十六聖天外伝 雪月華の章 第八幕


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「真・十大聖天だって!?」
「その通りです。金色の魔眼とアリスちゃんだけ回収しにきましたの。“目玉だけ”頂けませんこと?」

姉さんの狂気を孕んだ言葉が終わるや否や
楽さんが姉さんの背後に回り込み、拳を姉さんの背中に密着させていた

「むぅ…流石は楽。一瞬で距離を詰め背後を取るとは…」
「出来ておる…出来ておる楠、楽は」
「外道。動くとその臓腑を討ち貫くアル」
「あらあら。おっかないです事。嫌われ者と聞いておりましたのに意外、ね?」
「好感の問題ではないアル。幼き子供の目を奪うという所業。そしてそれを楽しまんとする声色。そんな輩は放置
しておけんアル」
「ふふ…。意外とお人よしなのね、十六聖天は。けど怖いわ――」

ハッと気づいて私は叫ぶ。姉さんの力は!

「楽さん!その声を聞いちゃダメッス!!!」
「その“拳”下ろして下さらない?」
「ダメ!楽さん聞かないで!」

だが私の叫びも空しく、虚ろな目をした楽さんの拳はゆっくりと地面に下ろされた

「ふふ…いい子ね。それでは聖天士の皆さん、さっさとその魔眼の少女を渡してくれないかしら」
「何…!?どうした楽!」
「拳聖の異名の他にも、玩具売場の5歳児の異名を誇る楽が、敵に対してあんなに素直になるだと。ありえん!」


聖天士の間に動揺が走る。無理もない。だが
 サイレントノイズ
“海魔女の唄”姉さんの操る必殺の声。その声を聞いた者を催眠状態にする恐ろしい能力
流石の楽さんも、それを聞いてしまったが最後、姉さんの命に従うしかない…

「皆さん、姉さんの声を聞いちゃダメッス!」
「なるほど…こいつが報告書にあったサイレントノイズって奴か…」
「オックスいいぞ!そうだ、突き破れ、鼓膜だ!」

聖天士の中に混乱が走る。無理もない。だがそんな混乱の中
その声は静かに、だが力強く部屋中に響き渡った

「残念ながら、あの子達はあんたらの探せる世界にはおりません
 それにあんたらとの戦いに参加させるつもりはありません」

突然の奇襲にも全くうろたえた様子が見られない西園寺さんは
お茶を飲み干すと、静かに雪子姉さんを見据える

「そうですの…。仕方ありませんわ。なら手土産に貴方達の首、頂けますかしら。“眠れ”」

咄嗟に私はサイレントノイズを防ぐべく、音による相殺を試みる
完全に相殺しきれず、身体に力が入らないけど、なんとか眠らずに済んだ
私が無事ならば、きっと月子姉さんも無事だろう。だけど他の人は…

「ふふ…だらしないわね、十六聖天。さ、適当に寝ている人の首をいくつか跳ねるとしましょうか」

聖天士の首を引き千切ろうとした姉さんの足元に、一条の閃光が走る

「だらしがない、か。全くだな。その様な連中の首など好きにもっていけばいい」
「言い過ぎだぜそりゃ。素直じゃねーなァ!」
「黙れ、木下」

不機嫌そうなカイザーさんと苦笑いを浮かべている木下さんが、そこに居た
そんな二人を見た姉さんは、妖艶な笑みを浮かべる

「あら。少しは骨のある殿方もいらっしゃったのね」
「下位の者ならいざしらず、我らにそのような攻撃が通ずると思ったか」
「そういうこった。次元転位しちまえば聞こえやしねぇ!」
「貴方達二人を相手にするには、少し骨が折れそうね。引かせて頂きますわ」
「笑止!この私が逃がすと思ったか!木下ッ!」
「へいへい」

カイザーさんに応じて木下さんの姿が消える。別の次元に転移したのだ
どこから攻撃が来るのか流石の姉さんもこれでは分からない。それに付け加え
恐らくカイザーさんも全方位攻撃を開始するだろう
だが姉さんは、そんな状況にも関わらず涼しい顔をしている。おかしい。何を考えて…

「ふふ…。もう少し知恵を使っていただきたいわね“さぁ、私を逃がすために戦いなさい”」
「…ッ!?」

私たちの目の前で
眠っていた聖天士達がゆっくりと起き上った
十六聖天外伝~雪月華の章~第八幕
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