十六聖天外伝 雪月華の章 第三幕


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おねえさま、ゆきこおねえさま…!」
「あらなぁに?どうしたのかしら、華子」
「つきこおねえさまがね、はなに虫をなげてくるの!」
「あらあら。困ったわね。月子、華子を苛めちゃあダメでしょう?」
「だって、華の反応が面白いんだもん…」
「けどね、華子。あなたも華京院の娘。こんな事で泣いているようじゃダメよ…?」
「お前を泣かすのはこの私の仕事なんだからなァ!この愚図がァッッ!!」



「!!」
夢…だったのか…。幼い日の記憶。楽しかった頃の思い出…
そして…
「夢じゃ、なかったんだ…」
包帯の巻かれた自分の身体が、姉に殺されかけた現実を現していた
「目が覚めたのね」
声の方に目を向けると、もう一人の姉、月子が食事の載った盆を持って立っていた
「月子…お姉さま… あの…!」
「今まで何処にいたのか、そしてここは何処なのか、あれからどうなったのか…
 聞きたいのは、そんな所かしら」
華子が聞きたかった事を察して月子は先に答えていた
「ここは華京院の隠れ屋敷。その存在は本家でも一部の者しか知らないわ
 そして私は常に貴女の影として、貴女を見続けてきたわ」
「やっぱり月子お姉様は凄いや…。ううん。雪子姉様も…。なんで私なんかが…」
「アベルとカイン…。旧約聖書の人物。兄が弟を嫉妬の末殺したと伝えられるわ」
「…?」
「私たち華京院家は、そのアベルとカインの血を色濃く残す一族。兄妹が生まれたら
 最も年下の者が家督を継ぐような仕来たりは、案外そのカインの贖罪なのかもしれないわね」
自分は当主なのに、そんな事すら知らなかった。聞かされていなかった。無理に調べることもなく
逃げ続けていた…
「けどね、華。私は貴女が当主になる事には何の反対もないし、相応しいと思っていたわ
 あなたは私たちの中で、最も優しくて、思いやりのある子。上に立つ人間に必要なのは強さだけではだめなのよ」
「月子お姉様…」
姉は、こんな自分でも相応しいと言ってくれる。その言葉に花子の瞳から雫がこぼれ落ちる
「けどね、華。今のあなたは相応しくない。着替えて表へでなさい」
「え…?」
「三味線は、使える程度には直しておきました。華京院の秘伝の薬のおかげで、傷の痛みもほとんどないはず」
姉は何をいっているんだろう。今何と言ったのだろう。どういうつもりなのだろう
「…華京院月子が、現華京院家当主、華京院華子殿に決闘を挑みます」


―シュル 浴衣を脱ぎ捨てると花子の白い肌が外気に晒された
―シュル 姉に渡された着物を着、帯を締める
どうして、こんな事に。お姉様は私を助けてくれたんじゃなかったの?
お姉様と戦うなんて私には出来ない…出来ないよぅ…
それでも、花子は外に出た。それが自分に出来る最大限の努力だ。
話し合えばきっと分かりあえる。そう思って、外に出た。月子の待つ庭に…
―シュッ! 風を切る音に、花子はとっさに反応してみせた。音の障壁に弾かれ、カンザシが一本、足もとに突き刺
さる
『よく反応できたわね、華。まずそれに敬意をそして貴女にお別れを…』
音使いである花子の耳を持ってしても、姉の声は何処から聞こえてきたのかわからない
「月子お姉様…!何故なのですか?何故貴女まで私を…!」
『…華、もう戦いは始まっているのよ。あなたは飛んでくる銃弾に対してまでも、何故?と理由を聞くの?』
それでも戦いたくない。姉妹で…大好きだった姉と戦うことなんて絶対に出来ない。それがたとえ敵だとしても
「でも…でも私は…お姉様を傷付けたくなんて…!」
『優しいのね…華』
月子の声が僅かに悲しみの色を帯びたように感じるのは、気のせいだろうか
『けど、今の言葉は思いあがりね。まるで、貴女が私に勝てるかのように聞こえるわ』
再び風を切る音。
すべて音の障壁で叩き落とす
『華京院の次女としての私の力…音の爆弾で永遠に眠りなさい、華…』
花子の四方に突き刺さったカンザシから、超高周波が放たれ、花子は光に包まれた…



「マジ無理。これ硬すぎじゃね」
「けど基本ジャムとかないと食パン雑魚じゃん」
「だって俺の手、もうこんなに赤い」
昼食を前に、危機に陥るクリムゾンブロウとブラックパイソン
彼らは無事食事にありつけるのか。そして硬すぎる瓶の正体とは
十六聖天外伝 雪月華の章 第三幕 終
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