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上書きのできぬ運命



何度逆鱗を使って運命を書き換えようとも、彼の死を阻止する事ができない。



こんなにも…救いたいのにっ…死なせたくないのにっ!!



何度も何度も、彼が海へ身を沈める事を止める事が出来なくて…
望美はその度に胸の奥に小さな針が刺さる感覚をおぼえる。


この戦で流れた血。
それを望美は嫌というほど、この時空に飛ばされてから見てきた。


どうして人は戦を起こすのだろうか。


誰もが幸せになれるように…そう願わずにはいられない。


そして、胸に広がる彼への想いもまた…望美を苦しめる。
この苦しい想いを受け入れた自分。


それゆえに、この運命に逆らいたい。


例え、想いが…届ける事が出来なくとも。


生きていて欲しい。



望むのはそれだけ。






どうか…生きて…



















「クッ…待っていたぜ、源氏の神子」


「知盛さん…」



嬉しそうに自分との戦いを望む瞳。
自分はそれに答えなくてはいけない。


「俺を、愉しませてくれよ」


「…っ」


知盛の真っ直ぐな眼差しが望美を射抜く。

動けなくなる。



そんなに真っ直ぐな瞳で見つめないで。

私は今から貴方を愉しませる事とは逆の事をしようとしているのだから。




まるで舞を舞っている様な望美の剣舞。
それを愉しそうに瞳を細め受ける知盛。



「お前だけが、俺を愉しませてくれる」



本当に愉しそうな知盛の表情。

でも、貴方を生かす為に私はその表情を崩させてしまう。





ごめんなさい…





貴方を死なせる事は出来ない。





知盛が大きく剣を振り下ろす。
その太刀筋を望美は避けることなく、受け止めた。











―――ザッシュッ!!!









「―――っ!!」




望美の身体に肩から腹部にかけて一つの流れる大きな線が出来る。

辺りには深紅の液体が飛び散り、望美の身体を染めていく。




「神子っ!!!?」



白龍が望美の元へ駆け寄ろうとするが、それを望美が止める。


「白龍…こないで…」


その声はか細く、今にも消え入りそうで…
しかし、そこに望美の強い意志が込められているのも感じ取れた。



「何故…わざと受けた?」

知盛の声には怒りが込められている。


「…」

「お前なら…避けられていたはずだろう?」



望美は微笑んだ。
苦しいだろう、その状態にも関わらず微笑んで…。


「もう…貴方が海に身を投げる姿をみるのは…我慢…で‥きな…い」

上がる呼吸が望美の状態の悪さを感じさせる。



「平家‥とか源氏とか…関係な‥く…人が目の前で死んで…いく‥のが嫌な…の」

「綺麗事…を」

「うん…分かっ‥て…る」


それでも、と言葉を紡ぐ。


「私は…貴方を……死なせた…くない」

「どうせ平家は滅びる。死ぬ事も怖くなどない」

「それでも…私が…嫌だ‥か…ら」


傷口からはとめどなく血が流れて。
望美の倒れている地面に大きな染みを作っていく。


「敵に情けなど‥」

「そんなん…じゃ‥ない…よ」


知盛の瞳は反らすことなく、望美を見つめ続けている。


「私…貴方が…知…盛さん‥が好きだ‥から」


その言葉に、知盛の瞳にわずかにだが驚愕の色が見える。


「愛しい人に…死んで欲しいなんて…思わな‥い」


望美の力なき腕が知盛へと伸ばされる。
しかしその腕は空を切り、地面へと落ちる。


「私の…我侭‥なの…で…す…っ」


望美の両目から熱い雫が溢れ出す。
涙で視界が歪む。

それでも、望美は瞳に知盛の姿を焼き付ける。


「…」



愛しい眼差しで、知盛を見つめ微笑む。



「どうか…生きて‥くだ…さ…い‥」



精一杯の願い。
それは知盛の生。


涙を流しながら自分を見つめる望美を見ている事が出来なくなる。





そんな顔で…声で…


慈しみを込めた想いが…知盛の胸に響く





こんなに他人に想われた事などあっただろうか…

親以外の人間に…




多分、望美が初めてだろう。



戦の中でしか愉しみを見つけられずに居た自分。
しかし、望美に出会って彼女と剣を交える事がどんなに心踊っていただろう。


考えるは、望美の剣舞。
それを思い出すたび、心の奥底で何かが燻っていた。



「…」



知盛は反らした瞳をまた望美へと向ける。
そこに映るのは、今にも消え逝きそうな姿。


「かはっ…!」


口から血がこぼれだす。


知盛の心が震えだす。
望美を失ってしまうという恐怖に。



「っ!!」



横たわる望美を腕に抱き、白龍の元へと歩み寄ろうとする。

しかし望美は首を緩やかに振る。





自分はもう、助からないと…

そう瞳が告げていて…





そんな望美に知盛は痛みに耐えるような表情を見せ喉に詰まる声を絞り出す。



「俺の愉しみが消えてしまったら…どうすればいい?人には死ぬなと言っておいて…お前は逝くのか?」



知盛の大きな手が望美の頬に触れる。
そっと撫でれば望美の瞳からまた大量の雫が溢れて。



「この胸の燻りが何なのか分からないが、お前を失うのは…嫌だと…胸が痛む」



痛々しい知盛の瞳が望美を見つめる。

ゆるゆると望美は手を伸ばし知盛の頬に触れ微笑んだ。





しかしそれは一瞬の出来事。





すぐに手は重力に従い、垂れ下がる。



「…源氏の‥神子?」



呼びかけるが、返事はない。




「…いつも‥そう…なんだ」



掠れた低い声が波の音に重なりながらも聞こえてくる。



「俺は…失ってから…気付くばかりだ」



知盛の瞳から一筋の涙が流れた。





「…敵としてではなく、ただの男と女として…出会いたかったものだな」




少しずつ冷たくなっていく望美の身体を優しく抱き締め、頬をよせる。



「これが、愛しいというものなんだな…望美…」




そんな知盛の姿を八葉は無言で見つめる事しかできず…













―――ドボンッ!!!



















望美を抱いたまま、知盛は海へと消えていった…



















生きて欲しいという望美の願いは…叶わず。























【 あとがき 】

うわー、痛い痛い _| ̄|○
ごめんなさい…こんなはずj(ry

プレイもしたことないのに書いてしまいましたねぇ。知盛×望美ファンの方から見たらきっと『違う!』
とか言われそうな予感が…。

自己満足なんで許してくだされ!


2005 07 17



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