうそう、海といえば様々な生き物がいますね
そう、例えばサメ。サメは何億年も前から基本的な姿が変化していないのですよ
いわゆる一つの完成系なのかもしれませんね
あぁ?私の名前?申し遅れました。私の名前はヴァーミリオンシャークと申します
ええ、貴方達の敵です。以後、よろしく
何故海の話をしかたと言うとですね。私の能力に関係あるのですよ
あぁ、失礼。泳げますか?泳げないなら申し訳ない
どうしました?先ほどからピクりとも動かれませんが…
あぁ、死んでしまいましたか。まだ話の途中だというのに残念です
ですが残念ですね。私の能力はこれからが本番なのですが、溺れ死なれては少し退屈です
ちなみに私の能力というのはですね
ビルの屋上。長身痩?の男の前には四角い海が存在していた
その四角い海の中、死して漂う男達の身体が肉の塊に変わっていく
「これが私のヴァーミリオン・オーシャンです。この海は特殊な海でね。何でも食べるんですよ」
◆
茶色オックスは命がけであった
彼に任務を託した仲間は、彼を進ませるために、その妨害者となるものと今戦っている
仲間の思いを無駄にしないためにも、彼は走った
既に目的の場所には凄まじい数の人がいる
まさかこれほどとは…
茶色オックスの頬に一筋の汗が流れる
これは…時間との戦いである以上に自分との戦いだな、と思う
彼の前に立つ人間は順番に消えていく。当然だ。そういうシステムなのだから
そして彼の番がきた
「リトルバスターズエクスタシー、6本」
彼は予約券を6枚取り出すと、目的のものを買う
亡き二人の友の分、狂った友の分、そして今、長蛇の列に嫌気がさし
小遣い欲しさに適当なヲタク狩りを始めた二人の友の分、だ
2008年夏 日本は平和だった
十六聖天外伝 ~今は亡き聖天士の友の話~
最終更新:2009年03月04日 02:57