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ヘタレになって何が悪い!

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ヘタレになって何が悪い! ◆KYxVXVVDTE


 帝は歩いていた。
 C-3の武器屋へ向かって、早足で歩いていた。

 武器屋が禁止エリアとなるまで数時間はあるが、なるべく早めに着きたい。
 「ヒーローは遅れてやってくるもの」と海賊マークは語っていた気がするが、それでかぐや姫を失っては意味がない。
 今は人より早く行動するくらいで正解なのだ。

 しかし、その思いとは裏腹に。
 帝は、とある問題を抱えていた。

(束帯では、さすがに走れぬ)

 平安時代の衣装である自慢の束帯は、軽やかに動くには不向きなのだった。
 女性が十二単を着る時代だ。
 男性である帝が纏う束帯も、かなりの重ね着で構成されている。
 袴でさえ二重構成になっていて、とても走れるような格好ではなかった。

 帝はデイパックから地図を取り出し、改めて考える。
 さっき下着売り場を通り過ぎたため、ここはD-3に当たると思われる。
 このまま歩いていけば武器屋には辿りつけるだろう。
 ここまでは帝の思惑通りである。

 しかし、もしそこで不思議な力を持った者に会った場合。
 逃げの一手を打つしかない帝に取って、束帯は枷になってしまう。
 今までは、帝としての嗜みを忘れずに束帯を着てきた。
 だが、曲がると転ぶ男を殺した者のように、帝など歯牙にもかけないような強者がこの地にいるということを、帝は知ってしまった。

「私は――かぐや姫のためならば、帝であることを捨てる覚悟は出来ている」

 もう一度確認するように、帝は小さく呟いた。

「ならば、誇りを捨ててでもここは束帯を脱ぐべきではないか」

 帝は再び地図に目を向ける。
 目的地である武器屋でのうのうと着替えていては、敵に隙を晒すようなものだ。
 着替えられそうな服を探す必要もある。となると、
 武器屋に行く前に寄るべき場所は1つしかない。

(D-2、メイドカフェ)

 海賊マークの話によると、従者が衣装を着て茶を出してくれる施設とのことだった。
 その衣装が望み通りの衣装かどうかは疑問だが――まだ時間もある。
 寄ってみても問題ないだろう。

 帝は進路を西へと変えた。

◆◆◆◆

 メイドカフェの中には、人の死体があった。

 茶色く長い髪を振り乱し、全身をメッタ刺しにされた女性が床に血だまりを作っていた。

 だが特に、帝はその光景に驚くことはなかった。
 73人の死者の内一人がここにいた、という事実があるのみ。
 誰だか知らない者の死体に、何かを感じようという発想自体が無理な話である。

「おお、これが衣装か」

 とりあえず死体の側にあったデイパックの中身を回収し、帝は衣装の置いてあるスペースへ向かった。
 メイドカフェに置いてある衣装。当然メイド服に他ならないが、
 店員としての機動性を損なわないため、下はミニスカートになっている。
 袴と比べた時にどちらがより高い機動性を持つかは、帝から見ても明らかであった。

 色も黒が基調で、束帯と同じ。
 帝はこの「メイド服」という衣装を気に入りつつあった。

(足が肌寒くなりそうだが……仕方ないか)

 ごくりと息をのみ、帝はまず頭上の冠に手をかけた。
 冠に挿している簪(かんざし)を抜き、冠を取って髷(まげ)をほどく。
 “冠を取る”という行為は平安時代では下着を露出するのに等しく、身分の低いな者が行うものである。
 だが帝は、その恥ずべき行為を敢えて行うことによって、かぐや姫への愛を示すことにした。

「かぐや姫に会うまでは――私は、下賎な民で構わない」

 帝は着替えを開始した。

◆◆◆◆

 平安時代の頃の人間は、今と比べるとずっと小柄だ。
 帝であってもその例には漏れず、
 髷を結うために肩まで伸ばされた髪を下ろした帝は、シルエットだけ見ればかなり女性的になっていた。

 さらに言うと帝は整った顔立ちをしていて、意外にメイド服も似合っていた。
 足を晒したことにより露わになった体毛や、男性である以上の声の低さは隠せないが、
 帝は偶然にも体毛は薄い方で、声は中性的なものより少し男性に近いくらいだった。

 本人も気付かない内に帝は、かなりレベルの高い女装をしていたのである。

「だ、だ誰だれだあの女はっ……!」

 だからメイドカフェの外から窓を覗いたヤムチャが、中の人間が男性であると気付くことはなかった。

(どうする……た、確かに仲間は欲しい、弱者も欲しい、あの女は、その条件に当てはまるだろうが)

 ヤムチャは女性から目を背け、心を落ち着かせる。
 女性の前では全く力を発揮できないヤムチャは、出来れば女性と一緒に行動したくない。
 だが仲間が欲しいのも事実で、急に突きつけられた現実にヤムチャは戸惑うしかなかった。

 無様な自分を晒してもいいから、女性に仲間になるよう持ちかけるか?
 それとも心の内の「逃げたい」という欲求に身を任せ、この場を後にするか?

 ヤムチャの頭の中で、二つの選択肢がぐるぐると回り始めた。

【一日目 午前/D-2】

【ヤムチャ@ドラゴンボール】
【服装】盗賊の服
【状態】健康、かなり精神的に動揺
【装備】なし
【持ち物】基本支給品×3、不明支給品0~7、望遠鏡、紅茶セット、イヨの首輪
【思考】
1:優勝した後、ドラゴンボールでみんなを復活させる
2:あの女を仲間に……する?しない?
3:なんであのぬいぐるみの首輪は爆発したんだ!?
4:殺し合いに乗っていない振りをして仲間を集める
5:ゼロという人物を探す(アンドロイドという単語は失念しています)
【備考】
ピラフ編でピラフ城に行く前からの参戦。


「ふむ」

 帝は自分の姿を衣装室備え付けの鏡で確かめた後、机に座って死体から奪ったものを見ていた。
 机上に乗った箱には、「ARチャージ機」と書かれている。
 この両手で抱えられる程度の箱に金銭を入れると、首輪にARを貯めることが出来るらしい。
 ARの使い道までは説明書に書いてなかったが、せっかくなので帝はARを貯めてみることにした。

「確か海賊マークは、これを金銭だと言っていたな」

 デイパックから取り出したのは、札束の詰まったスーツケース。
 その金額、しめて一億五千万円。全部入れていては武器屋が禁止エリアになってしまうので、
 帝はスーツケースから、とりあえず十枚程の一万円札を抜き出した。

 チャージ完了までの時間は、すなわちヤムチャの思考時間の限界でもある。
 帝は、窓の外からの視線に、これっぽっちも気付いていない。

【一日目 午前/D-2 メイドカフェ】

【帝@竹取物語】
【服装】メイド服(M)
【状態】冷静
【装備】なし
【持ち物】基本支給品×3、王様ゲームセット@王様ゲーム、札束の詰まったスーツケース@ハヤテのごとく!、9mm拳銃@現実、逆刃刀・真打ち@多ロワ、束帯、ARチャージ機
【思考】
基本:かぐや姫に逢いたい1:かぐや姫の為なら殺人でも何でもする。
2:しばらくしたら禁止エリアになるC-3(武器屋)に向かう
3:集団と結託する。
4:知らない物が多いな……
【備考】
かなりレベルの高い女装をしちゃっています。

【ARチャージ機】
貯金箱のような箱で、いろんな通貨やお札を入れる穴が上部に空いている。
チャージすると一番箱の近くにいる人にARが貯まる。
チャージ後の通貨は箱の中から消えてしまう。これとは別に据え置き型のチャージ機もあると思われるが、どこにあるかは不明。


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