十一話


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ナインライヴス
ワンダーワールドがその言葉を言い終えると同時に
彼女の体は、バンカーバスターを放つ前の、アリスによく似た愛らしい少女のそれに戻っていた

「運が良かった、と素直に思うべきなのでしょうね」

気だるさから解放されたかのように、首を振りながら彼女は言葉を続けた

「ナインライヴス…私のナインライヴスは命を九つまでストックする…
 そして私のナインライヴスは、この身体に命だけじゃなく強度まで与えてくれるわ」
「でも…どうして…」

どうして、この場所で能力を使えるのか、とアリスは言葉を続けようとしたのだろう
だが、ワンダーワールドはそれをぴしゃりと遮った

「お馬鹿さん。貴女の城に来るまでの事を思い出してみなさい」

千の拳を反射させた時の事を、アリスは思い出す
そういえば、彼女は「痛い」と言いはしたが、傷一つなかった

「貴女に燃やされもしたわ」

確かに隙を作るためとはいえ、一瞬彼女の身体に火を放ちはした
もちろん、その火は天鏡宮に入ると同時にかき消してあるのだが

「どう?私の身体に火傷なんてあったかしら」

なかった。今思えば怪我と言える傷など何一つ、彼女の体にはなかった
能力など発動させていなかったが、傷はなかった
だが、それは発動させていないのではなく―
銀色の髪をかきあげ、ゆっくりと眼を閉じ、口元に笑みを浮かべた

「ここでは確かに呼び出せないようね。けれど常に発動させていた力は違うみたいね
 本当に運がよかったわ。それすらもキャンセルされていたら、私、確実に死んでいたもの
 ううん。正直ナインライヴスが発動してる事なんか、考えてもなかった。私の一敗でもいいわ」
 けど私達の戦いは、どちらかが死ぬまで終わらない。百敗しようが、最後に生きていた方が勝者」

完全なアリスの手落ちであった
だがしかし、癒すだけの力ではアリスには届かない。否
仮に他の能力が使えたとしても、この城の中では…

「バンカーバスタアアァァーッ!」

轟音が鼓膜を刺激し、アリスの前で、再びワンダーワールドの身体が弾け飛んだ
1度…2度…3度
何度同じやり取りを繰り返しただろうか
サウザンドアームズを反射された時、ワンダーワールドは確かに痛い、と言った
ならば痛覚はあるのだ
それでもワンダーワールドは、バンダースナッチを使い続けた
狂気の表情を浮かべながら、何度も何度も押し潰された
その度に蘇るその光景は、恐ろしく現実感を欠いた悪夢のような景色であった

「この私が!あんな子に!負けるなんてあってたまるものですか!」
「一敗?冗談じゃないわ!この子にだけは負けるものですか!」
「私は、私こそが…!」

ワンダーワールドにもプライドと意地があった。名前を持ち、今では仲間に囲まれ
幸せに過ごすアリス等には負けれないという意地が
それ故に、その手を休めることなく死に続けた

4…5…6…
次で7度目。もう命のストックも数少ない
それでも彼女は攻撃を辞めなかった。ここまで死ねば、決して通じないことなど理解できるであろうに
それでも一切彼女は攻撃を辞めなかった

(もう…あの子の命は残ってない…)

8度目の死を迎えた時、鏡の城は砕け散った
それはワンダーワールドの力によるものではなく
アリスの意志でそれは砕け散った

そして鏡の城の消失と同時に
二人は雲のない青空の下、花畑に佇んでいた

「ようこそ、不思議の国へ」

十六聖天外伝 ~失楽園の章~  11話
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