黄金の瞳の少女 ④


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「うぅ…」
ワンダーワールドによって穴に突き落とされたナナエルは森の中で目を覚ました
「ここは…」
まだハッキリとしない意識と傷の痛みの中
今、自分が居る所はどこなのか知る手がかりを探そうと周囲をみわたそうとしたところ
「お目覚めになられましたか?」
「っ!?」
突然背後から見ず知らずの少女に声を掛けられ咄嗟に飛びのく
「あ、あなたは誰?ここで何をしているの?」
全くの混乱する状況の中、冷静かつ迷わず自らの安全を図ろうとする所は流石十六聖天と言った所か
警戒するナナエルに、突如現れた謎の少女は柔和な笑みで自己紹介をした
「私めの名前はイナバ、イナバ・キャロルと申します」
(キャロル!?)
キャロルと言う名を聞いてナナエルは一層身を硬くする
しかしメイド服のような衣装に赤い瞳の少女―イナバは尚も優しげに説明していた
「イナバめの役割はワンダーワールド様のご希望に沿うようワンダーワールドを管理する事で御座います」
ワンダーワールドを管理
その言葉からこの状況、と言うより場所がワンダーワールドの能力の内である事が推理できるが
どうも空間移動や多次元能力の類とは一線を画す能力である事は確かなようである
「イナバめの事は他の方はご存じありませんので、どうぞご安心下さい」
「それは争う気は無いと解釈していいのかしら」
「お嬢様は私共に似ていらっしゃいますので、ワンダーワールド様はお嬢様を逃がされる事をお望みに御座います」
「?」
ワンダーワールドは自分のゴールデンアイを狙っている様だった
しかし先程のお茶会では突然ドロシーに襲われた後自分を突き落としたのは逃がすためだったと言うのか
ならばもう自分は狙われては居ないと言う事なのだろうか?
ナナエルは状況の整理が出来ないまま
とりあえず友好的なこのアリスナンバーズ「イナバ」から情報を引き出そうとする
「さっきワンダーワールドって言ってたけど、つまりどこなの?ここは」
「ワンダーワールドとは不思議の世界。自分のいる世界とはどこか違う不思議の世界に御座います」
「それって…パラレルワールド!?」
「お嬢様はとても利発でいらっしゃいますね」
何と言う事だ
パラレルワールド、それ我事実ならつまり自分は今別の宇宙の地球に居ると言う事になる
(そんな能力って・・・)
その情報はナナエルにとってショックだった
そんな能力者聞いた事も無い。つまり現状自分が元の世界に戻る方法はただ一つ
自分をここに送り込んだワンダーワールドに元の世界に戻してもらうと言う
敵に助けてもらしかないと言う絶望的状況なのである
「イナバめとワンダーワールド様だけが望んだ多重世界を行き来できます。それがイナバめの能力『ホワイトラビット』」
「え?」
「先程も申し上げましたがご安心下さい。お嬢様は無事このイナバめが元の世界に送り届けますので」
本当か?それとも罠か?
ナナエルは一瞬悩んだが、しかし例え罠であっても今はこのイナバにすがるしかない以上
覚悟を決めて従う道を選んだ
「その前に」
「?」
「傷のお手当をさせて頂きたく存じます」

「こちらに御座います」
もう随分と長い事歩き続けている
傷の手当をしてもらってから長い長い森の小道を歩き続け早小一時間が経つ
イナバは時々ナナエルに話しかけていたがナナエルは言葉少なに返すだけで
そこに会話と呼べる物は殆ど成立していなかった
そんな中とうとうナナエルが自分から口を開きイナバに話しかける
「あ、あなたは…」
恐る恐るといった様子で紡がれる言葉
「あなたは他のアリスシリーズと違って闘わないの?」
「…」
イナバは穏やかな微笑みの中に微かな寂しさと自嘲するような雰囲気を覗かせながら答え始めた
「イナバめのホワイトラビットは争いには向きません」
イナバは前を向き歩きながら語る
「それにワンダーワールド様がイナバめは争いには向かぬから、と」
そこまで言ってイナバはナナエルにニッコリと笑顔を向けて
「でもイナバめは嬉しいのです。そのお陰で誰も傷つけずに居られるのですから」
その人を和ませる、まさに月明かりのように優しい笑顔に
ナナエルは出会って間もない彼女を本当に良い人なのだと心を許し始めていた
「お嬢様」
今度はイナバが話しかけてくる
「黄金の魔眼をお使いになられる方を他にご存じありませんか?」
今まで無かった突然の突っ込んだ質問に一瞬ドキッとするが
ナナエルはこの時何故か何も隠す必要は無いと素直に話す気になっていた
「…黄金の魔眼は我がウェルドバンク家にのみ伝わる秘宝です。今は私と兄以外に使える者はいません」
「そうですか…」
「ワンダーワールドも黄金の魔眼を探していたようだけど、いったい何故なの?私達のゴールデンアイに何かあるの?」
「…それは―」
ゴシャアアァァ!!
そこまで言った所で突然何かが猛烈な勢いで2人に突っ込んできた
それを寸前で察知しナナエルはイナバごと横っ飛びに避け事なきを得る
「そんな事まで話せとは誰も言ってねーぜ」
避けた後、薙倒された木々の中煙から顔を覗かせたのは
「シエラ様!?」
そこにはゴスロリファッションにしては明らかにガラの悪そうな表情の少女と
胴はライオン頭と翼は鷲と言う先ほどワンダーワールドが見せた伝説上の幻獣グリフォンが居た
「何故あなた様程の方がこんな所に!?」
「へへ…」
突然の訪問者は不敵に笑い饒舌に話し始める
「その姉ちゃんがゴールデンアイを持ってんだろ?」
「…」
「そいつがあればあの主人顔のワンダーワールドを越えられるからな。あたいがいただきに来たぜ」
どうやらこの少女は完全にナナエルの敵のようだ
しかし気になるのは
どうやら彼女がワンダーワールドやイナバの思惑とは違う目的で動いているような点だ
「お、お嬢様は違います。この方は違うのです」
「そんなこたー奪ってから調べる。いいからイナバそいつをよこせ!」
終始高圧的な態度のシエラ、多分彼女もアリスナンバーズの1人なのだろう
しかしイナバは格上であるらしい彼女を相手に屈しない態度で挑んでいた
「…お逃げ下さい」
イナバはシエラと向かい合ったまま森の先を指差す
「この花畑を真っ直ぐ抜ければ元の世界です」
「イナバ、てめぇ…」
シエラの表情が一層険しくなり今にも襲い掛かってきそうな空気になった
「あの方のグリフォンには勝てません。ここはお逃げ下さい」
「で、でもあなたは!」
「イナバめは良いのです」
心配するナナエルにイナバは恐怖など微塵も顔に出さず笑顔で言葉を送った
「イナバめは大切な方の所へ行きます。だからお嬢様も早く大切な方の所へ戻って下さい」
「イナバ・・・あなた・・・」
「逃がすか!」
イナバの悲壮な笑顔に一歩引いたナナエルを見てシエラはグリフォンの矛先を向けるが
「!?…上等だよ」
イナバは両手を広げグリフォンとナナエルの間に割って入る
「ナンバーすら無い出来損ないのてめーがどこまでやるか、見てやるよ」
「ワンダーワールド様はイナバめがお守りします」
「白兎が!やってみろ!」
先ほどグリフォンの攻撃に全く反応出来ていなかったイナバ
そのイナバにシエラは情け容赦なくグリフォンを突撃させるのだった
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