十六聖天外伝 残光~第一章~


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「やっぱり駄目。私にあなたは討てません。今すぐここから」
そう言うナナエルの顔には決意と覚悟、そして何故か満足の色が浮かんでいた
「与えられた任務もこなせないのか。引っこんでいろ恥晒しが…」
その声が聞こえた時、既に自分の横にいた少女の身体は崩れていた
「フン…。リキテンシュタイン…だったか?ウェルドバングを名乗ってない部分だけは評価してやる」
突如現れたその男は、地に伏すナナエルの顔を踏みつけながら吐き捨てた
「おっと…これは失礼。私はカイザー。カイザー・ウェルドバング」
「やめてください、兄さん…!」
ナナエルの絶叫。次の瞬間、世界が光に包まれた
「人は私を光のウェルドバングと呼ぶ」


ナナエル、そして、ウェルドバング、か…。
眼が眩むほどの日差しを受け、次郎かかつて戦った兄妹の事を思い出していた
視覚を武器として操る、異能の兄妹。


…戦いは決着を迎えていた
「…馬鹿な。私はウェルドバングの長、だぞ…」
「それがどうした。裏聖天だ?4位だ?ウェルドバング家だ?
 そんな事ァしらねぇ。兄妹足下にする野郎なんざ、世間様が認めても俺が認めねぇ!」
「千里眼・絶殺視の…光のウェルドバングなんだぞ…ッ!」
射程内に入ったすべての物を、あらゆる角度から見ることが出来
その微妙な筋肉の動きから全ての攻撃を読み取ることが出来る、彼の能力
その能力を、あらゆる意味で常人である次郎は打ち破っていた
「馬鹿な!馬鹿な…!馬鹿な…!」
「何度やっても無駄だ。テメェの攻撃は俺には届かねぇ…」
そして次郎は剣を目の前の敵に向かって振りおろした、が
彼の首に刃が吸い込まれるより、数瞬早く一条の光が彼の刀を弾き飛ばしていた
「ごめんなさい、次郎さん。けど兄さんを殺さないでください。兄は本当は優しい人なんです!」
ナナエルのゴールデンアイだった。意識を取り戻した彼女は、兄を助けるために次郎の刀を弾き飛ばしたのだ
「何故…何故、私を助ける。ナナエル…何故私を助ける!」
「私と兄さんは兄妹じゃないですか…。兄妹を助けるのに」
「理由なんかいらねぇわな。…兄妹仲良く、な」
口元に笑みを浮かべながら次郎は、その場に背を向けて歩き出す


その後の事を次郎は知らない。茂に聞いた話では
カイザーは、幼い頃は常に劣等種として一族で見下されていたナナエルを庇う、良い兄だったらしい
だが、ある日ナナエルが友人と賭けごとをした際、もう一つの能力が暴発
それに伴い、彼らの母親が死に、それから豹変したとの事だ
だが、そんな兄妹の冷え切った関係を次郎は修復してみせたのだ
そんな出来事を、思い出しながら次郎は思う
「俺も、このワケわかんねぇ組織に属して、少しは人の役に立ってんのかねぇ…」
眼下に広がる海はただひたすら、押しては引き、引いては押しを繰り返すのみだった

クリムゾンブロウ曰く「海は一つ」
ブラックパイソン曰く「世界中の汚物と一つ」
十六聖伝外伝 残光~第一章~ 完
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