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飛蝗と少女

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飛蝗と少女 ◆QkRJTXcpFI



仮面ライダー、本郷猛は改造人間である。
彼を改造した<ショッカー>は恐怖により陰から人類を管理する驚くべき秘密結社である。
仮面ライダーは、<ショッカー>に切り捨てられた弱き人々の希望ために、
<ショツカー>と戦うのだ。

本郷猛は怒りと悲しみにうち震えていた。
こんな無意味な殺し合いに人々を巻き込む非道に、
失われてしまった命に、
そして今からさらに命が失われてしまうかもしれないという事実に、
本郷猛は怒り、悲しむ。


本郷は改造人間としての鋭敏な感覚で認識していた。
あの暗い広場にいたのは自分のような戦う力を持った人間だけでは無い。
むしろ、見るからに何の力も持たない「普通の人間」が大きな比重を占めていたのだ。
恐らく彼らは、ゲームに乗った「力ある者」に見つかれば、たちまち
殺されてしまうだろう。

そんな事は許さない。

何処であろうと自分の為すべき事は変わりない。
こんな腐ったゲームに巻き込まれ、牙もなく、ただ殺されしかない
弱く儚い「普通の人々」、死への恐怖で今にも押しつぶされてしまい
そうな人々、そんな暗闇に放り込まれた人々の希望の光となる事、
それこそ自分の為さねばならない事だ。

ここに愛機<サイクロン>は無い。<S.M.R(システム・マスクド・ライダーズ)>用の強化服も無い。武器として持っているものは

、ひと振りのバタフライナイフだけだ。

だが、だからなんだというのだ。

自分はおぞましい改造人間、<飛蝗男>だ。
この五体だけでも出来る事は幾らでもある。

そう思い立った本郷猛は、支給された地図を開いた。
ここはどこかの島らしい。施設にはふざけた名前の物も多いが、
病院や武器屋といったような有用な施設もある。

一旦、地図から目を離すと、本郷は辺りをぐるりと見渡した。
辺りには背の高い広葉樹しかなく、ここが何処だかを判断する材料はない。
ただ・・・

「・・・・潮の香り・・・・か?」

本郷の改造人間としての鋭敏な嗅覚が、何処からか漂ってくる磯の匂いを感じ取っていた。
恐らく海が近い。と、なれば、

(9のBからH、あるいは2のEからGのエリアの何処か?)

出来うることならば、市街地に近い島の西側であって欲しい。
本郷は、積極的に戦う力の無い一般人の保護をしに行くつもりであった。
そのためにも人の集まりそうな市街地に向かわねばならない。

(しかしその前に・・・)
「そこにいる、君。出てきてくれないかな?」

本郷は自分の後ろの茂みに、そう声をかけた。


北条沙都子は驚いていた。
まさか気付かれているとは思わなかったのだ。

気がつけば突然奇妙な広場のような所にいた。
そこでいきなり「殺し合い」をしろと言われ、
それに文句を言ったおじいさんが殺されて・・・

気がつけば、この茂みすぐそばで倒れていた。
訳が解らなかった。
怖かった。泣き叫びたかった。
しかし泣くわけにはいかない。
自分はかつての自分とは違うのだ。
行方知らずの兄の為にも、自分は徹底的に整然としていなければならないのだ。

そう思えば涙は我慢できた。
落ち着いたところであたりの確認をしようと思い、
立ち上がろうとしたところで・・・・茂みの裏にしゃがみこんだ。

何と言う事か、すぐそこに人がいたのだ。
身長はかなり大きい。
頭には軽いウェーブがかかった黒髪がのっかっている。
黒い革のジャンパーを着こみ、頑丈そうなジーンズを穿いていた。
こちらに背を向けているので顔は見えない。

こんな状況での、イキナリの他の参加者との遭遇。
沙都子にはどうすればいいかが解らなかった。
目の前の男が殺し合いに乗っていない人間ならばそれでいい。
だが、もしも乗っている人間だったら?
今自分の手元に武器になりそうな物はない。
デイパックを開ければ音で気づかれるだろう。
殺し合いに乗った人間ならばそれで終わりだ。

「・・・・・・・・」

取り敢えず、今は息を殺して様子を見よう。
幸い、相手はまだ自分の存在には気付いていないようだ。
相手がここから去ればそれで良し。
もしこちら方に向かってきたならば全力で逃げる。
もし安全な人間だと確信が持てるならば接触を図るのも良いだろう。
そう思っていたのだが・・・・

「そこにいる、君。出てきてくれないかな?」
男は再びそう口に出した。

やはり気づかれている。
何故気づかれたのかはわからない。

(どうすればいいですの・・・・・)

もし沙都子の目の前にいる男が本郷猛でなければ気づかれる事は無かっただろう。
しかし本郷猛は改造人間である。彼の鋭い五感は確かに沙都子の存在を捉えていた。

出てくる様子はないか・・・・・)
本郷は慎重に茂みへと向かって歩を進める。そして、茂みをガサリと手で開いた。

「あ・・・・・・」

そこに居たのは年端もいかない少女だった。
そんな少女が目に涙を浮かべて、尻餅をついていた。
どうやら腰が抜けてしまっているようだ。

その様子に、本郷は何故か少し可笑しくなった。
少女が中々器量よしだったこともあって中々その光景は微笑ましい。

しかし同時に怒りが湧いた。こんな小さな女の子までこんな非道なゲームに
参加させるとは・・・・やはりこのゲームの主宰者たちを野放しにしては置けない。
本郷は改めて決意を固めた。

(見つかった見つかった見つかった見つかった見つかった・・・・)
沙都子の心は絶望に覆われていた。先ほどまでぎりぎりの所で
留めていた恐怖が今や沙都子の心を支配していた。
逃げ出そうにも体が動かない。腰が抜けてしまったようだ。

男が沙都子に向けて手を伸ばす。

(いやっ・・・助けてにーにー!!)

沙都子は思わず目をつむった。そして・・・・

ぽふっ

男の手は沙都子の頭に置かれ、わしゃわしゃと不器用に彼女の頭を撫でた。

「え・・・・・・」

沙都子が恐る恐る目を開けると男は言った。

「大丈夫だ・・・・・・俺は・・・・」

男は言った。

「俺は味方だ・・・・」

そう言った男の顔は何処までも優しかった。


【G-9:一日目 深夜】

【本郷猛@仮面ライダー 誕生1971】
【服装】:革ジャン、丈夫なジーンズ
【状態】:健康
【装備】:バタフライナイフ
【持ち物】:(ナイフ以外の支給品は他の書き手さんにお任せします)、基本支給品
【思考】
1:少女(沙都子)を保護する
2:人の集まりそうな所に行って、戦う力の無い者を保護する
3:主催者に反逆する
[備考]
※<飛蝗男>に変身出来ます。
 ただし、能力には制限が掛けられており、
 変身後の肉体的疲労も大きいです。
 詳しい制限については後の書き手さんにおまかせします

【北条沙都子@ひぐらしなく頃に】
【服装】:緑のワンピース
【状態】:混乱?(おさまりつつある)、雛見沢症候群(程度は不明)
【装備】:不明
【持ち物】:不明
【思考】
1:助かったんですの・・・
2:にーにー・・・・
[備考]
※原作の具体的時期は不明です。
 雛見沢症候群にかかっていますが、今は落ち着いています。
 今後どうなるかはわかりません。



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