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Lの名推理/幽玄なる巨人 ◆YOtBuxuP4U



 たくさんの者が死んで。
 たくさんの場所が血で染まって。
 このふざけた催し物――バトルロワイアルが始まってから半日が経とうとしていた。
 集められた152名の参加者、そして意思を持つ支給品、また、主宰たる”社長”と名乗る人物……。
 様々な者たちの思惑と作為が入り乱れてこの地では誰も予想できないことばかりが起こった。
 人が死に。
 人じゃない者も死に。
 施設はいくつも壊れ、大地は深くえぐられ。
 巨大ロボットは軒並み大破した。
 だがその中でも、
 別世界から集められた者たちの微笑ましい交流が多数見受けられるのは、一つの救いだろう。
 ある者は家族のように語らいあい。
 ある者は漫才コンビのように微笑ましくある。
 殺伐とした殺し合いの中にあってこそ、優しさや陽気さ、健気さは美しく輝くのだ。

「直径12マスくらいが~テトリスを~揃える距離♪ アル♪」

 だがそんな中――ここに一人の参加者がいた。
 L字ブロック。
 テトリスのブロックとして消され続ける日々から脱し、人間への復讐を決めた彼は、どこまでも一人だった。
 L字ブロックが今までに出会ったのは、四名。
 もう死んだ、椎名桜子。
 殺した、チェスワフ・メイエル。
 愛すべき、六条御息所。 
 そして、警戒しないといけない秋山深一の四人だ。
 彼は出会ったうちの二名の死に関わり、残り二人については生きていると考えている。
 しかし、
 彼はまだ知らない。彼の愛する六条御息所が、自らの嫉妬に殺されたことを。
 彼はまだ知らない。彼の危惧した秋山深一は、自らの作戦に殺されたことを。

 彼がこれまでに出会った人物は……もうみんな死んでいることを。

「四段~一気に消せば~テトリスボーナスアル~♪」

 たったひとつ、その体と、引きずるようにして持ち歩くデイパックだけが彼の頼れるものだった。
 あるのかどうかも不明な口から謎の唄を口ずさみ、彼はあてもなく進む、進む。
 じきに始まる放送は、彼に残酷な現実を伝えるはずだった。
 ”不死者”としてのL字ブロックから全てを奪い、彼の存在意義を一気にゼロにするはずだった。

 ただ、L字ブロックにとって幸運か不幸かは分からないが、
 なんと彼は間近に迫っていた第二回放送をちゃんと聞くことはなかったのだ。
 その理由はいろいろあるが、もっとも大きな要因は二つ。
 一つは、彼が”名探偵”だったこと。
 二つは、彼が新たな参加者に出会ったことだ。

 まあ、これにも皮肉めいた部分はあって、
 L字ブロックはどう足掻いても”名探偵”にはなりえないし、
 彼が出会った新たな参加者は――すでに”死んでいる”人間だったのだが。
 それも、ゴーレムに乗った。


♪♪


 カヨとL字ブロックを引き合わせたのは、とある婦人が死の間際に使った拡声器だった。
 フグ田サザエが叫んだ言葉はC-6豪邸付近を中心に半径1マスほどに広がり、
 D-7にいたL字ブロックの耳(?)に入ったのだ。

 そうとは知らず森の中をぐるぐるしていたL字ブロックにとってこれは嬉しい知らせだった。
 すぐさま即落ちモード(一気に下にブロックを落とす操作)のときのスピード感を思い出しつつ走り、
 豪邸が見える場所までたどりつくとそこにはゴーレムがいた。
 もう一度言おう、ゴーレムがいたのだ。

「アル……!? これは一体!」

 幽玄な、って形容詞がぴったりあてはまるくらいにゴーレムは美しく、
 L字ブロックはまず内心「ふつくしいアル……」と叫んでいた。
 何しろゴーレムはロボットのような外観で、びーむとかろけっとぱんちとか出せそうな凄みを備えている。
 玩具界隈の生まれであるL字ブロック的にはあこがれの対象だ。

「あれ / あなた / 何? / あたし / いまから / 女を / 殺しに行くの /
 邪魔しないでよね / ……  / でも / テトリスの / ブロックなんて / めずらしいね」

 だが、どうやらゴーレムには”なかのひと”がいるらしく、
 L字ブロックの姿を捉えるとたどたどしく喋った。
 一つ一つの文節の区切りが一行くらい空いているような喋り方だ。
 というか明らかに不審な喋り方である。
 これをどう見るべきか? L字ブロックの灰色の脳細胞(?)は激しく回転する。
 テトリスブロックを落とす最中に、我々が意味もなくブロックを回転させるように……。

(むむむ、このロボットの声、妙にどっかできいたことある気がするアル。
 主にエコーのかかり具合とかすごく幽霊っぽいアル。そして”なかのひと”は女を殺すって今言ったアル……)
(ハッ! もしや! 中に居るのは六条御息所アルか?
 夜まで会えないと言ったのに私が来てしまったから、慌ててロボットの中に隠れたのアル!
 だからバレないように喋り方もなんか変なのアルね! 天才的推理!)

 L字ブロックのこの推理はもちろん的外れで、ゴーレムの中にいるのはアキを殺そうと奮起するカヨなのだが、
 カヨは六条御息所と同じく女(アキ)の殺害をしようとしているところや、
 ぶっちゃけ幽霊なところとか共通点が多かった。容姿もアキとほどではないが若干似ている。
 さらにL字ブロック自身”名探偵ごっこ”に嵌っていたのもあって、
 自らの推測を真偽を確かめないまま信じて話を進めた結果――。

「すまないアル、ゴーレムさん。私はL字ブロック、通りすがりの者アル。
 時に相談があるのでアル。どうやらゴーレムさんは、女が憎いようでアルが……、
 人間を憎んでいる私はきっとゴーレムさんの力になれるアル。一緒に連れて行ってくれないアル?」 
「え? / 別にいいけど」
「ああ、心配しなくてもそちらの名前は聞かないアル。”びじねすぱーとなー”アルよ。
 なに大丈夫、死ぬときはあなたを守って死ぬアル!」
「??? / どゆこと? / …… / まいっか /
 えーっと / 一応言うと / よろしく? / みたいな」
「うん、よろしくアル!」

 なんとカヨとL字ブロックは組んでしまったのである。
 カヨからしてみれば、殺す対象である「アキ」と「トモを殺した奴」以外の命なんか正直どうでもいい。
 いざとなればゴーレムの巫力波で殺してしまえばいいだけだ。
 アキを殺すのを”協力”してくれるというのならすぐ殺さなくてもいい。 
 最初はテトリスのブロックがなぜ動いているのかと戸惑ったが、言動や態度を見るにバカそうだし、
 幽霊に首輪をつけてしまうような主催のやることに今さら驚くのもおかしい……と、納得してしまったのだ。

「いちおう聞くけど / L字ブロック」
「何アル? ゴーレムさん」
「アキとか / トモって / 知ってる?」
「……誰アル? 私が知ってるのは秋山アル。あいつ不死者なんアルよ」
「不死者?」
「そうアル! 不死者は危険アル、人間のくせに殺しかたがあって……」 

 一応、L字ブロックが「トモを殺した奴」という可能性があるかどうかを確認しておく。
 返答だけでは完全には判断できないが、思わせぶりな態度や、白々しいそぶりは見せなかった。
 考えてみたら「トモを殺した奴」をどうやって見つけるのかも難しい。
 カヨはとりあえずこれについては保留して、
 とりあえずは、L字ブロックが話す秋山という不死者について聞くことにしたのだった……。


♪♪


 一方、L字ブロックの頭の中は。

(ふふふ……ラッキーすぎるアル! 六条御息所とこんなに早く再会できるなんて!
 ああ、もう無敵アル! 他のやつらなんて誰もかも殺す以外ないアル!
 絶対夜まで生き残って、そして六条御息所に認めてもらうアル……! がんばるぞ、アル!)

 見事にホの字ブロックになってしまっていた。
 それはもう、放送なんて耳に入らないくらい、彼の六条御息所への愛は強いのである。


【1日目 昼/C-6 豪邸付近の森の中】

【L字ブロック@テトリス(ゲーム)】
【服装】全裸
【状態】健康、人間への怒り、ホの字ブロック
【装備】なし
【持ち物】基本支給品一式、不明支給品1~3
【思考】
 1:主催者を含めて人間は許さない、アル!
 2.秋山を見つけて喰うアル!
 3:六条御息所に認めてもらうアル!
【備考】
※テトリスのゲームがクリアor破壊されない限り死にません。
※チェスワフ・メイエルの知識を人差指の分以外全て手に入れました。
※秋山深一は不死者だと思っています。
※ゴーレムの中のカヨを、正体を偽った六条御息所だと思っています。
※サザエが拡声器で喋った内容を記憶してます、多分。


【カヨ@あたし彼女】
【服装】白装束
【状態】幽霊、ゴーレムに搭乗中
【装備】ゴーレム@シャーマンキング、火の玉
【持ち物】基本支給品一式、拡声器
【思考】
 1:アキを祟る――寧ろ祟るだけじゃ飽き足らない、トモと付き合った事を後悔するぐらい殺してやる。
 2:トモ殺したヤツは絶対に許さない。
 3:シン・アスカに会ったら、ウザ子(マユ・アスカ)のこと、教えてあげよっかな。
 4:幽霊が死んだらどうなるんだろ?
【備考】
※幽霊ですが夜が明けても消えたりしないっぽいです。
※アキと容姿がすごい似ています。霊つながりで六条御息所にも少し似てます。


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