悲しみの瞳の少女⑤


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「な、なんっスかいったい!!?」
「きたみたいだねー」
花子とムーがその爆発に気づいた時、上空から一匹の獣が降って来た
ズズーーー…ン!!!
「な!こ、今度は―」
あたりに立ち込める土煙の中から現れる醜悪な姿
その姿は精神のまともな人間が見れば思わず目を覆いたくなるような不気味で不自然なものだった
「何スかあの化物は・・・」
「わたしちょっと気持ち悪くなっちゃたかもー・・・」
そんな率直な感想を述べた所で二人は先程の爆発を思い出し既に来ているもう一人の敵の存在に気付く
「じゃ、じゃあ私がこの化物の相手を」
「こいつの相手は私がしてあげるよー」
自分の方が年下と言う事から
殊勝にもこの目の前に降り立った不気味な獣の相手をしようとした花子であったがムーがそれを遮った
「い、良いんスか?」
「ん~パンチぶち込むにはちょっとばっちい相手だけどねー
 何か見た目物理攻撃が利きそうな相手だから」
「そ、そうっスか。じゃあ私はあっちの爆発した方に行くっス!」
「お願いね~」
ヒラヒラと手を振り見送るムーに動き出した獣が意外な程静かに間合いを詰めて行く
「うお!」
瞬間的に銃口の向きから身をかわしガトリングの掃射をかわしたいっけいは同時に水筒のキャップを開け
いつも持ち歩いている己の血液を霧状に変えて自分の前方的と相手の間に陣のように張った
「明楽流血闘術・紅ノ螺旋(レッドツェッペリン)!」
攻防一体のこの法術は己の身を隠すのみならず盾にも槍にも変幻自在の技である
敵の攻撃方法がどうやら重火器による物だと初手で推察したいっけいは
自分の十八番であるこの技を戦いの布石として使用したのである
「可視光によるロックオン不能。赤外線センサーによる攻撃に移行する」
「へ?」
ブオオオオ!!
再び火を噴くガトリングから鉛弾の嵐を受け再びギリギリの所でかわすいっけい
「法術で気配も読めないはずなのに!何でこっちが見えるんだ!?」
いっけいがかわしている間に女はパンツャーファウストを捨てもう片方の手にもガトリングを手にした
「やっば!」
瞬間的にいっけいは己の血液に法術を流し反応速度を上げる
明楽流血闘術・揺(ロック)である
女の両手から繰り出される鉄の暴力を瞬間的爆発的身体操作でかわし
一気に間合いを詰めるいっけいであったが少女の武器はそれだけではなかった
「とったー!」
「目標捕捉」
「え?」
両腕がガトリングガンで塞がった女は近づいたいっけいの次なる技明楽流血闘術・偉大ナル死(グレイトフルデッ
ト)
をかわす事は出来ないはずであった
この技は敵の血液に法術を流し逆流させる事で心臓を破壊すると言うエグイ技であるが
法術を流すまでにタイムラグが存在した
しかしいっけいは相手が女と言う事もあり一瞬だけ流し気絶させる程度で済まそうと考えていたのだが
バシュ!
「ぐわあぁ!」
手を伸ばした瞬間女の腕からナイフのような鋭い刃が出て斬り付けられたのである
そして続けざま女の左膝が割れ散弾が発射された
「サイボーグ・・・いや、アンドロイド!?」
通常の相手なら強力な重火器を使っていようとも1体1の状況でいっけいが後れを取る事などありえなかった
しかし相手は
バシュバシュ!
「しまった!」
横っ飛びに逃げたいっけいだったが女のチェーンパンチに捕まり地面に叩き落される
「ぐっ・・・」
「目標捕獲」
両腕を掴まれ女の下へ引きづられて行くいっけいであったが紅ノ螺旋の霧は女のすぐ近くまで流されてきていた

「ナ・・・ナナちゃん・・・」
爆発現場に着いた花子の前に待っていたのは
かつて失ったと思っていた仲間ナナエル・リキテンシュタインの姿だった
ボンッ!!
花子が咄嗟にかわした空間に突如として爆炎の花が咲く
かわしていなければ間違いなく黒焦げになっていた位置である
「あなた、十六聖天ね」
「え?」
「私はアポカリプス・ナウのコマンダー「停滞」のヘルフィヨトル」
「な、何を言って」
「大人しくヴァジュランダを差し出すなら痛い思いをしなくても済むわ。さもなくば・・・」
ナナエルの実力は良く知っている花子である
まともにやり合えばただではすまない相手、その上彼女はアポカリプス・ナウの軍服を着ているとは言え明らかに・・・
「ま、待って欲しいっス!ナナちゃんっスよね!?私っス!花子っスよ」
「お前が十六聖天十四位華京院華子である事は知っている
 ヴァジュランダを渡すのか?渡さないのか?それを聞いているのよ」
まるで花子の事などまったくの他人のような態度を取るナナエルに花子はまるで思考が追いつかない
「ヴァ、ヴァジュランダはまだ見つかってないっス
 それよりナナちゃんどーしちゃったッスか?何があったんスか?」
自分が重要情報まで漏らしてしまっている事にも気付かずに混乱する花子に近づいてきたナナエルは
無造作に花子の襟首を掴むとそのまま片手で持ち上げ詰問する
「く、苦しいっス・・・」
「見つかっていない?そう、まだ発掘途中なのね。でもそれって本当なのかしら」
混乱から抵抗できないでいる花子を持ち上げたままナナエルは続ける
「あなた達は実はデコイで、もう既にヴァジュランダは本命達に護衛されてどこかに運ばれているのかも」
そこまで言ってナナエル、いやヘルフィヨトルは花子を軽々と放り捨て発掘現場に足を進めようとする
「とにかくあなたじゃ話になら無い事は確かみたいね。通してもらうわよ」
「・・・させないっス!」
しかし花子は立ち上がりヘルフィヨトルの前に立ち塞がる
「何?今更何かするつもりなのかしら」
「あなたがナナエル・リキテンシュタインでももう関係ないっス・・・
 十六聖天として、アポカリプス・ナウの者は絶対にここを通さないっス!」
「オバカな子・・・」
今ここに、運命に翻弄された少女達の悲しき戦いが始まろうとしていた

                       悲しみの瞳の少女⑤ 終り
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