十六聖天外伝 残光~四章・後編~


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「…恐らく、タルタロスはあの時倒したはずのヴェルカーガが噛んでるんやと思います」

世界に六人(ヴェルカーガが二属性持つため実質5人だが)しか居ないSSS級
その一人であり、友でもあったアレクサーの姿が浮かぶ。あいつですら1属性なのに2属性持ち、か…

「そのタルタロスのトップ…ハデスが、ソイツだってのか?」
「恐らくは…。多分前より強力な力を身につけてるんやと思います。アレクサー程の男を洗脳する程に」

後からトムに聞いた話なのだが、アレクサーは独自に旧北海道の調査をしていたらしい
恐らくそれが原因となり目をつけられたのだろう

「笑えねぇな…」

十六聖天最強戦力の一人、アレクサーを容易く洗脳する程の力、それは今まで戦ったどの勢力よりも凶悪に思えた

「次郎さん、ウチはもう聖天辞めた身です。せやさかい、あんまり戦う気はなかったんやけど」
「命に変えてでも倒す。だろ?」

そう言いながら次郎と西園寺は笑う
命がけの死闘を超えた男同士の絆がそこには確かに存在していた

「まぁお前を殺せる人間なんて世界にいると思えないけどな」
「殺しかけた人が何言うてはりますん」
「ところで華子さん、盗み聞きはアカンのとちゃいます?」
「デスメタル、お前もだ」
「…ヤバ!バレたッス…!」
『だから言ったのに』

少し離れた岩陰から花子が、あはは…とバツが悪そうに笑いながら顔を出し
デスメタルが『ごめんなさい』と掲げた看板を次郎たちに向けて振っている

「これで聞いてた訳ですね。華子さんも腕あげましたなぁ」
「いや~…アハハ、お褒めに預かり光栄ッスね~…」

西園寺は自分の着物につけられていた細い糸、恐らく三味線の弦であろうそれを指でくるくると巻き取り笑っている
姉、月子との戦いで会得した技の応用であろう

「デスメタル。お前はお前で何してんだ。盗み聞きなんて男らしくねーぞ。あの二人と遊んでたんじゃねぇのか?」
『WiiFitに夢中になったパイソンとブロウに追い出された』

次郎に怒られ、肩を落としたデスメタルの看板は、どことなく傾いている

「で、何処から聞いてたんだ、お前ら」

次郎は少し声のトーンが低い。当然だろう。同じ聖天とはいえども、余りにも次元が違う話だ
この子供たちは他の勢力と関わっていればいい。奴らとは自分たちが戦う。出来ることなら関わっても、知ってほしくもないのだ
多少なりともアレクサーのように洗脳される可能性が出てこないとも限らない

「まぁまぁ次郎さん…で、全部ですか」

そんな次郎をなだめながら、普段は笑顔を絶やさない西園寺が、目を細めながら二人を見る
実は「かま」をかけただけなのだが、素直な二人はアッサリとボロを出すのだった

「はい…すいませんッス…」
『ごめんなさい』

滅多に怒らない西園寺が、鋭い目つきで自分たちを見ているものだから、花子も肩を落とし
デスメタルに至っては元気をなくすあまり、下半身が砂に没するほどに沈んでいた

「…そんなにヤバい相手なんッスか…?」
「そうですねぇ…。アレクサーを洗脳するレベルですからなぁ…」
「まぁ、安心しろ。お前らが心配するようなこっちゃねぇ。いざとなったら刺し違えてでも斃すさ」
「…って」
「何だ?花子。聞こえねぇぞ」
「私も行くッス!私だって十六聖天ッス!部外者扱いして欲しくないッス!」
『わたしもいく』
「あのねぇ、華子さん。アレクサーを洗脳するような能力の持ち主なんですよ。行くなら少数精鋭。半端な力やったら足手まといなんです」

いつになるかはわからない。だが恐らくタルタロスに乗り込むのは、自分と次郎、トム等の最低でも表裏合わせて聖天
3位以上だけになるだろう。
半端な力は自分を守れると思えない。こういう時、北条護国が健在ならばと西園寺は思う
だがそんな彼の考えを知ってか、知らずか、花子は続ける

「だってっだって、西園寺サンにも次郎サンにも死んで欲しくないんです!役に立ちます!強くもなります!お願いします…!」
『次郎と鏡志朗死んじゃやだ』
『だから私も行く。私がまもる』

必死に訴えかける花子の後ろで、鼻息を荒くしたデスメタルが、必死に看板で自己主張を始める
そんな姿に西園寺は困りがちに次郎に目をやる

「うーん…。困りましたねぇ」
「いいじゃねェか。強くなるって言ってんだからよ」

「次郎サン!」「次郎さん…!?」

花子と西園寺の声が重なり、少し遅れてデスメタルが『次郎』と看板を掲げる

「ただし、その時まで相応しい力がなけりゃ置いてく。それでいいだろ、西園寺」
「…まぁ、そういう事ならしゃあないですねぇ」
「やった!ありがとッス!ありがとッス!」
『WiiFitで体力作りしてくる』

そういうや否や、花子に地面から引き抜いてもらったデスメタルは、花子と一緒に宿に向かって駆けて行った

「現金なもんだぜ、ったく…」
「まぁ、子供らしぃてエエやないですか」

笑いながら走り去る影を見て、次郎は一人決意する
アレクサーの仇は必ず撃つ、と
そして誰も死なせない、と

十六聖伝外伝 残光~第四章後編~ 完

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