十六聖天外伝 死神を目指すモノの章 第二話「魂を弄ぶもの」

―予想外です。そろそろ引き返した方が。日も暮れますよ
老人から聞いた情報を便りに、村の裏手にある山を探索していたのだが
思ったよりも道が悪く、森も深い。完全に迷ってしまった
ひょっとすれば死神が道違えのルーン辺りを使っているのかも知れない
なにはともあれ、夜は出来るだけ避けたい
相手が禍モノである以上、夜という時間が敵にとって有利なのは間違いないのだから

曰く、死神は山で迷ったものの魂を奪い、自分の力にしている
曰く、髑髏のような白い仮面を付けており、その眼からは金色の光が漏れている
曰く、山で生活を立てていた村は実は死に瀕している
曰く、何人もの凄腕が挑んだが、一人として生きて帰ったものはいない

―ご主人さま、時間切れです。日が沈みました
仕方ない。覚悟を決める他ないな。そう思い、私は腰から二丁の銃を取り出す
以前、席を置いていたカテドーラなる騎士団に所属した際、その功績を認められて貰った
銀で出来た特別な銃。死神のような禍者には、特に効果があるはずだ
それに抜き撃ちの速さだけなら誰にも負けない自信がある
銃を構えながら、出来れば死神とやらの遭遇を避けたいと思い、村への道を探す
気が遠くなる時間歩いたが、正しい道に出ない。そんな道あれば、なのだが
それにしても、これだけ歩いて死神に遭遇しないのは運がいいのかも知れないな
そんな楽観的な考えを抱く私の目の前に、それはいた

漆黒のローブををまとい、巨大な剣を背負った死神が
金色の目を輝かせながら、不気味に佇んでいる
耳障りな音―魂を奪われた亡者の叫びかもしれない―を立てながら
死神は私との間合いを一気に詰めると、その巨大な剣を振りかぶった

二丁の銃でそれを辛うじて防ぎ、後方に跳躍
だが死神も跳躍と同時に、おそらく霊魂であろうソレを使役し、私に向って襲いかからせる
だが、私とてかつては騎士と呼ばれた存在。夜だからとて、そうそう負けるわけにはいかない
着地と同時に、遅い来る霊魂と、そしてその奥の死神に向って発砲する

二丁の銃でそれを辛うじて防ぎ、後方に跳躍
だが死神も跳躍と同時に、おそらく霊魂であろうソレを使役し、私に向って襲いかからせる
だが、私とてかつては騎士と呼ばれた存在。夜だからとて、そうそう負けるわけにはいかない
着地と同時に、遅い来る霊魂と、そしてその奥の死神に向って発砲する

当たった。儀礼式のシルバーブレッド12発全弾命中だ。霊魂は全て撃ち抜かれ、後方の死神にも3発命中
絶叫をあげながら、死神は手を地面につける。同時に地面に青く光る魔方陣
陣に書かれた術式は…これは失われた形式の…禁術…!
まさか、ネクロマンシー…!まずい。
そう思った時には手遅れだった。
死神に挑んだ戦士たちの慣れの果てが、私を囲んでいた。その数ざっと50
―ご主人さま、来ます!
銃声が、夜の森の静寂を切り裂く

私の銃で撃たれ、死んだ魂は二度と再生することがない
それにも関わらず、敵は減るどころか増えている気すらする
一体どれだけの魂を奪ったというのだ、この死神は…
―ご主人さま、弾がもう…!
ここまでか。ならばせめて刺し違える他あるまい。覚悟をきめ、死神を見据える
その時、異変が起こった

ジャラリ…鉄の擦れる音と共に、召喚された哀れな死者の魂が、順に爆ぜていく
どうやら音の元は鎖らしい。酷く禍々しい雰囲気を持つ鎖が、死者を殺し
死神を拘束していた


十六聖天外伝 死神を目指すモノの章 第二話「魂を弄ぶもの」完

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年11月13日 22:24
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。