「スキヤキ戦線波高シ」


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「スキヤキ戦線波高シ」

おひさま荘である。アリス・ザ・ミラー、デスメタルが居住する、
十六聖天最重要拠点のひとつである。
現在はアリスの住む天鏡宮に飲み込まれかつての
外観を失っているが、今、その一階部分、101号室が
騒がしくある。
「たまには上司っぽいところを見せタイデース」
トムの粋な計らいで大四国牛すき焼き用特上霜降り肉
20キロを差し入れられ途方に暮れた次郎が、
十六聖天を集めてすき焼きパーティーをしようと思い立ち、
デスメタルの部屋に集合ということになったわけだが…。
「いやー十六聖天が一度に集まるってのもなかなかないことだし」
「次郎…なぜ六畳一間に全員押し込もうなどと…」
ほぼ本棚の一部と化しているアルスラーがボヤく。
「たまにはみんなでワイワイやるのも楽しいッスよー」
「おう!一つ屋根の下、おなじ鍋をつつくのが
日本人の心よ!」「椿、酒くさいのじゃー」
老若男女一塊りになって、両の手以外動く隙間もない。
「テメーらお待ちかねの肉だぞ!男は喰うな!」
ギデオンがほどよい厚みにそいだ肉と、野菜やら
白滝やらを持ってきた。
「でもギデオンさん、料理上手だったなんて意外とゆーか」
「ナナちゃんがベッドで待っててくれるなら、三食毎日作っちゃうよ」
「…だから誉めたくなかったんですよ」
肉が投入され、鍋から脂と醤油のいいにおいが立ちこめてきた。
「…これはなんだ…」
アルスラーが呟く、右手には卵が握られていた。
「皿に生卵をおとして、肉にからめて食べるんだよ」
リーンが片手割りで卵を皿におとし、箸でかきまわす。
「生卵は食えん…苦手だ」
両手をテーブルに叩きつけ、花子が立ち上がった。
「アルスラーさん!すき焼きに生たまごは必須なんです!」
「食えないものは食えない」
「出てってください」「何!?」全員が驚愕の面もちで見守る。
「牛肉の旨味を卵黄がふんわり優しく包み込むマリアージュ、
わかりまスか、マ!リ!アージュ!それを野蛮にも醤油と砂糖で
ギトギトの肉だけでいただこうなんて…見損ないましたよ!
アルスラーさん!」
「生卵、好きなのか」
「ジョッキでイキます!」
「ま、まぁ花ちゃん、好き嫌いは誰にだってあるし」
「でも…でも…法律を破る人を自分は見過ごせないッス…」
(この娘…そこまで生卵のことを…)
仲裁してはみたものの、いまいちフォローのしようのない
ナナエルを、次郎の一言が救った。
「そろそろ食えるんじゃねぇか」
まさに鶴の一声、全員の箸が一斉に鍋に向かった。
「うまいっ!」「ウ マ ー イ !」
「おぉ、やっぱいい肉は違うな」「…おいしい」
至福の顔が部屋を満たした。花子も、先程の諍いなど頭の
端にも残さず黄金色の肉をむさぼっている。
「あ…牛肉なんだ」
忍が妙なことを言い出した。
「言わなかったっけ…言ったよな」
「あ、う、うちではすき焼きは豚肉だったから」
「アリスちゃん、肉食わんのかえ?」
エクスカリバーが、春菊を食んでいるアリスの器に肉を
盛ってやる。
「お肉はみなさんで…」「いっぱい食わんとおっぱい大きく
ならんぞ。」
次郎がビールを吹き出す。徳間の顔に直撃する。
「次郎さん…」「あ、いや、スマン!」
「次郎さんも、胸が大きい方が好きですか…」
次郎がまたもや吹き出す。楽の顔に直撃する。
「ジロー…」「え!?いや、マジでゴメン!」
アリスの金色の瞳が次郎を映す。デスメタルの視線も
燃えていた。
「そりゃアリスちゃん、おっきいおっぱいが嫌いな
男なんてこの地球上に存在しなフバァ!」
クリムゾンブロウの拳が、ブラックパイソンの拳が、
ギデオンの傲岸不遜の口を塞ぐ。
「その言葉!宣戦布告と判断する!!」
「貴様に今日を生きる資格はねぇ!」
十六聖天の階位を越えて、怒りの拳が炸裂した。
「あの美しき丘陵を愛でる清い心を持たぬ貴様にィ!」
「ヘレンの胸を侮辱する権利があるのかぁ!」
「あぁ!ヘレン可愛い!俺の!」
「俺達のヘレン!」
ブラックパイソンはもはや涙声である。
「いい加減にせぬかー」
聖剣に変じたエクスカリバーの切っ先が、
ブロウとパイソンの尻肉を突いた。
二人は動物園の猿のような声を上げて地に伏した。
「…まぁ、まだまだアリスちゃんは成長しておっぱいも
大きくなるし、なにより今のままで十分魅力的じゃ」
「はぁ…」幼いアリスも煙に巻かれたことだけはわかる。
「でも次郎はワシのもんじゃがな」「え!?」「!!」
アリスとデスメタルの顔を驚愕が覆う。次郎は呆れ顔。
喧噪を眺めつつ、ギデオンは珍しくリーンを相手に
杯を傾けていた。
「春、来ねーな」「はぁ…」



「あ、すいません、サポートセンターですか、はい、
車がエンストして、はい、はい…」
秋風が吹く中、田中茂と愛車カローラは道につっぷしていた。
ツールボックス

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