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その男は愛するあまり ◆KYxVXVVDTE



 「週刊少年ジャンプ」って知ってるか? 毎週すげぇ数の再生紙を使って作られてる、日本一の漫画雑誌、ってやつだ。
 俺は、ずーっと「そこにいた」。創刊された当時のことはほとんど忘れちまったが、それこそ気の遠くなるほど、ずっと。
 ジャンプのシンボルとして、いつも変わらぬ顔でそこにいた。
 まあ文字通り、海賊みたいな“顔だけ”、なんだが。
「――色んな作品を見てきたよ、俺は。それこそ大ヒットした作品から、打ち切られた漫画、読み切りに至るまで全部覚えてる。全部愛している」
 その言葉に偽りは含まれていない。本当の事だ。
 例えどんなに人気が無くなろうと、発行部数がいくら少なくなろうと。
 一つの雑誌が終わるその最後まで、ジャンプと共に沿い遂げる覚悟があった。
 そしてそれまで、一時たりともジャンプから目を反らさない覚悟もあった。

 なのに。

「なのによ、これは――どうしたことだってんだ?」

 何故か体が動くかと思えば、顔だけのはずの俺には立派な体が付いていて。
 それだけでも首を傾げたくなる出来事なのに、見たことない人間が現れ、テンポ良く話し始め。
 気が付いたら俺は、どっかの川のほとりに寝てやがった。
 空に浮かぶ月。さらさらと流れる澄んだ川。緑色の、短く整えられた芝生。
 起き上がって背後を見ると、荷物入れ――デイパック、が落ちていて。
 さっきあの変な野郎が言ったことは、本当のことだ、と実感させられる。




「バトルロワイアル、ねぇ――今どきの流行りだってのは認めるけどよ」

 俺はあまり、こういう話は好きじゃない。
 努力・友情・勝利。俺の脳髄に刻み込まれたこの3つの単語と、
 裏切り・疑心・殺人が売りのバトルロワイアルとじゃ、正反対にも程があるってもんだ。
 まあ――それが売れちまう、ってのも、世界の移り変わりって奴かも知れねぇけどな。

「物騒なもんだ……さぁて、どうするか……」

 自分が物語の登場人物になる。全く考えたことのない展開だ。
 出来れば今すぐにでもジャンプに帰りたいが、そうは問屋が降ろさないだろう。
 右手を首に当てる。ひんやりとした、鉄の感触。頭と体を繋ぐ場所に、首輪が付けられている。
 あの変な人間を倒さない限り、俺の生死は奴に握られているって訳だ。
 そうだな……例えるなら、ジャンプで連載してる作家達か?
 いい作品だろうと、人気がなけりゃ切られる。
 それと同じで、どんなに強い奴でもあの人間に逆らえば――死ぬってことだ。

 そこまで理解して、俺は堪えられなくなった。

「ははははは! ふざけてやがる!」

 死ぬ。そんなことで。そんなことで、ジャンプで連載している作家達は心を変えない。
 いつだって彼らは打ち切り――死と戦っている。ジャンプのシンボルである俺だって、それは同じ。
 大体、物騒になり下がった世の中じゃ、こんな首輪なんて有っても無くても変わんねぇ。
 誰だって、死ぬ時は突然に来るもんだ。問題はそれまでに、全力を尽せるかどうかだ。
 こんな物で、俺達の思想は縛れない。
 それに――あの人間は忘れているのか?
 追い詰められた時こそ、俺達は真価を発揮するってことを。

 デイパックを背負い立ち上がると、俺は叫んだ。

「俺は――愛している! ジャンプの作品の全てと、生まれてから見てきた全ての作品をな! ……だが、今のこの作品は嫌いだ! 裏切り、疑心、殺人。全て下らねぇ! だから、変えてやる」

 沢山の仲間を集めて、悪い奴らをぶっ飛ばそう。
 ぶっ飛ばした悪い奴らを、なんだかんだで仲間に変えて見せよう。
 そして全ての悪を倒し――この物語を、友情・努力・勝利で染めてやる!

「聞いてるか、名も知らない人間……悪の絶対王政ほど、崩れやすい設定はない! 年季の違いと言うものを教えてやるから、耳でもほじって待ってろや!!」

 さぁて、目標は出来た。後はそれに向かって、一気に突き進んで行くだけだ。
 停滞なんて、させやしない。俺達の戦いは、これからだ――――!!

「ほう、成程」

 俺の後ろから、声がした。

「絶対王政は崩れやすい、か。そこの白黒面の者、中々に知を蓄えていると見える。だが――この場で叫び声を上げることがどのような愚かは、解っていないようだ。」

 ずっと考え事をしていたからか。それとも周りが見えなくなるほどに、精神が高ぶってしまっていたのか。

「だれ、だ――」
「ここに呼ばれる前は、帝の名を名乗らせて貰っていた者だ。恐らく、民を苦しめたことは無いと思うがな。だが今は――、」

 草を踏む音。すでに、完全に背後に回られている。
 男は俺の背中に細い棒のようなものを当てると、逃げられないように俺の肩を掴んだ。




「今の私は、姫を愛するただの人間。姫のためならば殺人すらいとわない。さあ、どちらの信念が王にふさわしいか――決めようではないか。」

 そして、ゲームが始まった。――始まり、ました。
 私は敗け、帝様は王になり、私は、帝様の言う事を聞く、平民と成ったのです。

 なんとも光栄な、ことに。

◇◇◇◇◇

 王様ゲーム、と言うらしい。人数分の棒きれに番号を振り、うち1つは王の印を付け。
 王を引いた者が、特定の番号を持つ者に命令を下せる、という遊戯だ。
 私の……デイパック、と言うらしい袋には、棒きれ10本と、王様ゲームの説明書きが付いていた。
 他にも鉄で出来た曲がった筒や、見慣れない紙が詰まった入れ物があったが、説明書きが付いていなかったので、とりあえずは閉まっておいた。

「はい。私は、漫画と呼ばれるものの集合した、雑誌――本のシンボルで」
「シンボル? 何だそれは。」
「は、はい。シンボルとは象徴、帝様の言葉で言いますと平民から見た帝様のような物のことで」
「そうか、解った。次へ行け。」
「はい。次にドラゴンボールですが――」

 それにしても、凄い代物だ。相手の体に棒きれを触れさせる必要がある、との注意書きには落胆したが、それさえ上手く行けばかなり使える。
 勿論、ゲームに勝つ必要こそあれど、見返りは大きい。先程まで荒々しい言葉を吐いていた若者が、見る影もなく小さな平民になってしまった。
 一応、もう少し確かめて置こう。

「――でして、今や海外にもジャンプは進出しているのです」
「そうか。よし、大方の話は解った。もういいぞ、死ね」
「ええっ――い、嫌です! 死ぬなんて、そんな」

 どうやら、最初にした命令以外のことは聞いてくれないようだ。
 敗者の男には、「知っている全てを教えろ」と命令した。王様ゲームの効力を試す意味も有ったし、私も情報が欲しかったからだ。
 漫画、という物について、この男は実に多くの知識を持っていた。殺し合いに役立つとは思えない情報ばかりだったが、構わない。
 この殺し合いの遊戯に似た話を、とある漫画で見た――という情報が手に入っただけでも、意味があった。

「そうか、死にたくはないか。」
「は、はいっ……生きたいです!」
「ならば私に逆らうか?」「い、いえ、滅相もない! 帝様、どうか御慈悲を――」




 ほう、成程。初めの命令以外は聞けないが、だからといって逆らう訳ではない、と。ますますもって、不思議で面白い遊戯だ。
 10本あれば、10人まで同時にゲームを始めることが出来るだろう――「①番は②番を殺せ」、などと命令してみるのも良いかもしれない。
 始めるまでが難しいから、あまり使えないとは思うが。

「さて――時間が勿体ない。」
 私は白黒面の男に再度近付くと、押し倒しながら首を絞める。

「が……あっ……帝様、お止め、くだ……」
「いつまでこの遊戯の効力が続くのか、分からぬのでな。今のうちに殺させてもらう。」

 首輪が邪魔になり、あまり力が入れられないものの、段々と男の顔が青ざめて行くのが解った。
 命を摘み取る音が聞こえる。私にはそれが、とても心地よい旋律に聞こえた。
 実感、だ。
 こうして人を殺すことにより、殺し合いに勝つ確率が高くなるという、実感。
 私は帰らなければならないのだ。彼女の返事を、まだ聞いていないのだ。

「ああ、かぐや姫よ。私はお前を愛している。一目見て、お前しかいないと気付けた。だから、求婚した。」

 男の体から力が抜けていく。魂も、抜けていっているのだろうか。

「突然、こんな所に呼び出されたときは驚いたが――私の信念も、変わらない。私はお前を見ていたいのだ、なよ竹のかぐや姫」

 そのためならば、どんなことでもして見せよう。
 もしお前もここに呼ばれているなら、私とお前以外の者を皆殺しにして、そして私が死のう。
 愛している。愛しているのだ。逢いたくてたまらない。愛して、いる。
 この愛を邪魔しようものならば、地の果てまでも追って、その存在を滅してくれよう――――

「私の愛の証として、お前には死んでもらうのだ……さらばだ、白黒面の男。」

 男はついに白眼を向いて、口から泡を吹き――動かなく、なった。

◇◇◇◇◇

 F-2の草原、北側の、川のほとり。
 月が辺りを仄かに照らし、澄んだ川のせせらぎが聞こえ、緑色の、短く整えられた芝生が広がる中。
 平安時代の正装、黒の冠に黒の束帯を身に付けた男が、笑っていた。
 男の側には、白黒の顔を真っ青にした男が、冷たく横たわっている。だが、それは笑う男にとって、どうでもいいことであった。




「さて、この男のデイパックを確認せねばな」

 すでに男は、次を考えていた。どうやってこの遊戯で優位に立ち、殺し合いを制するか。
 一人の女を愛し、愛して、求婚さえした男は――これ以上ない程に、狂った笑みを浮かべていたという。

 いと、あはれなり。


【F-2/子の刻(AM:0時)】

【帝@竹取物語】
【服装】黒い冠に黒い束帯(着物みたいなやつ)
【状態】興奮
【装備】なし
【持ち物】王様ゲームセット@王様ゲーム、9mm拳銃@現実、札束の詰まったスーツケース@ハヤテのごとく!、不明支給品1~3
【思考】
  • かぐや姫に逢いたい。
  • かぐや姫のためなら殺人でも何でもする。
  • 知らない物が多いな……。
※かぐや姫に求婚した直後からの参戦です。
※ジャンプが創刊されてからの漫画についての知識を得ました。

【王様ゲームセット@王様ゲーム】
10本入り。参加させたい人の体に棒を触れさせ、王様ゲームを始める旨を伝えるとゲームが始まる。
ゲーム中は殺人は禁止。そして、王様の命令はギアス並に絶対の物になる。命令は1ゲーム1回まで。


【海賊マーク@ジャンプ 死亡】


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