第2話目に一番遠い男 ◆ykGSMmp98o
「死にたくないでござる! 死にたくないでござる! 死にたくないでござる!」
短身痩躯の青年と呼ばれるには歳を取りすぎている男、緋村剣心は全力で叫び続けていた。
「絶対に死にたくないでござる! 絶対に死にたくないでござる! 絶対に死にたくないでござる!」
それもそのはず、彼はとあるロワで既に二回死んでいる。
分岐制が取り入れられているはずのそのロワで、今の所、本ルート含めた全ルートで彼は殺されていたのだ。
分岐制が取り入れられているはずのそのロワで、今の所、本ルート含めた全ルートで彼は殺されていたのだ。
「拙者は只、登場話以降に進みたいだけでござる!」
彼の願いは無事に帰ってみんなの下へ帰りたい。人を殺めたくない。守れるものは守り抜いてみせる。
ではなかった。ただ生きたい。生きてロワから脱出したいではない。生きて第二話という未知の世界へ進みたい。
それだけであった。
そんな悲しい目標を掲げている剣心の元へ、ある男が現れる。
ではなかった。ただ生きたい。生きてロワから脱出したいではない。生きて第二話という未知の世界へ進みたい。
それだけであった。
そんな悲しい目標を掲げている剣心の元へ、ある男が現れる。
「何者でござるかッ!」
「ん? 俺のことか?」
「そうでござる! 拙者を殺しにきたのなら、拙者は全力で逃げさせてもらう!!」
「あいたー、俺が殺したりするわけなかバイ」
「なら、お主は何者でござるか?」
「俺は……天使だ!」
「……天使でござるか」
「ん? 俺のことか?」
「そうでござる! 拙者を殺しにきたのなら、拙者は全力で逃げさせてもらう!!」
「あいたー、俺が殺したりするわけなかバイ」
「なら、お主は何者でござるか?」
「俺は……天使だ!」
「……天使でござるか」
天使を名乗る謎の男……服装の上から下、ネクタイまで全て黒と、とても天使とは思えない風貌とひょうきんな話し方
これを天使と信じろというのだろうか?
これを天使と信じろというのだろうか?
「お前、信じてないだろ」
「……いや、そんなことはないでござる」
「いいや、お前は信じてないね。俺は天使だから目でわかる」
「そ、そうでござるか?」
「……いや、そんなことはないでござる」
「いいや、お前は信じてないね。俺は天使だから目でわかる」
「そ、そうでござるか?」
どうにも相手のペースに巻き込まれている気がするが、下手に刺激して死にたくない剣心は天使を名乗る男に合わせることにしていた。
「それで、天使殿……名前はないでござるか?」
「おお、忘れてたバイな 俺の名前は……えぇっと……!……天童世死見バイ!」
「そうでござるか……」
「おお、忘れてたバイな 俺の名前は……えぇっと……!……天童世死見バイ!」
「そうでござるか……」
基本的な挨拶を交わして緋村剣心は安堵していた。この相手なら自分の死亡はないと
「あああああああああ!」
「何、何?どうしたでござる?」
「カッー! 忘れてたバイ! 神様からの命題がお前さん、緋村剣心に下っているのを」
「命題?」
「何、何?どうしたでござる?」
「カッー! 忘れてたバイ! 神様からの命題がお前さん、緋村剣心に下っているのを」
「命題?」
背筋を伸ばし、少し咳払いをし、天童がポケットから紙切れを取り出す。
「いいか、よく聞けよ!」
どこからかくる妙なプレッシャーに剣心もおのずと耳を研ぎ澄ます。
「そこの武士、緋村剣心! お前に下された命題は……
2008年10月6日0時10分までに就職できなかったら即死亡ッッ!!!!!」
「なん……だと……いや、なんということでござる」
2008年10月6日0時10分までに就職できなかったら即死亡ッッ!!!!!」
「なん……だと……いや、なんということでござる」
こんな見知らぬ男の言うことはでまかせでござる!と思いたいが、思えない。
名乗ってもいない名前を知っていた……それだけでも何か異常な人物な気もするが
一番に納得できる理由は……一話で死ねる内容ということ。
変な生き物に殺されて、変な能力使いに殺されて、次は天使を名乗るオッサンに……無意識のうちに体中が震えてくる。
名乗ってもいない名前を知っていた……それだけでも何か異常な人物な気もするが
一番に納得できる理由は……一話で死ねる内容ということ。
変な生き物に殺されて、変な能力使いに殺されて、次は天使を名乗るオッサンに……無意識のうちに体中が震えてくる。
「死にたくないでござる! 死にたくないでござる! 死にたくないでござる!」
「諦めるなぁー!!」
「命題だと言っただろ! お前が0時10分までに就職すればよかバイ!!」
「……わかったでござる。今は何時でござるか?」
「……0時8分」
「ああああああああああ……もう駄目でござる」
「諦めるな!就職すればいいだけだ!」
「そもそも、就職の意味が分からないでござるぅぅ」
「定職について働けということバイ」
「……働く……無理でござるぅぅ」
「諦めるなぁー!!」
「命題だと言っただろ! お前が0時10分までに就職すればよかバイ!!」
「……わかったでござる。今は何時でござるか?」
「……0時8分」
「ああああああああああ……もう駄目でござる」
「諦めるな!就職すればいいだけだ!」
「そもそも、就職の意味が分からないでござるぅぅ」
「定職について働けということバイ」
「……働く……無理でござるぅぅ」
泣きくずれる剣心を横目に、天童がデイバックから地図を取り出す。
「見ろ! 神様ができない指令を出すわけないバイ! ハロワと呼ばれる職業を斡旋してくれる施設が島内にあるバイ」
「ぅぅ……本当でござるか?」
「ぅぅ……本当でござるか?」
一話で死ぬわけにはいかない剣心、少しの希望も諦めるわけにはいかない!
「ああ、急げ! 時間がもうないぞ」
「どっちに向かえばいいでござるか!!」
「……南東に3キロほどだ!」
「わかったでござる!……それはどれぐらい時間のかかる距離でござるか?」
「………あと30秒」
「なんで答えないでござるか!!」
「どっちに向かえばいいでござるか!!」
「……南東に3キロほどだ!」
「わかったでござる!……それはどれぐらい時間のかかる距離でござるか?」
「………あと30秒」
「なんで答えないでござるか!!」
今まで、まともに働いてきたことがないがここは……全力でッッ!!
「働きたいでござる! 働きたいでござる! 働きたいでござる!」
―――――――叫ぶ!
「……あと5秒」
「働きたいでござる! 働きたいでござる! 働きたいでござる!」
「……4」
「働きたいでござる! 働きたいでござる! 働きたいでござる!」
「……3」
「働きたいでござる! 働きたいでござる! 働きたいでござる!」
「……2」
「働きたいでござる! 一話突破したいでござる! 働きたいでござる!」
「……1」
「一話突破したいでござる! 一話突破したいでござる! 一話突破したいでござる!」
「……0」
「……んっ拙者生きている??」
「いや、もう死んでるわよ」
「いや、もう死んでるわよ」
その声と同時に緋村剣心の首は地面へと転がっていた。
その首からは小さな呟きが……
その首からは小さな呟きが……
「また、お 主 で ご ざ る か……」
優男の剣士、緋村剣心が最後に見た光景は、いつの間にか消えている天童の残した指令状と
田村令子という名の寄生獣だけであった。
田村令子という名の寄生獣だけであった。
【緋村剣心@多ジャンルバトルロワイアル 死亡確認】
【D-3/森の中/深夜(0:11)】
【田村令子@寄生獣】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】支給品一式、確認済み支給品3つ
【思考】
1:本能に逆らうつもりはない、つまり人は食べる
2:しかし、むやみに殺して周るつもりはない
3:剣心は殺さないといけない気がしたので殺した
【田村令子@寄生獣】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】支給品一式、確認済み支給品3つ
【思考】
1:本能に逆らうつもりはない、つまり人は食べる
2:しかし、むやみに殺して周るつもりはない
3:剣心は殺さないといけない気がしたので殺した
【D-3/森の外れ/深夜(0:11)】
【天童世死見@天国に一番近い男】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】支給品一式、確認済み支給品2つ
【思考】
1:神様からの指令を受け取る
【天童世死見@天国に一番近い男】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】支給品一式、確認済み支給品2つ
【思考】
1:神様からの指令を受け取る
時系列順で読む
投下順で読む
GAME START | 緋村剣心 | GAME OVER |
GAME START | 田村令子 | かえるが空を飛んだ日 |
GAME START | 天童世死見 | 無題(070) |