オウプン家の兄妹・SIDE-A


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「おぅ?もう酒が切れちまったか…金も無いし西園寺の所へ顔でも出すか。
あいつの所はいい酒がたくさんあるからな~っと、ヒック、うぃ~」
薄暗い路地裏で十六聖天十一位飯森椿は空の酒瓶を持ちながらふらついていた
その風貌は場所の雰囲気も相俟ってまさに流浪の民(ホームレス)そのものである

「見~つけた☆」
「ん…?何だお嬢ちゃん、こんな所に一人で。危ないから早くお家へ帰んな」
西園寺の所へ行こうとしていた丁度のその時、突然背後から声を掛けられた
歳の頃は10才前後だろうか、こんな薄暗いところには不釣合いな金髪縦ロールの
可愛らしい少女がいた
「そうは行かないのよおじさん。せっかくこんな汚い所まで来たんだし☆」
少女はクスクス笑っている
初めて会うはずだが、何処か既視感を感じる
誰だったかな~と考えてみるが、面倒になってやめた
「迷子かい?親父さんとおふくろさんはどこだい?俺がお家まで送ってやんよ」
少女はまだ笑っている
そのとき目の前の少女の輪郭がぼやけ、2、3人になった様に見えた
あ~かなり酔っ払ってんな~と思った矢先、獣人としての野生の感だろうか、
何か不気味なモノを感じ、少女から離れるように後方へ下がった
刹那、彼のもといた場所に少女が、正確には少女の一人が拳を撃つ
ズンッという音と共にアスファルトが大きく陥没する
「あら?避けられちゃった☆腐っても十六聖天十一位といった所ね。裏切り者さん」
「嬢ちゃん何者だ?」
少女、いや少女達は相変わらずクスクス笑っている。
気がつくと全く同じ姿をした少女達十数人に囲まれていた
「さて私は誰でしょう?ヒント、逃げ出した実験動物を処理に来ました☆」
「…十大聖天か…」
「だいせいか~い☆十大聖天第八位のグレイス=オウプンよ。そしてこれが『驚嘆すべき
グレイスの団(アメイジング・グレイス)』だよ」
驚嘆すべきグレイスの団、グレイス=オウプンが造った彼女の彼女による彼女の為だけの
ロボ軍団である。彼女と瓜二つの姿は、軍団のなかでもお気に入りの『もう一人の私
(ドッペルゲンガー)』と呼ぶロボである
オウプン…?そういえば思い出した、同じ聖天で大の友人であるリーン・オウプンには
一人の妹がいたという事を
その話をした時リーンが暗い顔をしていたことを
先ほどからの既視感はこれだった。目元や鼻元がどことなく彼に似ている
「おめえさん、リーンの妹だな?」
「それも正解☆だけどあんなクズと一緒にしないでちょうだい」
表情は笑っているがその目は冷たい
「まさか十大聖天にいたとはなぁ」
「そういうことだからさっさと死んじゃってね☆こんなとこいつまでもいると臭い匂いが
ついちゃうじゃない」
グレイスが言うとロボ軍団が一斉に襲い掛かってきた
今まで多くの追っ手を相手してきたが今回は別格である
さすがは十大聖天、徐々に椿は追い詰められていく
「ちっ、しょうがねえなぁ」
組織との決別の意志として封印していた風の法術を使わざるを得ない状況だ
空気の流れを創り敵の攻撃を避けつつ、圧縮した空気により相手を破裂させる
もう十数体は破壊しただろう、しかし敵の数は一向に減らない
それどころかその数が増しているようだ
「あはは☆無駄だよ、修復機能もあるからね~」
彼女の言う通りだった
破壊しても破壊してもロボは残骸や周囲の物質を利用し、修復・複製を行う
目から破壊光線、腕を飛ばすパンチ、腹部からミサイル、二の腕からもミサイル、
口から強酸の風、そして胸から熱線などその攻撃も増していく
残念ながら「おっぱいミサイル」は無い
椿の手足や顔などの肉が弾け血が噴出す
「おもしろーい☆まるで汚い花火ね」
グレイスがサディスティックに笑う
死んでと言っておきながらもあえて致命傷を与えずまるで弄ぶかの様に攻撃を繰返す
「ぐはっ、おいおいこれはマジでヤバイぞ…」
「もう飽きちゃった。そろそろ終わろっか☆」
冷たく言い放つ
トドメをさそうと椿に近づいたとき彼女と瓜二つのロボが突然爆発する
一体、二体、三体とまるで連鎖するように次々と破壊されていく
「もう誰よ!」
彼と彼女、二人のよく知る人物が現れた
「大丈夫か椿!」
十六聖天十八位リーン・オウプンだ
彼の能力『レミングフレア』でグレイスの『もう一人の私』の約半数が粉々になる
レミングフレア、対象物を爆弾に変え、その周囲の類似物或いは触れたものも同時に
爆弾に変え自爆の連鎖を生む能力である
「お、おう、なんとかな…全く、助かったぜ。でもどうしてここへ?」
「ちょっと話題の3Dカスタム少女を買いに来たら、なんか嫌な予感がしてね。
それよりグレイス、お前こんなとこで何やってんだよ!」
「あれ、お兄ちゃん私にそんな口が聞けるの?弱虫で、引篭もりで、最低で、
どうしようもないくらいの落ちこぼれの癖に。ずいぶん偉くなったものじゃない」
グレイスはリーンを見下す。それはまるで給食でこぼれた牛乳を拭いたままロッカーに
しまわれて二日後に発見された雑巾を、或いは、机の中に隠しておいてカビだらけに
なってしまった食パンを、見るかの様な冷たい目だ
「嬢ちゃんは十大聖天だ…」
「え…まさか?」
「そうだよお兄ちゃん☆お兄ちゃんも噂で聞いてたけどホントに十六聖天だったんだね。
あのクズで生きてる意味さえないお兄ちゃんがね~」
グレイスが攻撃を再開しようとする。爆発したはずのロボのほとんどがもう修復している
「やめろグレイス!ここに来るまでにお前の周りを爆弾に変えてある。動けば爆発するぞ」
「やだ~、お兄ちゃんごときがこの私の相手になるとでも思ってるの?超最悪~☆
爆弾ってこれのことでしょ。もう全部取り除いちゃってるわよ」
アメイジングがリーンが変えたと思われる爆弾を破壊する
「どう?お兄ちゃん、私の『アメイジング・グレイス』は。私そっくりでかわいいでしょ☆」
「どこがだ!お前の胸はそのロボットほど大きくないじゃないか。この貧乳」
グレイスと瓜二つであるがロボには決定的な違いが一つある。胸の大きさ当社比200%
「もういいわ、はやく目の前のオウプン家の者をやっつけちゃてちょうだい☆」
アメイジングが主人であるグレイスに襲い掛かる
「痛っ、違う違うアッチよアッチ。もう!」
再び椿とリーンに対して攻撃が開始される

リーンは手持ちの爆弾と能力て応戦するが、先の椿と同様に追い込まれる
負傷してる椿を守る形での戦いだ。自身もかなりの傷を負いつつある
「そんな汚いホームレスなんか無視すればいいのに☆」
「くっ、椿は見た目はこんなだが俺の大切な仲間だ!親友だ!!」
「リーン、おめえ…」
「あっははきもーい☆でもね、そこのお仲間さんや他の十六聖天はどう思ってるのかな?
お兄ちゃんみたいな役立たずの害虫のこと嫌がってるんじゃないの。裏ではみんなで
笑ってるはずだよ『あのオタク、マジ気持ち悪んだけど、早く消えてくれないかな』とかね。
小学校の時のこともう忘れちゃったの?ねえ、お・に・い・ちゃ・ん☆」
「忘れることなんてできない!でも…椿や十六聖天を信じる気持ち、大切に思うこの気持ちは
本物だ!もうあの時の俺じゃない、みんなに逢えて強くなれたんだ!」
「その通りなんだぜ嬢ちゃん!俺やあいつらは、こいつがたとえ十六聖天じゃなくなっても
キライなれないでも十分じゃない。どんな時だってな、いつだってな、大切なやつだってこと
にかわりはないってもんよ!!そんなこともわからないなんて可哀想なやつだぜ嬢ちゃんは…」
「椿…ありがとう…」
「・・・」
グレイスは沈黙する
ゴゴゴ…
戦闘の影響で周りの建物の一部が崩壊する
コンクリートの大きな塊が傷を負い動けない二人を潰そうと落ちてくる
アメイジングがその物体を破壊する
「グレイス…どうして…」
「か、勘違いしないでよ。お兄ちゃんたちを殺そうとしたら偶然当たっただけなんだからねっ!」
「・・・」
「あーあ、しらけちゃった。熱いのってなんか好きじゃないのよ。もういいわ、私帰る。
楽しみは次まで残しておくわ。負け犬同士精々傷の舐め合いでもして頂戴。それじゃまたね☆」
グレイスと彼女たちはリーンと椿を残し消える
「…助かったんだよな?」
「そうみたいだね…」
「椿、さっき言ったこ…」
「なぁ親友のおめえに頼みがあるんだがよぉ」
「な、なんだい?」
「金貸してくれねえかな?酒が切れちまってよ~」
ガハハと椿が笑うと、リーンもつられて笑った

笑いながら、こいつの妹が去り際にちらりと見せた顔、こいつは気付かなかったかもしれねえが
確かに嬉しそうに微笑んでいたように見えたんだがな~、と椿は思った
そして彼はこう考える
互いに戦い合う姉妹もあれば兄妹もある。聖天とはなんと呪われた運命なのだろう、と


~オウプン家の兄妹・SIDE-A 完~
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