刀幻郷の神剣2


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島のはずれに人間が漂着した! 偶然に岸辺を散歩していた無銘のブロードソードが
急ぎ集落へ戻り人間到来の報をもたらすと、刀幻郷は俄に騒がしくなる。
目的は何か? ここのことが世間に知らされたらどうなる? 我々はどうしたらいい?
疑問が疑問を呼ぶばかりで、集落はただ慌てふためくばかり。
世に言う「議論は踊る、されど進まず」、まさにその状態である。

こういうときこそ姫神様の御意向を伺うべきではなかろうか!? 誰かが叫ぶ。
そうだそうだ!! 誰かが同意する。
すると議論は瞬く間に、誰がお伺いに社に向うべきかに移り変わる。
だが絶対不可侵の姫神様にお伺いを立てるなどしたこともない刀剣類には、どうしたらいいか
分かったものではない。

結局、話し合いはまとまらないまま時だけが過ぎてゆく。

刀幻郷の刃物たちが無駄な議論で時間を浪費する一方、切れたナイフはといえば・・・
「ほう・・・良く分からんがコイツはいけるな。ま、日持ちしなさそうだがな。
 この手のものなら煮てよし焼いてよしだが・・・苦味があるからオヤジと杷羽は嫌がるか。
 チビはともかく、クソオヤジはほんとガキみてぇな味覚してやがるからなぁ・・・」
12歳の頃には家事を全くやらない父に代わり家事全般をマスターせざるを得なかった
切れたナイフの主夫センサーは、手付かずの自然がもたらした森の恵みを冷静に分析していた。

「さて・・・そろそろここは何処なのかをハッキリさせとかんといかんかな。
 つかここ人いるのか? まぁ妙なトリック使ってるから いる か ある かはするんだろうがな」
適当に目に付いた食えそうなブツをとりあえず腹の足しにしながら、切れたナイフは
原生林を只管に歩き回る。

いつまでたっても空転するばかりの議論を一発打開するべく、「原則チョキ縛り」という過酷極まりない
壮絶なルールの下、「第一回 姫神様に御意向を伺いに行くメンバーを選ぶゾ! チキチキ大ジャンケン大会」が
盛大に繰り広げられた。その熱気や姫神祭の比ではない。
一定以上のレベルで人化の法を身につけた刀剣類が「グーを出せる」という強烈なアドバンテージを武器に
並居る強豪を蹴散らし、そしてついに、刀幻郷史上かつてないほどに白熱した世紀の大ジャンケン大会も、
ついに決勝の時を迎えようとしていた・・・。

決勝に残ったのは、日陰者リジルと捻くれ者のブルートガング。久しく荒ぶることのなかった二人の熱き刀剣の
血潮が滾り、いざ己の魂の全てを賭けた手を振り下ろさんとしたまさにそのとき!

「つか俺ら刀剣なんだから、強さとか鋭さとかで優劣決めたほうがyあべしっ?!」

振り下ろした拳が織り成す魂のユニゾンは、今更発言をかましたヘーキングを激しく打ちのめす。
だが、双方ともグーなのであいこである。

とりあえず腹八分目まで食糧補給した切れたナイフ。
島全体がさほど広くないことをあらかた理解したところで、中心へ向うことにする。
「人がいりゃめっけもんだな・・・つっても、こんな絶海の孤島じゃどっちに行きゃいいかも
 分からんかもしれんが。ちっくしょ、あの馬面ふんじばって連れてくりゃよかったか」
こういうときに無駄にタフな体と寿命以外じゃ死ねない身体は便利だね、と。
それに夏休みの自由研究にアマゾン流域やらタクラマカン砂漠で生態研究のレポートを出して
先公に理不尽にブン殴られたときの経験も生かせるものだ・・・目が覚めたら誰も居ない密林やら
砂漠のど真ん中に「自力で帰れ 父より」という手紙と自分だけという過酷な環境から生還したのも
もはやいい思い出である。

「ようやく開けたところに出てきたが・・・おやまぁあんなところに小屋がある。よし乗り込むか」
現地人が居たら軽く締め上げてあることないこと吐かせればいいかねぇ。そんな軽い気持ちだった

フツノミタマは何者かが社に近づくのを感じていたが、今更どうでもいいことだ。
どうせ自分の姿を一目見たいということでやってくる集落の剣たちの誰かだろう。

どげしぃ!
背中の壁が蹴破られる。全く想定外の衝撃にフツノミタマは手を付くこともできず、
強かに顔面を床に打つ。しかも蹴破られた壁が背中と後頭部に直撃。見事に下敷きである。

「ちわ~っす。誰か居ますか~」
「?!?!?!?!?!」じたばたじたばた
「お、なんか動いてる。どれ、どかしてやろう。ほいっとな」
「・・・痛いのです」
「そうか痛いか。そうだろうな」
「でだ。おいちびっこ。親は居ないか親は」
「いない」
「ちっ、居りゃ締め上げてこの島の所在とか吐かせたかったんだがな・・・で、オマエ名前は?」
「フツノミタマ」
「フツノミタマ・・・ねぇ。変な名前だな」
「鍛えは小板目のよく詰んだところと大肌が流れてやや肌だったところがまじって地沸がつき、波紋は
 直刃が小のたれごころに浅く乱れ、砂流しがかり、総体に小沸あり。茎は生ぶで槌目仕立ての模様で、
 茎先に目釘穴。刀装は、金具は金銅製で、冑金、緑、山形の足金物、石突に瑞雲文の毛彫があり、
 冑金、足金物、責金、石突にそれぞれ宝相華唐草文透彫の長飾りを施し、山形金具の裏面に」
「やかましい上に意味が分からんわ!」
げしぃん! とフツノミタマの頭頂部に切れたナイフのグーパンチが突き刺さる。
「!?!?!?!?・・・いたいのです・・・ぐすん」
自己紹介しただけなのに殴られた。生まれて初めて味わうあまりの理不尽に、フツノミタマ涙目である
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