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ハンバーグって言ったのにどうしてスパゲティが出てくるの ◆KV/CyGfoz6



古手梨花は草原にいた。

彼女の目の前にはいくつかのテーブルと椅子が並べられ、
その先には、後ろがキッチンになっている車(ケータリングカー)があった。
テーブルにはトランプ柄のテーブルクロスがかけられ、
椅子の背もたれにはそれぞれハート・ダイヤ・クラブ・スペードというトランプのスートの彫刻がされている。
ケータリングカーの、梨花からは見えない方の側面には、大きくダイヤのジャックが描かれていた。

「移動れすとらん、へくとるヘ、ヨウコソ」
「くぁwせdrftgyふじこlp」

突然横から聞こえた声に、ズシオが大げさな悲鳴をあげる。
梨花は、ああズシオいたんだ、と思いつつ溜息をついて、声の主に視線を向けた。

「移動れすとらん、へくとるヘ、ヨウコソ」

同じセリフを機械的に繰り返す声の主は、機械だった。
一応、人の形はしているが、どこからどう見てもロボットだとわかる。
髪は金色。瞳は青。どうやら女の子らしいそのロボットは、
ダイヤのジャックのイラストと『restaurant Hektor』という文字がプリントされたエプロンを着け、
『ナナ』と書かれた名札をしていた。

「ウエイトレスさん…なのですか?」
「移動れすとらん、へくとるヘ、ヨウコソ。アタイハ、うえいとれすノ、ななチャンDEATH☆
 イラッシャイマセー」
「ボクたち、お客さんじゃないのですよ。お金持ってないのです」
「オ支払イハ、首輪ノ、ARデ」
「首輪のエーアール?」
「クワシイ、説明ハ、アチラDEATH☆」

ウエイトレスなロボット・ナナちゃんがそう言って指し示した先には、開いた状態の本と、
パッと見た感じ、筆箱に見えなくもない直方体の物体が置かれた机があった。
梨花は机に近づいて、まずは本の内容に目を通す。

凄く厚いが文字が書かれているのはほんの数ページだけだった本の内容は、
ナナちゃんが言っていた『首輪のAR』に関する説明だった。
ロワ参加者がつけている首輪にはEdyとかSuicaとかみたいに通貨価値をチャージし、
その通貨で支払いができる機能がついている。通貨の単位は『AR』―――ということが、
電子マネーなんて知らない梨花にも理解できるように親切に書かれている。

(ARを新たにチャージするのは、専用の機械が必要だからここでは無理ってことみたいね。
 そもそも、チャージ用の機械や、ここ以外にARが必要なお店がこの島にあるのかどうかわからないけど……)

ひょっとしたらこの本の中に殺し合いを止める方法やこの島からの脱出の糸口となるような情報が
含まれているかもしれない。そう考えて梨花は本を隅々まで読んではみたものの、
そんなに旨い話があるわけもなく、本にはARと首輪の機能に関すること以外は何も書かれていなかった。

(まあ、今まで知らなかった情報が得られたんだから良しと考えるべきね)

梨花は自分にそう言い聞かせ、直方体の物体を手にした。
赤く光っている面と、液晶画面がついている面がある。
本に書かれた説明によれば、これで首輪に現在チャージされているARの残高がわかるはずだ。

「ズシオ。ちょっとこっちに来てほしいのですよ」
「どうした? 梨花」

梨花は近づいてきたズシオの首輪に、手にした物体の赤く光っている面を押し当てる。
すると、3秒もかからずにピピッという電子音が響いた。
液晶画面には『10AR』という表示。
この機械を首輪に当てたところで、いきなり首輪が爆発するようなことはないとわかったところで
梨花は自分の首輪の残高も調べてみることにする。
表示されたのは『8000AR』の文字。
首輪にチャージなんてした覚えはないから、この8000ARは最初からチャージされていたのだろう。
確認を終えて直方体の物体を机に戻した梨花は、ARに関する説明が書かれた本の下敷きになっている
紙の存在に気がついた。
ひっぱり出してみると、それはこのレストランのメニューだった。

  ホットコーヒー 300AR
  オレンジジュース 350AR
  トースト&サラダのセット 400AR
    ・
    ・
    ・


(ズシオの10ARじゃ、何も食べられないじゃない。そもそも、こんな安全性がよくわからないところで
 食事なんかする気はないけど――)

「梨花ー。梨花は御注文はどうするー!?」
「御注文ヲ、ドウゾ。御注文ヲ、ドウゾ」

梨花はゆっくりと声のした方向に視線を向けた。
いつの間にかズシオがケータリングカーにいちばん近い席についてメニューを眺めている。



「………………………………………………………………………………………………………………………」



梨花の中で、何かが切れて、何かが壊れた。
無言のままズシオにトマホークを投げる。トマホークはズシオの頭に綺麗に突き刺さった。

「くぁwせdrftgyふじこlp」

梨花はズシオに近づくと、ズシオに刺さっているトマホークを抜き、
テーブルを挟んでズシオの正面の、背もたれにハートのマークの彫刻がされている椅子に座る。
もう、ヤケだ。

「グラタンください」
「では、余はハンバーグにする」
「カシコマリマシタ。ぐらたんトはんばーぐ、ショウショウ、オ待チクダサイ」

注文を終えた梨花は、盛大な溜息をついた後、デイパックの中から地図を取り出し、
今後のことに考えることにした。
梨花としては、本当は町の東部へと向かうつもりだった。
しかし、橋があるI-6は9時には侵入禁止エリアになってしまう。
エミットにセカンドキスを奪われた民家を出た時点で、9時までに橋を渡ってI-6から出ることができるかは
微妙な時間だった。何かトラブルが起こって足止めされれば時間に間に合わず首輪はドカン。
そんな危険な賭けはできないと、梨花はI-6の橋を渡ることを諦め、とりあえずここ――I-5の草原――まで来た。
問題はここからだ。
G-7の橋を利用して町へ行くか、禁止エリアを避けつつ都市へ向かうか―――
梨花はあれこれ思案し、ズシオは何も考えずに、静かに時が流れる。

「オ待チドーサマDEATH☆」

沈黙を破ったのはナナちゃんだった。
ナナちゃんは梨花の前にグラタンを、ズシオの前にスパゲティを置く。

「ハンバーグって言ったのにどうしてスパゲティが出てくるの?」

ズシオが言う。
それはズシオらしからぬ正当な言い分だったが、言われたナナちゃんはズシオの発言などなかったように
「ゴユックリ」と言ってケータリングカーの方へ行ってしまった。
どうやら、こういうことへの対応まではできないらしい。

「我慢するのですよ、ズシオ」

梨花はそう言って宥めてみるが、ズシオはグチグチと文句を言っている。
それを見て、梨花はだんだん腹が立ってきた。
相手はロボットなんだし、ここの支払いは梨花の首輪に最初からチャージされていたARで行われるのだ。
少なくともズシオに文句を言う資格なんてない、と梨花は思う。
ちなみに、ハンバーグとスパゲティは同じ値段である。
梨花は、本当にイライラしていた。軽くキャラ崩壊を起こすくらいにはイライラしていた。


「ズシオ。おまえ、うっとおしいから黙れ。箱ティッシュ以下の価値しかないクズが」


いつまでもハンバーグって言ったのにどうしてスパゲティが出てくるのと怒る、子供のようなズシオの頭に
今まで積もりに積もった鬱憤も込めてトマホークを突き刺す梨花。
さすがに空気を読んだズシオは、頭から大量出血しながら、黙ってスパゲティを食べだした。
スパゲティを食べるズシオにしばらく経っても異変が見られないので、毒は入っていないのだろうと判断し、
梨花もグラタンを食べ始める。

(これ、美味しい…!)

梨花がグラタンの味に満足した、その時だった。
近くの茂みから音がしたのは。

梨花に緊張が走る。スプーンを置いて茂みから聞こえる音に神経を集中させる。
ズシオには緊張が走らない。あんなに文句を言っていたくせに、美味しそうにスパゲティを食べ続ける。
茂みから聞こえる音は少しずつ、だが確実に大きくなってくる。
何かが梨花たちに近づいてくる。
そして―――


茂みから現れたのは、独りの男だった。
全身血塗れで、フレッシュマンスーツを着た、異常にムキムキでマッチョなおっさん。

梨花は思った。
いや、それは“思った”なんて生易しいものではない。
梨花は、全身全霊を込めて心の中で叫んだ。


(フ ツ ー の 人 間 に 逢 わ せ て !!!!!!!)


寿命がストレスでマッハな状態の梨花が、
今の状況がフツーの人間に逢いたいとか願っている場合じゃないと気づくのは5秒後のことである。

【I-5 草原/1日目午前】

【古手 梨花@ひぐらしのなく頃に】
【服装】巫女服(魔法装束)
【状態】なんだか精神的に疲労(大)、寿命がストレスでマッハなため軽くキャラ崩壊中
【装備】なし
【持ち物】基本支給品一式、エミット@魔法少女沙枝シリーズ
【思考】
 1:フツーの人間に逢いたい!!!!!!!
 2:部活メンバーや楠沙枝と合流する。
 3:殺し合いという運命に抗う。
 4:エミットは……いいか(ああ、西島翔子が死んだって言いそびれちゃった……)
 5:G-7の橋を利用して町へ行くか、禁止エリアを避けつつ都市へ向かうかを考える
【備考】
※エミットは制限で1時間に10分しか外へ出る事ができません。エミット自身が勝手に外へ出る事は出来ない(ただし声掛けはデイパックの口が開いていれば可能らしい)。
※主催者が複数いる事に気付きました。
※変身している時に出来る事は沙枝と大差ありません。
※魔法少女リリカルなのはA’s DVD-BOXはズシオが突っ込んだせいで家に備え付けてあったDVDデッキ諸共大破しました。
※首輪には8000ARがチャージされています。

【ズシオ@余の名はズシオ!】
【服装】上半身裸、ズボン
【状態】頭にトマホーク@余の名はズシオ!、大量出血
【装備】なし
【持ち物】基本支給品一式、茶碗とマヨネーズと箸
【思考】
 1:スパゲティ、おいしい
【備考】
 ※首輪には10ARがチャージされています。

【丹波文七@餓狼伝】
【外見】フレッシュマンスーツ(ボロボロ、血まみれ)
【状態】全身打撲、裂傷多数。
【装備】なし
【道具】基本支給品一式×2、ランダム支給品1~3
【思考】
 1:俺より強い奴に会いに行く
【備考】
 ※放送を聞いていません。
 ※テリー・ボガードの所持品を回収しました。


【移動レストラン・ヘクトルについて】
 ダイヤのジャックが作ったケータリングカーとウエイトレスロボット・ナナちゃんによって
 営業が行われているレストラン。
 店名の「ヘクトル」は、ダイヤのジャックのデザインの元になっているといわれる人物、
 ギリシア神話に登場するトロイの王子・ヘクトル。
 「~DEATH☆」が口癖のナナちゃん以外に店員がいるかどうかは不明。
 移動レストランという名の通り移動可能。水上を進むこともできるとかできないとか。
 注文と違う物が出てくることも珍しくないが、少なくともグラタンの味は三つ星レストランレベルである。

【首輪の機能について】
 本文中にある通り、EdyやらSuicaやらのように、あらかじめ通貨価値をチャージし、それで支払いを
 行うことができる。通貨単位は『AR』
 参加者の首輪にはロワ開始時点でARがチャージされている。額は社長の気まぐれでランダム。
 移動レストラン・ヘクトル以外に、このARが使える施設等があるのかは不明。
 また、チャージ専用の機械がロワ会場内に設置されているかや、チャージの方法も不明である。
 余談だが、もし武器屋がこの機能で支払いが必要な施設であれば、
 以前、武器屋からがっつりアイテムをゲットした恋は泥棒ってことになるけど……まあ、それはそれ。


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マジカルロリータ 古手梨花 そろそろ本当の気持ちと向き合えるか?
マジカルロリータ ズシオ そろそろ本当の気持ちと向き合えるか?
ひとり 丹波文七 そろそろ本当の気持ちと向き合えるか?


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