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~第三章~「再会」 - (2007/02/19 (月) 17:19:01) のソース

「ライトニング・ヴォルト!」
透き通るような高い声が森に響き、そして目の前に紫の落雷が落ちた。
「グギャアアア!」
一瞬にしてその生物は黒焦げの炭と化した。
「うへぇ~」
情けないディバインの声がでた。
少々驚いた顔で近づいてきて声の主は言った。
「君、大丈夫?まぁでも、こんなところにそんな装備じゃ死ぬわよ?」
いきなりさらりと衝撃的発言をその女性、いや少女は言った。
「あ、だ、大丈夫だ、危ないところありがとう、助かったよ」
礼をいい、ディバインは少し考えた。
この人どっかで見たことがある気がする。どこだっけな?
「にしても……奇妙な格好……レアね~」
彼女はよだれをぬぐうように口を手でふき、俺を見る。
「君こそなんだ?その格好は」
ディバインが思ったことをそのままいった。
その人は全身を覆うようなフード付きマントを着ていて、そして中は布できていて柔らかそうな服。
下は森の中をあるくには不似合いなフレアースカート。
靴はどこでも歩けるような分厚い茶色の革靴に見える。そして腰にナイフと思われる刃物もある。
「あら?旅には最低これくらいは必要よ?」
当然のように彼女は言った。
旅っていったって旅行だろ?何でそんな格好するんだ?
疑問に思っていることが伝わったのか、彼女はこう言った。
「はっは~ん、ひょっとしてあなた、向こうから来たの?」
ハ?ナニヲイッテルンダ?
ディバインはすこし頭がくらっとした。
「なるほどね~そりゃあ知らないわよね。あ、私もあなたと同じよ」
一人で満足そうに彼女はいった。
「え、な、何がだい?」
かなり動揺しながらもなんとか聞き返すことを、ディバインはできた。
「そりゃあもちろん地球出身ってこと」
「……マジ?」
「モチロン、こんな嘘言ってもしょうがないわ」
それはそうなんだが……
「じゃあ、ここはどこだって言うんだ?」
「ここはもう一つの世界……グランガイアって呼ばれているわ」
「グランガイア……ってどこの国だ?」
最後の望みを託し、ディバインは再度尋ねた。
「認めなさいって、苦しいことかもしれないけど慣れるとこの世界いいわよ」
そんな事ができるのは君だけだ!といいたいが、言ってもしかたのないこと。
このあとどうするかが重要なことだ。
「そういえば自己紹介がまだだったわね。私はレイ・フレイヤーよ。よろしくね」
右手を差し出し、握手を求めたが、
「レイ?レイだとおおおおおお!?」
ディバイン驚きを隠せなかった。行方不明かと思っていたらこんな所にいたのだから。
「な、何?どうしたの?なんか名前にトラウマとかあるの?」
レイは少々後ずさりしながら聞き返してきた。
「俺!ディバインだ!おんなじクラスの。思い出してくれ!」
しばらく眉間にしわをよせ、腕を組みながら考えていた、そして、
「ディバイン……ああ~あなただったのね!ずいぶん変わらないからびっくりしたわ」
そんな奴も居たな~というような感じにレイは言った。
「そういえばなんでそんなに大人に見えるんだ?おかしいじゃないか」
同じ十五歳とは思えないような顔立ちと体つきだった。おっと、怪しい目線じゃないからな。
「だってわたし、こっちで2年住んでるもの」
矛盾したことをレイは言った。
「え、こっちは一週間しかたってないが……」
当然、ディバインも時差直しを量る。
「ということは、う~ん……時間の流れが違うのね」
まったく理解できないことを淡々といっている。
う~ん、俺には理解できないことがたくさんあったのか。後で色々教えてもらおう。分かる範囲内で。
……なんてな。さっさと家に帰りたいよ
「ディバインどうするの?当然住むとこなんてないでしょう?」
「え?あ、ああ、そうだな」
まったく予期せぬ事態に戸惑っていたが最低限は答えられた。
すっかり忘れていた。そう、寝床がない。夜またさっきみたいに襲われたりしたら……
「うち、くる?」
いくいくか!とツッコミたくなったが 抑えて、
「え?」
いきなりのことだったので、よく理解できなかったが、それって……
「レイの家にすむってこと?」
「まあ、家事とか仕事とかもしてもらえるならになるけどね」
世の中はどこでも厳しい、か。いや、甘々の優しいほうか。
「でも、その……女ノ子ノ家なんだよな?」
遠慮をいれて言ったのだが、
「いいのいいの。一人暮らしで退屈してたところだから」
軽すぎる……
そこがまた、長所でも短所でもあるのかもしれない。
まぁ、当然のごとく了承し、家に向かう。
かくして俺はレイの家に住むことになった。



「ま、まだなのか……?」
ディバインが呻き声をあげた。
「あと3時間くらい歩くわね~」
険しい山道を越え、やっと開放されたと思ったら、でてきたのは
何もない草原だった。この場合の何もないは、建物をさす。
さすがに歩きでも一日中動いていると足にくる。レイは平然としているが……
「男の子がそれで大丈夫なの?まったく嘆かわしいわね~」
呆れが頂点に達したようなな言い方だった。
「そんなこといったってこんな距離中学の俺には無理だーーー! 
だいたい汗一つかかず、顔色一つ変わらんのはおかしい!」
反論を言うが、レイは言った、
「こんなことで汗かいていたら魔物にやられるわ」
顔色一つ変えずに。血は何色だと聞きたくなったね。
「あ!そうだ。そういえばそれで気になることがあるんだが……」
思い出したことをディバインは言った。
「ん?なに?」
「魔物ってなんだ?あとさっき使ってたライトニ…なんとかってなんだ?」
「えっと~……魔物はヒトでなく、凶暴な生物のことで、
さっきのはライトング・ヴォルトといってまぁ、ようは雷系魔法ね」
「……ま、まぁそういうのって受け入れなければならんよね?」
「この先びっくりしすぎて死ぬっていうんであればいいけど……」
「ハイ、キッチリガッシリ受け入れます」
ディバインは軍隊がやるような敬礼ポーズをやり、決意表明した。
「よろしい。まぁ、詳しいことは家に着いてから話すわ」
あと何時間かかることやら……




案外あっさり着いた。ここまでの道のりでたいした障害物はなかった。と、レイのこと
俺は、
「あ、そうだ。ハイ。これ」
思い出したようにレイがいい
「何?これ?」
いきなり袋から取り出した物を見てディバインは唸った。
「みればわかるでしょ?剣、ソード、ブレード」
丁度漫画とかに出てきそうな鉄剣だった。長さは1M弱で見た目なにもわからない。
「なぜに?って重ぉぉぉ!!」
レイからディバインに剣が渡った瞬間地面に穴が開いた。
「大体感覚的には50Kgくらいよ?軽い軽い」
「あ、あほか!人間が振り回せるほど軽くねえ!」
「あらそう?旅人とかには大体100Kgくらいのもってる人いたけど?」
拝啓母上アンド父上様、俺はもう挫けそうです……
「大体、剣も持ってなくてどうやって魔物と戦うの?」
「う、う~む」
たしかにそうだ。木なんかでは話にならないことは十分身にしみている。
「それに、今のうちにこういうの慣れとかないと後々大変よ?」
「わ、わかった」
そして案外簡単になれた。最初は両手でなんとか振り下ろすので精一杯だったが、
そのうち片手でスイスイ振り回せた。なんでも空気中にある魔力素によることだとかなんとか。
まったく理解できない。
もちろん、障害というのは言わずも分かるだろうが、魔物だった。
名称は、スライム、ウルフ、―――まぁ、犬だ―――バット―――野球道具でないな、―――だった。

というハイテンションデイでした。
レイの家に着き、一息ついたところで。
「レイの魔法講座~その1!」
いきなり何を言い出すかと思えばこれだった。ま、聞いても損はないだろう。
「え~まず初めに魔法のことから説明しようかしら。魔法はいわゆるマナというものを使い発動させます」
「マナって?」
「えっと、空気中にある魔力素のこと。ちなみに人からこれが無くなると死ぬわ」
軽く爆弾発言を言ってきた。じゃあ、
「じゃあ地球にいる人たちとかは?」
と、聞く。
「えっと……憶測だけど、少なからずは持っているとは思うの。あと、魔法は金属に消される性質があるから地球にはほとんどないと思うの」
レイは難しい事を考えている顔で言った。
「それってつまり、一応は地球でも魔法はつかえると?」
「う~ん……理論上は可能だけど……できる人は少ないと思うわ」
「なぜ?」
「それはマナの量もだしそれに、向こうは言葉に力があまりこもらないから……かな?」
「ん?ってことはこっちには力があるのか?」
「うん。なぜ?っていわれたら困るけどあるの。ほら、ゲームとかでも詠唱とかあるじゃない?それと同じ。言葉により力、ようはマナを扱いやすくすることにより魔法は発動させるから、地球では発動しないと思うの」
「なるほどね」
「んで、次に種族のことを言っときましょうか。この世界には亜人、精霊、人、天界人、魔界人の五種類の生き物がいるわ」
「亜人って獣人とかか?」
「そう。獣と人の間ってかんじ。ちなみに精霊はマナの塊で、一定量集まると意識できるの。天界人と魔界人は……よくわからないの」
「なにそれ?」
疑問をふっかける。
「それは、めっっっっっっったにここにこないから」
レイは力を込め、間を精一杯空けて言った。
「は?」
「つまり、グランガイアに現れないってこと。今日はこれくらいね。明日はこの町の案内と、魔法、つかいたいでしょ?それの特訓ってことで」
突飛し過ぎてよくわからんが五感のままに感じて知識にするか……
「あ、ああ。わかった。ありがとな。じゃ、おやすみ」
「おやすみ」
……俺はどこで寝るんだ?ふとした疑問。
「ああ、寝床は床ね。毛布はそこにあるから。じゃ、寝るね」
っと言われましても……レイもおんなじ部屋のおなじ床で寝るんかい。
ベッドは……ないのか。
前途多難とはこのことか。変なことにならないように寝よう……頑張れオレ。






「う~ん」
朝日が目に入り、眩しくて目が覚めてしまった。
「おはよう、よく眠れた?」
「おはよう、よく眠れたよ」
「それはよかったわ……それにしても、寝像悪いのね」
レイの顔がほのかに赤らんでいる。
「え、え~となんのこと?」
「自分で知らないの?はぁ、そんなことじゃ女の子に嫌われるわよ?」
呆れられた。
オレはトンデモナイコトをしてしまったのか!?
「す、すまん!何か変なことしたなら謝る!償いはちゃんと……ん?」
必死に許しを請おうとしている俺を見て
レイが笑っているように見える……
「な、なぁ、ま、まさか……!」
悪い予想的中確立100%は確実と思ったさ、ちくしょう。
「ぷ、くくく、あーっはっはっは!」
大声を張り上げて、すがすがしい気分になりそうなくらい見事に笑った。
「だ、だましたなぁーーーーーー!!」
「本当に騙されるなんて、く、あはは だ、ダメ」
なおも笑い続けているので、より腹が立ったので、
「なんて女だ!清らかな少年の心をもてあそびやがって!」
負け惜しみでもかまわないので怒鳴った、えぇ、怒鳴りましたとも。
「別にいいじゃない、なにもしてないし、されてもないから安心なさい。ふふふ、ほら、目も覚めたでしょ?」
言われた通りなので気分は多少収まったが、まだ怒りは消えてはいない。
「く、この・・・ま、まぁいっか。んで今日は町を案内してくれるんだっけ?」
ふてくされたので、適当に予定を言った。
「そ。ほら、さっさと準備して。出かけるんだから。あ、服は棚の使ってね」
ビンゴだった。そして、
俺もとうとうこの世界の物を使うことになるんだな。
ま、覚悟はしていたし、不思議と嫌な気分じゃない。むしろ・・・なんというんだろうか?



懐かしい、のかな?




着替えた後は、町を見回った。帰るころにはすでに日が落ちていた。
「う~ん、疲れたわね~後もうひと頑張り」
「つ、疲れた……ってかまだなにかやるのかよ!?」
「そんなには疲れてないでしょ?一通りの店と役所、町長にあいさつ、この世界の歴史、これだけよ?」
「店が8件、役所で昼を過ぎ、町長の話で足が限界になるし、歴史を知るために図書館で25冊読む。アホか!死んでしまうわ!」
「人間はそう簡単には死なないから大丈夫。さて、昨日の続きよ。実際に魔法を使ってみよ~」
右手を上げて気合を入れるように言った。
「スルーか!ったくしょうがね~な」
悪態つきながらも了承する。
「いいからいいから。ほら、外にいくわよ~」




「んでどうやるんだ?」
「あせらないあせらない。自分の体内から力を放出するようにして。」
「……………………」
嘘か真か、信じきれないが、
言われたとうりにディバインはした。体から謎の力を体全体に行き渡るように。感覚の問題だ。
「その調子その調子、んじゃそうね、ファイアからいこう。あの木に向かって炎で焼き尽くすイメージ!」
何がその調子なのか、目を開けていないのでわからない。だが、
この感じはなんだろう、沸々と体から力がみなぎる気がする。
「放て!」
レイの掛け声を合図に手から炎の塊を出すイメージで、
「ウオオォォ!ファイアー!」
ありのまま、イメージ通りのものが手から出、木に当り、
一瞬にして炭になった。
火の玉の様な物の通ったあとは焼け焦げている。
「あれ?ファイアってこんなんだったっけ?」
「ファイア」
レイの手からかわいらしいライターの火の様な物がでている。
「よわっ!」
「う~ん、やっぱりおかしい」
「なにがだ?」
「ファイアって、攻撃魔法じゃないのよ~。枯葉を燃やすくらいの火力しかないはずなんだけど……」
「それって、……おれがおかしいの?」
「うん」
うん、ってそんなきっぱりと……
「やっぱり。でも、言葉の力ってのがあるって聴いたが?」
「それはそうだけど、それはマナを扱いしやすくするためであって、直接威力に関係するわけではないの」
「えっと……ファイアという言葉は、それなりの火力しかないってこと?で、でもよ、
イメージは木を燃やし尽くすって言ったろ?」
「最初からうまくいくはずないじゃない。強めに初めは思うのが基本。……だけどまんまにでちゃったみたいね~……あらら。炭ね~これ」
レイが木の棒で少しつつく。脆いものですぐに粉になってしまった。
「ん?でも、使えるようになったからいいんじゃ……」
そのとき急にディバインの膝が曲がり、座り込んでしまった。体が鉛のように重い……
「あちゃ~反動がきちゃったか~。いきなりあんなのやるからよ。」
レイが手で頭を抱えてそういった。
「俺の、せいじゃ、ねえ、だ、ろ……?」
なんとか反論する体力はあるが、ほぼ限界だった。
「はいはい、とりあえずこれで魔力回復しなさい。」
レイは瓶をディバインに渡した。中に入っている液体を飲むのか?
「一気に行くのがコツよ?」
しばらく躊躇していたディバインにアドバイスした、が
「あの、かなり危険な感じが……」
臭いが病院の独特な感じに似ている。
「大丈夫、ようは慣れよ、慣れ。ファイト、がんばれ~」
意を決し飲む。
次の日になるまで目が覚めなかった。
嫌な思い出のひとつにすぎないが。





「っは!」
自分に意識が入った瞬間を狙って起きた。
とりあえず、こうなった原因の奴に文句を言おう。
「レイ~!変なもの飲ませやがって!どうし……」
「し!静かに」
レイが手を口に当てて制した。
ん?なんだ何が起きたんだ?
「耳を澄まして。何か聞こえるでしょ?」
言われたとおりすっと耳を済ませる。かすかに土をけるような音が聞こえた
「ちぇ、とうとうきちゃったか……」
レイが舌打ちをする。
小さい声で言っているので俺もできるかぎり小さい声で聞いた。
「何が起きた?」
「そういえばいってなかったわね……この国は今、隣国と戦争中なの。前は仲が良かったんだけど……んで、ここはその前線に近い町なの」
そうだったのか。ということはさっきのは馬の蹄の音だったのか。
理解したディバインは聞きたいことがあった。
「どうするんだ?」
想像上だが、まず敵わない敵だ。この町には兵力が少ない。向こうは訓練された兵が
何人も攻めてきているのだ。あきらかにこちらの分が悪い。こちらの状況も推測なのだが……
「避難……駄目ね。追いつかれる。っということはあれしかないわね……」
レイがバツの悪い顔をしている。
「なんだ?なにかあるのか?」
「ま、まあね。一つ頼まれてくれない?町の人に逃げるように言って頂戴。」
何故そんな事をするのかは解らないが、言う通りにするしかない。





町の構造は体が覚えていたので比較的早く伝えることができた。
「いってきたぞ」
肩で息をしながらディバインはいった。
「ありがとう。ディバインも逃げて」
いきなり自己犠牲の伏線のようなこと言っているので、いってやった。
「アホか。おまえを置いて行けるか。何をやるかわからんし。それに、手伝えるかもしれない」
「……後悔するかもしれないわよ?」
「上等、かかって来いってんだ」
安心させるには気休めでもこういうのがいい。
「……ありがと。じゃあ、説明するわ。 ある一人の人間が実は家にいるの」
またしてもさらりと爆弾を投下するのがお好きなようで。
「え?マジ?」
「うん。名はジーク。この子には能力があるの。それは魔力剥奪。文字通り、魔力、マナを奪う能力。」
魔力の定義はすでに聞いている。ということは…
「それで・・・こ、殺すわけか・・・」
「いや、そこまでは取らない、いえ、取れないわ。でも気絶、悪くて2週間ほど目が覚めないとかはあるわ。しかも対象を選べないから周りに被害が出る」
つまり、避難したのはこういうことだったのか。ついでに俺らだけが巻き添え、と。
「この際しょうがねえ。やるしかねえんだろ?」
「そう。だけど……私が気を失うくらいだもの。ディバインはひょっとしたら……」
その先は暗黙の了解だった。いくら魔力が取れないといっても俺はこっちにきて少ししかたっていない。だが、俺はこんなところで死ぬわけにはいかない。1%でも可能性があるのならばそれにかけるべきだ。
「……やってくれ」
「……わかったわ。ちょっとまってて。あ、避難所はここから北の城にあるわ。もし、
失敗したらそこに逃げて」
「了解。健闘を祈る」
失敗とはなんのことだか分からないが、まぁいい。
そうして、レイは向こうの部屋に消えてしまった。
ほんの十数秒だった。その場、否、町の空気が変わったのは。
「く、なんだ、これは!?」
自分の体から掃除機で吸うかのように力が抜けていくようだった。しっかり気を持たないと倒れてしまいそうだ。
「れ、レイ?大丈夫か?」
叫んでみたが、
返事がない……まさか!
俺はレイがいる部屋へと向かった。
「おい!しっかりしろ!」
生死の安否の確認をするため、呼吸をしらべた。
息は、している!生きている。ほっと胸をなでおろした。死なないとはいわれていても、やはり心配だ。
瞬間、ドサドサと何かが倒れるような音がした。それもたくさんだ。
「な、なんだ?」
おそるおそる窓の、いや割られている窓から外をみた。それは、
「あ、あんた!なにやってんだ!?」
ディバインは見た瞬間声を上げた。
兵士らしき者と馬が倒れているちょうど真ん中らへんに一つ、地面に垂直な影があった。多分だがレイの言っていた
やつだろう……
「ん?あれ?俺の能力を喰らって気絶しない奴なんかいたのか。っというかお前誰だ?」
珍しい物を見るように、少し驚きながら男は言った。
「おれはディバインだ。あんたがジークか?」
「あ?そうだがなんで名前知っているんだ?」
禍々しい空気に響くすっとんきょうな声、おもわず気が緩み、気絶しそうになる。
「俺はレイの友人だ」
「ああ、そうなのか。っとそろそろ頃合かな?じゃあな」
その男―――ジークは首にわっかをつけ始めた。何事と思ったときにはすでに周りは
『元に戻っていた』。そして奇妙だった
「お、お~いジーク?なにやっている?」
ジークは必死になにかを探していた。そして俺に気づいたらしく、こちらに向かってきた。
「う、う~ん」
レイが起きたばかりのような声を上げながらゆっくりと立ち上がった
「ん?終わったみたいね。ふう、楽じゃないわね~。あ、はいジーク」
そういって渡した物――――紙だった。
即座に受け取り何か書いている。
―――その人だれですか?―――
なんだ?声が出せないのか?いや、さっき出していたしな…
そんな俺の疑問を察知したのかレイが教えてくれた。
「ああ、この子二重体格なの。それで向こうに結構体の機能をとられちゃっているの。だからよ?」
初めて聞いた単語だった。体格が二重ってどういうことだろう。
―――苦労しているんです―――
紙に一瞬で文字を書くところを見ていると、かなり長い歳月をこの体で生きているみたいだ。
「そ、そうなのか大変だな。でもなんで封印っていうかなんていうかして閉じ込めていたんだ?」
「無駄に周りに迷惑がかかるようなことを防ぐためよ」
「ふ~ん」
そりゃ納得だな。
「ま、ここも危険だし、サッサと城下町にいくわよ。」
「え、あ、ちょ、まてって!」
スタスタと歩いていってしまった。
しかたない、その城にいくとするか。