十六聖天外伝 雪月華の章 第十幕 破ノ急


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―おい、いっけい!生きてるか!?おい!
当り前だろ…俺が死んだらお前も死んでるだろ…
―いや、俺は生きてるよ。お前が死んでも
マジかよ…
とりあえずお互い、軽口を叩く余裕はあるらしい。けどなんで…?
あぁ、ダメだ。力が入らねェ…
あれ…誰だろう、俺をおぶってくれてる…?
あぁ、お礼を言わないと…お礼…を…


「また貴方達なの…?決着の瞬間に割って入るなんて、随分無粋ね」
「悪…な? 色々…。こいつ等を死な…来ねェな」

声が…聞こえる。声が…。誰…?
けど私…この人達の声知ってる…気がする

「そう簡…は行かね…だよ」
「あら、なら次は貴方達が相手をしてくださる…?」

「冗談…年増…味は…よ」
「同じ…パス…あばよ」

頬に風を感じる…速い…乗り物…?
ううん、違う。暖かい…。懐かしい感じがする…

「がんばれよ、十六聖天」
「じゃあな、花子」

その声は、確かに私の耳に届いた


「あれ…今のは…夢?」

アレ?ここは何処だろう…私はなんでこんな所に…
確か学校にいたはずなのに…学校…?

「オーゥ。花子。気が付きマシター?」
「あれ…トムさん…?」
「イェース。トムデース」

なんで…?
アレ…私は…
そんな私の脳裏に月子姉様の血で汚れた髪の毛が浮かぶ。

「姉様…!! トムさん!姉様を…姉様を探してくださいッス!」
「オーゥ…花子。そんなに怒鳴らないで下サーイ。イヤーがクレイジーデース」
「ご、ごめんなさいッス…」

トムさんは、「とりあえず落ち着クデース」と言い、私にスープの入ったマグカップを手渡す
良い匂い…。トムさんは「ポタージュスープデース」と一言付け加えてくれた
暖かいそれは、身体を芯から暖めてくれて、私を落ち着かせるには十分だった
「訳を話してクダサーイ」と言うトムさんに、私はこれまでの経緯を説明すると
トムさんは一言

「任せるのデース」

と言い、私に休むように伝えると姿を消した
姉様…。三人一緒に笑える日が来るよね…
すごく瞼が重い…。疲れてるのかな…。三人…一緒に…


「華京院の長女、か…」

燃えるような豪奢な金髪の男は、同じく黄金色に燃える夕日を見て呟く

「月子には済まない事をしたと思っている」

冷たい輝きを放つ銀色の髪の男は、そう言うと金髪の男に背を向ける

「行くのか、カイン」
「彼女に指示を出したのは俺だ。その責任は取る」

元凶を断ち切る。そんな決意を感じる後ろ姿に、カインの兄であるアベルは
変わったものだな、と改めて弟の変化を思い知らされる
だがそんな時である

「お待ちください。それはなりません」

薔薇を伴った風が、夕焼けをも覆い尽くす
薔薇を口に咥えそこに立っていた男。彼こそはかつて明智光秀と呼ばれた男

「どういう事だ、フェルナンド」
「どけ、フォルケンシュタイン」

アベルとカインが同時に口にしたその名前
その名こそ、明智光秀の現在の名。フェルナンド・フォルケンシュタインと名乗る男は
聖天最強の兄弟に恭しく一礼する

「アベル様、カイン様。それはなりません」
「だから何故か、と聞いている」
「その通りだ。事情を聞かせて貰いたい」
「父君様からの指示です」

父…!全宇宙を1秒で塵に変えれると言われている西園寺の技すら
次郎と同じく基本の技!と一笑する彼らの父!十六聖天の裏一位にして全てを滑る宇宙最強の存在
明確な正体すら不明な彼の前では、最強の兄弟と言われる彼らも大人しくその指示に従う他ない

「いいだろう。それは聞き入れてやる。だが何故だ。何の目的で」
「敵勢力により既に犠牲は出ている。しかも得難い人材を損失した可能性すらあるのだ
 これ以上奴らを野放しにしろというのか?」
「考えがある、と…。そう仰られておりました」
「考えだと?」
「はい。それ以上は何とも…」

父の考え、か…。それが必ずしも十六聖天に利をもたらすとは限らない
だが、今はそれを信じるしかない。過去に何百何千と同じような事があった
今回もそれを信じるしかないのだろう
だが

アベルとカインの胸の奥では、悲しみに暮れる花子の姿と、彼女への悔恨の念が渦巻いていた
彼女だけではない。年若い少女達が余りに前線で血を流し過ぎている…
父への疑惑と疑問。二千年以上の時を生きる彼らに初めて生まれた感情であった

そして月日は巡り、真十大聖天との戦いも激化の一途を辿る時
“それ”は訪れた

十六聖天外伝 雪月華の章 破ノ急
ちなみにセーラー服とブレザー、どっち派なんだい
クリムゾンブロウ曰く「この二人が溺れてて、どっちかしか助けられないとしたらどっち助ける?」
ブラックパイソン曰く「俺も一緒に死んで天国で三人仲良く暮らす」
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