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それでも守りたい命があるんだ!

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それでも守りたい命があるんだ! ◆OQfaQnysJI


広い平原の真ん中で、座り込んで言葉を交わす人影が三つ。
イデの発動でここに飛ばされた、6/、ランキング作成人、黒井ななこの三人である。

「えーと、つまり……。ここには柊かがみが二人おって、その二人の柊は平行世界の同一人物で、あんたはその片方の柊と体が入れ替わってしもうて、その柊はあんたの以前からの知り合いで、でもって死んだ柊があんたの知り合いの方かもう一人の方かはわからんと……」
「そういうことになりますね」

かがみについて6/から説明を受けていたななこは、こめかみを指で押さえつつ一気にまくし立てた。
6/は、それを最後まで聞いた上でうなずく。

「わけわからんわー!」
『ですよねー』

しかし己の常識をはるかに超えた話を、ななこがそう簡単に受け入れられるはずもなく。
思わず声を張り上げるななこに、6/と作成人は揃ってその言葉を肯定してみせる。

「なんやねん、ここは……。喋るウサギがビーム出すわ、源義経は出てくるわ、わけわからんうちに見覚えのない場所に吹っ飛ばされるわ……。
 挙げ句の果てには平行世界かいな……。ただの世界史教師のうちが、なんでこんな常識の通用しない世界に放り込まれなあかんねん」
「お気持ち、お察しします」
「だから! なんであんたら二人はこんな状況で落ち着いていられんねや!」
『なんでと言われても……』

6/と作成人の声が、再び重なる。

「ああ、もう……。この三人の中で、うちだけ仲間はずれみたいになっとるやないか……」
(まあ、ある意味そうなんだけどな)

がっくりうなだれるななこの姿を見ながら、6/は心の中で呟いた。

「せやけど、こんな事でいつまでもぐちぐち言ってられへんわな。まずは、はぐれてもうた沙枝を見つけへんと。
 そしてゆくゆくは、この殺し合いを止める手段を見つけ出すんや!」
「その意気です、先生!」
「あー、それに関してはまったく異論はないんだが……」
「どうかしましたか、6/さん」
「いや、さっきも言ったんだけどさ……。なんか服ない?」
「あー、そういえばそんなこと言ってましたね」
「というか、そもそもなんでそんな薄着なん?」
「聞かない方があなたのためだと思うよ、先生」

なぜか遠い目になって、6/は言う。

「ハア……。よくわからんけど、言いたくないんなら無理には聞かん。とにかく、探してみるわ。
 サク、そっちにはないか?」
「へ? サクって俺のことですか?」
「せや、ランキング作成人なんて呼びづらいし、名前っぽくないやろ?
 せやから、あだ名で呼んだ方がええかと思ってな。不満か?」
「いや、別にそういうわけじゃ……。まあそれはともかく、俺の支給品に服はありませんよ。
 ランダム支給品はこのカードだけでしたから」

そう言って、作成人は五枚のカードをななこに見せる。

「先生の方はどうです?」
「ちょっと待て。なんかそれらしいのが……」

自分のデイパックをあさっていたななこが、そこから何かを引きずり出す。
確かにそれは、服のように見えた。

「なんや、変わったデザインの服やな」
「というかこのデザイン、見覚えあるような……」
「いや、この際何でもいいよ。下着よりはましだろ。こっちくれ、着るから」

6/は半ば強引に服を引き寄せると、すぐさまそれを身にまとい始めた。
そして数分後……。

「なあ、これって……」

自分が装着した服を確認し、6/はポロリと漏らす。

「仮面ライダー……だよな?」
「仮面ライダーですね」
「あー、なんかそれっぽいな」

6/の言葉に、作成人とななこも同意する。

「なんだよこれ、仮面ライダーのコスプレセットか?」
「いや、ちゃんと本物らしいですよ? 本郷猛の強化服って書いてありますし。
 漫画版か何かからの出典じゃないですかね?」
「仮面もちゃんと入っとったでー」

付属の説明書を、6/に向かって読み上げる作成人。一方、ななこはデイパックの中に残っていた仮面を6/に投げ渡す。

「んー、ちょっと恥ずかしいけど、下着姿よりましか。仮面ライダーのコスチュームっていうんなら、防御力もあるだろうし」
「俺は少し羨ましいですけどね。やっぱり男として、ヒーローには憧れます」
「そういや、うちもサクも服ボロボロやなあ。うちらもできれば着替えが欲しいところや」
「まあ、確かに血がべったり付いた服をいつまでも着てるのは気持ち悪いですねえ」

ななこの言うとおり、二人の衣服もまともな状態ではない。
作成人の服は義経にバッサリと斬られた跡が残っており、その周囲は血で真っ赤に染まっている。
ななこの方もイヨのビームを喰らったせいで、服のあちこちが焦げてしまっていた。

「それじゃあ一回都市部に戻って、何か服ないか探してみようか?」
「ええかもしれんな。沙枝もまだ近くにおるかもしれんし、あの子探すついでに服も探せばええやろ」
「俺も異存はありません」

意見がまとまり、その場からの移動を開始しようとする一行。だがその時、彼らの前に襲撃者が現れた。

「ん? なんや、誰かこっちに……」
「危ない!」

猛烈なスピードで接近してくる人影に、怪訝な表情を浮かべるななこ。
危険を察した6/は、その彼女を作成人ごと突き飛ばす。
その直後、6/は突っ込んできた少女にチェーンソーを胸に叩き込まれていた。

「6/さん!」

思わず、作成人が叫び声を上げる。現れた少女……赤根沢玲子は、その悲痛な叫びにも顔色一つ返ることなく、その手を作成人に向けた。

「マハザンダイン」

抑揚のない声で、玲子は呟く。次の瞬間、作成人の体は強い衝撃を受けて吹き飛んだ。

「サク!」

今度は、ななこが叫び声を上げる。その彼女に、玲子は次の狙いを定める。

「させる……かよ……!」

しかし彼女の口が言霊を紡ぐより早く、作成人は地面に叩きつけられながら一枚のカードを掲げた。

「ブラック・マジシャン……召喚!」

作成人の宣言と同時に、カードから奇妙な形状の黒衣に身を包んだ青年が出現する。
魔法使い族最強クラスのモンスター、ブラック・マジシャン。それが彼という存在だ。

「マハザンダイン」
「黒・魔・導(ブラックマジック)!」

玲子の魔法が発動するのと、作成人が攻撃を命令するのとがほぼ同時。
ななこの目の前で二つの魔法がぶつかり合い、はじけ飛ぶ。

「うっしゃ、ギリギリセー……ゲハッ!」

歓喜の雄叫びを上げようとする作成人だったが、ダメージを受けた体はそれを許さず、咳き込んでしまった。
一方、玲子は戦闘を開始してからはじめて表情を崩し、ブラック・マジシャンを見つめていた。

「悪魔……?」
「違うね、モンスターだ。表現が違うだけだろとか、そういう苦情は受け付けない」

玲子が漏らした言葉に、作成人は無理に笑顔を作りながら答える。

「そう。でも、そんなことはどうでもいいわ。私は、ここにいる人間を皆殺しにするだけだから」

再びその顔を凍り付かせると、玲子はチェーンソーを構えた。

「魔法は互角。なら、接近戦はどうかしら?」

一歩、玲子がななこたちに近づく。

「なんでや……。なんでそんなことせなあかんねん!」

近づく玲子に向かって、ななこは叫ぶ。

「あんた、まだ中学生か高校生やろ? そんな若さで人殺しなんて罪を背負ったら、残りの人生ずっとその十字架を背負って生きていかなあかんのやで?」
「残りの人生なんて、私にはないわ。みんなを殺したら、私も自殺するんだから」
「ふざけんなや、ど阿呆! 命をなんやと思ってんねん!
 あんたが死んだら、家族や友達が悲しむやろ! そんなことも想像でけへんのか!」
「!!」

家族。それはななこが、何気なく口にした言葉。だがそれは、玲子にとって逆鱗であった。

「あんたに……何がわかるのよ……! 私の家族は……私の大切な兄は、もう死んだのよ!
 どこの誰かもわからない人間に殺されて! だから私は殺す! 殺して殺して殺して殺し尽くす!
 あの人が天国で寂しくないように! マハザンダイン!」

逆上しながら、魔法の衝撃を推進力に変えて玲子が突っ込む。慌ててブラック・マジシャンに迎撃させようとする作成人だが、間に合わない。
玲子のチェーンソーが、ななこの脳天目がけ振り下ろされる。だが、その回転する刃が脳天を捉える直前。

「させるかよぉぉぉぉぉーっ!」

真横から、6/が玲子に飛びついた。そのまま、二人の体は平原を転げ回る。

「離れなさいよっ!」

半狂乱になり、玲子はチェーンソーを振り回す。それに切り裂かれるのを恐れ、6/はすぐさま彼女のそばから飛び退いた。

「6/さん!」
「よかった、生きとったんやな!」
「ああ、さすがは仮面ライダー! チェーンソーぐらい何ともないぜ!」

自分の無事を喜ぶ作成人とななこに、6/は親指を立てて応える。

「何を喜んでるのよ、あなた達……。どうせ私に殺されるのに!」

憎悪に顔を歪めながら、玲子が立ち上がった。その手には、未だ凶暴なうなり声を上げるチェーンソーが握られている。

「ちっ、とことんやる気かよ。しょうがない、受けて立つぜ。こっちはそう簡単に殺されてやるほど、命に淡泊じゃねえんだよ!」
「俺もやりますよ、6/さん。尤も、実際に戦うのはブラック・マジシャンですが」
「待て、6/、サク」

迎え撃とうとする二人を、ななこが制止する。

「なんです?」
「うちも殺す気満々の奴を前にして、非暴力を貫けなんて聖人君子みたいなことは言わん。
 せやけど……あんまりひどいことはせんといてくれ。あの子はまだ救える……話し合いでなんとかできるはずなんや」
「要するに、本気で再起不能にするんじゃなくて戦意をなくす程度で止めておけってことか」
「別に俺はかまいませんよ。俺だって、できる限り死人は出したくないですから」
「おおきに……。すまんな、あんたらは命かかっとんのに、うちのわがまま聞いてもらって」
「気にしないでください。いちおう、俺たちは仲間なんですから」
「そういうこと。それじゃ、改めていくか。仮面ライダースピリッツ、見せてやるよ」

作成人は、自分の前にブラック・マジシャンを持ってくる。
6/は邪魔なツインテールを解き、ライダーの仮面をかぶる。

全ての人間が死ぬことを望む少女と、全ての人間を生かすことを望む三人。
その戦いのゴングが今、改めて鳴らされようとしていた。


【B-5 平原/1日目・午前】

【ランキング作成人@パロロワクロスネタ投下スレ】
【服装】クロス(十字架)が大きく描かれた服(ボロボロ)
【状態】ダメージ(中)、強い使命感
【装備】なし
【道具】支給品一式、DMカード(ブラック・マジシャン(使用中)、聖なるバリア・ミラーフォース、光の護封剣(16時間後まで使用不能)、他2枚)@ニコロワ
【思考】
 1:誰も死なせたくない
 2:少女(玲子)を止める。
 3:沙枝は見つけてあげたいな……


【黒井ななこ@らき☆すた】
【服装】いつもの教師らしい服装
【状態】健康
【装備】なし
【道具】基本支給品一式、カラオケ用機材一式@現実
【思考】
 1:殺し合いはあかん。
 2:少女(玲子)を説得する。
 3:沙枝を見つける。


【◆6/WWxs9O1s氏@パロロワクロスネタ投下スレ】
【服装】二式強化服@仮面ライダー 誕生1971
【状態】外見は柊かがみ 健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、鉄パイプ、神罰棍@マイティハート 
【思考】 基本:情報を収集して、このロワの全容を推測する
1:少女(玲子)を止める。
2:地虫さんは頼りになりそうだから、合流したい。
3:もう一人の自分が気になる。
4:かがみうぜえ


【赤根沢玲子(レイコ)@真・女神転生if…】
【服装】ふりふりメイド服(Sサイズ)
【状態】健康、偉出夫を失った事による激情
【装備】チェーンソー@School Days
【所持品】基本支給品一式、兄へのお土産のふりふりメイド服(Lサイズ)
【思考】
 基本方針:皆を殺して最期に自分も死ぬ。そして偉出夫のいる天国へ行く。
 1:目の前の三人を殺す。


支給品解説
【二式強化服@仮面ライダー 誕生1971】
本郷猛が着用する強化服。「二式強化服」の名称は、続編である「流星1973」でのもの。
本郷がこれを着てベルトのスイッチを押すことで、神経が強化服と接続され仮面ライダーに変身する。
一般人がこれを着てももちろん変身はできないが、頑丈さは折り紙付きである。

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B-5周辺顛末記 ランキング作成人 彼等は誰も守れない
B-5周辺顛末記 黒井ななこ 彼等は誰も守れない
B-5周辺顛末記 ◆6/WWxs9O1s氏 彼等は誰も守れない
間然。一体いかなる思考にて私の思想に異を唱えるか 赤根沢玲子(レイコ) 彼等は誰も守れない

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