悲しみの瞳の少女⑥ 前編


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悲しみの瞳の少女⑥ 前編

バババキバキバキンッ!
「なん・・・だと・・・」
「損傷極めて軽微。敵戦力値-30%の補正」
チェーンパンチに捕まりアンドロイドの元まで引きずられたいっけいは紅ノ螺旋の霧が近づいた決定的瞬間
確かに敵の急所を血針とかした紅ノ螺旋で貫いたはずだった
しかし・・・
ジャキン!
現実は血針が全て折れ元の血となり四散。胸を足で踏みつけられ地面に磔にされたいっけいが
今まさに止めを刺されようとアンドロイド・ブリュンヒルデの高周波ナイフを喉元に突きつけられていた
「十六聖天裏六位明楽いっけい、デリートします」
高周波ナイフが振り下ろされたその瞬間
バキイイィーーー・・・ン
「損傷甚大。戦力低下-40%」
いっけいの片腕を押さえつけていたチェーンアームのチェーン接続部は見事に両断され
振り下ろされた高周波ナイフもバラバラに砕け散っていた
「出力40%版王ノ赤(キングクリムゾン)だぜ」
ブリュンヒルデが高周波ナイフを振るうために放した片腕でいっけいは既に自らの切り札王ノ赤を作り始めていたのだ
「カーボンナノファイド装甲以外の部分を狙われるなんて・・・」
「紅ノ螺旋の血針はお前を狙ったわけじゃない。自分の手首を狙ったんだぜ」
自らの血液を法術によって凝結させ刃と成す明楽流血闘術・王ノ赤(キングクリムゾン)
直に法術を流し続ける分その強度は他の術より飛躍的に上がるが大量の血液を消費しなければ作れない
ブリュンヒルデに捕まった瞬間からいっけいは二段構えの反撃策を用意していたのである
「しかし明楽いっけい、あなたもその出血量ではもう先程のようにはかわせません」
そう、この技はいっけいにとって強力無比だが大量の血液を必要とする正に切り札と言える術
この技を出したからには早急に接近戦で決着を付ける必要があった
だが
「なんだ。普通の喋り方もできるんじゃないか」
「?」
明楽いっけいはブリュンヒルデの破壊された腕から流れる赤いオイルを見ながら語りかける
「君のその腕の血と感情的になった言葉、俺は君のような・・・女の子と戦いたくない」
「あなたの言っている事が理解できません。時間稼ぎはあなたにとって不利な筈
 そして私は女性型ではありますが"女の子"と言う生物カテゴリーには属さない」
再び戦闘態勢をとって構えるブリュンヒルデ
「私の任務は十六聖天の抹殺。相打ちになってでも倒せとのお父様の命令です」
しかしいっけいは逆に構えを解き無防備なままブリュンヒルデに近づいてゆく
「そんなの間違ってる!俺は君に心を感じた。君の攻撃にはずっと迷いがあったからだ
 君は優しい女の子の筈だ!」
「なにを・・・何を言って・・・私は・・・」
両肩を掴み真剣な顔で訴えかけてくるいっけいにブリュンヒルデは何も出来ない
五感の一つ触感に熱い血と痛いくらいの力を感じる
こんなに自分に真剣に話しかけてきた人間がかつて居ただろうか
彼は何のためにこんな事をしているのだろう
自分は何故目標を前に何も動けないのだろう
ブリュンヒルデの思考が初めての感覚に支配されかけた時
ピーーーーー
『ガッ ブリュンヒルデ、作戦変更だ。ウンターネーメンベーに移行しろ』
「お父様・・・了解」
それを遮るようにマスターであるお父様、ファウストからの指示が入った
バシッ!
「うっ」
「私に・・・近づくな」
貧血で遠ざかる意識の中
肩の手を払い白煙を上げながら空へと消えてゆくブリュンヒルデを見て
いっけいはその場にドウと倒れこんだ

悲しみの瞳の少女⑥ 前編  -終り-
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