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セレブと1ギル野郎

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セレブと1ギル野郎 ◆HJkTyyPlkE



「ここで会ったが百年目よ、クソ王子! ヤリすぎて……ううん、ここで死んじまえ!!」
「な、何なんだ君は!?」

柔らかなウェーブヘアーを激しく揺らしながら、憎しみのこもった瞳で男を見つめる大人びた美少女。
その手にはアイスピックがしっかりと握られている。

「しらばっくれないでよ! ああん、思い出しても腹が立つ!! あんたなんて死んじゃえばいいのよ!!」

少女は明らかに殺る気である。しかし、無闇な殺生を好まず、また死者の国から蘇ったこの男は、
容易く他人に殺される気も、他人を殺す気もなかった。相手が少女とくれば尚更である。


「仕方ない…………ミニマム!! 」
「きゃっ!」

男の魔法詠唱と共に、少女は16cm程の小人へと姿を変えた。
小人化した少女は途端に身をすくませ、目の前の男から逃げようとする。
が、当然小さいのですぐに逃げられるわけもない。


「……いや……」
「大丈夫か? 私は君を殺そうとしない。落ち着いて話をさせてくれ」
「あ、あたしを殺さないの……? って、貴方、カサルじゃないの?」
「カサル? 誰だそれは。私はミンウ。フィン王国の宮廷魔道士だ」
「そ、そうなの。あたしは可憐。黄桜可憐……聖プレジデント学園の3年生よ」

冷静に見れば白いアラビア風の衣装とやや浅黒い肌しか共通点がない気もする。
可憐は突然自分がしたことが恥ずかしくなった。

「ごめんね。あたしの人違いのせいで……」
「いや、いきなり殺し合えなんて言われたら、混乱しても仕方がない」
「怒ってないの?」
「大丈夫だ」
「良かった。あたし、実は最近すごく嫌な奴に会ってね――」

クーデターのために日本に来ていたキール王国のカサル王子の身を、仲間たちと共に守ろうとしている内に、
自分は真剣にその男に惹かれていたということを可憐は初対面のミンウに打ち明けた。
真剣に結婚まで考えていたその男が、実は大の女ったらしで何人も嫁がいた……というオチつきで。


「――――ってわけで、そいつ、本当に不実なクソ男だったのよ!
 ああん、カサルは腹立つし、さっきのクソジジイもいきなり殺し合いをしろなんて言うし、
 どうしてあたしはこうも男運がないのかしら!!」
「気持ちはわかるが年頃の女性がそんな言葉遣いをしてはいけないよ」
「だって……まあ、いいわ。貴方は少なくともそんな男たちとは違いそうだし」
「可憐……」
「だって、さっきあたしを殺そうと思えば、その不思議な力で殺せたはずでしょ?
 小さくなってるあたしを踏みつぶせるはずだし。でも貴方は殺そうとしなかった……」

そこまで言うと、ぽわん、と音がして可憐の身長が元の大きさに戻った。

「あ、元に戻った。よかった、ちっちゃいままだったら動きづらいもの」
「ふふっ、びっくりさせてしまったかな?」
「まあ、最初はあたしが貴方をびっくりさせたんだし、お互い様よ」

さっきまでと異なり、二人とも笑顔になる。


「そういえば、貴方の背中に貼られている『アルテマ1ギル』って何のこと?」
「え……?」
「ん? だから『アルテマ1ギル』って、変な張り紙が……」

可憐が丁寧に張り紙をミンウの背中から引きはがし、それを見せる。
ミンウの表情が一瞬曇ったのを可憐は見逃さなかった。

「誰がこんな悪戯を……」
「意味はよくわからないけどムカつく張り紙ね。気にすることないわよ」
「ああ……」

それでもミンウの表情は優れない。それもそのはずだ。
アルテマ、それは彼が命と引き換えに封印を解いた禁断の書に記された魔法の名。
ミンウは信じていたのだ。自分の命を犠牲にすることで、アルテマが人々を救ってくれるだろうと。

しかしそのアルテマの肝心の威力は……というと「クソ」としか言いようがなく、
彼の遺志をついでアルテマを習得した仲間たちには、
「ミンウには悪いけど、この魔法……これだけ弱いんだったら、魔道書売って強い武器を買った方が良かったかもね」
「何言ってるんだよマリア。そんなクソ魔法、1ギルでしか売れやしないよ」
「よせ それ ミンウのいのち 1ギルと言ってるのと おなじ」
とボロクソに叩かれ、もう二度とアルテマを使わなくなる始末。

また、彼が仕えていたヒルダ王女や国民も、多忙のためなのか、それともアルテマの威力にあきれ果てたのか、
ミンウの死についても、アルテマの能力についても一切スルー。
無かったも同然にしたのだ。
これらの現実は、霊体となったミンウには全て筒抜けだったのだが、現世の人間がそれを知るわけもない。

気にせずにいようとしても、どうしてもその記憶が心をえぐる。

「大丈夫だ。私は今こうして蘇ったんだ……だから、過去のことなんて気にする必要なんてないんだ……」
可憐には聞こえないぐらいの声でミンウが呟く。



「聞きにくいことを聞くけど、まさかこの張り紙が貴方の支給品?」
「……まさか……」
またもやミンウの顔が引き攣った。
が、数分バッグの中身を確認し、安堵の表情になる。

「い、いや、大丈夫だ。ここに星屑のロッドがある」
「へー。かわいいー」
「……大の男が使うのにはふさわしくないデザインという自覚はある」
「だ、大丈夫よ。あたしの友達の……悠理のお母さんなんて高校3年生の娘がいるのに超少女趣味だし。
 友達……? …………あ、そうだ……!」
「?」
「パニクっちゃっててさっきは考えられなかったけど、冷静に考えれば、あたしの仲間もここにいるかも知れない」
「仲間?」
「そうよ。皆、心から信じられる大切な友達。それにとっても強いんだから。
 ……野梨子は男嫌いだから、ほんのちょっとだけ貴方を警戒するかもしれないけど、
 きっとすぐにわかってくれると思うわ。いい子だしね」

「…………」


今の自分にそこまで信じられる人間はいるのだろうか……、とミンウは考えた。
しばらく考えると彼は可憐の手を取った。


「行こう。可憐、君の仲間たちを探しに」
「で、でも本当にいるかどうかもわからないのよ? それにどこにいるのか……」
「探さなければわからないだろう」
「ありがとう……」
可憐もアイスピックを拾い上げ、ミンウについていくことにした。


「あ、そうそう。ミンウ」
「?」
「貴方の仲間や知り合いに、王族や貴族等の超セレブはいるかしら?」
「『ちょうせれぶ』という言葉の意味はわからないが、私は宮廷魔道士だ。
 王族の知り合いという意味ではヒルダ様がそれに当てはまるだろう」

……彼はヒルダに対して、あえて『仲間』という言葉は使わなかった。
が、可憐はそれに気づくはずもなく……

「……女じゃ意味無いのよねぇ……でも……ま、いっか……そっから合コンとかあるかもしれないし」

意外とお気楽に『玉の輿』という明るい未来のための計算を脳内で張り巡らせているのだった。


【F-4/深夜】

【名前】黄桜可憐@有閑倶楽部
【服装】聖プレジデント学園女子制服
【状態】健康
【装備】アイスピック
【持ち物】支給品一式
【思考】ミンウと一緒に行動して、同じ学校の親友たちを探す。
    そして、生きて帰って玉の輿に乗る。(出来ればそのためにミンウに頼んで王族との合コンを開いてもらう) 

※原作の第十三話(ドラマだと第七話)の後。

【名前】ミンウ@ファイナルファンタジー2(>>152のサブタイトルは省略)
【服装】白のローブ
【状態】健康
【装備】支給品一式、星屑のロッド@FF2(炎を噴くことも出来る魔法使い用のロッド)
【持ち物】『アルテマ1ギル』と書かれた張り紙
【思考】可憐と共に行動し、彼女の仲間たちを探す。その後はまだ未定。

※アルテマ解放後、一度絶命を経験。今回はそこからの復活。ホーリーまでの白魔法は使えるが、レイズ・エスナは使えない。


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GAME START 黄桜可憐 刹那に飛ぶ鳥
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