十六聖天外伝 雪月華の章 第六幕


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前回までのあらすじ
花子は月子との戦いに勝利し、自害しようとする月子を止めて気を失うのだった
一方クリムゾンブロウとブラックパイソンは
週刊少年チャンピオンにヘレンESPが再開されているという情報を聞きつけ、平静さを失っていた



「おはよう、華」
「え…あれ… お姉様…?」
ここは…?と辺りを見回して初めて気付く、自分は気を失っていたのか…
「…って近ッ!」
どうやらあの戦いの後、月子は花子に膝枕をしながら介抱していたようだ
「貴女のおかげで風邪を引くかと思った。あの着物はお気に入りだったんだけどね」
なるほど、冷静に考えたら姉の服は自分が切り刻んだのだった。という事は裸でずっと自分を介抱してくれていたのだろうか。
申し訳なさやら何やらで、花子の顔は火を噴きそうだった
「あ、あの。本当に申し訳ないッスですっていうか、ごめんなさ」
「見事でした。私の負けね、華」
慌てふためく花子の頭を膝に押さえつけて、髪を何故ながら姉は続ける
「懐かしいね、華。昔はよくこうやって貴女の髪を撫ぜてあげていたね」
「月子お姉様…」
「…華京院のしきたりに従って、貴女が家を継ぐ事になった後、私は貴女の影になる事を言いつけられた」
「…ごめんなさい…」
「ううん。勘違いしないで。私はどの道、自分からそうなるつもりだった。ずっと見守っていたの
 けど雪子姉さんが貴女の前に現れて、貴女を殺そうとしたのを見て私は決めたの」
髪を撫ぜる姉の手が震えている
「貴女は甘すぎる。そんな事じゃ、これからの激化する聖天戦争を生き残れない。だから私を糧に強くなって貰おうと」
「…糧…?」
「貴女にはね、私を討ってほしかった。そうすれば、少なくとも以前よりは戦いの厳しさを理解できる…
 それに最悪、私を討てないなら…」
花子の頬に冷たいものが落ちてきた。これは涙…?
「私が、貴女を討とうと思った。他の者に打たれる位なら、この私が…」
そういうと、月子は声をあげて泣き出してしまった
恐らく、戦いの最中も、花子より辛い決意を持って事に当たっていたのであろう月子
戦いが終わって、彼女の感情を抑えていた何かが壊れたのだろう
月子は幼い子供のように頭を抱えて泣いていた
「ごめんね…!ごめんね華…!」
「あやまるのは、私の方ですよ。お姉様」
ただひたすら涙を流す月子の頭を花子は優しく撫ぜる
「私の事をそんなに考えてくれてて、華子は幸せ者です、ありがとう」
それに、仮に姉が本気で自分を殺す気なら、恐らく自分はこの世にはいまい
戦った花子にはそれが一番わかっている。結局姉は最後の最後は自分を犠牲にするつもりだったのだ
「華…」
「だから、お姉様、自分を責めたりなんかしないで…。泣いたりしないでください」
そういう花子の眼にも光るものが溢れていた
「泣いてる人が言っていい言葉じゃないね、それは…」
「ごめんなさい」
二人は泣きながら、笑い続けた。笑いながら、泣き続けた
「行くのね、華」
「はい。少し長いしすぎてしまいましたから」
結局、あれから三日ほど長居して姉に甘えてしまった。流石にそろそろ戻らないと
みんな心配してるだろう…。と思いつつも、まだまだ姉と一緒に居たいと思う自分を
花子は心の中で甘えるな、と律していた
「それではお姉様、ありがとうございました。華子は戻らせて頂きます」
だがそれでも、それでも涙は流れてしまう。数年ぶりにあった姉と、再び別れるのだ
「えぇ。けど今度は近いうちにまた逢うことになる。だから元気を出して」
「はい… ありがとうございました。いってきます!」
花子はそういうと駆け出していた。月子はその姿が地平線に消えるまで見送っていた
(華…華は自分の実力で勝ったとは思っていないんだろうね…けどそれは違うよ
 あなたは、その甘さを捨てずに私を救った。打ち倒すことよりも、救うことを選んだのよ
 戦場で敵手を救うのは戦って勝つより尊い…きっと雪子姉さんも)

クリムゾンブロウ曰く「ヘレンマジ可愛い…」
ブラックパイソン曰く「ハムスターより可愛い…」
クリムゾンブロウ曰く「なら子猫より可愛い…」
ブラックパイソン曰く「じゃあ子犬より可愛い」

十六聖天外伝 ~雪月華の章~ 完 
雪華葬刺しの章へ続く
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