悲しみの瞳の少女③


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「・・・あ、よく考えたら俺ジェット使わなくてもドバイに行けたんじゃん」
ドバイ行きのキルリアン家所有ジェット機の中でバックトゥザフューチャーのDVDを見ながら
粉末ソーダを飲んでいたギデオンが思い出したように声を出した
「全員連れてドバイに行くくらい俺できたよ!何で誰も言ってくれなかったわけ!?」
「今更何言ってんスかギデオンさん」
そんなギデオンに隣の席から映画を覗き見していた花子が画面から目を離さずに突っ込みを入れる
「ここまで来てそんな事言われたって仕方ないしー」
同様に後ろの席から頭越しに覗き見していたムーも突っ込みを入れる
「そんなに早く行ってもまだ何も来ていませんよ。それに発掘作業もまだ終っていません」
そんな仲良し集団のような所と通路を隔てて反対に座っていたリーナが冷静にコメントを返す
「そ、それにほら!こー言うのって何だか修学旅行みたいで楽しいじゃないですか」
ムーの隣に座っていたいっけいがフォローを試みるもそれはフォローになっているのやらいないのやら
「一斉に突っ込まれたよ俺」
そんな時
「ヘイ木下!細けー事グダグダ言ってんじゃねーぜ!」
突然何の空気も読まずに割り込んでくる女声なのにやけに威勢の良い声
その人物はこれからドバイの砂漠に向かうというのにジャージ姿で座席の机に置かれた大量のお菓子類を
さっき機内食を食べたばかりだと言うのに太るなんて事少しも考えない勢いでバリボリ食べながら
斜め前のギデオンに上手い棒の空き袋の入ったビニール袋を投げつけた
「ぶわっ!汚っ!?カス飛び散りまくりじゃねーかよ!」
当然袋と共に拡散(スプレッド)された上手い棒の食いカスをモロにくらいギデオンは体をパタパタした
「つーか何故あんたまで着いて来るんだ!?ジョンのママさんよ!」
そう、今までの傍若無人の数々を行っていた女性はジョンママその人であった
「ママだぜっ」
「だから知ってるよ!それになんだそのお菓子の数は。おやつは一人300円までって」
「うるせーーーんだぜっ!スコットランドじゃおやつは一人300万円までって相場が決まっているんだぜ!
 おやつにドリアンは含まれないんだぜ!」
「あんたは駄菓子屋のいんちきオバサンか!」
オバサンという単語に一瞬ピクリと反応するママを見て花子が珍しく気を利かせて他の話題を振り
ママの放たれ始めた怒気を払いにかかる
「ところでママさんが出てくるなんて珍しいっスね。どうしたんスか?」
基本的におしゃべりで話好きのママはさっきの無礼発言など一瞬で忘れて新たな話に入った
「あたしも人の子、ママとしてたまにはモヤシとネス子を二人きりにしてやろうって言う憎い親心なんだぜ」
「へ~、ただドバイで遊びたかっただけじゃなかったんだー」
「バレちまったぜ」
「早っ!?」
「ところで、さっきから何かアルスラーさんが一言も口聞かないんですけど
 これ目開けたまま眠ってるとかじゃないですよね?」
いっけいにそう言われて皆の視線が一斉にリーナの後ろでずっと無言で座り続けているアルスラーに注がれる
「・・・」
アルスラーが何か伝えた気に蚊の鳴く様な声で言っているので通路を挟んで隣のいっけいが耳を近づけると・・・
「え?こんな鉄の塊が空を飛んでいるのが信じられなくて緊張で酔った?」
そう、さっきから一言もセリフが無かったアルスラーは人知れず飛行機酔いを我慢していたのだ!
決して著者がアルスラーの性格をよく把握していなかったからとかそう言う理由では断じてない!
「今時珍しいモヤシっ子なんだぜ。ヘイ!衛生兵!衛生へーーーい!」
「ん、え?衛生兵ってボクですか?え、エチケット袋エチケット袋・・・」
「急がないとまずいっスよ。アルスラーさんのホッペが膨らんでるっス」
「ヘイ、モヤシっ子。通路の方を向いとくんだぜ」
「な、なるべく吐かないで頂きたいのだが・・・」
「健吾ちゃん連れて来なくて良かったねー」
「案外甲斐甲斐しく介護したかもよ?アレであの娘純情だしよ」
「それよりみんな手伝ってよ!ボクのエチケット袋ビニールに穴空いてアー!」
そんなこんなでドバイに到着した一行であった
「ようこそようこそ、十六聖天の皆様遠い所を良くいらっしゃいました」
そう言って空港で出迎えたのは小太りの見るからにアラブ人してるやや胡散臭い人物
ドバイの支配者大魔術師マダラ・マハラジャであった
「この度は氏のようにご高名な魔術師にご協力頂き感謝致しております」
リーナが先頭に立って挨拶する
「いやいや、探索はあまり得意な分野ではなくてね。時間がかかってしまいこちらこそ悪い事をした」
「いえ、氏の風の精霊との交信術なくしては今回の発見は有りませんでした。本当に感謝しています」
「それもキルリアン家の財力と尽力あっての事ですよ」
そんな会話を後ろで聞きつつ一同はヒソヒソ話をしていた
「なんスか?このいかにも政治的義務的会話は」
「これが大人の世界ってやつだぜ」
「人間ならもっと心のままに生きたいよねー」
「ママはそうしてるぜ」
「そりゃアンタだから出来る生き方だろ」
「褒められたんだぜ?」
「静かにした方が良い。我々もあいさつするぞ」
リーナが一通りの挨拶と謝辞を終えてマダラ・マハラジャはギデオンたちの方に視線を移してきた
「お初にお目にかかるっス。十六聖天十四位、花子っス」
こう言う時流石の社交性と言うか、花子がまず挨拶をした
「十六聖天第四位、ギデオン・トリプルプレイ・グランドスラムだ」
「コイツの事は木下でいーんだぜ」
「ちょ!」
「あたしはママだぜ。十六聖天でも何でもねーんだぜ」
「は、はぁ・・・」
初対面の人への自己紹介だと言うのにあまりのフリーダムっぷりに
一同もマダラ・マハラジャも焦った所をいっけいが自己紹介で元の空気に戻そうと試みる
「は、初めまして!ボクは十六聖天裏第六位、明楽いっけいと申します。よろしくお願いします」
「出来たガキなんだぜ。家のモヤシも見習わせたいぜ」
「あたしはー、十六聖天裏五位のムーって言いますー。宜しくねオジ様ー」
「私は十六聖天第九位のアルスラー・ナッシュだ。短い間だが宜しく頼む」
「みなさん初めまして、私はマダラ・マハラジャと申す者です
 キルリアン家には色々とご厄介になっております。ご協力できる事でしたら何なりと言って下さいね」
「じゃあ一先ずあたしをカジノに連れてってなんだぜ」
「・・・誰ですかこの人の同行を許したのは」
「ま、まぁ良いじゃないですか元気があるって事は。当ホテルのカジノへご招待致しますよ」
若干の不安要素を孕みつつ
十六聖天のヴァジュランダ探索隊警備は始まったのだった

悲しみの瞳の少女③ -終り-
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