十六聖天外伝 多分10話くらい


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「私は“赤の女王”のコアユニット」
「私はコアとしてここに“在る”だけでしたから現在の状況は理解していません」
「ですが、外殻…防衛システムが破壊された、という事は貴女は敵なのでしょう」

目の前に立つ、赤い女王
その冷たい瞳を前に、アリスのすべてを終わらせるという気持ちは霧散してしまった
考えなければいけないことは山ほどある。ここにいる以上間違いなく敵なのだ
だがそれでも、アリスは口に出さずにはいられなかった

「お母さん…?なんで…」

それに続く筈の、「死んだはずじゃ…」という言葉が出てこない。目の前に立つ母が事実を告げられると
亡霊のように消えてしまうようで、どうしてもその一言が口に出せない
目の前の母が敵だということはわかってる。その絶望的な状況を呪う気持ちもあるし、認めたくないという気持ちもある
それでも、それでもアリスは目の前に母がいる事、そして母が生存していた事実が嬉しかったのだ
だが、そんなアリスの複雑な思いとは裏腹に、ルイス・キャロルの反応は皆無に等しかった
否、皆無といっても過言ではない

「お母さん?残念ながら私は貴女とそういう間柄ではありません。ミラーワールド」
「!!」

ミラーワールド。かつてのアリスのコードネーム
その名で呼ばれることは慣れていたが、母の口からその名で呼ばれる事に
アリスは大きな戸惑いを覚えていた

「話は済みましたか」

召喚していた獣たちが殺気を感じ取って一斉に戦闘形態を取る
だがアリスは、そんな獣を制していた。頭では理解しているのだ。解き放ち、戦うべきだと
理解していても、どうしてもその命令が下せなかった

「やめて!お母さん」
「その獣達を解析する限り、精神世界を現実に投影して戦うタイプと判断。戦闘能力指数レベル7と判断」
「それでは私はOrder:アクセルロッドにより、貴女を排除します」

ルイス・キャロルの手から、すさまじい閃光が迸る
それに反応するように、召喚された獣達はアリスの静止を振り切って戦闘形態に入ろうとする獣たち

「ダメ、みんな!やめて!!!」

一瞬の煌めきの後、アリスの目に最初に飛び込んできたのは
アリスを攻撃から庇っている獣たちの姿だった
攻撃できないなら守るまで。ワンダーワールドから引き継がれた不思議の国の獣たち
彼らは亡き主人の意思を継ぐかのように、アリスを攻撃から守り抜いたのだ
その結果、グリフォンやキングオブハート等の上位種以外は悉く消滅してしまっていた

「あ…あぁ…みんな…」

わかっていたのに。母は敵だとわかっていたのに…
自分のせいだ。自分の甘さが、この子達を死なせてしまった
時が立てばまた呼び出すことも出来るだろう。それでも、死なせてしまった

アリスの瞳から、大粒の涙がボロボロとこぼれ出す
だが、そんなアリスの涙を、キングオブハートは拭い、アリスに手を差し出していた
「共に戦おう、と」
キングオブハートに表情等ない。だが間違いなく
気にするな、と笑いかけていた
この子達の為にも戦わないと。この子達を私に託して
私に命をくれた妹の為にも、自分は死んじゃダメだ

自分の向けられたキングオブハートの手を握り返そうと、アリスはその手を伸ばした
だが、その手は“するり”と空を掴んだ

「え…」

キングオブハートの代わりに、瞳を閉じた母が目の前に立ちふさがっている

「ミラーワールド。あなたの力は通じません。私は全てを生み出し、全てをキャンセルする」

その言葉が終ると同時に、残されていた獣たちが音も立てずに消えていった

「そん…な」
「ドリームワールド。私に実装された能力。夢はいつか必ず覚めるもの。夢の時間は終わりです
 あなた達アリスナンバーズの能力はこの私には」

足元で項垂れているアリスに向けて瞳を開き、一言

「通じません」

見開かれたルイス・キャロルの瞳は、どこまでも冷たかった

多分10話くらい 完
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